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ヤマハ「RMX」のアイアン3種を比較試打! あなたがスコアアップできる一本はコレだ

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オグさんです! 今回は、ヤマハ「RMX」シリーズのアイアン3モデルについて、それぞれを比較しながら試打レポートをお届けします。

ヤマハのアイアン、左から「RMX VD/X」「RMX VD/M」「RMX VD/R」

ヤマハのアイアン、左から「RMX VD/X」「RMX VD/M」「RMX VD/R」

すでにプロツアーでの実績アリ!

「RMX VD」シリーズは、アスリートゴルファーを中心としたアクティブにゴルフを楽しむ人のために設計されたシリーズで、ツアープロから中・上級者までがターゲットに設計されています。ヤマハのクラブ開発の姿勢は、契約プロからのフィードバックをベースにアマチュアからの意見を取り入れつつ、性能はもちろん、それぞれのターゲットの扱いやすさを重視するというもの。

2023年シーズンは、男子では今平周吾選手、女子では神谷そら選手の両者がそれぞれ「RMX VD」シリーズのドライバーとアイアンを使用して優勝を飾っており、すでに実績を残していると言ってよいクラブです。

今回のシリーズでは、ドライバーとアイアンが、ともにターゲットゴルファーに合わせて3モデル用意され、それぞれ「RMX」の3文字を取って「R」「M」「X」と名付けられています。

「RMX VD」シリーズ、もといヤマハのアスリート向けのアイアンでは、代々契約しているツアープロの意見が色濃く反映されたツアーモデルと、そのツアープロからのフィードバックとアマチュアゴルファーの意見を取り入れたモデルがリリースされてきました。

特にツアーモデルは、長年同社の看板プロである藤田寛之選手の好みに仕上げられており、一定数のファンに愛されてきました。しかし今作は、同選手ではなく今平周吾選手の好みを色濃く反映させているようです。さらに今作ではラインアップが拡充。従来の2モデルから3モデルに増えており、それぞれが個性のあるアイアンに仕上がっています。

2024年モデルの「RMX VD」シリーズのアイアン3モデルを簡単に説明すると以下のとおり。

「R」
・今平周吾選手の好みを色濃く反映させたツアーモデル
・軟鉄鍛造のフォージドモデルでコントロール性にすぐれる
・数量限定販売
・使用プロ:今平周吾、神谷そら 

「M」
・ツアープロが求める操作性や狙う性能とやさしさのバランスを重視したモデル
・軟鉄鍛造ボディにバネ鋼フェースを組み合わせ、飛距離とミスへの寛容性を両立
・使用プロ:藤田寛之、永井花奈

「X」
・慣性モーメントと飛距離性能にこだわった、アマチュアの要望を満たしたモデル
・ミスへの寛容性が非常に高く、直進性の高い弾道が安定して打てる“結果重視”の設計

「RMX VD/R アイアン」

新ツアー系アイアン

軟鉄鍛造製法に、ヤマハ独自の焼きなまし処理を施し、ていねいに作られたフォージドアイアン。ヤマハは「新ツアー系アイアン」と表現していて、前作より重心を深く設計し、ミスへの寛容性やボールの上がりやすさが向上しています。

今作から、ツアー系モデルの設計にあたって意見を聞くメインのプロが藤田選手から今平選手に変更になったようで、両者の考え方の違いがクラブのコンセプトや性能に表れています。

バックフェースはシンプルなハーフキャビティ構造で非常にシンプルです。カラーもモノトーンで、戦う武器! とでも言うべき潔さがカッコイイ! 写真は7番

バックフェースはシンプルなハーフキャビティ構造で非常にシンプルです。カラーもモノトーンで、戦う武器! とでも言うべき潔さがカッコイイ! 写真は7番

左が5番、右が9番

左が5番、右が9番

ヘッド形状は、前作のやや角のある形状とは打って変わって、やや丸みを帯びた形状に変更されています。これは今平選手の好みによるものでしょう。長い番手でブレードが直線的に設計されていますが、ショートアイアンでは丸みを持たせています。

ソール幅はツアーモデルとしては意外と広めですが、リーディングエッジ、トレーリングエッジ側両方が面取りされており、抜けのよさとダフりへの強さを両立させた設計です

ソール幅はツアーモデルとしては意外と広めですが、リーディングエッジ、トレーリングエッジ側両方が面取りされており、抜けのよさとダフりへの強さを両立させた設計です

ツアーモデルらしく、7番で33度と比較的多めのロフト設定。ボールコントロール性を含めたスピン性能に重きを置いているのがわかります。

標準シャフトは、アスリートに人気の高い「ダイナミックゴールド」の精度の高い仕様「EX TOUR ISSUE」のみ。粘りのあるしなりを持つ、手元調子のシャフトです

標準シャフトは、アスリートに人気の高い「ダイナミックゴールド」の精度の高い仕様「EX TOUR ISSUE」のみ。粘りのあるしなりを持つ、手元調子のシャフトです

技術があるほど扱いやすい

構えてみると、前作までとずいぶん変わったなぁと感じました。形状が大きく変更され、アスリートモデルらしいシャープさは健在ながら、やややわらかな印象になりました。

打ってみると、フォージドモデルらしいやわらかな打感に魅了されます。フェースにのっている時間が長く感じるほどソフトな打感で、いかにもコントロールしやすそうです。実際、コントロール性能は非常に高く、さほど大げさに操作しなくてもボールを操れます。

性能面で前作と比べると、ミスにやや強くなり、芯を外しても飛距離ロスが少なくなっています。つかまりはニュートラルで、スピン量はしっかりと入る。ツアープロが求める性能は、前作同様文句なし! 技術があるプレイヤーほど扱いやすく感じる仕上がりです。

ヘッドは小振りで、非常によい振り抜き。操作性もよく、打っていて非常に楽しかったです

ヘッドは小振りで、非常によい振り抜き。操作性もよく、打っていて非常に楽しかったです

吸い付くような打感はフォージドモデルならでは。ヤマハ独自の焼きなまし処理によって、際立ってやわらかな打感を味わえます

吸い付くような打感はフォージドモデルならでは。ヤマハ独自の焼きなまし処理によって、際立ってやわらかな打感を味わえます

7番の打球データです。高さスピン量ともに申し分ありませんね。クラブが余計な動きをせず扱いやすいのですが、アスリート系モデルとしてはミスへの強さを備えているほうだと思います

7番の打球データです。高さスピン量ともに申し分ありませんね。クラブが余計な動きをせず扱いやすいのですが、アスリート系モデルとしてはミスへの強さを備えているほうだと思います

「RMX VD/M アイアン」

ツアー系ディスタンスアイアン

軟鉄鍛造ボディにバネ鋼フェースを組み合わせたコンポジットアイアン。ヤマハはこのモデルを「ツアー系ディスタンスアイアン」と表現しています。裏側にスリットを入れたフェースによって広い反発エリアを実現し、バックフェースには肉厚のバッジを搭載することで飛距離とミスへの寛容性、フィーリング面を両立させています。

さらに、適度な深重心設計にすることで、ツアープロが欲する狙う性能と、アマチュアが欲するやさしさや飛距離性能をちょうどよいバランスで持ち合わせるアイアンです。

ツアーモデルの「R」アイアンとほぼ同じデザイン。シンプルで、いかにもアスリートモデル! と言った雰囲気を持っています。写真は7番

ツアーモデルの「R」アイアンとほぼ同じデザイン。シンプルで、いかにもアスリートモデル! と言った雰囲気を持っています。写真は7番

左が5番、右が9番

左が5番、右が9番

ヘッド形状は「R」と同じく、長い番手には直線的なブレードを、ショートアイアンでは丸みを持たせています。ブレードの厚さがやや増しており、当たり負けしなそうな安心感がありますね。

「R」と比べるとソール幅が広く、トレーリングエッジ側だけ面取りされています(「R」はリーディングエッジ側も削られる)

「R」と比べるとソール幅が広く、トレーリングエッジ側だけ面取りされています(「R」はリーディングエッジ側も削られる)

ロフト設定は7番で31度とやや立っており、一般的なアベレージアイアンに近いもの。飛距離性能を適度に持たせています。

基本のシャフトラインアップは、90g台の「N.S.PRO 950GH neo」と100g台の「N.S.PRO モーダス3 TOUR105」。しなりを感じやすく適度な粘り感を持つ「950GH」と、シャキッとしたしなり感で強振してもつぶれすぎない「モーダス105」といった違いがあります。しっかりと振っていきたいのであれば「モーダス」がおすすめです。

やや軽量でありながら剛性感が高く、つぶれすぎない「モーダス105」。強振に耐えうる軽めのシャフトをお探しの人におすすめ

やや軽量でありながら剛性感が高く、つぶれすぎない「モーダス105」。強振に耐えうる軽めのシャフトをお探しの人におすすめ

すべてのバランスに秀でるモデル

構えた印象は、アスリート顔なのに難しそうに見えない! 「R」の流れを汲んだ形状ですが、ひと回り大きめで、サイズによる安心感があります。

打ってみるとロフト以上にボールが上がり、スピン量もしっかり確保されている印象。それでいて打点のミスには比較的強く、直進性は高い。びっくりするほど飛ぶわけではありませんが、ゴリゴリのアスリートモデルと比べておよそ1番手分ほど飛距離が出ます。

ゴルファー全体のニーズをバランスよく持ち合わせるようなアイアンと言えるでしょう。

左が「R」で右が「M」。デザインはほぼ同じで、ぱっと見では見分けがつきません。「M」のバックフェースはバッジなので、わずかに隙間があることくらいが相違点です

左が「R」で右が「M」。デザインはほぼ同じで、ぱっと見では見分けがつきません。「M」のバックフェースはバッジなので、わずかに隙間があることくらいが相違点です

7番のデータです。「R」よりロフトが立っているにもかかわらず、弾道が高い。飛距離は半番手分ほど多く出ています。直進性も高いので、打ち比べると安定感は明らかに「M」のほうが高いと言えます

7番のデータです。「R」よりロフトが立っているにもかかわらず、弾道が高い。飛距離は半番手分ほど多く出ています。直進性も高いので、打ち比べると安定感は明らかに「M」のほうが高いと言えます

「RMX VD/X アイアン」

大慣性モーメントアイアン

ウェイトをトゥ側とヒール側に搭載して慣性モーメントを高めることで、ミスへの寛容性を最大限に高めたモデルで、前作「VD40」の後継に当たります。独自の「図心リブ構造」を採用することで、フェース厚を薄肉化させ飛距離性能を向上させています。

バックフェース全体に樹脂バッジを装着することで、心地よい打感を獲得しています。さらに、形状を洗練させたことで構えやすさがアップしており、コンセプトは前作と同じながら、すべての面で進化しました。

前作はバックフェースが大きくえぐれたキャビティバックでしたが、今作はバックフェース全体にバッジをはめ込むことで、マッスルバックとまではいきませんが、滑らかな外観に変貌。ヒール側の出っ張りが目を引きますが、構えるとまったく見えず、気になりません。写真は7番 

前作はバックフェースが大きくえぐれたキャビティバックでしたが、今作はバックフェース全体にバッジをはめ込むことで、マッスルバックとまではいきませんが、滑らかな外観に変貌。ヒール側の出っ張りが目を引きますが、構えるとまったく見えず、気になりません。写真は7番 

左が5番、右が9番

左が5番、右が9番

ヘッドの全体的な輪郭は「R」や「M」と同じ流れ。わずかに丸みを持たせており、グースネックも強め。ボールを包み込むようなやさしい印象を与えてくれます。

トゥ側に搭載されたタングステンウェイトのビスが目を引きますね。シリーズ中最も幅広いソールですが、面取りがされており、ある程度の抜けのよさを追求しています

トゥ側に搭載されたタングステンウェイトのビスが目を引きますね。シリーズ中最も幅広いソールですが、面取りがされており、ある程度の抜けのよさを追求しています

ロフトは7番で28度と、かなり立った設定。大きなヘッドとミスへ寛容性の高さを最大限に生かし、立ったロフト角によって高い飛距離性能を追求しています。

標準シャフトには、オリジナルの70g台のカーボン「TENSEI TR i」と、90g台のスチール「N.S.PRO 950GH neo」をラインアップ。ミスへの寛容性を高めたモデルなので、軽めのシャフトが用意されています。ある程度振れるゴルファーならスチールがおすすめ。

専用設計のオリジナルカーボン。しなりが大きめで、楽に振れるシャフトです

専用設計のオリジナルカーボン。しなりが大きめで、楽に振れるシャフトです

抜群の直進性がイイ!

構えた印象は、抜群の安心感と言ったところ。大きめのフェースに堅ろうそうな厚めのブレードで、どこで打っても飛んでくれそうです。それでいて形状に鈍重な感じはほとんどなく、構えやすいのがこのアイアンの美点でしょう。

打った印象は本当に曲がらない! 大きく芯を外しても、飛距離ロスはあるものの、高い直進性によりほとんどコース内に収まります。高さも十分で、非常に高い安定感があります。飛距離は、びっくりするほどではないにせよ、高いと言えます。

アスリートモデルにラインアップされるだけあって、狙う性能は最低限確保されているので、シンプルにプレーしたいゴルファーにとって大きな武器になると思います。

トゥ側とヒール側に重さを集中させることで、慣性モーメントを高めています。芯を外してもサイドスピンがかかりづらく、直進性の高い弾道を安定して打てます

トゥ側とヒール側に重さを集中させることで、慣性モーメントを高めています。芯を外してもサイドスピンがかかりづらく、直進性の高い弾道を安定して打てます

こちらも7番のデータ。この直進性の高さが最大の特徴です。少々芯を外しても曲がりが少なく、ボールが上がってくれるため、スイングが安定していないゴルファーでも安定してボールを飛ばせるでしょう

各モデルに合うのはこんなゴルファー

「RMX VD」シリーズのアイアンは、形状にこそつながりはあるものの、3モデルとも個性をしっかりと持ち、幅広いゴルファーに対応したシリーズに仕上がっていました。

3モデルを簡単にまとめると下記のとおり。

「R」
・毎ショット打つ弾道をイメージしてコントロールする上級者向け
・ボールコントロールを身に付けたい中級者にもよい
・ライバルモデルは、ブリヂストン「221CB」やダンロップ「スリクソン ZX7 MkII」など

「M」
・ボールコントロールもある程度するが、ミスへの強さも欲しい競技ゴルファー向け
・技術が向上してもひとつのモデルを長く使いたい上達思考の強いゴルファーにもよい
・ライバルモデルは、ダンロップ「スリクソン ZX5 MmkI」やミズノ「Mizuno Pro 245」など

「X」
・とにかくボールを曲げたくないゴルファーにぴったり
・スイングの構築よりもスコアを優先させたい人にも合う
・ライバルモデルは、タイトリスト「T400」やピン「G430」など

日本のブランドらしくていねいに作り込まれた個性豊かな「RMX VD」シリーズ。ぜひ試打してもらいたいアイアンです。

写真:野村知也

小倉勇人
Writer
小倉勇人
ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。
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芝崎 瞬(編集部)
Editor
芝崎 瞬(編集部)
自動車専門媒体からゴルフ専門メディアを経由し、価格.comマガジンへ。クルマは左ハンドルMTに限る! と思って乗り継いでいたが翻意して今は右AT。得意クラブは、強いて言えばミドルアイアン。
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