ドライバーでは、キャロウェイの新商品「ROGUE ST」の発売が当初の予定よりも前倒しになり、テーラーメイドの「STEALTH」との人気争いが始まった!
テーラーメイドは大変人気があり、フェアウェイウッド(以下、FW)、アイアンセット、ユーティリティー(以下、UT)、パターの各カテゴリーで、上位に多くの機種をランクインさせている。国内メーカーでは、唯一アイアンセットでダンロップが好調。ウェッジではクリーブランドが、不動の人気を誇るタイトリストを上回る結果となった。
※本記事の価格その他の情報は2022年3月末時点でのもので、現在とは異なる場合があります
2022年3月の、価格.comにおけるドライバー月間人気売れ筋ランキング
3月の月間売れ筋ランキングベスト10のうち、キャロウェイが5機種、テーラーメイド3機種、ダンロップ2機種がランクインする結果となった。
先月まではテーラーメイドが5機種と圧倒的に強かったが、3月はキャロウェイの頑張りが目立つ。なかでも、2位、7位に新商品「ROGUE ST MAX」が入ってきている。製品発表当初、発売は3月中旬とアナウンスされていたが、2月25日に前倒しで発売された。
「ROGUE ST」は、昨年モデルの「EPIC」に変わり登場したシリーズで、ボールスピードを上げることに着目。今までキャロウェイが培ってきた技術を結集し、2本柱のJAILBREAKをはじめ、AIを使用したフェース設計などのテクノロジーが融合されている。特に、2本柱のJAILBREAKを採用しているヘッド本体は、2本の柱を含むチタンの一体鋳造で、かなり精密にヘッドを造り込む技術の高さを感じるプロダクトである。契約プロのジョン・ラーム、ザンダー・シャウフェレも使用し、その飛びが話題となっている。
2位に入ったのは「ROGUE ST MAX」の純正シャフト「VENTUS 5 for Callaway・S・10.5°」。「MAX」は適度につかまりのいいヘッドであり、初心者から上級者まで人気となっているのであろう。新商品なので平均価格は65,000円である。7位には同じく「ROGUE ST MAX」のカスタムシャフト「Speeder NX 50・S・9°」が入っている。フジクラのシャフト「Speeder NX50」は、契約プロの西村優菜が使用するほか、他社契約であるが渋野日向子ら、女子プロの使用率が高く人気となっている。このカスタムシャフトモデルの平均価格は78,000円で、純正シャフトモデルより高いが、女子プロ使用に後押しされ、ベスト10入りしていると見る。
3位は「EPIC SPEED」純正シャフト「Diamana 50 for Callaway ・SR ・10.5°」、8位には「EPIC MAX」純正シャフト「Diamana 40 for Callaway ・S・ 10.5°」、9位には同じく「EPIC MAX」 ドライバー 「Diamana 40 for Callaway ・SR ・10.5°」が入っている。EPICは21年2月発売の新モデルで、平均価格は40,000円を少し超える程度。新しさと価格のバランスがいいところにある。
3月の月間1位はテーラーメイド「SIM2 MAX」純正シャフト「TENSEI BLUE TM50 ・R ・10.5」。昨年のベストセラーとなった「SIM2」で、46,000円を切る平均価格によりコストバランスがよく、人気となっている。5位は「STEALTH」純正シャフト「TENSEI RED TM50 ・S ・10.5°」、6位は「STEALTH HD」 純正シャフト「TENSEI RED TM50 ・SR ・10.5°」がランクイン。STEALTHの平均価格は68,000円であるが、やはりゴルフ界で大きな話題となっているクラブは人気である。
4位には、ダンロップ「ゼクシオ 12」純正シャフト「MP1200 ネイビー・S ・10.5°」が入っている。昨年12月の発売で、ダウンスイングの空力に注目した、王者ゼクシオの12代目のモデルだ。
ドライバーのベスト10には、新商品5機種、昨年モデル5機種といった顔ぶれ。新商品のROGUE ST vs STEALTH vs ゼクシオという対決構図となった。
2022年3月の、価格.comにおけるフェアウェイウッド月間人気売れ筋ランキング
3月のFWで人気となっているのは、2月に引き続きテーラーメイドで、6機種がベスト10入りしている。1位はテーラーメイド「SIM2 MAX」の「#5・純正シャフトTENSEI BLUE TM50 ・S・18°」モデル。21年2月発売で、平均価格は25,000円を切っている。前モデル「SIM」よりも低重心化しており、#5は球がさらに上がりやすくなっている。
テーラーメイドは3位に前月1位の「SIM MAX」の「#5・純正シャフトTENSEI BLUE TM50 ・S・18°」、5位にはつかまりのいい「SIM2 MAX D」の「#3・ 純正シャフトTENSEI BLUE TM50 ・S・16°」を送り込む。5位のモデルは体積195cm3と大きく、安心感があることによる人気だ。7位には新商品「STEALTH」の「#5 ・純正シャフトTENSEI RED TM50 ・S・15°・190cm3」がつけた。平均価格36,000円と高めではあるが、ベスト10では唯一新商品のランクインとなった。
9位には「SIM2 MAX」の「#5・純正シャフトTENSEI BLUE TM50 ・SR・18°・160cm3」、10位には「SIM MAX」の「#3・純正シャフトTENSEI BLUE TM50 ・S・15°・185cm3」が入っている。
キャロウェイでは、2位に「EPIC SPEED」の「#3 ・純正シャフトDiamana 50 for Callaway ・S・15°・173cm3」がランクイン。小ぶりなヘッドで、1月1位、2月4位と、根強い人気を誇るFWである。平均価格25,000円を切るのも魅力的だ。
4位には「ゼクシオ イレブン」の「#5・純正シャフトMP1100 ネイビー フレックス・R・18°・168cm3」がつけた。型落ちモデルであっても平均価格32,000円と少し高いが、#5として安心感のある大きさで人気を博している。
FWは、各メーカーの#5が売れ筋。価格.comユーザーの多くは、球の上がりやすさを優先してFWを選んでいるようだ。
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2022年3月の、価格.comにおけるアイアンセット月間人気売れ筋ランキング
3月は、テーラーメイド5機種、ダンロップ3機種がランクイン。この2メーカーが引き続きの人気となっている。
1位は先月と同じ「SIM2 MAX」の5本セット「KBS MAX MT85 JP・S」である。飛び系アイアンで、7番のロフトが28.5°と立ってはいるが、ポケットキャビティ構造による寛容性、球が上がりやすい低重心設計、打感のよさで支持されている。21年発売モデルであるが人気があり、平均価格は64,000円と、前月より少し高くなっている。
テーラーメイドでは、4位に「P790」、6位「SIM MAX」、7位に「SIM2 MAX」のRフレックス、8位に「SIM2 MAX OS」が入っている。8位のOSは、SIM2 MAX をベースにヘッドをさらに大型化したモデル。OSは「オーバーサイズ」の頭文字で、ソールを厚くしてさらなる低重心化を図り、ロフトを立てて飛距離を追求したアイアンである。
2位、3位には、ダンロップ「スリクソン ZX5」の 6本セット「NS PRO 950GH DST・S」と、「スリクソン ZX7」の6本セット「ダイナミックゴールド DST・S200」の人気の2機種が入った。この2機種はアスリートモデルであるが、ZX5はフェースにクロムバナジウム鋼を採用して飛距離と安定性を重視。いっぽう、ZX7はZX5より少し小ぶりの、軟鉄鍛造キャビティモデルである。2020年10月発売で、平均価格はZX5が98,000円、ZX7が95,000円となっている。
5位はブリヂストンの「TOUR B 201CB」6本セット「NS PRO MODUS3 TOUR 105 ・S」だ。201CBは、女子プロの三ヶ島かな、吉田優利が使用して優勝していることも、人気の要因のひとつとなっているのではないだろうか。2020年9月発売モデルで、平均価格は84,000円となっている。
2022年3月の、価格.comにおけるユーティリティー月間人気売れ筋ランキング
UTでは、テーラーメイドが7機種、ダンロップが3機種と、この2メーカーでベスト10を独占した。テーラーメイドは1位、2位、4位、5位、6位、7位、8位と、圧倒的な人気を誇る。UTを「レスキュー」と名付けてゴルファーの救済クラブというイメージを敷衍した功績は、大変に大きなものと言える。
そんなテーラーメイドの1位は、「SIM MAX」の「KBS MAX85 JP ・S ・22°」である。SIM MAXのUTは、ソールの接地面積を減らして抜けのよさを実現するVスチールソールを採用。はじきのよいツイストフェースと高い寛容性で、飛ばして狙える仕様となっている。20年2月発売で、スチールシャフトモデルの平均価格が15,700円と、UTをあと1本欲しいと思うユーザーに買いやすい価格となっている。
以下、2位「SIM2 MAX・22°」、4位「SIM MAX・25°」、5位「SIM2 MAX・25°」、6位「SIM2 MAX・KBS・22°」、7位「M4・25°」、8位「STEALTH ・22°」というランキングとなった。ランキング上位のモデルはロフト22°。FWが苦手なプレーヤーが180ヤード前後を狙うには、お助け(レスキュー)となる番手ということもあり、高い人気がある。
2022年3月の、価格.comにおけるウェッジ月間人気売れ筋ランキング
ウェッジのベスト10のうち、クリーブランドが6機種、タイトリストが3機種と、この2メーカーが人気となっている。
1位はクリーブランド「RTX ZIPCORE ウェッジ ツアーサテン」の「NS PRO 950GH ・S ・48°・10°」モデル。「RTX ZIPCORE」は、ロフト違いが8種類で、バウンスを含めて15機種をラインアップし、幅広いニーズに応えているのだが、それがベスト10にもよく現れている。「RTX ZIPCORE」では、3位に「ロフト52°・バンス10°」、5位に「ロフト50°・バンス10°」、7位にシャフト違いの「ロフト52°・バンス10°」と「ロフト58°・バンス10°」が同率で、10位に「ロフト46°・バンス10°」がランクインしている。
ベスト10に同モデルのロフト違いが5種類入っているが、バウンスはすべて使い勝手のいい10°。バンカーよりもアプローチ重視を重視した、ユーザーの選択と思われる。このシリーズは2020年9月発売で、平均価格は14,000円を少し超えたところ。根強い人気があり、価格も安定している。
2位、4位、8位はクリーブランドのライバルで、ウェッジの雄であるタイトリスト「ボーケイデザイン SM8」が入っている。新モデル「SM9」の発売を受けて、平均価格も19,000円と値下がり傾向にある。
2022年3月の、価格.comにおけるパター月間人気売れ筋ランキング
3月は、オデッセイ5機種(内、同率10位2機種)、テーラーメイド4機種、スコッティ・キャメロン2機種の3強がベスト10入りしている。
1位は、テーラーメイドの「TP COLLECTION HYDRO BLAST JUNO TB2」33インチ。TB2の「TB」はトラスブレードの頭文字で、ブレードタイプのすっきりした見た目と、曲げ剛性に強いトラスデザインのネックを採用していることを表している。2021年6月発売で、平均価格は54,000円を少し切っているところ。昨年大活躍の稲見萌寧が使用して好成績を上げていることで、女子プロで使用者が増え、一般のゴルファーにもその人気が波及している。
4位、6位、9位には、TB2、1の33、34インチが入った。注目すべきは9位の「TB1 34インチ」。このモデルは左打ち用で、右打ち用に比べて圧倒的に少数のそれがベスト10に入ることでも、このパターの人気の高さがわかる。
2位は、スコッティ・キャメロンの「スペシャルセレクト ニューポート 2」34インチである。8位も同じモデルの33インチ仕様。ニューポート2はタイガー・ウッズが使用するモデルに近いことで、不動の人気。平均価格は55,000円を超えている。
3位は、オデッセイの「ホワイト ホット プロ ブラック ROSSIE」34インチ。先月の1位モデルで、ツアーで人気のホワイトホットが一般ゴルファーにも支持されていることの証明となった。平均価格は16,830円。オデッセイは、5位、7位、10位にストロークラボシリーズをランクインさせている。
発売後、圧倒的な人気を誇るテーラーメイド「STEALTH」と、その「STEALTH」を追うキャロウェイ「ROGUE ST」。新商品が発売から1か月以上がすぎて、4月はどちらが今後の人気を継続できるかが見極められるのではと予想される。
いっぽう、価格重視の昨年モデルのうち、海外ブランドは引き続き好調が予想される。毎年新商品が出てくるため、昨年モデルでも古さをあまり感じさせないのがその理由。ドライバーの3月月間1位だったテーラーメイドの「SIM2 MAX」純正シャフト「TENSEI BLUE TM50 ・R ・10.5」は、4月も引き続き人気が予想される。
しまさき ひらと。スポーツ用品メーカー、クラブ・ボールの商品開発、広報・宣伝、プロトーナメント運営等を担当。クラブ特許を20件以上出願。退職後、ゴルフライターとしてメディアで執筆活動中。また多方面からゴルフ活性化活動を推進。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。