オグさんです!今回は、個人的に気になる逸品、ヤマハ「リミックス VD FW」(以下、VD FW)をご紹介したいと思います!
ヤマハ「リミックス VD FW」
ヤマハの「リミックス VDシリーズ」は、直進安定性に寄与する「慣性モーメント」を追求したシリーズ。ただ曲がらないだけでなく、ツアープロの求める性能とのバランスを考えて開発されています。
その設計思想が奏功し、ほとんどの契約選手はクラブの完成とほぼ同時にスイッチしているのだとか。このシリーズの中で、契約選手はもちろんのこと、ヤマハとクラブ契約を結んでいない選手にも高い人気を得ているのがフェアウェイウッド(以下、FW)です。
ツアープロにとってFWとは、長い距離を狙う際に小さなミスが許されない、非常に重要なクラブになります。そのため、自分により合ったクラブを使えるように、ほかのクラブはメーカーと使用契約してもFWは契約しないプロが多いのです。
契約していないプロからも選ばれるというのは、よほど特筆した性能を持っている証とも言えるでしょう。
そんなVD FWの人気の秘密は、ずばり飛距離性能!
従来FWには、ヘッドやフェースの素材に、ドライバーによく使われるチタンではなく、ステンレスが多く使われてきました。理由は、ドライバーと比べてチタンの反発効果が薄いから。
しかし、このVD FWは、性能を徹底的に追求するため、高機能素材をこれでもかっ!というくらい使用した贅沢仕様になっています。
ボディとフェースにはチタンを、クラウンにはより軽量なカーボンを採用。そしてソールにはヘッド重量の64%もある高比重合金ソールを装着することで、高いボール初速と、高弾道を実現させているそうです。
プロに評価の高い高性能FWは、はたしてアマチュアにも打てるのか!?
クラブを見ていきましょう!
デザインはほかのVDシリーズと共通。鮮やかなレッドを使ったソールが印象的で、スポーツカーのようなカッコよさがあります
クラウンに軽量なカーボン素材を使い、低重心を追求しています。カーボンの網目模様がデザインのアクセントにもなっていますね
フェースの高さはそれほどありませんね。お尻の下がったシャローバック形状で、高弾道低スピンを追求するセオリー通りの設計になっています。この、基本に忠実な設計に加え、飛距離を追求するために高機能な素材がふんだんに使われています
VDシリーズは、ヘッドだけでなくシャフトにもしっかりとこだわっています。三菱ケミカルと共同開発したVDシリーズ専用のシャフトを用意、フェアウェイ用には、純正で2モデルをラインアップしています。
50g台の「ディアマナYR f」は、ヘッドを走らせやすくシャープに振り抜ける印象。
60g台の「ディアマナYB f」は、剛性感のあるしっかりとした振り味で、たたいていけるパワーヒッターに合わせた設計になっています。
FW用に専用設計のシャフトを2モデルも用意するなど、細部にまでこだわったシリーズであることが伝わってきますね
冒頭でも触れましたが、従来のFWの多くは、ヘッド素材にステンレスを使用しています。ドライバーに比べてヘッドサイズが小さく、硬度の高いチタンを使用しても大きな効果を得られにくいこと、コストが高くなってしまうことなどが主な理由です。
しかし成形技術が進化した現代においてFWのチタン使用は、より高性能を追求するうえで、有効な手段であることは間違いありません。
近年、ドライバーだけでなく、アイアンやFWなどにも飛距離性能が求められるようになり、大手メーカーからも飛距離を重視したFWがラインアップされるようになりました。最近で一番注目を浴びたチタンFWは、2019年に発売されたテーラーメイドの「M5」でしょう。ツアープロからも飛距離が出ると評判になったモデルです。そのほかのメーカーでも、チタン素材ではなくとも、マレージング鋼などを使って飛距離性能を高めたFWが今や基本になっています。
VD FWは、そんな中でも特に飛距離を意識したモデルと言ってよいでしょう。軽く強靭に仕上げるためのチタンボディに、反発性能の高いチタンフェース。低重心化を徹底追求するためのカーボンクラウンに、高比重合金ソールと、まさに飛距離性能全部乗せといった高機能素材てんこ盛り仕様です。
お借りしたのはディアマナYR f、 Sフレックス装着の3Wと5Wです。
ヘッドは、やや小ぶりの洋ナシ型。奥行きがやや狭く、シャープな印象がありますね。
まずはドライバーのヘッドスピード40m/sを目安に3Wを打ってみました。2~3球打って、びっくり! このヘッドスピードでもしっかりと高さが出て、なおかつ初速が速いんです。前に前に飛ぶ弾道なので、ランも期待できそう。
そして打点のミスにも強い!低重心設計のおかげで、フェース下部の少々薄い当たりでも高さが出てくれるので、安定して飛ばすことができました。
最初に打ったときの初速の高さにはちょっと驚かされました。FWで飛距離を追求するなら、必ず候補に上がりそうな仕上がりですよ!
芯を左右に外した時の曲がりも少なめで、狭いホールなどのティーショットなどにも活躍してくれそうです。
つかまりはニュートラルですが、よほどアウトサイドインのスイングでない限り、問題なく使えますね。
3Wで一定のエリアを狙うとなるとランが多いため、ちょっとしたコツが要りそうです。5Wは、より高く上がる分、ランが抑えられそうなので、狙うなら5Wからですね。
チタン特有の、ピシッという軽やかにはじく心地よい打感を味わえます。芯で打ったときの感触はとっても爽快!
ヘッドスピードを43m/sまで上げて打ってみると、3Wの評価はさらに高まりました。自分で打ってほれぼれするほどの球質で、高打ち出しで風に強い、いわゆる“棒球”が打てます。下手すれば、ドライバーより飛んでいるんじゃないかっていうほどの球が何発かありましたね。
5Wはというと、「狙う」性能を多少考慮した設計になっているのか、飛ばすというよりは、グリーンに上から落とす打球といった印象。打ち出しからドンと高く上がり、高い降下角度でピンをダイレクトに攻めることができそうです。7Wもよさそうですよ。
ソール全体が重い高比重合金で作られているため、非常に低重心になっています。そのため、少しぐらい薄い当たりでも、問題なく前に飛ばしてくれる。VD FWのやさしさの秘密です
3Wで地面から打ったデータです。ほかの3Wでティーアップしても、なかなかここまで飛びませんね。ある意味ドライバーより凝った構造をしているわけですから、芯で打てれば、ドライバー並みに飛距離が出ても不思議ではありません
VD FWは、飛びに必要な技術と素材を惜しみなく使い、細部までこだわって設計された高性能FWでした。特に3Wは、ドライバーが苦手なゴルファーのティーショットにおすすめしたいですね。ミニドライバーのような使い方もできる逸品です。
5W以下は、FWで高さが出にくい方におすすめです。ライバルは、テーラーメイドの「SIM2 FW」や、オノフの「KURO フェアウェイアームス」でしょうか。ヘッドスピード40m/sぐらいでしたらVDが一歩リードしている印象です。
飛ぶ3Wをお探しならVD FWは筆頭候補ですよ!
写真:野村知也