オグさんです。今回はテーラーメイド「TPトラスパター」の試打インプレッションをお届けします。
特徴的な三角形のネックに「TRUSS」の文字が入る「TPトラスパター」
「TPトラスパター」のトラスとは、三角形のネックのこと。テーラーメイドでは「トラスホーゼル」と呼称します。そもそもトラスという言葉は建築用語で、橋桁などに用いられる「トラス構造」が由来です。
パターのネック形状を三角形にすることで剛性を上げ、オフセンターヒット時のヘッドのブレを軽減し、転がりの差や方向のブレを抑制してくれる効果があります。
この「トラスホーゼル」を搭載したパターが初めて登場したのは2020年。発売当初はあまり注目されていませんでしたが、複数の女子プロが使用して数多くの勝利をあげたことで、人気が一気に加速しました。
「TP トラスパター」は、そんな「トラスホーゼル」を搭載したモデルのみで構成された最新のパターシリーズ。「トラスホーゼル」の中心部に衝撃吸収材を挟み込んだカーボン素材を搭載することで、重心位置を最適化しつつ、打感を向上させています。ヘッドタイプは、全部で7モデルです。
テーラーメイド公式サイトには、各モデルの「バランスタイプ(トゥハング角)」が記載されています。パッティングストロークにおけるフェースの開閉が少なめのプレイヤーはフェースバランスを、多めのプレイヤーはトゥヒールバランスを選ぶとよいでしょう。トゥハング角が大きいほど、フェースを開閉しやすくなります。
シンプルなブレードタイプ。トップブレードとネックのラインの見え方に、違和感を抱かないような工夫が施されています
通常のブレードタイプと比べて重心距離がやや短いため、ストローク中にヘッドが開閉しようとする力は小さめです
ブレードタイプのヘッドに「トラスホーゼル」を組み合わせたシンプルなモデル。適度な操作性を持っていますが、芯を外してもヘッドがブレにくいのが特徴。ブレードタイプを使いたいが、打点がバラつく、または、マレット形状は苦手だがミスに強いモデルが使いたい、といったゴルファーにおすすめです。
●トゥハング角:10度/トゥヒールバランス
トゥとヒールに突起を持たせることで、見た目の安心感と、ヘッドのブレにくさをさらにアップさせています
ブレード長は「B1TH」と変わらないので、シャープさも残っています
オーソドックスな「B1TH」に対して、トゥとヒールの後方に小さな突起を持たせ、ややオートマチックな性能に仕上げたモデルです。構えたときの安心感がアップし、目標に対して正しいアライメントを取りやすく感じました。
重量配分の効果も、わずかながらあるのでしょう、芯を外したときのヘッドのブレがさらに軽減されている印象を受けました。
●トゥハング角:9度/トゥヒールバランス
ブレードタイプではありますが、フランジに曲線を用い、視覚的な情報を減らしています
飛球線後方から見ると、丸みを帯びたヘッド形状がよくわかりますね
ブレードタイプのパターの多くは縦横の直線だけで構成されており、カチッとした見た目を好むゴルファーにとっては使いやすいもの。しかし、その直線が目に入りすぎて、ヘッドが歪んで見えてしまうゴルファーも一部にいます。そういった人におすすめなのがこの「B4TH」。トップブレードとサイトライン以外の直線を廃することで視覚情報が整理され、目標に対して構えやすい効果を発揮します。
●トゥハング角:19度/トゥヒールバランス
やや小ぶりなツノ型マレット。トゥとヒールには反射を抑えた削り加工が施されており、高い質感です
ブレードタイプと比べると、ブレード長は短め
マレット形状の定番であるツノ型で、ヘッド自体は割りと小さめです。マレットにありがちなオートマチックな感じではなく、動かしやすさを持っています。マレットタイプの構えやすさが好きで、ストロークテンポが速めの人におすすめのモデルです。
●トゥハング角:7度/トゥヒールバランス
トップブレード全体が「トラスホーゼル」化されており、いかにもミスに強そうな形状
フェース上部全体が「トラスホーゼル」になっており、後方から見るとボールがほとんど隠れてしまうほどです
ツノ型マレットに「トラスホーゼル」を装着してセンターシャフト化したモデル。トップブレードに水平部分がないため構えにくそうに感じますが、フランジのサイトラインのおかげでほとんど気になりません。
センターシャフトの欠点と言われるオフセンターヒット時のヘッドのブレもほとんどなく、“理想のセンターシャフト”と感じるぐらい完成度が高いモデルです。
●トゥハング角:0度/フェースバランス
トゥとヒールに重量配分しながらフランジを後方に伸ばした、ブレードとマレットの特徴をあわせ持った形状
「M2」系よりもブレード長はやや長く、ヘッドサイズも大きめ
ミッドマレットに多い、トゥ・ヒールに重量配分された丸形ヘッドを採用。ブレード長もやや長めで、オートマチックに振り子ストロークしやすいモデルです。マレットらしいマレットなので、最も安定しやすい印象があります。とにかくミスに強いモデルが欲しいなら、このモデル一択です!
●トゥハング角:8度/トゥヒールバランス
ブレードタイプのヘッドに、「トラスホーゼル」をセンターシャフトのように搭載したモデルは前作でも存在しましたが、ややオフセット(フェースがシャフトより後方に下がっている)されていました。しかし今作ではオフセットがありません
「トラスホーゼル」は小さめですが、高さがあるためオフセンターヒットには強そうです。
ブレードタイプのセンターシャフトモデル。従来モデルからの変更点は、オフセットがなくなったこと。これにより、さらに直感的にボールをとらえやすくなりました。例えるなら、テニスラケットでボールを打っている感じです。「M2TC」と並んで、非常に完成度の高い一本だと思います。
●トゥハング角:0度/フェースバランス
「トラスホーゼル」搭載パターは私も所有しており、たまに使用しています。最新の「TPトラスパター」は、「トラスホーゼル」に特化したシリーズで、さらに進化を感じました。過去作よりも打感がクリアになり、タッチが出しやすくなった印象があります。形状も見直されており、どのモデルも構えやすくなりました。
「トラスホーゼル」搭載パターのミスへの強さは誰が打っても実感でき、極端に芯を外してもボールの転がりの差が少ないのが特徴です。パターが苦手な人におすすめしたいですね。
特におすすめしたいのは、センターシャフトのモデル。ウッドやアイアンなどスイングするクラブとはネックの装着方法が異なるので、最初は違和感があるかもしれませんが、直感的にボールをとらえやすく、狙ったところに打ち出しやすいパターです。
「トラスホーゼル」搭載パターは、構えやすさ、ミスへの強さ、打感など、パターに求められる性能をすべて備えています
以前のモデルは「トラスホーゼル」によってトップブレードが歪んで見えるモデルがあったのですが、今作は仕上げが変わった効果により、常に構えやすくなりました
インサートは従来のモデルと同じ複合素材の「ピュアロール」ですが、「カーボンコンポジットトラスホーゼル」の効果により、ソフトでありながらクリアな感触に進化しました
「TPトラスパター」は、どのモデルも安定感の高い、非常にミスに強いシリーズです。モデルによって操作性やフィーリングが異なるので好みに合わせて選ぶとよいでしょう。
個人的には「M2TC」が欲しいですね。センターシャフトのデメリットをほとんど感じさせない、とても完成度の高いモデルでした。
写真:野村知也
ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。