オグさんです。2023年は各社からアイアンがたくさんリリースされました。ジャンルも幅広く、ツアープロが好むアイアンからアベレージゴルファーの味方になるモデルまで、”アイアンの豊作年”と言ってよい年でした。
後に“名器”と呼ばれそうなものもあります。たとえば「スリクソン ZX5 MkII」はJLPGAで7勝をあげたモデルで、アマチュアにも非常に人気があります。
今回は、各社の2023年モデルのアイアンから、「操作性にすぐれるモデル」を5つピックアップして紹介します。
ミズノ「Mizuno Pro 241」
2023年に発売されたアイアンの中で、操作性5傑のひとつめは、ミズノの「Mizuno Pro 241」。同社が得意とする軟鉄鍛造技術を最大限に生かした最新のマッスルバックモデルです。
素材に軟鉄以外を使用せず、設計と素材、そして製造技術で勝負した潔いアイアンで、操作性や打感などのフィーリングを重視しています。
芯で打ったときの感触は、フェースにのったソフトな感触と、カチッとしたクリアでソリッドな感触を両方味わえる稀有なもの。この感触を味わいたいがために、ボールをずっと打ってしまいます。
操作性は、現代のモデルの中ではきわめて高く、細かいボールコントロールが非常にしやすい。半面、ミスへの寛容性は決して高いとは言えず、打点がズレた際の飛距離ロスは少なからず生じます。ある程度打点が安定するゴルファーに向けたモデルです。
操作性 ★★★★★
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キャロウェイ「APEX MB」
「APEX」はキャロウェイのアイアンによく使われるブランドで、中・上級者向けのモデルを多く揃える印象。「APEX MB」はシリーズ中、最もツアープロやアスリート向きのモデルです。
このアイアン、「MB」(マッスルバック)を冠しているのですが、意外とミスに強く、それでいて操作性も高く仕上がっています。
ボディとフェースは軟鉄鍛造ですが、バックフェースにタングステンプレートを搭載しており、これがミスへの適度な寛容性をもたらしているようです。操作性は必要十分で、これに不満を持つゴルファーはいないでしょう。形状は小振りでヌケもよく、操作性を高めに維持しながらミスへの適度な強さを併せ持つアイアンです。
操作性 ★★★★☆
タイトリスト「T100」
多くのツアープロに人気の、タイトリストのアイアン「T」シリーズ。ニーズに合わせて5つのモデルを用意していますが、最も操作性を重視したモデルが「T100」です。
ボディは軟鉄鍛造ですが、長い番手はフェースにバネ鋼を使い、ヘッド内部にタングステンを内蔵。うまくヒットできたときはもちろん、打点が少々ズレてもよい結果につながりやすくなるように設計されたアイアンです。
操作性は高く、打球を上下左右にしっかりとコントロールできます。打点のミスにもある程度強く、特に長い番手からはそれがより顕著な印象を受けます。長い番手と短い番手で2種類のフェースを使い分けているのですが、打感に差を感じないところも美点。フィーリング面までしっかり考えられていることが感じられます。
操作性 ★★★★☆
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ヤマハ「RMX VD/R」
ヤマハの「RMX VD」(リミックス ヴイディー)シリーズのアイアンは3モデルラインアップされており、この「RMX VD/R」は同社契約の今平周吾選手の好みが色濃く反映されたモデル。
ヘッド形状はもちろん、ソールに至るまで細かい部分までこだわって作られたそうで、アイアンの名手と呼ばれる今平選手の好みを体感できるアイアンです。素材は軟鉄のみを使用し、鍛造製法で成形。さらに「焼きなまし製法」で仕上げることでやわらかな打感を実現しています。
こちらも操作性は高く、細かなボールコントロールができます。バックフェースはハーフキャビティ構造で、ミスヒット時にも打球のバラツキを軽減するなど、バランスの取れたアイアンに仕上がっています。
操作性 ★★★★☆
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ダンロップ「スリクソン Z-FORGED II」
最後は、ダンロップのアスリートブランド、スリクソンの「Z-FORGED II」。松山英樹選手を始めしたダンロップ契約プロの意見を集約して設計されたモデルで、スリクソンのフラッグシップモデルです。軟鉄のみを使用した鍛造モデルで、操作性はもちろん、ソリッドな打感でフィーリング面も抜かりなし。
個人的な感想として。は、左右の操作性は意外と抑えらえている印象。グリングリン曲がるというよりは、過度の敏感さは抑え、より実戦で実力を発揮するアイアンです。
最新のマッスルバックアイアンですので弾道の高さやスピンコントロールは非常にしやすく、見た目よりは扱いやすい。コースでは結果も出しながら、技術的な要素を日々磨きたいゴルファーにおすすめです。
操作性 ★★★★☆
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以上で紹介してきた「操作性のすぐれたアイアン」は、上級者に向けたモデルであることは間違いないのですが、同時に“上級者だけのモデルではない”と私は思います。現状スコアだけを追求するのであれば、必ずしもこの手のアイアンを選ぶ必要はなく、ミスに強いあるいは飛距離が出るなど、スキルやニーズに合ったモデルを選べばいいでしょう。
しかし将来的なスキルアップを目指す場合、操作性にすぐれたアイアンはその手助けをしてくれます。なぜなら、ナイスショットとミスヒットの差が、打球にも感触にも如実に表れるから。スイングエラーをクラブが教えてくれるというわけです。
私はずっと操作性のすぐれたモデルを愛用しています。理由は、ボールを操ることがシンプルに楽しいから。スコアを追求するだけでなく、ボールを操作することに楽しさを感じられるようになると、さらにゴルフが楽しくなりますよ!
写真:野村知也