Daddy’s Sneaker

【最速レビュー】ポストマンシューズがモチーフのニューバランス「BB550P」は“ぽくない”から何にでも似合う!

本企画「Daddy's Sneaker」は、30〜40歳代のパパにとって本当に使えるスニーカーを模索する連載企画。ここで言う同世代の平均的なパパたちとは、以下のように定義づけています。

・平日はスーツ姿で出勤。休日は全身ファストブランドで無難な感じにまとめがち
・休日のお出かけは、家族や子どもを連れて公園や地元のショッピングモールへ
・自由に使える1か月分のお小遣いは3〜5万円

そんなパパたちがスニーカー選びで押さえておくべきは以下の3点です。

生活圏内でも浮かないデザイン
公園でも子どもと走り回れる機能性
地方でも買えて、価格は20,000円台前半まで

以上の条件から導き出されるのは、「トレンドを超越したスタンダード」。履けば思わずテンションが上がり、とはいえ浮くことはない。ひと言で表すなら、“地に足のついたスニーカー”。ここでは、そのおすすめモデルと、その履きこなし方を紹介します。

【第39回テーマ】ロゴが目立たないからどんな格好にも似合う、革靴感覚の“ぽくない”ニューバランス

パパ世代に限らず老若男女から愛されているニューバランス。続々リリースされるラインアップの中から、2020年に復刻された80年代バッシュをベースに、“働く人のシューズ”というモノ好き心をくすぐる要素を加えた注目作を紹介!

パパ世代に限らず老若男女から愛されているニューバランス。続々リリースされるラインアップの中から、2020年に復刻された80年代バッシュをベースに、“働く人のシューズ”というモノ好き心をくすぐる要素を加えた注目作を紹介!

いきなりですが、“栄枯盛衰”なんて言葉、ありますよね。意味を「広辞苑」で引くと、「人・家・国家などの勢いにも、盛んな時と衰える時のあること」とあります。要は、栄えたり衰えたりを繰り返す人の世のはかなさを表した言葉です。鎌倉時代に成立したとされる「平家物語」にも登場するくらいですから、いつの時代にも、どの業界にも通ずる話であって、スニーカー業界もまたしかり。

リリースされれば即プレミア化されるなど、圧倒的人気を誇っていたはずのブランドも、気が付けば街であまり見かけなくなり、別のブランドが台頭する。そして、そのブランドの勢いが衰えると、また別のブランドが浮上してくる。ハイテクが流行れば、その対抗勢力としてローテクが盛り上がり、さらにその次はスニーカーではなく革靴に注目! というサイクルを繰り返し、今に至っています。そこで気になるのが、その“今”というのは、どんな状況なのか? どうやら近頃は、このローテクから革靴へのフェーズに入っているようなのです。

というワケで、今回ピックアップするブランドは、前回に引き続き、New Balance(ニューバランス)。2020年に復刻されて話題を呼んだバッシュ「BB550」をベースに、モノ好きオジさんの心をくすぐるアレンジが施されたモデルを発売前に最速レビュー! その履き心地はもちろん、デザインや機能といったシューズの特色に触れながら、「どんなスタイルに合うのか?」といった視点を踏まえつつ、「なぜ買いなのか!?」を検証してみました。

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2024/02/01 19:00

そもそも「BB550P」ってどんなモデル?

そもそもの始まりは1989年のこと。この年、「PRIDE550」というモデルがアスリート向けバスケットボールシューズとして発表されました。このモデルは、フィッティングにすぐれた肉厚なアッパーと、クッション性の高いミッドソールが生み出す高いパフォーマンス性能から人気を博しましたが、そのフォルムや特徴を踏襲し、2020年12月に復刻されたのが「BB550」。これが今回紹介する「BB550P」のベースモデルです。

冒頭でも触れたように、本作を推す最大の理由が“モノ好きオジさんの心をくすぐるアレンジ”です。パッと見は、スポーティーなバッシュというよりは無骨なレザー短靴といった佇まい。そして気になるのが、モデル名の最後に入っている「P」の文字。そう、ここに本作をピックアップした理由が隠されているのです。ということで早速、実物写真をご覧いただきつつ、その魅力を掘り下げていきましょうか。

レザー短靴を想起させる、大人っぽくシックで洒脱なスタイル

ニューバランスの「BB550P」(ブラウン)。メーカー希望小売価格は18,700円(税込)。3月中旬発売予定

ニューバランスの「BB550P」(ブラウン)。メーカー希望小売価格は18,700円(税込)。3月中旬発売予定

「BB550」の魅力のひとつが、80年代のバッシュらしい絶妙なボリューム感。本モデルにおいてもそこを忠実に継承しながら、アッパー&ソールのトーンを揃えることで統一感のあるルックスに仕上げています。カラーバリエーションとしては、ワークシューズ然とした大本命の「ブラック」、クリーンでこなれた印象を与える「ホワイト」、無骨さと洒脱さを持ち合わせた「ブラウン」の3色がラインアップされています。

今回は、本連載のテーマである“生活圏内でも浮かないデザイン”という点を考慮しつつ、冒頭で述べた「今は、ローテクから革靴へのフェーズに入っている」という部分を意識して、大人の足元に似合う革靴の風格と洒脱さ、無骨さを持ち合わせた「ブラウン」をセレクト。では、いよいよシューズの細部にフォーカスしていくとしましょう。

アメリカの郵便配達員御用達モデルと名作バッシュをマッシュアップ

シボ感のあるやわらかなレザー素材のアッパーサイドには、「フライングNBロゴ」を型押し

シボ感のあるやわらかなレザー素材のアッパーサイドには、「フライングNBロゴ」を型押し

シュータンにあしらわれていた大きめのラベルを取り外すことで、シンプルかつ大人の印象に

シュータンにあしらわれていた大きめのラベルを取り外すことで、シンプルかつ大人の印象に

まずはシューズの顔であるアッパーから。ベースモデル「BB550」らしい80年代バッシュのパネルデザインは残しながら、やわらかく足なじみのよいシボレザーを採用。ベースモデルにはあったパンチングなどのスポーティーな要素を排するいっぽう、サイドパネルの「Nロゴ」を「フライング NBロゴ」の型押しに変更するなど、クラシックな雰囲気を強めることで新鮮なルックスへと仕上げています。

また、「BB550」の外的特徴のひとつであったシュータンラベルと、甲部分にあしわれた「550の刺繍」を同時に省略。ブランドロゴと重なるように配置されたバスケットボールモチーフのアイコニックなデザインも捨て難かったのですが、これだけで一気にシックな雰囲気に変容しています。また、シンプルさが増したことで、汎用性の面でも底上げされています。

ブラウンのシボ革に、グリーンベース×黒文字のピスネームが主張

ポストマンシューズの特徴であるピスネーム。元デザインは黒ベース×緑文字ですが、色を反転させて緑ベース×黒文字に

ポストマンシューズの特徴であるピスネーム。元デザインは黒ベース×緑文字ですが、色を反転させて緑ベース×黒文字に

ヒール部分は、new balanceロゴを刺繍にて表現(通常の「BB550」では「フライングNBロゴ」)

ヒール部分は、new balanceロゴを刺繍にて表現(通常の「BB550」では「フライングNBロゴ」)

さて、いよいよ本モデル最大のポイント“モノ好きオジさんの心をくすぐるアレンジ”について。ニューバランスは公にうたっていないので知らない人も多いのですが、本国アメリカのUSポスタルサービスでは、同社の「MK706」というモデルが公認シューズとして配達員に支給されています。もうおわかりですね。本モデルの名称に入っている「P」とは「POSTAL=郵便」を意味し、郵便配達員の彼らが履くサービスシューズ(いわゆるポストマンシューズ)をデザインソースとして、落とし込んだのが本モデルというワケです。

そして、その象徴が「緑色のピスネーム」。これはUSポスタルサービスが郵便配達員にタグ付きシューズの着用を義務化していることに由来するディテールです。元デザインは黒ベース×緑文字ですが、今回はカラーを反転させた緑ベース×黒文字に。ついでにヒール部分には、「new balanceロゴ」を刺繍にて表現。後ろ姿も大人っぽく、クラシカルな雰囲気がたまりません。

オーソライト&フルレングスEVAを搭載し、快適な履き心地を実現

インソールには「オーソライト」を搭載し、快適な履き心地を実現。ピスネームと同色のグリーンもいい感じ

インソールには「オーソライト」を搭載し、快適な履き心地を実現。ピスネームと同色のグリーンもいい感じ

アウトソールは耐久性にすぐれた硬めのラバーを使用。コート内でのストップ&ゴーを想定して設計されたトレッドパターンで、グリップ力も兼ね備えています

アウトソールは耐久性にすぐれた硬めのラバーを使用。コート内でのストップ&ゴーを想定して設計されたトレッドパターンで、グリップ力も兼ね備えています

デザインベースとなった「MK706」は、歩行性能に特化したウォーキングカテゴリーに属していましたが、本モデルが属するのはライフスタイルカテゴリー。とはいえ、履き心地が重要なのは変わらずです。そこで、クッション性、通気性、耐久性にすぐれた「オーソライト」を搭載したインソールを採用。そして、クッショニングについて触れるのであれば、ミッドソールとアウトソールにも注目せざるをえません。

ミッドソールにはフルレングスのEVAを用いて、高いクッション性と安定性を実現。対となるアウトソールには硬めのラバーを使用し、すぐれた耐久性とグリップ力を兼備しています。これにリアフットカウンターの補強材が生み出す安定性や、インソールの土踏まず部分によるアーチサポートが加わることで、長時間の着用&歩行においても快適に過ごせます。

カラバリは本命「ブラック」と「ホワイト」! どれも選んでもハズレなし

ポストマンシューズ然とした「ブラック」と、クリーンな印象を与える「ホワイト」もラインアップ。「ブラック」のヒール刺繍は「ブラウン」同様にグリーン糸ですが、「ホワイト」のみアッパーと同色のホワイト糸を採用しています

ポストマンシューズ然とした「ブラック」と、クリーンな印象を与える「ホワイト」もラインアップ。「ブラック」のヒール刺繍は「ブラウン」同様にグリーン糸ですが、「ホワイト」のみアッパーと同色のホワイト糸を採用しています

ついでにほかのカラーバリエーションもご覧あれ。ポストマンシューズらしさを狙うのであれば、やはり「ブラック」が大本命。汚れが目立ちづらいというメリットがあり、重厚感と、イイ意味での野暮ったさも好印象。そしてもうひとつが、春らしく爽やかな「ホワイト」。ソールは経年変化の雰囲気を伝えるセイルカラーを採用。簡単なようで難易度の高いホワイトのワントーンのハードルを下げ、合わせやすく導いてくれます。

またこの「ホワイト」のみ、ヒールに施された刺繍がグリーンではなく、アッパーと同色のホワイトを採用している点も見逃せません。クリーンかつ爽やかで、いつもの着こなしにこなれた雰囲気をもたらします。さて、シューズの魅力は十分にお伝えできたので、続いてはいつものスタイルサンプルといきましょうか。

無骨な西海岸スタイルとも相性抜群のユーティリティモデル

着用するのは、ニューバランスの「BB550P」(ブラウン) 

着用するのは、ニューバランスの「BB550P」(ブラウン) 

【スタイルサンプル着用品】
・ボトムス:ポロ・ラルフ・ローレンのチノパンツ
・アウター:ユーズドのメキシカンパーカ
・インナー:ヘインズのTシャツ
・ヘッドウェア:モンベルのハット
・レイバンのサングラス

2023年で43歳を迎える筆者ですが、最近はアメカジ寄りのスタイルが気分。そこで今回は、西海岸サーフからヒッピーまで、肩の力を抜いたリラックススタイルと相性のよいメキシカンパーカーを主役に、2タックで太めのチノパンを合わせ、バケットハット&サングラスで締め。何とも怪しげな雰囲気になってしまいましたが(笑)、春の休日を過ごすのにはもってこいの着こなし。で、ここに「BB550P」(ブラウン)を合わせてみると……!?

ニューバランスの「BB550P」(ブラウン)を着用

ニューバランスの「BB550P」(ブラウン)を着用

こういった西海岸ワーク&サーフ・スケートスタイルには、それこそRED WING(レッドウィング)やDanner(ダナー)などのポストマンシューズを合わせるのが常道。とはいえ、もっと快適に過ごしたいのであれば、バッシュのクッション性を備えた本モデルが打ってつけ。今回はシューズのボリュームとバランスを取るべく太めのチノパンツを選びましたが、ストレートシルエットのデニムパンツや太めのショーツに合わせるのもアリ。その汎用性の高さを生かして、さまざまな着こなしとのマッチングをお試しあれ。

最後はサイズ選びについて。甲高やや幅広の足型を持つ筆者の場合、他社のスニーカーではUS9.0を選んでいますが、今回着用したサンプルもUS9。ラスト自体は通常 「BB550」と同じだと思われるので、つま先に余裕は残しつつも、サイドはジャストフィット。アウトソールがやや硬めに感じられるため、大きめサイズを選ぶと若干歩きにくいかも。可能であればショップで実物を試着し、ジャストサイズで履くことをおすすめします。

【まとめ】“ぽくない”ように見えて、実は“ならでは”な背景を持った、無骨な男のスニーカー

というわけで、今回はニューバランスの「BB550P」をピックアップしました

というわけで、今回はニューバランスの「BB550P」をピックアップしました

どこのブランドにも共通する話ですが、カラバリの多さは人気モデルの証左でもあります。ハズすことのない鉄板配色からトリッキーな飛び道具的配色、さらにはコラボに別注にと種類が増えていくいっぽうで、周囲とは被らない一足を求めるのが人の性(さが)。とはいえ、自分のライフスタイルにマッチしないと使いづらいし、履きづらい。そんな時に、本モデルの“ぽくない”感じは、実にありがたい限り。この“よく見たら違う”デザインとその背景にあるストーリーが、“モノ好き”かつ、スキあらばウンチクを語りたいパパ世代の琴線に触れること間違いなし。

幸いまだリリース前なので、今からスタンバイしておけば確実に手に入れられるはず。気になったら、ぜひチェックしてみてください!

撮影協力:ニューバランス

TOMMY
Writer
TOMMY
裏原宿の某老舗ブランド、アメリカ西海岸発のアイウェアブランドを経て21歳でライター/スタイリストの澤山恵一郎氏に師事。23歳で独立し、以降はメンズファッションのフィールドを中心に、ファッションやアイドル、マンガ、ホビーなどの記事を執筆するライター/編集者として活動。スニーカーや古着を得意とし、同ジャンルの連載も手がける。
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牧野裕幸(編集部)
Editor
牧野裕幸(編集部)
アイテム情報誌「GetNavi」や映像エンタメ情報誌「DVD&Blu-rayでーた」(当時)の編集者を経て「価格.comマガジン」へ。スティック&ロボット掃除機、コーヒーメーカー、扇風機、電動歯ブラシ、電気ケトルなどの白物家電のほか、AV機器や加熱式タバコを担当しています。LOVE, LINKIN PARK.
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