人気クラブ、テーラーメイド「ステルス2」とキャロウェイ「パラダイム」の値下げが、2023年10月下旬に始まりました。これはおそらく、2024年に新製品を発売するための準備によるものでしょう。大手メーカーは、現行品の在庫をある程度抱えており、新製品の発売前には、入れ替えのために在庫を減らしておきたいといった思惑があります。この秋ごろの値下げは、ここ数年恒例化しており、例年よりはやや早いですが、恐らく今回もそう考えて間違いはないでしょう。
2022年2月にテーラーメイドが発売(発表は1月)した「ステルス ドライバー」ですが、価格.comで価格を見てみると、同年の12月下旬から平均価格/最安価格ともに大きく下がっていました。明けて2023年1月、新シリーズ「ステルス2」が発表されたのはご存じのとおりです。
2022年2月に発売され、高めの価格を維持していた「ステルス ドライバー」ですが、同年12月にガクッと価格が下がっています。そして年明け早々にニューモデル「ステルス2」シリーズが発表されました
本稿では、値下げが始まった「ステルス2」と「パラダイム」シリーズのドライバーに関して、特徴や選び方を改めて解説したいと思います。
テーラーメイド「ステルス2 ドライバー」
テーラーメイドの「ステルス2」シリーズのドライバーは3モデルありますが、標準仕様がこの「ステルス2 ドライバー」。フェース、クラウン、ソール、フレームに至るまで、軽量で強度の高いカーボン素材を使用した意欲作です。余剰重量を多く生み出すことで理想の重心位置を追求し、低スピンの強弾道とミスへの寛容性の高さを両立させています。
「ステルス2」シリーズは、ツアープロや上級者に向けたシリーズで、基本性能は、低スピンの強弾道です。飛距離を大幅に伸ばせる可能性を秘めたモデルではありますが、それだけにスペック選びが重要です。低スピン性能が高いがゆえに、飛距離を出すには高い打ち出し角必要ですので、大きめのロフトを選ぶのがよいでしょう。
つかまり性能はニュートラルなので、プレイヤーにはある程度ボールをつかまえる技術を要求します。純正シャフトのフレックスはそんなに硬い設定ではないので、ヘッドスピード40m/s以上あれば、Sフレックスでも大丈夫です。
「ステルス2」はテーラーメイドのアスリート向け、かつメインブランドということもあり、カスタムシャフトのラインアップは非常に豊富です。グラファイトデザイン社の「ツアーAD」、フジクラの「スピーダーNX」や「ヴェンタス」、三菱ケミカルの「ディアマナ」や「テンセイ」、USTマミヤの「アッタス」などが重量帯別に用意されています。
シャフトの特性はそれぞれですので、好みに合わせて選べます。とはいえ、「ステルス2」シリーズのヘッドは比較的重めなので、60g台のシャフトと組み合わせるとかなりハードに仕上がります。ご自身に明確な基準がないなら、50g台から選ぶのが賢明です。
「ステルス2 ドライバー」の平均価格は6万円台前半で推移していましたが10月に入って、メーカーが値下げしたことにより、一気に5万円を切るまでに! 最安値は、もう少しで4万円を切るぐらいのところまで来ています。新製品が出る直前までは、この価格で推移するでしょう
テーラーメイド「ステルス2 HD ドライバー」
基本的な構造や使われているテクノロジーは「ステルス2 ドライバー」と同じですが、異なるのはつかまり性能とボールの上がりやすさ。「HD(ハイドロー)」のネーミングどおり、本モデルのほうがつかまり性能が高く、ボールも上がりやすいのが特徴です。
それでもアスリートモデルであることは間違いなく、極端にやさしいというわけではありません。放たれるボールは低スピンで強弾道ですし、上がりやすいといっても、ほかのアベレージモデルと比べると、そこまでではありません。
つかまりに関しても、スライスがフェード系程度に、ストレートがドローになるぐらいです。ミスへの寛容性はアスリートモデルとしては高いので、しっかり振って、安定した弾道を打ちたいなら候補に入る1本です。ロフト角は大きめがよいでしょう。
「ステルス2 ドライバー」同様、カスタムシャフトのラインアップが豊富です。どれを選んでよいかわからないゴルファーは、純正シャフトを選ぶのが得策です。純正シャフトは、強い個性がない代わりに比較的誰もが扱いやすいシャフト。重複しますが、ロフト角で迷ったら大きめを選ぶとよいでしょう。
「ステルス2 ドライバー」と同じタイミングで値下げが行われているため、値段の推移は同モデルとほぼ同じですが、平均価格は微妙に「ステルス2 HD」のほうが安くなっています。反対に、最安値は「ステルス2 HD」ドライバーのほうが高い。こちらも、新製品が出るまではこのあたりで推移すると思われます。
キャロウェイ「パラダイム ドライバー」
キャロウェイの「パラダイム」シリーズにはドライバーが4モデルラインアップされており、それぞれがターゲットゴルファーに向けて細かく作り込まれています。基本は共通ですが、キーテクノロジーはAIが設計した「フラッシュフェース」。これは、それぞれのモデルがターゲットと据えたゴルファーのミスの傾向や打点のズレなどのデータを使い、AIが何万通りものシミュレーションをして設計した専用フェースのことです。ミスに非常に強く、安定した弾道が見込めます。
この「パラダイム ドライバー」はシリーズの中核を担うモデルで、適度なつかまりと高さ、スピン量のバランスがよく、安定した弾道が打ちやすいドライバーです。また、シリーズで唯一可変ウェイトを搭載しており(限定モデルを除く)、つかまりを調整できる機構を搭載しています。
バリバリのアスリートモデルというわけではありませんが、やや低スピンの弾道で、打ち出しの高さもロフトに対して適正な高さで飛んでいく印象がありますので、ボールが上がりにくいゴルファーには大きめのロフト角がおすすめです。
つかまりに関しては、ほんの少しつかまるかな……程度で、ほとんどニュートラル。ミスへの寛容性はかなり高く、打点のズレによる飛距離ロスや曲がりはかなり抑えられています。
純正シャフトは全体的にしなる印象で、扱いやすい特性。しなり量も大きめなので、ヘッドスピードが40m/sくらいあればSフレックスで問題ないでしょう。42m/s以上あるゴルファーは、Sフレックスで物足りなくなるかもしれません。
カスタムシャフトについて価格.comで見てみると、フジクラの「NXグリーン 50S」、グラファイトデザイン社の「TOUR AD CQ-5 S」、そして、三菱ケミカルの「ディアマナGT 50S」が購入できます。どれも手元がしっかりしていて、ミートしやすいシャフトです。
特徴を述べるなら、張りが強くしっかりはじいてくれる「ディアマナGT」、粘る挙動で強くボールを押してくれる「CQ」、ロフトを立てて強い弾道を打たせてくれる「NXグリーン」といったところ。つかまり性能が高いシャフトが好みなら「NXグリーン」、逆につかまりを抑えたいなら「ディアマナGT」がおすすめです。
ずっと7万円を割ることがなかった「パラダイム ドライバー」でしたが、10月中旬から価格が下がり始め、今では5万円を切るまでに。新製品の発表は恐らくライバルであるテーラーメイドとほぼ同時期なので、それまでは、ほぼこのあたりの価格で落ち着くと思われます。ちなみに、発表から販売に至るまで、キャロウェイのほうが約1か月遅くなるのがここ数年の傾向です
キャロウェイ「パラダイムX ドライバー」
上記「パラダイム ドライバー」をベースに、つかまり性能をやや高め、スライスに悩むゴルファーに合わせて設計されたモデルです。フェースはスライス傾向に悩むゴルファーのミスの傾向に合わせてAIが専用に設計。無理矢理スライスを強制するような性能ではなく、適度なつかまりとフェースの性能によって、スライス系でも飛距離ロスの少ない、安定した弾道が打ちやすい仕様です。
ロフト角は多いほどつかまる方向に働くので、スライスを軽減させたいなら多めをチョイスするとよいでしょう。
純正シャフトは、「パラダイム ドライバー」と同様。扱いやすいので、「パラダイムX ドライバー」との相性も良好です。
カスタムシャフトのラインアップも「パラダイム ドライバー」と同様。フジクラの「NXグリーン」の50S、グラファイトデザイン社の「TOUR AD CQ-5 S」、そして、三菱ケミカルの「ディアマナGT 50S」です。
つかまりのよい「パラダイムX」との相性がよいのは、つかまり性能の高い「NXグリーン」と「CQ」。反対に、つかまりをやや抑えたいのであれば「ディアマナGT」との組み合わせがよいでしょう。
兄弟モデルだけあり、価格は「パラダイム ドライバー」とほぼ同様に推移しています。新製品がどのように進化してくるかはまだわかりませんが、現「パラダイム」シリーズの性能が下がるわけではありませんので、新製品の発表までは現状の価格で買ってしまっても十分お買い得だと思います
繰り返しますが、どんなにすごい新製品が発売されても現行品の性能が下がるわけではありません。最新のモデルが欲しいゴルファーはあと3か月ほど待ったほうがよいですが、よいものを安く手に入れたいというゴルファーは、現状の「ステルス2」や「パラダイム」を購入するのによいタイミングだと思います。
自分自身のパワーを生かしたいと考えるなら「ステルス2」、ミスに強く安定した弾道が打ちたいと考えるなら「パラダイム」が個人的にはおすすめです。
さぁ次の新製品は、どんな進化を見せてくれるか! 楽しみに待ちながら、安く手に入れられる現行品をチェックしましょう。
写真:野村知也