オグさんです。今回は、オノフ「AKA ドライバー」の試打インプレッションをお届けします。
オノフ「AKA ドライバー」
「オノフ」は、グローブライドという会社が展開する総合ゴルフブランド。グローブライドの前身はダイワ精工で、「DAIWA」のブランドで世界的に有名な釣り具メーカーでもあります。釣り竿の開発によって培ったカーボン技術はゴルフクラブでも大いに活用され、ヘッドはもちろん質の高いシャフトを開発し、クラブとして完成度の高いモデルを作るメーカーなのです。
そんなオノフが展開するシリーズが「AKA」と「KURO」。エンジョイゴルファーがより楽しくプレーするための性能が詰まったAKAと、アスリートゴルファーが求めるやさしさが詰まったKURO、という特性の違いがあります。
今回ご紹介するのはAKAのドライバー。オノフは、デザインも凝っていて、ほかのゴルファーとは一味違うクラブを求める方にはピッタリです。
それでは詳しく見ていきましょう!
黒を基調に、シリーズ名にもなっている赤がアクセントになっています。シンプルながら色使いがうまく、ひと目でオノフとわかるカッコイイデザインです
ヘッドは、やや角を持たせた形状。トゥ側にほんの少しだけボリュームがありますね。クラウン上のスリットも特徴のひとつです。クラウンに薄く浮き上がるカーボン模様も、性能の高さを予感させてくれます
ブランドロゴを使ったフェースミーリングが素敵ですね。効果ももちろんあり、打点ズレや雨の日でも安定したスピンを維持してくれます。フェースの厚みは適度にあって、上下のミスにも強くなっています
AKAドライバー専用に設計された「SMOOTH KICK MP-522D」シャフトは、フレックスに合わせて重量を少しずつ変えるという凝った仕様。中間から先端にかけてしなりますが、先端側の剛性を高めることで、オフセンターヒット時のヘッドのブレを軽減しています
構えると、バランスのよい印象を受けますね。適度に大きい投影面積で安心感を与え、たたいて行けそうな剛性感も感じます。
ヘッドスピード40m/s程度で打ってみると、高さのあるボールがポンと飛び出し、低スピンの弾道で飛んでいきます。つかまり性能も高く、いわゆるハイドローが自然に打てる仕様になっています。
ミスへの強さもしっかりありますね。左右上下それなりに打点をズラして打ってみましたが、どこで打っても高さを確保しつつ、飛距離ロスが少なくなるように仕上がっています。フェアウェイセンターに向かって何となくティーョットしても大きなミスになりにくい。そんな安定感の高さを持っています。
個人的に気に入ったのがシャフトです。芯があるというか、シャキッとした振り味でヘッドをシャープに加速してくれます。振り抜きがとてもいいと感じました。
爽快に振り抜けるシャフトは、さすがオノフといったところ。打感は、はじき感が強く、高めの金属音を響かせる仕上がり。余計な雑音はなく、いかにも飛んでいそうな、独特の打音が心地よいです
また、このAKAドライバーには、ほかのクラブにはない面白い仕掛け「クロスバランステクノロジー」が搭載されています。ヘッドに取り外しができるウェートが2つ装着されているのですが、それと共通のウェートがグリップエンドにも装着されているのです。このウェートを付け替えたり、別売りのウェートと付け替えたりすることで、クラブのバランスを変化させ、振り心地を調整することができるという機構。
使い手のスイングテンポや好みのヘッドバランスに合わせてここまで調整するのは、アフターパーツを装着しなければできないことでしたが、それをメーカーが搭載してきたということは、それにニーズや大きな効果があるということなのでしょう。
クロスバランステクノロジーのウェートは、ヘッドに装着されている2gと6g、そしてグリップに装着されている3gを入れ替えるだけでも、振り心地にかなりの違いが出ます。さらに変化を求める方には、別売りで1〜7g、9g、12gの9種のウェートが用意されています
グリップエンドに重めのウェートを装着すると、いわゆるカウンターウェートになり、スイングテンポの早い方や振り遅れの傾向のある方が振りやすくなる傾向があります。うまく使えば、振り心地を自分に合わせ込み、ショット精度を向上させることができる効果的なシステムです。これだけでもこのクラブには価値があると言えるでしょう
ヘッドスピードを高めていくと、弾道がより高くなりました。スピンはさほど増えず、いわゆる高弾道低スピンの飛ばせる弾道になります。結構強く振っても、シャフトがしっかりと受け止めてくれますね。私ぐらいのヘッドスピード(43m/s程度)ならば、純正のSでまったく問題ありませんでした。
上級者でも十分使える懐の深さはありますが、つかまり性能が適度にあるため、左のミスを嫌がる方は同じオノフなら「KURO」のほうがやさしいと感じるかもしれませんね。
「パワートレンチ」と呼ばれる、ヘッドに刻まれた3つの溝が、ヘッドをたわませ、エネルギーをボール初速に効率よく変換してくれます
高い打ち出しでもスピンが増えすぎないのは、しっかりと低重心に作られている証拠でしょう。非常にていねいに作られている印象がありますね
ストレートボールを意識して、自然とハイドローが打てます。少々芯を外しても、基本的にはこの弾道になります。ややスライス傾向のある方は、ドカンと飛距離が伸びる可能性を持つ仕上がりです
オノフ「AKAドライバー」は、ミスに強く低スピン性能を追求しながら、幅広い調整機能を搭載した、非常によく作りこまれたモデルでした。クラブとしての完成度はとても高いと言えます。安定感を求めるゴルファーにぜひ打ってもらいたい1本ですね。
ライバルモデルは、ダンロップ「ゼクシオ X」、ブリヂストン「B2」、キャロウェイ「ローグST MAX」あたりです。調整機能の幅はAKAドライバーが一番広いので、買った後も、リシャフトまではしないけどちょっと変化が欲しい、なんて方はAKA一択になるでしょう。
試打の機会がありましたら、ぜひともウェートの入れ替えまでやってみてください。ゴルフクラブの振り心地って、こんな些細なことで変わるんだ!と体感できると思います。ビシッとハマったら離れられなくなるクラブですよ。
写真:野村知也
ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。