オグさんです! 今回はピン「i525 アイアン」の試打ポートをお届けいたします!
ピン「i525 アイアン」
i525は、「i500」の後継モデルとして発表された、ピンの最新アイアンです。i500は、「飛び系ブレード」のキャッチフレーズをともなって発表され、見た目はブレードアイアンなのにやさしく距離も出る! と、カッコにもこだわるエンジョイゴルファーに大いに受け入れられたモデルでした。
i525のキャッチフレーズは「操れる、飛び系。ちょいブレード」。ブレードアイアンのような見た目にこだわり、しかも飛距離が出るという路線を踏襲。飛距離だけでなく操作性も上乗せしました! と、かなり欲張りなモデルとして発表されました。
ブレードのような形状を保ちつつ、ヘッド内部をくり抜いた中空構造を採用。ヘッド下部を深く削ったアンダーカット構造と相まって、広いスイートエリアと高弾道を実現させています
メーカーの説明によると、“アイアンに求められる性能全部乗せ!”といった仕様になっています。中空構造によって、美しい形状とミスへの寛容性を両立。反発の高いフェース素材を採用して飛距離性能を向上。
ヘッド内部は下部まで深く削り、たわみ効果と高弾道が期待できる構造になっています。さらに、ウェートをトゥ側に配置することで、スイートスポット位置の適正化、慣性モーメントのアップなど、細部にわたって作り込まれている印象です。
フェースには高強度のマレージング鋼を採用。偏肉設計により、ミスに強く高い初速を生み出します
それではクラブを見ていきましょう!
パッと見はほぼマッスルバック。外装もシンプルで、いかにもそれらしく見えます。ネックのくぼみは、ロフト、ライ角度を調整したときに、メッキにしわが寄らないようにするための工夫です
i525・#5
i525・#7
i525・W
短くなるにつれ、グース度合を減らす番手別オフセット設計を採用。ロングアイアンはつかまりやすく、ショートアイアンはつかまり過ぎない工夫がされています。中上級者が好みそうな、スマートでシャープな形ですが、適度なサイズなので、そこまでプレッシャーは感じませんね
i525は溝にも凝っていて、番手ごとに溝の角度、間隔、本数を変更しています。番手ごとの役割に最適なスピン量を追求し、安定した弾道を実現させるための工夫です
トゥ側のネジはウェートになっていて、重心位置を調整するために使われます。ソールは比較的厚めになっていて、ダフりのミスには強そうです
ロフト:#6 25.5°/#7 29°/#8 33.5°/#9 38.5°/PW 44°
ロフト設定は、7番で29°と、一般的なアベレージモデルより少しだけ立っているかな、といったポジション。飛距離とミスへの寛容性の両立を考えると、このあたりの設定が最善なのでしょう。
シャフトバリエーションは、多彩なラインアップを誇るピンだけあり、標準仕様だけでも5種類も用意しています。
70g台のスチール「NS PRO Zelos7」、80g台のスチール「NS PRO 850GH neo」、90g台のスチール「NS PRO 950GH neo」、100g台のスチール「NS PRO モーダス3 TOUR 105」、そして110gのスチール「NS PRO モーダス3 TOUR115」です。
とにかく楽に振り切りたいならZelos7。しっかり感と安定性を両立させたいなら850GH、950GHのどちらか。しっかり振れる方で軽さを求めるならモーダスTOUR105、重さを使って安定性を出したいならモーダス115といった感じですね。
しっかり感と軽さを両立した「NS PRO 850GH neo」。しなやかでタイミングが取りやすいシャフトです
ポンと地面に置くと、ニンマリしてしまうような顔ですね。“端正なしょうゆ油顔”という感じでしょうか。ネックまわりがスムーズな線によって処理されていて、とても美しいと思います。ヘッドは適度な大きさで、プレッシャーを感じさせません。特にロングアイアンは適度にグースネックになっており、長さによる不安感をうまく払しょくしています。
お借りしたスペックは、850GH neo Sフレックス装着モデル。ヘッドスピード40m/s程度から試打スタート。ロフトが立っているモデルのわりに高く上がり、直進性の高い弾道が自然と打てます。芯を外すと多少高さは低くなりますが、キャリーをしっかり出してくれますね。形状からは想像できないぐらいミスに強いです。
つかまりに関しては、ほぼニュートラルといってよいでしょう。では難しいのかといえばそうではなく、狙ったところに打ち出しやすいという意味のニュートラルです。ヘッドの追従性もある程度あり、ドローやフェードの打ち分けは容易です。
ただ、ミスへの寛容性もそれなりにあるため、操作性がとてもよい! とは言えません。操作もできる、ミスに強いアイアンといった感じです。
打感はややはじき感のあるソリッドなもの。芯を外しても嫌な感触や振動はなく、うまくまとめられています
構えると見えないのですが、そこそこの厚さを持つソールがいい仕事をしていて、ダフりのミスにかなり強くなっています。これは個人的に結構ポイント高いです!
ヘッドスピードを高めてみると、打ち出し角がさらに高くなり、7番アイアンらしい弾道で飛んでいきます。飛距離も申し分ないですね。狙うアイアンとしてのスピン量をしっかりと確保しながら、飛距離が出ているので安心してグリーンを狙えます。
操作性は、ヘッドスピードを速めても印象は変わらず。左右の操作はそれなりにできますが、大きくはできないですね。毎回ボールをコントロールして打ちたいという方には、ちょっと物足りないでしょう。その分、ミスに強くしました! といった仕上がりです。
狙ったところに打ち出しやすいのが、このアイアンの大きな長所。少々芯を外しても距離が落ちにくく、狙った方向にボールを打ち出してくれます
7番の弾道データです。飛距離を重視したアイアンはスピン量が少なくなりがちですが、i525は飛距離を稼ぎつつ、スピンもしっかり入っているのでグリーンで止まる球が打てています。これで曲がりが少ないのですから、素直にすごいと思いますね
i525アイアンは、飛距離とミスへの寛容性を両立しつつ、適度な操作性を上乗せ。現代のアイアンに求められる性能をバランスよく詰め込んだ、高性能モデルに仕上がっていました。性能はもちろん見た目にもこだわるゴルファーにもってこいのアイアンなのではないでしょうか。
ターゲットは、初心者から上級者まで。腕前を問わず幅広いゴルファーが使えると思います。ただ、自分のパワーに見合ったシャフトをしっかり選ばないとヘッドの性能を生かしきれないので、よく吟味してもらいたいですね。ヘッドスピードが40m/sぐらい出せるなら、「NS PRO 950GH neo」あたりから試してみてください。
ライバルモデルは、テーラーメイド「ステルス」、ダンロップ「ゼクシオ X」、キャロウェイ「ローグST MAX」あたりですね。どれも、つかまり性能をあまり高めていないという点がポイントです。
ピンは、購入時にアイアンの本数を自由に選べますので、セッティングには困らないと思いますが、もし事前に試打できるなら、ロングアイアンでどのくらい高さが出るかチェックしてみましょう。十分やさしいモデルなので、高ささえ確保できれば、ロングアイアンのほうがユーティリティーより扱いやすいと感じるゴルファーは多いと思いますよ!
写真:野村知也
ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。