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キャロウェイ「パラダイムMAX FAST」のFW・UT・アイアンはHS40m/s未満の腕利きにピッタリ!

オグさんです。今回はキャロウェイ「パラダイムMAX FAST」シリーズの中から、フェアウェイウッド(以下、FW)、ユーティリティー(以下、UT)およびアイアンの試打レビューをお届けします。

「パラダイムMAX FAST」のアイアン(左)、FW(中央)、UT(右)

「パラダイムMAX FAST」のアイアン(左)、FW(中央)、UT(右)

ドライバーと同ラインでクラブを揃える

昨今のクラブメーカーでは、ひとつのブランド内に性格の異なったモデルを複数ラインアップすることが主流です。当初は、ドライバーが複数ラインアップされ、それ以外のFWやUT、アイアンなどは共通といった感じでしたが、ここ最近は、各ドライバーの特性に合わせたラインのFWやUT、アイアンをそれぞれラインアップするようになりました。
この理由はシンプルです。ユーザーが迷わなくて済むから。同じライン、たとえば「パラダイムMAX FAST」のどれか1本でも自分に合うと思ったら、クラブセッティングをそのラインで揃えることにより、多くのクラブがマッチしやすくなります。メーカー側からすれば、どれか1モデルさえ気に入ってもらえば、より多くのクラブを購入してもらえる可能性が高まります。
実際、ドライバーは複数あれど、それ以外を共通モデルとして販売していたころは「ドライバーは気に入ったモデルがあるのだが、FWやUTは共通のモデルを選んでも自分にマッチするのか?」という問い合わせがメーカーに結構寄せられていたんだとか……。
今回取り上げる「パラダイム」シリーズは、4種のドライバーに対してFWを4種、UTを3種、アイアンは3種をラインアップしています。最もアスリート向けの「トリプルダイヤモンド」シリーズにはUTとアイアンの設定がないのですが、こういったモデルを選ぶゴルファーは自身の好みが明確なので、同じブランドで用意する意味があまりないという判断なのでしょう。
「パラダイム」シリーズの各ラインについて、基本となる設計思想は下記のとおりです。

●パラダイム 
スタンダードなポジションに位置し、幅広いゴルファーに対応するライン。ミスへの寛容性と余計なスピンが入りづらい強弾道を両立した性能。

●パラダイムX
「パラダイム」をベースにつかまり性能を高めたライン。右へのミスが多いゴルファーに合わせた性能。

●パラダイムMAX FAST
「パラダイムX」をベースに、ヘッドやシャフト、グリップなどすべてを軽量化したライン。ヘッドスピードを自身で高められないゴルファーに向けた性能。

●パラダイム トリプルダイヤモンド
つかまり性能を抑え、強振してもつかまりすぎないライン。コントロール性能にすぐれ、ツアープロや上級者へ向けた性能。

今回は「パラダイム」シリーズの軽量なライン「パラダイムMAX FAST」に属するFW、UT、アイアンのレビューをお届けします。「パラダイムMAX FAST」は、つかまり性能を高めた「パラダイムX」シリーズをベースに開発されていて、自身でヘッドスピードを高められないゴルファーを対象としています。クラブを軽量に仕上げることで、小さなパワーでも楽にヘッドスピードを高められ、効率よく飛ばせるのが大きな狙いです。

「パラダイムMAX FAST フェアウェイウッド」

キャロウェイ独自のテクノロジーをFW用に専用設計して搭載。つかまり性能を高め、軽量化したモデルです。ヘッドスピードが低めの人でも、高い飛距離性能を発揮できるよう設計されています。

デザインはシリーズ共通。モデル判別のポイントはロゴ下の「MAX FAST」の表記です

デザインはシリーズ共通。モデル判別のポイントはロゴ下の「MAX FAST」の表記です

●ボディ素材
└#3・#5
17-4 ステンレススチール+トライアクシャル・カーボンクラウン+フォージド・カーボンコンポジットソール+タングステン・スピードカートリッジ約17g
└#7
17-4 ステンレススチール+トライアクシャル・カーボンクラウン+タングステン・スピードカートリッジ約17g
└#9
17-4 ステンレススチール
●フェース素材/構造
└#3・#5
マレージング鋼C300 / FLASHフェース+フォージドフェースカップ
└#7
カーペンター455スチール / FLASHフェース+フォージドフェースカップ
└#9・#11
17-4 ステンレススチール
●ロフト角(度)
#3 16/#5 19/#7 22/#9 25
●クラブ重量
約288g(#3にSRシャフト装着時)

使われている素材は「パラダイム」の他ラインと共通ですが、各モデル1本1本専用に設計されたフェースを使い、搭載されているウェイトやロフト設定も他ラインとは異なります。ターゲット層に合わせ、しっかりと作り分けされている、手の込んだ設計と言えます。

「パラダイムX」がベースなので、形状はよく似ています。ですが「MAX FAST」のほうが、投影面積が少しだけ大きく見えます。軽量化のために「MAX FAST」ラインはどの番手にも弾道調整機能を付けず、すべて接着されたネックを採用しています

「パラダイムX」がベースなので、形状はよく似ています。ですが「MAX FAST」のほうが、投影面積が少しだけ大きく見えます。軽量化のために「MAX FAST」ラインはどの番手にも弾道調整機能を付けず、すべて接着されたネックを採用しています

シャフトは軽量の「MAX FAST」専用に設計されたフジクラ製の「SPEEDER NX 40 for Callaway」です。シャフト自体も軽量に仕上げられ、小さなパワーでも扱いやすい設計。挙動は鋭くしなり戻り、ヘッドを走らせやすい味付けです。

「MAX FAST」専用の「SPEEDER NX 40 for Callaway」。しなり戻りがシャープで、振り抜きがいいシャフトです

「MAX FAST」専用の「SPEEDER NX 40 for Callaway」。しなり戻りがシャープで、振り抜きがいいシャフトです

使いこなすにはある程度のスキルが必要

お借りしたスペックは16度の3W、シャフトのフレックスはSです。構えてみると安心感が高く、いかにもやさしそうなFWといった感じを受けます。ややフックフェースで自然とボールがつかまりそうで、かつ投影面積の大きさとよく見えるフェースによって、ボールが上がりそうな印象を与えてくれます。

ベースとなった「パラダイムX」のFWと比べて同じ番手、スペックで30g弱軽量化されており、握った瞬間から軽さを感じます。クラブが軽いとスイング中に感じる抵抗が小さくなるため、ヘッドスピードを高めやすくなりますが、その分小さな動きもクラブに伝わりやすくなるため、制御が難しいとうデメリットもあります。

最大の特徴はやはり軽さですね。軽くても頼りなさがなく、適度にしっかりした振り心地のシャフトと、ミスに強いヘッドのおかげで、パワーのない人が少々力んでも安定した弾道を生み出してくれます

最大の特徴はやはり軽さですね。軽くても頼りなさがなく、適度にしっかりした振り心地のシャフトと、ミスに強いヘッドのおかげで、パワーのない人が少々力んでも安定した弾道を生み出してくれます

「MAX FAST」は専用設計のしっかりした挙動を持つシャフトを装着しているため、比較的パワーがある人でもミートはしやすいのですが、そういう人はスタンダードラインの「パラダイム」や「パラダイムX」のほうが安定感は高まるでしょう。それらのラインのクラブでは重すぎて振り切れない、ダフりのミスが多いというゴルファーのほうが「MAX FAST」の性能を生かしやすく、安定して飛ばせると思います。

ヘッドスピードの遅速にかかわらず「MAX FAST」は、クラブを正しく制御できるゴルファーであれば、安定して飛ばせる武器になると思います。しかしその技術がある程度ないと、速く振れたときに芯で打てれば飛ぶけれど、安定してミートするのが難しいクラブになってしまうでしょう。

クラブとしての性能は、見た目どおり、よく上がりよくつかまります。ボールをつかまえる技術を持つゴルファーには、つかまりすぎてしまう可能性がありますが、打点のミスにも強いので、安定してキャリーが出せるクラブに仕上がっています。

ドライバー相当37m/s前後のヘッドスピードで打つと、非常に効率のよい弾道が打てますね。それ以上速く振ると、安定感がやや下がる印象です

ドライバー相当37m/s前後のヘッドスピードで打つと、非常に効率のよい弾道が打てますね。それ以上速く振ると、安定感がやや下がる印象です

ドライバーでのヘッドスピード42m/sぐらいで振ったデータです。ミートはできましたがスピンがやや増えてしまい、フック系の弾道が出ました。もう少しヘッドスピードを抑えて打ったほうが、安定感が向上し、ボールの高さも出ていました

ドライバーでのヘッドスピード42m/sぐらいで振ったデータです。ミートはできましたがスピンがやや増えてしまい、フック系の弾道が出ました。もう少しヘッドスピードを抑えて打ったほうが、安定感が向上し、ボールの高さも出ていました

「パラダイムMAX FAST ユーティリティ」

つかまり性能の高い「パラダイムX」のUTをベースに軽量化したモデル。シリーズ共通のテクノロジーを搭載しつつ、各番手専用設計するこだわりようで、控えめのヘッドスピードで打ったときに安定した弾道が打てるように設計されています。

こちらもデザインはシリーズ共通です。「パラダイムX」のUTには弾道調整機能が搭載されているのですが、軽量設計の「MAX FAST」には非搭載です

こちらもデザインはシリーズ共通です。「パラダイムX」のUTには弾道調整機能が搭載されているのですが、軽量設計の「MAX FAST」には非搭載です

●ボディ素材
17-4 ステンレススチール+タングステン・スピードカートリッジ約16g
●フェース素材/構造
カーペンター455スチール / FLASHフェース +フォージドフェースカップ
●ロフト(度)
3H 18/4H 21/5H 24/6H 27/7H 30/8H 33

構造、番手のロフト設定は「パラダイムX」と共通ですが、「MAX FAST」はつかまりを高めるためにライ角が2度アップライトに設定されています。注目すべき点は、「MAX FAST」にのみ33度の「8H」が設定されていること。アイアンでは高さが出ないゴルファーのための、お助けクラブ的な存在です。

「パラダイムX」のUTとよく似ていますが、こちらは少しだけフックフェースになっている印象です。アップライトなライ角設定もあって、いかにもつかまりそうな雰囲気が出ています

「パラダイムX」のUTとよく似ていますが、こちらは少しだけフックフェースになっている印象です。アップライトなライ角設定もあって、いかにもつかまりそうな雰囲気が出ています

右へのミスやロングアイアンが苦手な人に

構えた印象は、いかにもつかまりそうといった感じ。右へのミスが多いゴルファーには高い安心感を与えてくれる顔ですね。「パラダイムX」のUTと比較すると、同じスペックで約13g軽量化されており、FW同様こちらも小さなパワーで楽に振り切れるクラブです。

速く振ろうとすると左へのミスが出やすいのもFWと同じです。ドライバーで37m/sぐらいを意識して打つと、安定した高さが出て、狙ったところにキャリーで打ちやすかったです。非常につかまりやすいので、右へのミスが多い人、ロングアイアンの高さが出ない人には、特におすすめできるクラブに仕上がっています。

FWよりさらに、楽に上がってつかまる仕様。このUTは女性が使用するのもよさそうです

FWよりさらに、楽に上がってつかまる仕様。このUTは女性が使用するのもよさそうです

「パラダイムMAX FAST アイアン」

パワーのない人に向けて、ボディフレームとフェースをAIが「MAX FAST」専用設計したデル。ほかのラインよりロフトが立った設定で、小さなパワーで効率よく飛距離を出せるような設計です。

デザインはスタンダードライン「パラダイム」とほぼ共通。「MAX FAST」の記載の有無によって判別できます

デザインはスタンダードライン「パラダイム」とほぼ共通。「MAX FAST」の記載の有無によって判別できます

●ボディ素材
└#5〜#8
17-4 ステンレススチール+ウレタン・マイクロスフィア+MIMタングステンウェイト+タングステンメダリオン
└#9/PW/AW/50/56
17-4 ステンレススチール + ウレタン・マイクロスフィア +タングステンメダリオン
●フェース素材/構造
└#5〜#8
カーペンター455スチール / FLASHフェース+フォージドフェースカップ
└#9/PW/AW/50/56
カーペンター455スチール / フォージド フェースプレート
●ロフト角(度)
#5 22/#6 24/#7 26/#8 30/#9 35/PW 40/AW 45/50 50/56 56

基本構造と素材は「パラダイム」「パラダイムX」と共通ですが、飛距離追求による立ったロフト角に合わせた素材の使い分けや重心設計などは「MAX FAST」独自のもの。飛距離と高さを両立するチューニングが施されています。

ヘッドは、スタンダードラインの「パラダイム アイアン」に似たすっきりした形状。グースも控えめで、顔にこだわりを持つ日本のゴルファーを意識して設計されたのでしょう。ちなみに「パラダイムX アイアン」は「MAX FAST」よりもグースが強く、ブレードも厚めです

ヘッドは、スタンダードラインの「パラダイム アイアン」に似たすっきりした形状。グースも控えめで、顔にこだわりを持つ日本のゴルファーを意識して設計されたのでしょう。ちなみに「パラダイムX アイアン」は「MAX FAST」よりもグースが強く、ブレードも厚めです

顔はいいのにやさしくつかまる

「MAX FAST」のFWやUTの形状には、“つかまって上がる性能”が顕著に現れていたのですが、アイアンだけはかなりすっきりしたシャープな形状を採用してきました。これは、日本のゴルファーの好みに合わせたためでしょう。日本のアマチュアゴルファーの多くは、ウッド類は大きめのいかにもやさしそうなモデルを好みますが、意外とアイアンはシャープな「いい顔」を好む傾向があります。それに配慮しつつ、顔がいいのにやさしく飛ばせる、いい意味でギャップのあるアイアンに仕上がっています。

やや長めのブレードと軽いグースネックで、直進性の高さとつかまりのよさを演出しています。実際はこの見た目よりつかまりはよいので、見た目以上にやさしいと感じる人が多いと思いますよ

やや長めのブレードと軽いグースネックで、直進性の高さとつかまりのよさを演出しています。実際はこの見た目よりつかまりはよいので、見た目以上にやさしいと感じる人が多いと思いますよ

打ってみると、見た目以上に上がって飛距離が出ます。つかまり性能も高く、狙いどおりの性能に仕上がっていると言えます。対象ヘッドスピードは「MAX FAST」のFWやUTと同様で、ドライバーで37m/sぐらい。このくらいの速度で振ると、クラブの性能を生かしやすかったです。それ以上速く振ると、私にはつかまり性能が強く出すぎてフック系の弾道になってしまうことが多かったです。軽く振って楽に距離を稼ぎたいというゴルファーのためのアイアンですね。

普段の7割ぐらいの力でポーンと振ると、いつもの自分のアイアンの飛距離がいとも簡単に打てます……(汗)。しかも、安定感が高い!

普段の7割ぐらいの力でポーンと振ると、いつもの自分のアイアンの飛距離がいとも簡単に打てます……(汗)。しかも、安定感が高い!

自身のいつもの力感で振ってみた7番アイアンのデータです。UTと同じぐらいのヘッドスピードが出てしまい、フックも強め。制御不能の飛距離性能ですね……。こうなってしまうと縦の距離のばらつきが大きくなってしまうので、逆にゴルフが難しくなってしまうでしょう

自身のいつもの力感で振ってみた7番アイアンのデータです。UTと同じぐらいのヘッドスピードが出てしまい、フックも強め。制御不能の飛距離性能ですね……。こうなってしまうと縦の距離のばらつきが大きくなってしまうので、逆にゴルフが難しくなってしまうでしょう

ライバルとの比較試打もおもしろそう

「パラダイムMAX FAST」ラインは、ヘッドスピードが40m/sに満たないゴルファーが使ってこそ真価を発揮するクラブだと改めて感じました。軽量化に伴うデメリットをなるべく抑えながら、ミスへの寛容性やボールの直進性、上がりやすさといったアマチュアゴルファーが欲する性能を高めています。

ライバルモデルは、ピン「G430 HL」やテーラーメイド「ステルスグローレ」、そしてダンロップの「ゼクシオ」です。どれもクラブとしての完成度が高いので、比較しながら試打するのも面白いと思いますよ。

最後にしつこいようですが、40m/s以上振れるゴルファーにとっては、1発の飛びはあっても軽さによるデメリットのほうが大きいと思いますので、そういった人は、「パラダイム」「パラダイムX」のラインがおすすめです。

写真:野村知也

小倉勇人

小倉勇人

ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。

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