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シリーズ最大の進化!? タイトリスト「T350」は中上級者も満足させる"やや飛び"アイアン

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オグさんです。今回は、タイトリストのアイアン「T350」の試打レビューをお送りします。

「T350」アイアン

「T350」アイアン

ツアープロからフィードバックを基に開発・設計

タイトリストの「Tシリーズ」は、「常に最高の品質を持って、プレイヤーのパフォーマンスを最大限に引き出す」という理念に基づいて開発、設計されているシリーズです。

そもそもタイトリストのクラブは、ツアープロからのフィードバックを色濃く反映して作られています。「ツアーで戦うプロたちが認めるクラブこそ最高の製品だ」という理念があるからです。だからといって、アマチュアにとって難しいクラブかと言えば、決してそんなことはありません。

どんなシビアなコンディションでも、よい結果を出さねばならないツアープロは、クラブにコントロール性やフィーリング、ミスに対する寛容性などを求めます。最近ではコースが長くなり、さらなる飛距離をクラブに求める選手も増えてきています。これらのニーズは、実はアマチュアと何も変わらないのです。

タイトリストは、こういったゴルファーのニーズに対し、各人の好みや技量、クラブに求めるもの、そしてゴルフに対する考え方によってモデルが選べるように、今回の「Tシリーズ」では5つのヘッドで応えているのです。どのモデルにも共通して言えるのは、ミスヒット時にはミスの幅を軽減し、よいショットをよりよい弾道にしてくれること。それが、タイトリストのクラブなのです。

「Tシリーズ」の製品は、求める性能に合わせて、キャビティや中空など複数のヘッド構造が使い分けられています。どのモデルにも採用されているのが、内蔵のタングステンウェイト。重心をコントロールし、それぞれのモデルに求められる性能に仕上げられています。

またモデルごとはもちろん、番手ごとにも求められる性能を追求し、フェース素材を使い分けるという工夫も施されています。そういう性能面を追求する技術を搭載しつつ、フィーリング面に違和感が出ないように細かい部分まで各モデルは作り込まれているのです。

先述のとおり、2023年モデルの「Tシリーズ」には5モデルがラインアップされています。前作から名前を変えずにモデルチェンジしたのが「T100」と「T200」、前作「T100S」の後継モデル「T150」、そして前作「T300」の後継モデル「T350」です。今回モデルチェンジしなかった「T400」は継続販売されています。

今回取り上げる「T350」以外のモデルの特徴は以下のとおりです。「T400」は「Tシリーズ」の一員ではありますが、極端に飛距離を追求したモデルなので想定ユーザーが異なるため、一般的なアマチュアゴルファーは実質4モデルから選ぶことになると思います。

●「T100」
ツアープロが求める“狙う”性能を重視し、それをじゃましないだけの寛容性を持たせたモデル

●「T150」
「T100」をベースにロフトを2度立たせ、飛距離性能をやや高めたモデル。ただロフトを立たせただけでなく、専用設計になっているところがポイント

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●「T200」
ミスへの寛容性を高めながら、さらなる飛距離を追求。打ち出しの高さにもこだわったモデル

今回は「T200」よりも、さらにやさしさと飛距離を追求した「T350」を詳しく見ていきたいと思います。

やや厚めの中空構造を採用したボディは、いかにもやさしそうな雰囲気があります。それでもカッコイイのは、デザインはもちろん、タイトリストの持つブランドイメージがなせる業(わざ)でしょう

やや厚めの中空構造を採用したボディは、いかにもやさしそうな雰囲気があります。それでもカッコイイのは、デザインはもちろん、タイトリストの持つブランドイメージがなせる業(わざ)でしょう

T350・#7

T350・#7

T350・#9

T350・#9

「Tシリーズ」のほかのモデルと比べ、ややブレード長が長く、サイズもひと回り大きめです。いっぽう、縦横の比率が近いのか、構えたときの印象は酷似しています。

ロフト構成は7番で29度と、一般的なアベレージモデルと同程度。「T100」の6番が30度ですから、それと比べれば1番手以上立っています。このことから、それだけ飛距離性能を重視しているのがうかがえます。

フェース素材には全番手、SUP-10と呼ばれるバネ鋼を採用。これは「Tシリーズ」のほかのモデルが長めの番手に使用している素材です。4番から7番まではヘッド内部にタングステンウェイトを内蔵し、高弾道化を図っています

フェース素材には全番手、SUP-10と呼ばれるバネ鋼を採用。これは「Tシリーズ」のほかのモデルが長めの番手に使用している素材です。4番から7番まではヘッド内部にタングステンウェイトを内蔵し、高弾道化を図っています

ソール幅はかなり広く、あまり丸みを持たせていないため、抜けよりもダフりに対する寛容性を高めている印象です

ソール幅はかなり広く、あまり丸みを持たせていないため、抜けよりもダフりに対する寛容性を高めている印象です

内部構造の分解図です。青いパーツがタングステンウェイト、赤いパーツが「マックスインパクトテクノロジー」と呼ばれる独自の技術で、打感、ボール初速の向上などに効果があります (画像はタイトリストHPより)

内部構造の分解図です。青いパーツがタングステンウェイト、赤いパーツが「マックスインパクトテクノロジー」と呼ばれる独自の技術で、打感、ボール初速の向上などに効果があります (画像はタイトリストHPより)

シャフトは、すべてオリジナルのモデルを3種類ラインアップ。約110gで先中調子のスチール「N.S.PRO 105T」、94〜106gまで重さがフローする中元調子のスチール「N.S.PRO 880 AMC」、そして70〜88gまで重さがフローする中調子のカーボン「TENSEI AV BLUE AM」です。

どれも非常に凝ったシャフトですが、全体的に軽めの仕上がりなので、一般的な男性であれば「105T」から試すのがおすすめです。パワーに自信がない人や楽にプレーしたい人なら「TENSEI AV」がよいでしょう。

長い番手ほど軽く設計されている「N.S.PRO 880 AMC」。比較的軽量に仕上げられていて、パワーがない人でも楽に振りきれるシャフトです

長い番手ほど軽く設計されている「N.S.PRO 880 AMC」。比較的軽量に仕上げられていて、パワーがない人でも楽に振りきれるシャフトです

つかまる要素はほぼナシ!

構えた印象は、よくできてる! でした。ヘッド自体は適度に大きく安心感のあるサイズながら、デザインが美しく、ボテッとした鈍重さがありません。やさしさのほか、シャープに振り抜けそうな、バランスのよさを感じさせます。

お借りしたスペックは、「880AMC」が装着されたモデル。いつものように、ドライバーでのヘッドスピード38m/sぐらいをイメージして試打をスタート。何球か打ってみると、直進性の高い弾道が、オートマチックに打てます。多少芯を外しても弾道が変わりづらく、打点のミスにかなり強い仕上がりです。

球の高さも申し分なく、「Tシリーズ」のほかのモデルとの差はほとんどありません。異なるのは飛距離で、キャリーするエリアが半番手から1番手ほど奥でした。

タイトリストらしさを強く感じたのが、つかまりの設定です。この「T350」もつかまる要素がなく、ほぼニュートラル。打点のミスに強く曲がりも少ないのでやさしさを強く感じられますが、右へのミスが多いゴルファーはちょっと手強く感じてしまうかもしれません。

最後に操作性ですが、ヘッドサイズの大きさもあり、申し訳程度にしか操作はできませんでした。操作性を求めるゴルファーには「Tシリーズ」のほかのモデルがありますし、「T350」を好むゴルファーにとってはデメリットにはならないでしょう。

はじき感が適度にあって心地よい打感。「Tシリーズ」のほかのモデルとそっくりとはいきませんが、近いフィーリングを持っています

はじき感が適度にあって心地よい打感。「Tシリーズ」のほかのモデルとそっくりとはいきませんが、近いフィーリングを持っています

高ヘッドスピードでも球質変わらず

ヘッドスピードを高めていくと、弾道がより高くなりますが、それ以外の球質は変わらず。直進性が高く飛距離が出て、打点のミスに強い。そして申し訳程度の操作性といった感じです。

操作性よりも直進性とミスへの寛容性を重視するゴルファーにとっては、腕前関係なくど真ん中のアイアン。フィーリング面も作り込まれているので、そういう向きのゴルファーには試打を強くおすすめします。

上が「T100」、下が「T350」です。ブレード長の違いがよくわかりますね

上が「T100」、下が「T350」です。ブレード長の違いがよくわかりますね

7番のデータです。「Tシリーズ」のロフト角が寝たモデルと比較しても遜色のない打ち出し角とスピン量を確保し、それでいてしっかりと飛距離が出ています。サイドスピンも少なく、「T350」の性能の高さをよく表したデータが取れました

7番のデータです。「Tシリーズ」のロフト角が寝たモデルと比較しても遜色のない打ち出し角とスピン量を確保し、それでいてしっかりと飛距離が出ています。サイドスピンも少なく、「T350」の性能の高さをよく表したデータが取れました

競技ゴルファーでも使えそう

「T350」は、中級者から上級者までの幅広いゴルファーがやさしいと感じるモデルに仕上がっていました。初級者を対象にしなかったのは、高くないつかまり性能を踏まえてのこと。ミスに強く飛距離も出て余計なことをしない。この“余計なこと”をしない点が、「T350」の最大の長所だと思います。

前作に当たる「T300」は、もう少しつかまり性能を持っていた印象がありますし、打ち出し角がもう少し低かったと記憶しています。個人的に、新作で大きく進化したモデルだと感じました。

ライバルモデルは、ミズノ「Mizuno Pro 245」、テーラーメイド「P790」あたりです。直進性やミスへの強さという点では「T350」のほうが上でしょう。スピン量は多くはないのでシビアなコンディションで戦うには物足りない部分も出るかもしれませんが、よほどの試合でなければ競技ゴルファーでも十分使える性能を有しています。

写真:野村知也

小倉勇人
Writer
小倉勇人
ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。
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芝崎 瞬(編集部)
Editor
芝崎 瞬(編集部)
自動車専門媒体からゴルフ専門メディアを経由し、価格.comマガジンへ。クルマは左ハンドルMTに限る! と思って乗り継いでいたが翻意して今は右AT。得意クラブは、強いて言えばミドルアイアン。
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