オグさんです! 今回は、テーラーメイドの「300ミニドライバー」をお借りすることができました。460ccのドライバー全盛期の今、なぜ小ぶりなサイズが必要なのか!? そのあたりも考察しながらインプレッションしていきたいと思います!
テーラーメイド「300ミニドライバー」
300ミニドライバーは、文字通り、ヘッド体積が307ccの小さなドライバーです。実はこのモデルには、ベースというか、オリジナルモデルが存在します。それは21世紀に入って初めて300ccを超えたメタルウッドである「300シリーズ」というドライバー。発売当時は、大型でミスに強く飛距離性能も高いと大ヒットを記録し、大きなブームを巻き起こしました。その300シリーズのデザインを模しつつ、最新の技術を使ってほぼ同じヘッドサイズでよみがえらせたのがこの300ミニドライバーなのです。
そもそもドライバーのヘッドサイズが460cc全盛の今、なぜこんな小ぶりなドライバーが開発されたのでしょうか? 現在のドライバーは、飛距離性能とミスへの寛容性を両立するため、30年前と比べて長く、軽く、そしてヘッドサイズは大きく進化しています。しかし、ドライバー以外のフェアウェイウッド(以下FW)やアイアンは、性能面では大きく進化はしているものの、長さやヘッドサイズはさほど変わっていません。この違いは、使用するライや用途が異なるために生じています。平らなティーイングエリアでティーアップし、完全なライから打てるドライバーと比べ、FWやアイアンは毎回状況の違う芝(時には土や砂など)の上から使用します。
ドライバーは毎回ほぼ完ぺきなライからスイングできるため、長尺化やヘッドサイズの大型化によるメリットがありました。しかしそれ以外のクラブは、さまざまなライへの対応に加え、飛距離だけでなく狙ったところに打つ縦距離の安定性も求められるため、長さやヘッドサイズを極端に変化させてもよい結果にはつながらないのです。
かくいう理由から、ゴルフクラブの中でドライバーだけが独自の進化を遂げていき、FW以下のクラブとは長さや重さの流れが異なったクラブになりました。
テーラーメイドで今人気の「SIM2 MAXドライバー」の標準スペックは45.75インチ・460cc。SIM2 MAXの3Wは43.25インチ・190ccと、長さは2インチ以上、ヘッドサイズは2倍以上になっています。30年前の一般的なドライバーは43.5インチ・190cc。3Wが43インチ・160ccぐらいですから、いかにドライバーだけが独自に進化したことがわかるでしょう。
前置きが長くなりました。まとめると、ドライバーは独自の進化を遂げ、やさしく飛ばせるようにはなっていますが、ほかのクラブと長さやヘッドの大きさに差が生まれてしまい、振り心地にも差が生まれてしまったのです。この振り心地の差を強く感じる一部のゴルファーにとっては、やさしく飛ばせるはずの最新のドライバーは打ちづらいと感じてしまいます。そんなゴルファーのために開発されているのがこの300ミニドライバーなのだと思います。
300ミニドライバー、肝心の性能はいかに!? 実物を見ていきましょう!
往年の名器300シリーズのデザインを模したシンプルなソールデザインを採用。シンプルでカッコイイですね!
ヘッドシェイプは、ややヒール側にボリュームがある丸型。テーラーメイド製ウッドの特徴である、フェース付近のクラウンの縁取りは黒く塗られ、カーボン模様も濃い黒に仕上げてあります。シルバーのフェースとのコントラストが強めになり、構えやすいですね
トゥ側から見たヘッドシェイプは、お尻が低い位置に納まっているシャローバック形状。小ぶりでありながら球は上がってくれそうな雰囲気があります。フェースはサイズの割にディープな印象。ソールは船底状になっていて、フェアウェイからでも打てるよう、ヌケを考えたデザインになっています
シャフトは専用に設計された三菱ケミカル製「テンセイ シルバー TM50 MD」を装着。意外としなりが大きい、タイミングの取りやすいシャフトです
まずパッと手に取った印象は、意外と大きいなという感じ。307ccと聞いて小さいだろうなぁとイメージを持っていたのですが、サイズによるシビアさがありません。460ccのSIM2 MAXドライバーと比べてもそこまで小ささを感じません。
460ccドライバーはディープフェースになっているモデルが多く、縦に大きくなっています。300ミニドライバーはサイズとしてはそれなりにディープフェースですがそれでも460ccのモデルと比べるとかなりシャローなので、
投影面積はそれなりにあります。
構えてみると、クラブ長が短いためさらに大きく感じます。個人的には十分やさしそうに見えるぐらいのサイズ感です。
460ccのSIM2 MAX ドライバー(左)と比べても、そこまで小ささを感じさせないヘッドサイズ。アドレス時にフェースもしっかり見えるので、見た目によるプレッシャーはほとんどありませんよ!
お借りしたスペックは純正のSフレックス。ロフト角は11.5°のみの設定になっています。軽く素振りをしてみると、軽やかに振り抜けます。約318gと決して軽くないドライバーですが、43.75インチという長さのおかげで、パワーがなくても気持ちよく振れますね。
打ってみると、気持ちいいライナー性の弾道が楽に出ます。ヘッドサイズが小さいため、重心が浅いのでしょうか、中弾道で風に強そうな、かつ重い弾道が飛んでいきます。
やや短めの長さ、適度な重量、小ぶりなヘッドにより、とても振り抜きやすいクラブに仕上がっています
サイズが小さいとはいえ、カーボン、チタン、スチールを組み合わせたマルチマテリアル構造を採用。ツイストフェース、貫通型スピードポケットなど、テーラーメイド独自の最新技術で作り込まれているだけありますね!当然ミスにも強く、少々芯を外しても曲がりは少ない仕上がり。ですが小ぶりなヘッドサイズのおかげでヘッドのコントロールはしやすく、技術がある方ならボールを操ることは可能です。
FWとしても使えるように「Vスチールソール」と呼ばれるヌケをよくするソール形状を採用。それなりにパワーがないとボールの高さを出せませんが、芝の上から起死回生の一発、なんていうのにも期待できそう
テーラーメイドお得意の弾道調整機能もしっかりと採用。ロフト角やライ角を調整することができ、より自分に合わせた微調整が可能です
このミニドライバーの一番のよいところは、狙ったところに打ち出しやすいことでしょう。つかまり性能はニュートラルな印象で、スイング中のとっさのアジャストも受け付けてくれます。スライス系のクセがある方でもクラブ長が短いため、ミートはしやすく安定した弾道は打ちやすくなると思います。
一発の飛びはさすがに長さのある設定のドライバーにはかないませんが、ミート率の上がらないクラブを使うよりははるかに飛距離は出せると思います。ドライバーが苦手な方には大いに試す価値があると思いますよ!
自分に合ったシャフトでちゃんと組んでみたいモデルです!個人的にはとても気に入りました。
ほかのドライバーと比較しても十分戦える飛距離性能は持っていると思います。思ったより高さが出ない方は弾道調整機能でロフトを増やせば問題ないでしょう。ミートのしやすさ、狙ったところに打ち出せる扱いやすさは、ぜひ体感いただきたいですね
300ミニドライバーは、大型ヘッドドライバーに違和感を持つゴルファーのための、まさに救世主といった印象。やさしいといわれるドライバーでもなかなかうまく打てない方に、手放しでおすすめしたいです。
難点としては、テーラーメイドの指定するセレクトストア限定の商品であるため、試打する機会が少ないといった点が挙げられます。
ライバルモデルは正直存在しないですね。個人的にはこのドライバーがヒットし、ほかのメーカーも追従してくれるといいと思います!
写真:野村知也