オグさんです!
今回は、2022年1月12日に行われた、テーラーメイドの2022年モデルの新製品発表会に行ってきましたので、その様子をレポートしたいと思います!
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アメリカ本社のビデオメッセージからは、革新的な製品を発表するという気概が伝わってきます!
テーラーメイドの2022年シリーズの名は、「STEALTH」(ステルス)。
今回もテーラーメイドらしく、大きな話題性のある製品となっています。最大のトピックは、フェースにカーボンを使用したドライバー。
複雑な構造を持つ60ものカーボン層を精巧に重ねることで、高い強度と大きなたわみを両立させることに成功しているそうです。さらに、従来のテクノロジーである「ツイストフェース」と組み合わせることで、ミスヒットにも強い安定性を実現しているんだとか。
20年以上前から開発が開始され、今回のステルスによって実用化されたカーボンフェース。はたしてチタンフェースを超えることができるのか!?
このカーボンフェース、最近開発されたものではないそうです。2000年からテーラーメイド社内で秘密裏に開発が進められており、長い年月をかけてようやく製品化された、いわばとっておきのテクノロジーと言えます。誰にも見つからずに進んでいたプロジェクトを現すネーミングとして、「ステルス」がシリーズ名になりました。
とっておきのテクノロジーではありますが、気になるのは、従来のチタンフェースと比べ、カーボンフェースは何がすぐれているのかということ。
カーボンフェースを採用する最大のメリットは、フェース面を軽くできること。カーボンで作成したステルスのフェースをチタンで作成しようとすると、およそ2倍の重量になるそうです。半分の重量でフェースを設計できるカーボンのメリットを生かし、より理想の重心設計を追求。さらに軽量化の効果で、フェース面積を拡大することができ、よりミスに強いヘッドに仕上がっているのだとテーラーメイドは説明します。
実はテーラーメイド、2012年の「グローレリザーブドライバー」など、過去に何度かカーボンフェースのドライバーを世に出しています。それぞれのモデルは大ヒットとはなりませんでしたが、その時のデータやユーザーの声などは、今回のステルスの開発に大きな影響を与えたに違いありません。むしろ、このステルスのためのデータ収集用に作られたクラブだったのかもしれませんね。
赤いカラーが目を引くステルスのカーボンフェース。ドライバーの新時代を表現する色として赤が選ばれたのだとか。ひと目で、今までと違う!と感じさせてくれます。こういった見せ方もテーラーメイドはうまいですね!
フェースは60層もの薄いカーボンが積層され、表面に溝を彫刻。さらに、ポリマーで覆ったうえにナノ加工を施すことで、水にぬれた状態でも安定したスピン性能を実現させています
ほとんどのゴルフクラブは金属のフェースでできているため、興味をひかれるゴルファーも多いのではないでしょうか?
チタン製のフェースと比べて重さは約半分に。フェースが軽くなるとそれだけ余剰重量が増え、設計自由度が高くなって、開発者はより理想の重心位置を追求できるようになります
フェースが軽くなったため、後方にあるボディ(黄色い部分)に重さを集中することが可能になりました。すると、インパクトで一瞬たわむフェースにたまったエネルギーを、重いボディがしっかりと受け止めることができ、ボール初速をより高めることができるのだそうです
過去のモデルに比べて初速がかなり上がっているとテーラーメイドは言います。フェースの軽量化による、効率のよいインパクトを実現できたからでしょう
カーボン化によって軽くなったフェースは面積も大きくなり、フェースサイズは前々作の「SIM」比で20%拡大しています。フェースが大きいほどミスへに対する寛容性を高めやすくなりますので、より曲がりにくいドライバーに仕上がっているはずです
製造には、前作「SIM2」で初採用された接着技術を引き続き採用。溶接による重量増をなくすことができるため、製造過程において設計時の理想値を追求することができます
実際のクラブを見てみると、黒を基調としたデザインに、フェースやボディに赤色がアクセントに使われていて、とてもカッコイイです!
従来のテクノロジーである、フェース下部へのミスを軽減する「貫通型スピードポケット」や、ダウンスイング時の空気の流れを制御する「イナーシャ・ジェネレーター」を引き続き搭載しています。
赤いフェースが何より目を引きますね! ソールから見るヘッドのフォルムは、SIMシリーズからの流れを汲んだものになっています
SIM2では、はっきりとしたカーボンの網目が残るクラウンでしたが、ステルスでは、微妙にカーボン模様を残したマットな仕上げに変更。アドレスでのヘッドフォルムは、SIM2の洋ナシ型に比べてやや丸形に近くなった印象。ヒール側にボリュームが付き、個人的にはとても構えやすくなったと思います。赤色のフェースは、構えたときには全く気になりませんでしたね
フェースを実際に見てみると、ポリマー加工のため、やや落ち着いた赤になっています。遠目から見ても、金属とは違うと分かる、強いインパクトがあります
ドライバーは、「ステルスプラス」、「ステルス、「ステルス HD」、それにウィメンズモデルがラインアップされます。
ステルスプラスは、ソールに搭載した10gのスライディングウェートにより、高い調整機能を持ったモデル。
ステルスは、いわゆるスタンダードなモデル。低・深重心に設計されており、高い慣性モーメントによってミスに強い仕様になっています。
ステルス HDは、HD(ハイドロー)の名のとおり、ヒール側にウェートを搭載したドローバイアス設計で、よりつかまった球を打ちやすい仕様。
ウィメンズは、ステルスHDをベースに専用設計されています。
ステルスドライバーが主力製品に据えられているようです
フェアウェイウッド(以下、FW)、ユーティリティー(以下、UT)、アイアンも同時に発表されました。
FWは、ステルスプラスとステルス、そしてウィメンズをラインアップ。
ステルスプラスFWは、フェースにチタンを採用。カーボンクラウンで低重心化を図りつつ、80gもの重量がある3Dソールウェートを採用することで高い飛距離性能を追求した仕様になっています。
ステルスFWは、飛距離が欲しい#3と#3HLには、反発性能が高いマレージング鋼フェースを採用。狙う要素の強くなる#5、#7には、寛容性を高めるステンレスを採用しています。ソール近くまで回り込んだ3Dカーボンクラウンを採用するなど、こちらも凝った作りのFWです。
チタンフェースを採用したステルスプラスFWと、番手によって素材を使い分けるステルスFW。カーボンフェースは採用していませんが、しっかり作り込まれています。ウィメンズFWは、ステルスFWをベースに専用設計になっています
UTは、ややアイアンライクな形状の「ステルスプラスレスキュー」と。ウッド型の「ステルスレスキュー」、そしてウィメンズをラインアップ。
ステルスプラスレスキューはフェースにマレージング鋼を採用し、トゥ側を高くしたハイトゥデザインを採用。
ステルスレスキューは、カーボンクラウンを採用し、より低・深重心を追求しています。
中弾道で強い球が打ちやすいステルスプラスレスキューと、高弾道を追求したステルスレスキュー
ステルスシリーズのアイアンは1タイプ。
「ステルスアイアン」は、トゥ側の金属を削り、その余剰重量をソール後方に配置した「トウラップテクノロジー」を採用。SIM2で採用されていた「キャップバックシステム」をさらに進化させ、初速アップを実現させています。さらに、「エコーダンピングシステム」によって打感と打音も最適化されているんだとか。
「SIM2 MAXアイアン」より、スッキリした形状になっていました。
ドライバーに比べてややシンプルなデザイン。従来主力シリーズに組み込まれたアイアンは、みなアベレージ向けのやさしいモデルに仕上げられていますが、今回のステルスアイアンは比較的スッキリした形状になっています。どれだけやさしいのか、早く打ってみたいですね
ドライバーをちょこっと打つことができたので、最後にミニレポートを。詳しくは後日試打レビューでお伝えします。
個人的に一番気になっていたのが打感です。従来のカーボンフェースのドライバーは、金属フェースのクラブと比べて、何かしら気になる点があったのですが……打ってみてびっくり!正直、何も知らされず打ってみたら、カーボンフェースだと気付くかなかったでしょう。それぐらい、金属フェースとの差を感じませんでした。
打感、打音もそん色ありません!振り心地も、個人的にSIM2のデメリットと感じていた点が払拭されている印象で、しっかり試打するのが楽しみです!
会場の試打ブースをお借りして、ちょっとだけ打たせていただきました!
フェースに乗った感触のあるやわらかな打感と、ピシッという低めの打音は、言われなければカーボンと気付かなかったと思います。いや−、20年以上かけて開発されたというだけありますね!
ステルスシリーズは、間違いなく2022年の目玉となるシリーズでしょう。
話題性は抜群ですし、少し触っただけでも感じる高い性能を持っていると感じました。
個人的には、SIM2に感じていた不満点をしっかりと払拭しつつ、想像を超えてきていました。一刻も早く、じっくりと試打したいですね!
近日試打レポートをアップしますので、楽しみにしていてください!!
ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。