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いきなり売れてる「トライビーム」 オデッセイの“△パター”全6モデル詳細解説!

オグさんです。今回は、オデッセイの「TRI-BEAM」(以下、トライビーム)シリーズのパターの試打レポートをお届けします。

話題の「トライビーム パター」全モデルを解説します

話題の「トライビーム パター」全モデルを解説します

3つの梁で「トライビーム」

テーラーメイドが三角のネックを持つ「トラス構造」のパター(以下、トラスパター)を発売したのが2020年。東京スカイツリーなどに使用されている建築技術「トラス構造」をネックに応用した「トラスホーゼル」を採用することで、打点ズレによるヘッドのブレを抑制したモデルとして誕生しました。

「トラスホーゼル」を採用したパターが旋風を巻き起こしたのが2021年。2020〜21年の賞金女王である稲見萌寧選手を筆頭に、多くの女子プロが2020年に発売された「トラスホーゼル」を搭載したパターシリーズ「TPコレクション」を使用して活躍しました。この影響で多くのアマチュアが注目し、大ヒットモデルになったわけです。

当時はあまりの人気に品薄状態が続き、オークションサイトなどでは価格の高騰が起きたほどです。その後、2022年に発売された後継シリーズ「TPコレクション ハイドロブラスト」、2023年に発売された「TP トラス」と、どのシリーズも高い人気を維持し続けています。

三角ネックが活況を呈する市場を、ライバルメーカーが黙って見ているわけがありません。2023年に、パターメーカーの雄オデッセイからも三角のネックを持つパターが発売されました。それが今回紹介する「トライビーム」シリーズ。ネーミングの由来は、「トライ=3つ」「ビーム=梁・はり」から。まさに、“三角ネック”を象徴するブランド名です。

オデッセイの三角ネックは、テニスなどのラケットから取られた「ラケットホーゼル」と呼称され、「トラスホーゼル」同様、打点ズレによるヘッドのブレの抑制が主な効能です。ですが後発だけあり、見た目の違和感の軽減、ネックの重量をほかのパター(非三角ネック)と同じ重量で仕上げることで重心位置を低く設定するなど、ライバルをしっかりと研究して開発されています。

この「トライビーム」は発売直後から高い人気を誇り、2023年5月の月間販売本数では1位を獲得。ツアープロからの反応も上々で、「ミスがミスにならない」と、すでに複数のプロが試合に投入しています。

では、全6モデルを1つずつ見ていきましょう。

「トライビーム #1」

オーソドックスなブレードタイプに「ラケットホーゼル」を搭載したモデル。操作性を残しながら、打点のミスに強い特性を持っています。ボールの転がりがバラつきにくいブレードタイプです。

シリーズの全モデルに共通しますが、構えたときにネックがじゃまにならない工夫が施されています

シリーズの全モデルに共通しますが、構えたときにネックがじゃまにならない工夫が施されています

打っている人には気にならないように、それを外から見ている人には特徴的なネックがはっきりとわかるようにデザインされています

打っている人には気にならないように、それを外から見ている人には特徴的なネックがはっきりとわかるようにデザインされています

「トライビーム #2」

上記「#1」と同じブレードタイプですが、ヘッドシェイプに角を持たせてよりシャープな形状に仕上げたモデル。性能的には「#1」と非常によく似ています。

「#1」と比べてカチッとした形状で、好みに合わせて選べます。構えやすさは人によって違うので、こういった細かい違いのラインアップはユーザーにとってとても有意義です

「#1」と比べてカチッとした形状で、好みに合わせて選べます。構えやすさは人によって違うので、こういった細かい違いのラインアップはユーザーにとってとても有意義です

横から見ると「#1」とよく似ています。あえて差をつけていないのでしょう

横から見ると「#1」とよく似ています。あえて差をつけていないのでしょう

「トライビーム ダブルワイド」

ブレードタイプですがフランジをやや大きくし、重心をわずかに深く設計したモデル。構えやすさの違いがメインですが、同じブレードタイプの「#1」や「#2」と比べて打点のミスに微妙に強いのが特徴です。

フランジが大きくなることで、サイトラインも長くなり、目標に対してフェースの向きを合わせやすい形状。見た目からくる安心感が高いモデルです

フランジが大きくなることで、サイトラインも長くなり、目標に対してフェースの向きを合わせやすい形状。見た目からくる安心感が高いモデルです

真横から見ると普通のブレードタイプに見えます。ブレードとマレットの中間的な存在です

真横から見ると普通のブレードタイプに見えます。ブレードとマレットの中間的な存在です

「トライビーム ダブルワイド CS」

「ダブルワイド」と同じヘッドに、シャフト軸線とフェース面上の芯が揃うように「ラケットホーゼル」を装着したモデル。一般的なセンターシャフトとは異なり、フェースが後方に下がったオフセットがあるので、ボールのつかまりがいいモデルです。

ネックがややフェース中央に寄っている以外は、形状はベースとなった「ダブルワイド」と共通しています。ストローク中にヘッドが開閉しようとする力がほとんどないため、直感的に芯に当てやすい特性があります

ネックがややフェース中央に寄っている以外は、形状はベースとなった「ダブルワイド」と共通しています。ストローク中にヘッドが開閉しようとする力がほとんどないため、直感的に芯に当てやすい特性があります

オフセットのあるセンターシャフトパターは意外と少ないので、右へのミスが多いゴルファーにはおすすめできるモデルです

オフセットのあるセンターシャフトパターは意外と少ないので、右へのミスが多いゴルファーにはおすすめできるモデルです

「トライビーム 6M」

トゥ側にボリュームを持つハーフマレットのヘッドに、オフセットのあるセンターシャフトを組み合わせたモデル。ヘッド後方のボディラインが不均等で丸みを帯びており、それによりフェースのラインとサイトラインが強調され、構えやすさを演出しています。

「ダブルワイドCS」と同じくオフセットがあるセンターシャフトですが、形状によってかなり印象が異なりますね。構えたときに、ヘッドから視覚的に得られる情報が少ないほうが集中できる人におすすめです

「ダブルワイドCS」と同じくオフセットがあるセンターシャフトですが、形状によってかなり印象が異なりますね。構えたときに、ヘッドから視覚的に得られる情報が少ないほうが集中できる人におすすめです

シリーズのほかのモデルと違い、ややトゥ側が高くなったデザイン。センターシャフトのモデルにありがちな、右へのミスをイメージさせないためなのかもしれません

シリーズのほかのモデルと違い、ややトゥ側が高くなったデザイン。センターシャフトのモデルにありがちな、右へのミスをイメージさせないためなのかもしれません

「トライビーム #7」

人気の“ツノ型”形状に「ラケットホーゼル」を搭載したモデル。構えやすい形状に加え、浅重心に仕上げることで、ミスへの強さや操作性をバランスよく備えています。

マレットの定番となりつつあるツノ型に、最新のテクノロジーを上乗せ。パターに求められる要素がほとんど詰まったような仕上がりです

マレットの定番となりつつあるツノ型に、最新のテクノロジーを上乗せ。パターに求められる要素がほとんど詰まったような仕上がりです

もともと打点のミスにはそれなりに強い「#7」ですが、「ラケットホーゼル」を搭載することでそれがさらに強化されました。フルオートマチックな重めのマレットが苦手な人におすすめです

もともと打点のミスにはそれなりに強い「#7」ですが、「ラケットホーゼル」を搭載することでそれがさらに強化されました。フルオートマチックな重めのマレットが苦手な人におすすめです

打点のミスへの強さは驚異的

「トライビーム パター」を構えてまず感じたのが、ネック処理の巧みさ。ライバルであるテーラーメイドの「トラスホーゼル」はブレードと同じぐらい太くて堅牢な形状で、いかにも当たり負けしなさそうな作りなのに対し、オデッセイの「ラケットホーゼル」は、上に向かってやや細くなるように作られています。最終的には各人の好みになると思いますが、個人的には「ラケットホーゼル」のほうがブレードに重なる部分が少なく、構えやすかったです。

ボールを打ってみると、やはり打点のミスへの強さを感じますね。トゥ、ヒールどちらに外しても転がりの差が少なく、方向のブレも少ない印象。全モデル共通で装着される、軽く強靭な「ストロークラボシャフト」と、浅重心で操作性のよいヘッドの基本設計と相まって、扱いやすく安定したパッティングができました。

打点のミスに強いということは、芯で打つことにあまりこだわらなくてもいいということ。その分ほかのことに神経を使えます。これは、パッティングにとって非常に有意義なことだと思います

打点のミスに強いということは、芯で打つことにあまりこだわらなくてもいいということ。その分ほかのことに神経を使えます。これは、パッティングにとって非常に有意義なことだと思います

評価の高い「ホワイトホットインサート」を搭載。適度なやわらかさでタッチも出しやすいのが特徴です

評価の高い「ホワイトホットインサート」を搭載。適度なやわらかさでタッチも出しやすいのが特徴です

カーボンを使用し軽く硬く仕上げることで、フィーリングやタッチの出しやすさなどを高めた「ストロークラボシャフト」を全モデルに標準装着

カーボンを使用し軽く硬く仕上げることで、フィーリングやタッチの出しやすさなどを高めた「ストロークラボシャフト」を全モデルに標準装着

幅の広いネックを細目に仕上げることで、フェースのラインを極力隠さないように設計されています。この処理をやるとやらないとでは、構えやすさが大きく異なってきます

幅の広いネックを細目に仕上げることで、フェースのラインを極力隠さないように設計されています。この処理をやるとやらないとでは、構えやすさが大きく異なってきます

自分に合ったモデルを探すためには

「トライビーム」パターシリーズは、性能向上だけでなく、構えやすさまでこだわった三角ネックを搭載したモデルでした。革新的な技術は今後もどんどん生まれてきてほしいですね。

こういった新技術によって、「マレットはミスに強く、ブレードは操作性が高い」という既成概念が壊れつつあります。

パターに限ったことではありませんが、そういった思い込みは捨てないと、本当に自分に合ったモデルには巡り合えないかもしれません。機会があれば、自分には合わないと思っていた形状も、ぜひ積極的に試打してもらいたいと思います。

写真:野村知也

小倉勇人

小倉勇人

ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。

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