オグさんです! 今回は、タイトリストから発売されているスコッティ・キャメロン「スーパーセレクト」シリーズのレポートをお届けします。
人気のパターブランド、スコッティ・キャメロンから新シリーズ「スーパーセレクト」が登場しました
スコッティ・キャメロンとは、パター職人であるスコッティ・キャメロン氏が立ち上げたパターブランド。精巧で美しい作り込みと独創的な考え方が多くのツアープロの支持を集め、使用選手が数々のメジャータイトルを獲得したことでブランドは隆盛を極めました。
現在では、“パターはキャメロンを買っておけば間違いない!”とまで言われる絶対的なブランド力を誇り、市場でも高い人気を維持し続けています。
そんなスコッティ・キャメロンの「スーパーセレクト」シリーズは、ゴルフ総合メーカーのタイトリストから発売されるシリーズ。2020年に発売された「スペシャルセレクト」シリーズを、さらにブラッシュアップしたパターで、定評ある美しい形状と、ツアープロなどからのフィードバックを基に開発された高い性能が特徴です。
「スーパーセレクト」シリーズのヘッドタイプは全10種類で、303ステンレススチールを精密加工にて成形しています。モデルごとに最適な重量配分と高い慣性モーメントを得られるよう設計されているうえ、見ための美しさはもちろん、打感など細部の作り込みにも妥協がありません。
それでは10モデルをひとつずつ見ていきましょう!
ヘッドの四方にやや丸みを持たせたことで、やわらかい雰囲気を持つ形状
フェース面に深い溝を掘ったあとに、ミーリング部分の凹凸を滑らかに仕上げた「デュアルミルド」フェーステクノロジーを採用。これは安定したインパクトに寄与します。フェース裏のドットは前作まで赤く塗られていたのですが、今作からは色は付いておらず、シンプルな外観になりました
まさにブレードタイプの“王道”と言える形状。カチッと構えられるのですが、鋭すぎないやわらかさをうまく演出しています。
ストロークした感じは操作性がよく、まさにブレードタイプそのもの。しっかりと重量配分されている効果からなのか、現代ではミスに強いとは言えないブレードタイプでも、ミスヒット時の転がりの差は少ないです。
ボールを打つと、素材そのもののソリッドで澄んだ打感が味わえます。打音もしっかりと響き、打感や振り幅だけでなく打音でも距離感が作れます。まさに“これ買っておけば間違いない”と言える、王道中の王道パターと言ってよいでしょう。
全体的なフォルムは「ニューポート」と酷似していますが、ボディが少しだけ幅広に設計された安心感のあるデザインです。ソールにアルミプレートを使い、形状に合わせた理想の重量配分が施されています
フェースの仕上げやネック形状などは「ニューポート」と共通。前後から見ると見分けがつきません
全体的なフォルムはベースとなった「ニューポート」とほぼ同じですが、ボディが少しだけ幅広くなるだけで、かなり異なる印象を受けますね。幅広と言ってもほんの少しなので、シャープさは残っているのですがミスに強そうな安心感をしっかり得られます。
ストロークした印象ですが、ちょっとだけオートマチックな感じがありますが、操作は可能です。ブレードと小型マレットをいいとこ取りしたモデルですが、どちらかと言えば操作性寄りの仕上がりです。
「ニューポート」の四方をスクエアに仕上げたフォルム
フェースや後方からの見た目は「ニューポート」とほぼ同じです
「ニューポート」とフォルムのみが異なるモデル。やわらかな見た目が好きな人は「ニューポート」、カチッとしたフォルムが好きな人は「ニューポート2」と、好みで選べばOKです。見た目の細部が異なるだけのモデルを作り分けているのも、キャメロンのすごいところです。
「ニューポート2」のスクエアなボディはそのままに、少しだけ幅広に設計
「ニューポート」と「ニューポート+」同様、フェースの構造や前後からの見た目は「ニューポート2」との差はありません。
ちょっとだけ幅広になった「ニューポート2」とでも言うべき佇まいですが、幅が広いことでこちらも安心感が増しています。ストロークした印象も「ニューポート2」と同じで、やや操作性に振ったモデルです。しかし、ミスへの強さは「+」の付いたモデルのほうが高いですね。
「ニューポート2+」と同じヘッドに、スラントネックを組み合わせています。ストローク時のヘッド軌道が強めの弧を描くタイプのプレイヤーにマッチしやすいモデルです
短いスラントネックにより、重心が低くなり、トゥハング(シャフトを持ってパターを支えたときにヘッドのトゥが下を向く度合い)が大きいため、クランクネックのモデルとは振り心地が異なります
基本は「ニューポート2+」と同じですが、ネックの形状が異なるため、振り心地も結構変わります。シャフトだけを支えてヘッドを空中に浮かせると、クランクネック搭載モデルよりトゥ側に大きく傾きます。この違いが振り心地に影響し、クランクネックのモデルに比べてストローク中の操作性が高まる印象です。
それでも「+」シリーズが持つミスへの強さは感じられるので、決して難しい感じはありません。自動車のワイパーのように、強めのアークでストロークする人でやさしいモデルをお探しなら、このモデルはぜひ試してほしいところです
フォルムは「ニューポート2」に近いですね。ソールに搭載されたアルミプレートが「ニューポート」系モデルより大きいため、慣性モーメントも増大しています
前後からの見た目はどれも差がありません
フォルムが似ているモデルに「ニューポート2+」がありますが、それよりも幅広いボディを持っています。形状はブレードタイプですが、性能はマレットです。オートマチックな振り心地が得られるようになっており、芯を外したときの転がりの差も少ない印象を受けました。
ネックがアイアンと同じ位置にある、いわゆるL字マレット。構えやすさとミスへの強さを持ち、ウェッジと同じようなフィーリングでパッティングできます
シリーズ中もっともトゥハングが大きいモデルです
今では少なくなったL字マレットですが、一定数のファンを持つ形状です。アイアンと同じ位置にネックがあり、ウェッジでアプローチするような感覚でのパッティングが可能です。ストローク中にフェースが開閉する力が大きいので、一定のテンポで打てれば安定した転がりが期待できます。
半月状のミッドマレットとスラントネックの組み合わせ。やや厚めのブレードが、ミスへの強さを主張しています
ブレードがちょっと短めで、鈍重に見えやすいマレットにシャープな一面を与えています
トゥとヒールにウェイトを分配したヘッドにフランジを付けたミッドマレット。ウェイト配分はブレード型の、フランジはマレット型の特徴で、それらのいいとこ取りを目指したモデルです。
ヘッド自体の性能はオートマチックでマレット寄りなのですが、操作性を高めやすいスラントネックの採用により、適度な操作性を持っています。
ソールのアルミプレートが大きく、重量配分がしっかりなされたマレット型パター。ミスに強いのが特徴です
シャフト自体が曲がったベンドネックを採用しています
投影面積が大きめですが、ちょっとだけ操作もできるマレットです。サイズ感的にもいかにもマレットという感じでヘッドの挙動もオートマチックなのですが、いざっていうときにちょっとしたアジャストを受け入れてくれる懐の深さがありますね
ベンドネックの装着により、ヘッドがトゥ側に少しだけ垂れる微妙なトゥバランスで設計されています。ストローク中にヘッドが開閉しようとする力が小さいため、ヘッドをまっすぐ振りたい人に使いやすいのですが、開閉したい人にもマッチします。
「ゴーロー6」と同じヘッドに、操作性の高いスラントネックを組み合わせたモデル。ヘッドの開閉がしやすく、見た目以上の操作性があります
ベンドネックのモデルに比べると、ネックがある分堅牢そうに見えます
「ゴーロー6」とヘッドは同じなのですが、異なるネックが装着されることにより、操作性が高まっています。見た目の安心感やミスへの強さはあるので、オートマチックに打ちたいが操作もしたい欲張りなゴルファーにおすすめです。
シリーズ全体を通して、前作の「スペシャルセレクト」シリーズと比べ、どのモデルもミスへの寛容性、具体的に言うと芯を外したときの転がりの差が少なくなっている印象を受けました。どのモデルも重々しく転がるイメージで、安定したパッティングが期待できると思います。
個人的には、前作までの赤く塗られたドットはかっこよくて好きだったのですが、塗られていないドットもメカニカルな感じが出ていて、これはこれでかっこいいですね。モデルごとの作り分けはより細分化され、かゆいところに手が届く細かさはさすがだなと思いました。
シリーズにはベーシックなモデルと、それを細分化したモデル、そして個性のあるモデルが存在します。プロ・アマ問わず、ゴルファーのニーズを分析した結果なのでしょう
しっかりと手に伝わる打感と、カツッと響く打音が打ち手にパッティングのよし悪しをしっかりフィードバックしてくれます。これはパッティングの技術を身に着けるうえでとても重要なポイント。それらもしっかり持っているのが「スーパーセレクト」シリーズです
「スーパーセレクト」シリーズは、世界的なパターブランドにふさわしい進化を見せてくれました。人気の高い形状を細分化して作り分け、さらに個性を持ったモデルも多数揃える豊富なラインアップ、そして個々のモデルの完成度の高さと、スコッティ・キャメロンのすばらしさを改めて実感しました。
加えて、ユーザーの所有感を満足させる作りの精巧さと美しさ。まだまだキャメロン人気は続くと確信しました。
個人的に欲しいと思ったモデルは「デルマー」。L字マレットは、改めて打ってみるとフィーリングが出しやすかったです。前作(もしくはそれ以前のモデル)を持っている人でも、今作にはぜひ触れてほしいですね。打ち比べればその進化を感じてもらえると思います!
写真:野村知也
ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。