オグさんです。今回は、テーラーメイドのドライバーの新旧比較をしてみたいと思います。
2024年モデル「Qi10」と2023年モデル「ステルス2」を比較し、どちらを買うのがお得なのか、皆さんの購入ガイドになるべく、打ち比べた印象を交えて解説していきたいと思います。
「Qi10 MAX ドライバー」(左)と「ステルス2 ドライバー」(右)
「Qi10」と「ステルス2」のドライバーは、ともにフェースにカーボンを採用しています。メリットは軽さ。金属フェースでは実現不可能な重量配分ができるので、理想の重心設計を追求できるのはもちろん、物体としてのバランスもすぐれています。
フェースだけでなく、クラウンやソールにもカーボンを使って本体を軽量に仕上げることで、多くの余剰重量を獲得。両モデルともにその余剰重量を使い、各モデルが求める特性に照準を合わせて設計されています。
2024年モデル「Qi10」は、慣性モーメントを高めてミスへの寛容性を向上させながらも、直進性が高く安定した強弾道を追求しています。
対して2023年モデルの「ステルス2」は、ミスへの寛容性をある程度高めながら、つかまりすぎず“たたける”ドライバー。
クラブの持つやさしさに依拠し、安定した弾道を好むなら「Qi10」、自分でしっかり振り、左へのミスをある程度抑制したいなら「ステルス2」。両者にはこのような差異があると思います。
次に、価格.comにおける価格を見ていきましょう。価格.comの売れ筋ランキング上位に入っている「Qi10 MAX」と「ステルス2」の価格差はおよそ26,000円。この差をどう見るかがポイントとなるでしょう。
テーラーメイドは新モデルを毎年発表、発売しています。「ステルス2」は旧モデルと言っても2023年モデルですから、2年おきに発表されるメーカーと比較すると、同時期に発売されたクラブなのに、価格が下がっている状態です。
「ステルス2」を“旧モデル”と見れば高いと感じるかもしれませんが、昨年発売されたモデルと見れば安く感じやすい。どの角度から見るかによって、この価格差の印象は変わるでしょう。
「Qi10」は現行モデルということもあり、価格はほぼ横ばい。高い人気を維持していることが価格にも表れていますね。今後ゆるやかな下降はあるかもしれませんが、秋頃までは価格の大きな変動はないと予想します
「ステルス2」は、2024年3月に大きな変動を見せています。これは予想ですが、新モデルの「Qi10」が市場にある程度行き渡った時期と重なります。メーカーによる価格調整があったのか、それとも購入を検討していたゴルファーがそれぞれを比較して購入した結果による影響なのか、どちらかでしょう。現在は、かなりリーズナブルな価格で落ち着いています
「Qi10 ドライバー」(左)と、「ステルス2 ドライバー」(右)
「Qi10」対「ステルス2」は、いわゆる“スタンダードモデル”同士の比較です。どちらもアスリート向けのブランドであるため、ボールをつかまえる技術をある程度要求されますが、どちらかと言えば「ステルス2」のほうが若干ハードな印象です。
テーラーメイドのテクノロジーによるミスへの寛容性はどちらも高いのですが、直進性がより高いのは「Qi10」、たたいても左に行きにくいのが「ステルス2」です。
どちらも、基本性能やターゲットとするゴルファーは同じなので大きな違いはありませんが、筆者が打って安定するのは「Qi10」でした。目標に対して打ち出しやすかったです。
「ステルス2」もミスには十分に強いのですが、たまにボールをつかまえきれず、右に打ち出すことがありました。
打ち手を選ばない「Qi10」。たたいていきたいなら「ステルス2」、といった感じです。
「Qi10 MAX ドライバー」(左)と、「ステルス2 HD ドライバー」(右)
どちらも、属するシリーズの中で最もやさしいとされるポジションのモデルですが、味付けはかなり異なります。
「Qi10 MAX」は慣性モーメントを最大まで高め、打点のズレにめっぽう強く、直進性が高いドライバー。対する「ステルス2 HD」は、重心距離を短めにして、適度なつかまりと打点ズレにまずまず強いことでボールを安定して飛ばすドライバー。
発売当時の「ステルス2 HD」は、打点のズレに十分強かったのですが、「Qi10 MAX」と比較すると“そこそこ”といった感じです。性能が落ちたわけではないのですが、それくらい「Qi10 MAX」は打点ズレに強いのです。
選び方は、とにかく安定感を求めるなら「Qi10 MAX」、右へのミスを少なくしたいなら「ステルス2 HD」といった感じです。
「Qi10 LS ドライバー」(左)、「ステルス2 プラス ドライバー」(右)
どちらも、つかまりを抑えた強弾道ドライバーです。味付けの方向性は同じですが、性能にはやはり差があります。
「Qi10 LS」は、つかまりを抑えてはいますが右へのミスが起きにくく、ヘッドターンが比較的しやすい特性です。狙った方向へ打ち出しやすい“扱いやすさ”を持っています。
対する「ステルス2 プラス」は、強振しても左に行かないアスリートモデルらしい仕上がりですが、ちょっと気を抜くとプッシュアウトを誘発しかねない気難しさがありますね。
ミスへの寛容性は「Qi10 LS」のほうがやや高いです。左へのミスをとにかく抑えたい! という人には「ステルス2 プラス」のほうが安心ではありますが、多少ミスをしても方向性が安定しやすい「Qi10 LS」のほうが、総合的な安定感は高いと思います。
ちなみに、どちらも「テーラーメイドセレクトフィットストア」限定販売です。
本稿で比較した各モデルの価格差は、およそ3万円。性能面では、やはり新しい「Qi10」シリーズのほうが、高いトータルパフォーマンスを持っていると言えます。
「ステルス2」シリーズは、やや尖った性能を持っており、それを求めているゴルファーにとってはリーズナブルな価格で手に入るのですから、とても魅力的でしょう。
どちらがお得かとなると、これはもう、そのプレイヤーが何を求めているのかで変わるでしょう。クラブに求める性能がはっきりしているならば、「ステルス2」シリーズが買いですね。自分に合うのはどんなクラブかわからないのであれば「Qi10」シリーズがよいでしょう。
単純に性能だけで比較すれば新しいモデルのほうがすぐれていることがほとんどですが、コストパフォーマンスという項目が入ってくると話は変わってきます。本稿が皆さんのお買い物の満足度を高めるヒントになれば至極幸いです!
写真:野村知也