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”未来の名器”確定か!? キャロウェイ「ローグSTツアー仕様」FW3種試打

オグさんです。今回は、キャロウェイ「ローグST」のフェアウェイウッド(以下、FW)に、ドライバー同様ツアーバージョン3モデルが登場したので、3製品まとめての試打レポートをお届けしたいと思います。

ローグSTのFW、ツアーバージョンのひとつ、「◆◆◆(トリプルダイヤモンド)」

ローグSTのFW、ツアーバージョンのひとつ、「◆◆◆(トリプルダイヤモンド)」

ツアープロや上級者に向けた製品

「ローグST」シリーズは発売当初から、ドライバー/FW/ユーティリティー/アイアンそれぞれに4モデルと、実にたくさんのモデルをラインアップしています。ゴルファーをタイプごとに細分化し、それぞれに合ったクラブでよりよい結果を得てもらおうという強い思いがあるからなのでしょう。ですが、どちらかと言えばアベレージゴルファーに向けたモデルが多く、4モデル中3モデルが、それに当たります。

そんななか、2022年6月23日に発表されたのが今回のツアーバージョン。名前のとおり、ツアープロや上級者に向けたモデルです。発表されたのは、ドライバーが3モデル、そして今回ご紹介するFWが3モデルの計6モデル。

モデル名は、それぞれ「ローグST♦♦♦ FW」、「ローグST LS ツアー FW」、「ローグST♦♦♦T FW」。世界の厳しい環境で戦うプロたちのために作られたFWは、はたして我々アマチュアにも使えるのか? じっくり試打してみたいと思います。

ドライバー同様、この3本のFWも「キャロウェイ エクスクルーシブ」取扱店舗ならびに「キャロウェイ オンラインストア」での数量限定発売です。

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FW作りが得意なキャロウェイが放つ「ローグST」の4モデルを比較試打

ハマればぶっ飛び!ローグSTのツアー版、◆◆◆ドライバー3種が限定発売

「ローグST ◆◆◆フェアウェイウッド」

ツアーバージョンのドライバーに合わせて、洋ナシ型の形状を採用したモデル。形状だけでなく、つかまり性能やヘッドのすわりまで、プロの要望に応えるべく設計されています。

#3(15°),#3HL(16.5°),#5(18°)

ロフト設定は、一般的な15°の#3、18°の#5のほか、#3と同じ長さでロフトだけを増やした16.5°の#3HLをラインアップ。こういった設定もプロからの要望によるものなのでしょう。

ドライバー同様、基本デザインは同シリーズの標準モデルと変わっていません。ソールに刻まれたモデル名「♦♦♦」が識別ポイントです

ドライバー同様、基本デザインは同シリーズの標準モデルと変わっていません。ソールに刻まれたモデル名「♦♦♦」が識別ポイントです

#3のヘッド体積は171cc。「ローグST MAX FW」の#3が181ccですから、10ccだけ小ぶりに作られています。標準モデルには輪郭をなぞるようにオレンジのラインが入っていたのですが、ツアーバージョンではそれがなくなり、シンプルなマット仕上げに。弾道装着機能を持たず、ネックとヘッドは接着されます

#3のヘッド体積は171cc。「ローグST MAX FW」の#3が181ccですから、10ccだけ小ぶりに作られています。標準モデルには輪郭をなぞるようにオレンジのラインが入っていたのですが、ツアーバージョンではそれがなくなり、シンプルなマット仕上げに。弾道装着機能を持たず、ネックとヘッドは接着されます

ヘッド後方が低くなっているシャローバック形状は、標準モデルと変わりませんが、ヌケの性能を重視したのか、ソールの丸みが強くなっています

ヘッド後方が低くなっているシャローバック形状は、標準モデルと変わりませんが、ヌケの性能を重視したのか、ソールの丸みが強くなっています

アスリートが嫌う“左”がなさそう

構えた印象は、ツアー向けということもあってなかなか手強そう……。サイズは小ぶりで、ポンとヘッドを置いても決して左を向かないすわりのよさを持っています。アスリートの嫌がる要素をしっかりと消してありますが、アベレージゴルファーにとっては“つかまり”の要素が足りないケースがあるかもしれません。

お借りしたスペックは、#3の15°。ウォーミングアップとして、ドライバーでのヘッドスピード40m/s相当をイメージして打ってみました。ボールは上がり切らず、ライナー性の弾道にはなりましたが、ボールの拾いやすさというか、ミートしやすさにちょっと驚きましたね。「ローグST MAX」や「同LS」FWでもその性能は感じていましたが、ツアーバージョンはさらにミートしやすくなっている印象を受けました。

ヘッドスピードをドライバーで43m/s相当まで高めて打ってみると、#3らしい高さにまで上がり、飛距離にしっかりつながるようになりました。つかまりは、ニュートラルより少しだけ逃がしてあるといった感じですが、小ぶりなヘッドだけあり、操作は可能ですね。高い低スピン性能により、パワーヒッターに対応した設計に仕上がっています。パワーがあまりない人は、16.5°の#3HLのほうが安定して飛ばせるでしょう。

低スピン弾道や良好な操作性を生み出す要因のひとつが、ウエイトをフェース寄りに装着した浅重心設計。ヘッドが必要以上に動かないので、上級者に好まれるモデルに多い仕様です

低スピン弾道や良好な操作性を生み出す要因のひとつが、ウエイトをフェース寄りに装着した浅重心設計。ヘッドが必要以上に動かないので、上級者に好まれるモデルに多い仕様です

打感は、標準モデルのFWと比べてやや球持ちがよく、ソフトになった印象。このへんも、ツアープロの要望に合わせてチューニングされているのだと思います

打感は、標準モデルのFWと比べてやや球持ちがよく、ソフトになった印象。このへんも、ツアープロの要望に合わせてチューニングされているのだと思います

マットから打ったデータです。軽いドローをイメージして打ったのですが、つかまえ切れませんでした。上級者にとっては、この「つかまり過ぎない」性能を好むゴルファーが多いですね。長いクラブのつかまり過ぎは、致命傷になりかねませんから

マットから打ったデータです。軽いドローをイメージして打ったのですが、つかまえ切れませんでした。上級者にとっては、この「つかまり過ぎない」性能を好むゴルファーが多いですね。長いクラブのつかまり過ぎは、致命傷になりかねませんから

「ローグST ◆◆◆T フェアウェイウッド」

3つあるツアーバージョンのFWの中で、投影面積が最も小さく、操作性を重視しているモデル。ソールは悪いライでも対応できるよう、V字型に設計されています。

#3(14°),#3HL(16°),#5(18°)

番手の設定は、♦♦♦と同じ#3、#3HL、#5。ですが、ロフト設定はそれぞれ14°、16°、18°となっており、♦♦♦比で#3と#3HLがやや立っています

ソールからのぱっと見は、どのモデルも変わらないのが「ローグST」シリーズの特徴ですね。特にツアーバージョンはウエイト位置が3つとも同じなので、記載のモデル名で確認するしかありません

ソールからのぱっと見は、どのモデルも変わらないのが「ローグST」シリーズの特徴ですね。特にツアーバージョンはウエイト位置が3つとも同じなので、記載のモデル名で確認するしかありません

#3のヘッド体積は175cc。シャローバックで薄めのヘッドの♦♦♦に対し、♦♦♦Tは、投影面積は小さいのですが、厚みのあるディープフェース設計のため、♦♦♦より体積が大きくなっています。♦♦♦同様、ネックとヘッドは接着されます

#3のヘッド体積は175cc。シャローバックで薄めのヘッドの♦♦♦に対し、♦♦♦Tは、投影面積は小さいのですが、厚みのあるディープフェース設計のため、♦♦♦より体積が大きくなっています。♦♦♦同様、ネックとヘッドは接着されます

V字型のソールは、悪いライに対して威力を発揮します。ディープフェースは、上下に打点がズレても大きなミスになりにくい効果があります

V字型のソールは、悪いライに対して威力を発揮します。ディープフェースは、上下に打点がズレても大きなミスになりにくい効果があります

ボールコントロールをしたい人に!

構えた印象は「小さい!」でしたね(笑)。マットブラック仕上げのため締まって見えることもあり、小ぶりなヘッドにプレッシャーを感じる人にはあまりおすすめできない見た目です。個人的には、洋ナシ型の♦♦♦より、ヒール側にボリュームがある♦♦♦Tのほうが好みということもあり、構えやすかったです。

お借りしたスペックは#3の14°。打ってみると、非常にミートしやすい! ♦♦♦も十分ミートしやすかったのですが、これはそのさらに上をいきます。V字型ソールのおかげなのか、ボールだけをヒットしたり、インテンショナルに曲げたりと、ヘッドコントロールがとてもしやすく感じました。

弾道はというと、♦♦♦より少しだけスピンが多いかなといった印象ですが、それでも十分低スピンのライナー系弾道。つかまりは♦♦♦同様、ニュートラルより少しだけ逃がしてある味付け。ボールコントロールしたい人にとっては、強烈な武器になる可能性がありますよ、このモデル!

V字型にデザインされたソールは、少々悪いライからでも、難なくボールを拾ってくれるでしょう

V字型にデザインされたソールは、少々悪いライからでも、難なくボールを拾ってくれるでしょう

ドロー、フェードの軽めの曲げはもちろん、結構なフックやスライスも受け付けてくれました。操作性を重視したFWの中では、今までで最もいいできかも……?

ドロー、フェードの軽めの曲げはもちろん、結構なフックやスライスも受け付けてくれました。操作性を重視したFWの中では、今までで最もいいできかも……?

「ローグST LS ツアー フェアウェイウッド」

標準モデルの「ローグST LS FW」に、アジャスタブルホーゼルを装着したモデル。弾道調整機能を追加したほか、クラウンに施されていたラインや模様がなくなり、シンプルなマット塗装に。

#3+(13.5°),#3(15°),#5(18°)

番手設定は、通常の#3より立ったロフト設定を意味する#3+をラインアップ。ほかは#3、#5で、ロフト角はそれぞれ13.5°、15°、18°です。

ソールデザインは、標準モデルの「LS」と同じです。モデル名も変わりません。相違点は、ネックに追加されたアジャスタブルホーゼルと番手表記の位置

ソールデザインは、標準モデルの「LS」と同じです。モデル名も変わりません。相違点は、ネックに追加されたアジャスタブルホーゼルと番手表記の位置

ヘッド形状は同じですが、ヘッド後方にあったラインなどのデカールと、クラウン上のシェブロンマークがなくなり、シンプルなマット仕上げに変更されています。見た目の印象は結構変わりますね

ヘッド形状は同じですが、ヘッド後方にあったラインなどのデカールと、クラウン上のシェブロンマークがなくなり、シンプルなマット仕上げに変更されています。見た目の印象は結構変わりますね

アジャスタブルホーゼルとマット仕上げ以外、外見的な変更はないようです

アジャスタブルホーゼルとマット仕上げ以外、外見的な変更はないようです

今回の3つの中では最も飛びそう!

標準仕様の「LS」とヘッド形状は同じということですが、構えた印象はちょっと小さく見えました。塗装の違いだけで、印象は思いのほか変わることを改めて感じましたね。

打ってみると、心なしか打感がソフトになっているような気が。ほかのツアーバージョンと近い打感なので、何か処理がされている可能性もありますが、アジャスタブルホーゼル搭載による影響も考えられるでしょう。

ヘッド性能自体は、標準仕様の「LS」と変わらない印象。低スピンでつかまりを抑えたアスリート向け仕様です。個人的な印象は、3つのツアーバージョンの中では、飛距離性能と直進性が最も高いと感じました。弾道調整機能を搭載したことで、打ち出し方向や打ち出し角を調整できるようになり、さらに性能を生かしやすくなっています。もちろん、それなりのヘッドスピードは必要ですが。

キャロウェイのアジャスタブルホーゼル、どのポジションにしてもシャフトの向きが変わらないので、バックラインありのグリップも使えます。地味ですが、これはありがたい機能なんですよ

キャロウェイのアジャスタブルホーゼル、どのポジションにしてもシャフトの向きが変わらないので、バックラインありのグリップも使えます。地味ですが、これはありがたい機能なんですよ

つかまえ切れず、スピンもかかり切らずでした。性能を生かすには、もう少しヘッドスピードが欲しいですね。ドライバーで45m/s以上あれば、生かし切れると思います

つかまえ切れず、スピンもかかり切らずでした。性能を生かすには、もう少しヘッドスピードが欲しいですね。ドライバーで45m/s以上あれば、生かし切れると思います

クラブ史に残る名器になるかも……!

「ローグST」のツアーバージョンFWは、標準仕様の「LS」では満足できない上級者やツアープロ向けの、尖ったモデルに仕上げられていました。ある程度ミートできるゴルファーたちが、それぞれの個性に合わせて選べるよう、それぞれ細かくチューニングされています。

標準仕様の「LS」でも十分高性能ですが、もう少し操作性が欲しい人には「♦♦♦」を。ミスへの寛容性よりも操作性を重視したモデルが欲しいなら「♦♦♦T」を。ヘッドは「LS」で満足できるけど、もう少し微調整したい人には「LSツアー」をおすすめしたいと思います。

ライバルをあえてあげるとすれば、テーラーメイドの「ステルス プラス」でしょうか。こちらは、ヘッドは1種類ですが、アジャスタブルウェートを搭載して性能を調整できるようになっています。

個人的な意見ですが、今回の「ローグST」シリーズ、特にFWは名器として後世に名を残すシリーズになると思っています。「♦♦♦T」、欲しくて仕方ありません……!

写真:野村知也

小倉勇人

小倉勇人

ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。

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