オグさんです。今回はミズノの「ST-MAX 230 ドライバー」の試打レビューをお届けします。
「ST-MAX 230 ドライバー」
ミズノは、ご存じのとおり世界的に有名なスポーツメーカーで、さまざまなスポーツギアを開発・販売しています。ゴルフギアでは、フォージド、いわゆる軟鉄鍛造アイアンが全世界で高い評価を受けています。
片やウッドは、アイアンほど認知されていませんでした。そんなミズノのウッドの評価を大きく変えたのがこの「ST」シリーズ。「ST」シリーズは、当初海外で展開されていたブランドでしたが、高い評価を得て、日本へ逆輸入が決定。2020年から日本でも発売が開始されました。
そんな「ST」シリーズの最新モデルが「ST230」シリーズ。発売当初は、つかまりがよいドローバイアス設計の「ST-X」と、直進性を高めてつかまりを抑えた「ST-Z」の2モデルをラインアップしていましたが、2024年3月に、直進性と安定感を高めた「ST-MAX」が追加されました。
「ST230」シリーズは、「コアテックチャンバー」と呼ばれる独自技術を搭載しています。フェースのすぐ裏側に、ステンレスを内蔵したエラストマーのパーツを組み込むことで、インパクトの瞬間に生まれる慣性力をヘッドがボールを押し返す反力に上乗せし、ボール初速を高める技術です。フェースも非常に凝っており、独自の素材である「Ti-LFS」を採用し、同じく独自の肉厚設計を組み込んだ「コアテックフェース」を搭載しています。
今回は、新しく追加された「ST-MAX」を中心に、3モデルを見ていきましょう。
ブラックをメインに、ミズノらしい鮮やかなブルーをアクセントに使った配色。デザインはシンプルですが、ロゴを大きめに配置し、ひとめでミズノのクラブとわかりますね
輪郭にやわらかい角を持った独特な形状。後方の角がフェースの真裏に来るように設計されています
ソールは船底のような丸い形状で、かなりディープなフェースですね。また、後方が下がったシャローバックデザインから、ボールが上がりやすそうな印象を受けます
「ST230」シリーズに合わせて設計されたグラファイトデザイン製の「TOUR AD GM D」。50g台の重量設定で、穏やかなしなり特性を持つミートしやすいシャフトです
「ST230」シリーズで、最もつかまる仕様。ソール後方、少しヒール側に寄った位置にウェイトを搭載し、深重心かつ適度な短重心にすることで、オートマチックにボールがつかまりやすい大きめの重心角を作り出しています。
ヘッドを地面に置くとフェースが少しだけ左を向き、構えたときの印象と実際の性能がリンクするように設計されています。
打ってみると、適度なスピンをともなうドロー系弾道が自然と出る印象。バラつきの少ない安定した弾道が打てました。
ウェイト位置とヘッドの据わりが、性能と一致するあたりにミズノのこだわりを強く感じます。使い手のことを考えたていねいな仕上がりです
こちらは深く長い重心を持ち、上級者が懸念するつかまりすぎを抑えつつ、直進性を高めたモデル。ウェイトはソールの最後方に位置しており、打点ズレによるヘッドのブレを最大限に抑えるよう深い重心を追求しています。
つかまりすぎを抑えた性能は、ヘッドを地面に置いたときのフェースの向きにも表れており、適度に右を向きます。
弾道は、打点のミスによる安定感と直進性の高さで、こちらもバラつきの少ないのが特徴。「ST-X」は安定したつかまり性能で安定感を演出していますが、「ST-Z」はつかまりを抑えている分、ヘッドのブレの少なさで安定感を演出している、といった違いがあります。
ぱっと見の印象は「ST-X」「ST-Z」ともよく似ていますが、構えて地面にソールすると、その性能の違いが見えます。「ST-Z」は少し右を向き、つかまりを抑えた性能であることを認識させてくれますね
「ST-MAX」を構えた印象は、ほかの2モデルと比較しても印象に差はありませんでした。ヘッドを地面に置いたときのフェースの向きは、両者の中間ぐらいです。
お借りしたスペックは、ほかの2モデルにも装着される純正の「TOUR AD GR D」シャフトのフレックスS。ロフト角は10.5度のみの設定ですが、弾道調整機能付きで±2度の調整が可能です。試打はノーマルポジションで行いました。
ヘッドスピード40m/sを意識して試打開始。何球か打ってみると、ほかの2モデルよりもボールが上がりやすく、楽にキャリーが稼げる弾道が打てました。スピン量は適度で、安定した弾道が打てますね。
「ST-MAX」は独自技術の「コアテックチャンバー」のサイズがほかの2モデルよりも大きく、反発エリアが拡大されているのですが、打ち比べてみるとその差を実感できます。特に左右の打点のズレに対して強くなっており、結構大きめに打点がズレても飛距離ロスは少ないですね。
クリアなはじき感を味わえる爽快な打感で、余計な振動が少ない印象。打感にこだわるミズノらしい仕上がりです
ヘッドスピードを高めていくとより高弾道になりますが、それ以外に変化は少なく、直進製の高い高弾道キャリーが安定して期待できるモデルといった仕上がりです。
「ST-X」と比較するとつかまりは抑えられていますが、打点ズレのミスに強く、ボールが上がりやすい。「ST-Z」と比較すると、適度につかまり、打点ズレのミスに強く、ボールが上がりやすい、といった感じです。
両者の中間に位置するのですが、より高弾道でミスに強いモデルです。
「ST-Z」と同じ位置に搭載されているウェイトですが、脱着できない固定式。ウェイト付近の仕上げが「ST-Z」よりも幅広で、デザインのアクセントとしてもきいています
「ST-MAX」のデータです。適度なスピンと高さ。直進性の高い弾道と、安定感の高さを物語るよい数値です。打てば打つほど、数値よりも使いやすさや結果を追求したようなクラブだと感じました
「ST-230」シリーズのドライバーは、使用するゴルファーのことをていねいに考えたクラブでした。ドライバーに求められる性能が明確なゴルファーに向けた「ST-X」と「ST-Z」。さらに「ST-MAX」を投入し、何を使えばよい結果につながるのか、いまいちわからないゴルファーにも対応しました。
どのモデルも、それぞれの持つ性能をしっかり認識させてくれる作り込みと、扱いやすい性能に強く感心しました。
シリーズとして見えるライバルモデルは、スリクソンの「ZX MarkII」シリーズと、ブリヂストンゴルフの「B」シリーズですね。
自分にとって結果の出るドライバーがどういったモデルなのかを確認でき、性能を明確に作り分けた「ST230」シリーズは、どれもトータルバランスがよい! ぜひ試打してみてください。
写真:野村知也