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中上級者が求めるアイアンはコレ! ミズノ「JPX923」の「フォージド」&「ツアー」を試打

オグさんです。今回は、ミズノ「JPX923」シリーズの“玄人向け”アイアン2モデルをご紹介します。

「JPX923 フォージド」(左)と「JPX923 ツアー」(右)

「JPX923 フォージド」(左)と「JPX923 ツアー」(右)

ある程度以上のスキルを持つ人向けの2モデル

「JPX」シリーズは、ミズノが主にアイアンに使うワールドワイドブランド。日本では「ミズノプロ」シリーズがメインですが、海外ではこの「JPX」ブランドが主流です。「JPX923」シリーズはラインアップを大幅に拡充しており、前作「JPX921」が3モデルだったのに対し、今作では5モデルも揃えています。追加された2モデルは、「ホットメタル」と呼ばれる、どちらかと言えばアベレージゴルファーに向けたモデルで、そちらのレビューはすでにアップされていますので、興味のある人は下記からぜひご覧ください。

本稿では、前作にもラインアップされていた、アスリートやツアープロに向けた2モデルをチェックしていきます。

ひとつめは、「JPX923 フォージド」。現代の中上級者がアイアンに求める性能を、ミズノなりに解釈したと考えられるモデルです。

もうひとつは「JPX923 ツアー」。こちらは文字どおり、ツアープロや高い技術を持つ上級者の使用に耐えるべく生まれたモデルと言えます。

それではひとつずつ詳しく見ていきましょう。

「JPX923 フォージド」

番手ごとの役割に合わせて素材や設計が異なるという、非常に凝ったモデルです。長い番手は安定感と飛距離、短い番手はフィーリングやコントロール性を重視し、作り分けています。もちろんミズノらしく、打感の追求にも余念がありません。

サテン仕上げの中に一部ミラー仕上げをあしらった美しいボディ。バックフェースに貼られた大きなバッジもボディと似た仕上がりで、全体的にまとまったデザインに仕上がっています

サテン仕上げの中に一部ミラー仕上げをあしらった美しいボディ。バックフェースに貼られた大きなバッジもボディと似た仕上がりで、全体的にまとまったデザインに仕上がっています

飛距離の欲しい長い番手には、高い反発性能を得やすいクロムモリブデン鋼を、ターゲットを正確に狙いたい短い番手には軟鉄を使用。用途に合わせて素材を使い分けています。どちらの素材にも鍛造製法を用いるのが、打感にこだわるミズノらしさでしょう。

ロフト設定は7番で30度と、アスリートモデルとしては少し立った設定と言えます。現代のニーズに合わせたのでしょう。

写真は7番。トゥ側が丸みを帯びており、やわらかな印象を受けます。適度にグースネックでやさしそうに見えますね。トップブレードは適度な厚みがありつつ、シャープさも兼ね備えています

写真は7番。トゥ側が丸みを帯びており、やわらかな印象を受けます。適度にグースネックでやさしそうに見えますね。トップブレードは適度な厚みがありつつ、シャープさも兼ね備えています

7番までをクロムモリブデン鋼、8番からを軟鉄と、素材を使い分けています。ヘッド構造も番手によって異なるという凝りようです

7番までをクロムモリブデン鋼、8番からを軟鉄と、素材を使い分けています。ヘッド構造も番手によって異なるという凝りようです

ソールは幅広ながら、ソール後方を削りながら丸く仕上げてあり、ダフりへの強さとヌケのよさを両立した形状です

ソールは幅広ながら、ソール後方を削りながら丸く仕上げてあり、ダフりへの強さとヌケのよさを両立した形状です

標準採用されているシャフトは、トゥルーテンパーの「ダイナミックゴールド105(S200)」。独特の粘りがある手元調子のシャフトで、ダウンブローに打ちやすい特性を持っています

標準採用されているシャフトは、トゥルーテンパーの「ダイナミックゴールド105(S200)」。独特の粘りがある手元調子のシャフトで、ダウンブローに打ちやすい特性を持っています

ソリッドで気持ちよい打感

構えた印象は「ちょっとシャープなアベレージモデルかな」といった雰囲気で、やさしそうな顔に見えました。まず、フェース面にクロムモリブデン鋼を採用している7番を試打。適度なスピンが入る中弾道で、少々硬めのグリーンでもピンポイントに狙っていけそう。もう少しはじき感のある硬めの打感を想像していましたが、アスリートを意識してか、余計な振動を抑えたソリッドで気持ちよい感触です。フェース裏を下部まで彫り込んだ「マイクロスロット構造」の採用によりミスにまずまず強く、操作性も適度にあるという、バランスのよい仕上がりです。

異なるフェース素材が混在していますが、セット全体で違和感なく澄んだ打感を実現させています。さすがはミズノ!

異なるフェース素材が混在していますが、セット全体で違和感なく澄んだ打感を実現させています。さすがはミズノ!

ネックからフェースまで一体成型する「グレインフォージド製法」はミズノの十八番。鍛造過程で金属繊維の流れを途切れさせないことで、心地よい打感を生み出しています

ネックからフェースまで一体成型する「グレインフォージド製法」はミズノの十八番。鍛造過程で金属繊維の流れを途切れさせないことで、心地よい打感を生み出しています

異素材番手間の違和感はなし!

ショートアイアンは、フェースに軟鉄を使用したキャビティ構造。スピンがしっかり入り、コントロールしやすいです。個人的に感心したのは、構造的にまったく異なるクラブなのに、つながりがスムーズな点。全番手を細かく試打したわけではないのですが、長い番手と短い番手間での違和感はほぼありませんでした。現代のアイアンに対するニーズに細かく応えた逸品だと思います。

長い番手には、フェース裏を深く掘り込んだ「マイクロスロット構造」を採用していますが、バッジによって見えません

長い番手には、フェース裏を深く掘り込んだ「マイクロスロット構造」を採用していますが、バッジによって見えません

7番のデータ。適度に操作できるモデルだけあり、スピン量はそれなりにあります。それでいて飛距離も出やすいので、こういうアイアンを待っていた中上級者は意外と多いのではないかなと思います

7番のデータ。適度に操作できるモデルだけあり、スピン量はそれなりにあります。それでいて飛距離も出やすいので、こういうアイアンを待っていた中上級者は意外と多いのではないかなと思います

「JPX923 ツアー」

操作性と打感に強くこだわった設計の、ツアープロや上級者のためのモデル。軟鉄のみを使用したいわゆる“一枚物”で、ミズノならではの打感を追求する技術がふんだんに詰め込まれているアイアンです。

いわゆるハーフキャビティですが、ミスへの強さを追求したと言うよりは、フェース面重心をセンターに位置させるため、バックフェースを削っている印象です。ヘッド全体がクローム仕上げで、鈍い光の反射がカッコイイ!

いわゆるハーフキャビティですが、ミスへの強さを追求したと言うよりは、フェース面重心をセンターに位置させるため、バックフェースを削っている印象です。ヘッド全体がクローム仕上げで、鈍い光の反射がカッコイイ!

全番手が軟鉄鍛造製法で作られています。ロフトは7番で34度、飛距離性能はまったく考慮していないと言ってよいでしょう。

7番。小振りでブレードも薄く、シャープな顔立ち。ほんのわずかですが、グースネックになっています

7番。小振りでブレードも薄く、シャープな顔立ち。ほんのわずかですが、グースネックになっています

打感を追求した「グレインフォージド製法」に加え、フェースには銅下メッキを採用。少しでも打感をよくしようという、開発陣の執念に近い思いを感じます

打感を追求した「グレインフォージド製法」に加え、フェースには銅下メッキを採用。少しでも打感をよくしようという、開発陣の執念に近い思いを感じます

ソール幅は狭くシャープな見た目ですが、前作よりバウンス角を増やし、適度なやさしさを演出。その分の突っかかりを抑えるため、ソール後方は丸く仕上げられています

ソール幅は狭くシャープな見た目ですが、前作よりバウンス角を増やし、適度なやさしさを演出。その分の突っかかりを抑えるため、ソール後方は丸く仕上げられています

標準シャフトはトゥルーテンパーの「ダイナミックゴールド120(S200)」。スタンダードの「ダイナミックゴールド」よりもやや軽く仕上げながら、特徴的な“粘る挙動”を再現したシャフトです

標準シャフトはトゥルーテンパーの「ダイナミックゴールド120(S200)」。スタンダードの「ダイナミックゴールド」よりもやや軽く仕上げながら、特徴的な“粘る挙動”を再現したシャフトです

上級者ほど扱いやすい

構えた印象は、昔ながらのツアーモデルといった感じ。いかにも操作しやすそうなシャープな雰囲気を持っています。打ってみると「コレコレ!」と口に出したくなるような、いい打感が味わえました。フェースにのっている時間が非常に長く感じる、ソフトでとても気持ちよい感触です。個人的には、国内モデルのマッスルバック「Mizuno Pro 220」よりソフトに感じました。

弾道ですが、ロフトが大きいこともあってボールがしっかりと上がります。スピンも十分入るので距離はそれなりですが、ボールコントロールがとても容易です。左右上下の打ち分けもしやすく、上級者ほどストレスなくイメージどおりの弾道が打てる仕上がりです。

打感はとにかく最高のひと言。芯で打った感触を味わえば、このアイアンが絶対に欲しくなると思います

打感はとにかく最高のひと言。芯で打った感触を味わえば、このアイアンが絶対に欲しくなると思います

ゴルファーの動きに鋭く反応する

個人的にこういった小ぶりなアスリートモデルが好みなのですが、その理由のひとつに“咄嗟のアジャスト”と言うか、ごまかしがきく点があげられます。このモデルは操作性を重視していることもあって、ミスへの寛容性は決して高くありません。ですが、スイング中の「あ、ヤバイ!」と思った瞬間に起こる体の反応に対して、ほかのアイアンよりもクラブが反応してくれるというか、何となくごまかしがきいてそれなりの球が打てるのです。ミスに強いアイアンはこういう部分もナシにしてしまい、よくも悪くもそれなりの球になります。アイアンで飛びすぎのミスが多い、OBが多いなんて人は、ゴルファーの動きに鋭く反応するアスリートモデルを使うとミスを減らせるかもしれませんよ。

インパクト直前でも咄嗟のアジャストを受け付けてくれる気がします。ヘッドの追従性や操作性が高いモデルならでは

インパクト直前でも咄嗟のアジャストを受け付けてくれる気がします。ヘッドの追従性や操作性が高いモデルならでは

7番のデータ。スピン量がちょっと少ないのですが、実際はもう少し入っている印象があります。高い打ち出し角はロフト角によるものです

7番のデータ。スピン量がちょっと少ないのですが、実際はもう少し入っている印象があります。高い打ち出し角はロフト角によるものです

「JPX923」5モデルの特徴まとめ

「JPX923」シリーズのアスリート向け2モデルは、それぞれが異なるゴルファーのニーズに応えた仕上がりでした。「JPX923 フォージド」は、中上級者が求める“狙える機能”を備えたやさしいアイアン。「JPX923 ツアー」は、ツアープロや上級者のプレーに欠かせない“自身のパフォーマンスを最大限発揮できる”アイアン。そこにミズノらしい打感のこだわりを注入した、どちらも完成度の高いモデルと言えます。

ミズノは今回の「JPX923」シリーズをリリースするに当たり、現代のゴルファーがアイアンに何を求めているかを分析・研究し、5つに分類。各モデルでそれぞれ答えを出してきた印象を受けました。

・パワーのない人が楽にプレーしたいなら「ホットメタルHL」
・飛距離もミスへの強さも欲しいなら「ホットメタル」
・やさしく飛ばしたいが、顔に妥協できないなら「ホットメタルPRO」
・フィーリングや狙う性能をある程度求めるが、やさしさが欲しいなら「フォージド」
・自身のパフォーマンスを最大限に発揮したいなら「ツアー」

といった感じですかね。
皆さんは、アイアンにどんな性能を求めるのでしょうか?

写真:野村知也

小倉勇人

小倉勇人

ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。

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