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今年の確定申告は4月16日まで【会社員のための確定申告入門 前編】

会社員のための確定申告入門「年末調整との違い」や「必要な人」を解説

今年も確定申告のシーズンがやってきました(2020年2月17日〜4月16日 ※通常は1か月間ですが、新型コロナウイルス感染拡大の防止措置として2020年に4月16日まで延長されました)。「年末調整をしたから自分とは無関係」とお考えの会社員の方、ちょっとお待ちを。会社員でも「確定申告をする必要がある人」や「確定申告をしたほうがいい人」が存在します。そもそも年末調整とは「会社員のための簡易版の確定申告」という位置付けです(後述)。簡易版なだけに「2か所以上から給与をもらっている=所得を正しく申告できていない」状態が生まれたり、「処理しきれない控除=税金を多く支払っている」可能性があったりします。その場合に会社員でも確定申告が関係してくるのです。

本企画は「会社員のための確定申告入門」と題し、税理士の田中卓也さんに2回にわたって確定申告を解説してもらいます。前編では「確定申告の仕組み」「所得税の決まり方」「オンライン申告(e-tax)」を取り上げ、会社員でも確定申告が必要なケースについても説明します。後編ではやや応用編となる「確定申告をしたほうがいい会社員」を中心に解説します。(聞き手:価格.comマネー編集部)

※【会社員のための確定申告入門 後編】税金払い過ぎ? 「会社員でも確定申告したほうがいい人」8つの典型例
https://kakakumag.com/money/?id=15081

会社員にも確定申告が必要? 仕組みを理解すれば、その要・不要がわかります

会社員にも確定申告が必要? 仕組みを理解すれば、その要・不要がわかります

そもそも確定申告とは? 年末調整との違いは?

まず、確定申告の定義を知っておきましょう。確定申告とは、1年間の「収入」から必要経費を差し引いた「所得」を計算し、そこから各種の「所得控除」を引いて確定した「課税所得」に税率をかけ、「所得税額」を算出。これを申告・納税する手続きを指します(住宅ローン控除など、ケースによっては所得税額から税金を差し引ける人もいます)。所得税を納めるだけでなく、源泉徴収で払いすぎている場合は清算されます。
※収入、所得、課税所得などの用語については、次のパラグラフ「確定申告の中身〜所得税の決まり方を理解しよう」で解説しています。

「会社員は基本的に不要」のワケ

会社員(給与取得者)の場合、毎月の給与や賞与から所得税、住民税、社会保険料などがあらかじめ天引きされ、会社が本人の代わりに国や自治体に納めています。これを「源泉徴収」といい法律で会社の義務とされています。ただし、少しわかりにくいのですが、源泉徴収で天引きされているもののうち所得税の金額はその月の社会保険料控除後の給与の金額を元に概算で引かれており、必ずしも正確な額ではありません。

年末調整は”簡易的な確定申告”

そこで必要になってくるのが「年末調整」です。その年に受け取った給与の額と、支払った生命保険料や地震保険料、住宅ローンの残額(借り始めてから2年目以降の場合)など各種控除の対象となるものを計算し、正確な所得税額を算出します。そして、概算で引かれていた所得税額との差額を「調整」するというわけです(払いすぎていた場合は戻ってくる、など)。つまり年末調整は「会社員にとっての簡易的な確定申告」という位置付けとなり、年末調整をしている会社員は基本的に確定申告をする必要はありません。

会社員は年末調整することで正しい所得税額が確定します

会社員は年末調整することで正しい所得税額が確定します

会社員でも確定申告が関係してくる人がいる

ただし例外もあります。「年末調整されていない所得がある」、あるいは「年末調整で処理しきれていない控除がある」といった場合に、会社員であっても確定申告が関係してきます。

■確定申告が必要な会社員の例

まずは、会社員であっても「確定申告が必要な人」の主な例をあげます。基本的な考え方として「年末調整がされていない=所得税が確定していない」状態の会社員の方が該当します。

【ケース1】年収が2,000万円超
会社からの1年間の給与が2,000万円を超える場合、会社員であっても年末調整の対象にはなりません。そのため自分で確定申告する必要があります。

【ケース2】本業以外で20万円を超える所得がある
副業をしている人、あるいは株式投資をしている人など、本業以外に20万円を超える所得がある人は確定申告をする必要があります。申告しない場合は脱税と見なされ、追徴課税や重加算税が課せられる可能性もあります。

【ケース3】2か所以上から給与を得ている人
ダブルワークなど、2か所以上から給与を受け取っている場合、基本的に「主たる給与」(※)を受け取っている会社でしか年末調整はできないため確定申告が必要になります。ただし、「主たる給与」以外の所得が20万円を超えていない場合は確定申告の必要はありません。

※主たる給与とは「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人に支払う給与を言います。一般的にはもらっている給与の多いほうと考えます。

注意
・ケース2、ケース3の「20万円以下は確定申告不要」の場合、自治体への住民税の申告が別途必要になります。
・ケース2、ケース3の「20万円以下は確定申告不要」の場合でも、そのほかのなんらかの理由(医療費控除を受ける、など)で確定申告を行う場合は、20万円以下の所得についても申告する必要があります。
・確定申告を行う場合は、ふるさと納税のワンストップ特例の適用が受けられません。確定申告を行う際にすべてのふるさと納税の金額を寄付金控除の計算に含める必要があります。
・ここにあげた3つのケース以外にも「同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与のほかに、貸付金の利子、賃貸料、使用料などの支払いを受けた場合」「給与について災害減免法によって源泉徴収の猶予や還付を受けた人」「源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人」「退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人」も確定申告が必要です。詳細は下記の国税庁のサイトでご確認ください。

※給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm

■確定申告したほうがいい会社員

次に、会社員でも「確定申告したほうがいい」ケースです。基本的な考え方として「年末調整で処理できない控除がある」状態が該当します。たとえば、年間に支払った医療費が10万円を超えた分は「医療費控除」として所得から控除されますが、年末調整では処理できず確定申告が必要です。

また、住宅ローンを組んだ人は、ローン金額の1%が10年間(消費税10%増税後にローンを組んだ人は13年間)税額控除(確定した所得税、あるいは所得税を超える分は住民税から引かれる)されますが、ローンを組んだ初年度には確定申告をしなければ控除が適用になりません。このように、確定申告をしないと受けられない控除の例については後編で解説します。

※【会社員のための確定申告入門 後編】税金払い過ぎ? 「会社員でも確定申告したほうがいい人」8つの典型例
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副業やダブルワークをしている人は要チェック!

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確定申告の中身〜所得税の決まり方を理解しよう

このパラグラフでは確定申告を理解するうえで欠かせない、所得税額の決まり方を順を追って見ていきます。最初に【前提1】、【前提2】を頭に入れていただいたうえで、そのあとの1〜3を読み進めてください。

【前提1】「所得」とは収入から経費を引いた額
まず覚えておきたいのが「収入」と「所得」の違いです。収入とは入ってくるお金のこと。つまり事業者であれば事業で得られる売上であり、会社員であれば給与や賞与などが該当します。そこから、「その収入を得るためにかかった経費」を引いた金額が所得となります。

・収入−必要経費=所得

【前提2】所得には10種類ある
所得は、税法上10項目に分類されます(下記一覧参照)。会社員が会社から受け取る給与や賞与は「給与所得」に該当し、自営業者や個人事業主であれば「事業所得」、建物や土地などを貸して得たものであれば「不動産所得」となり、それぞれ所得を算出するための計算式が異なります。

「世界一簡単にできる確定申告&上手に節税 令和2年3月16日締切分」(監修税理士・田中卓也、宝島社)より抜粋

会社員の所得税が決まる計算式

上記の2つの前提を踏まえて、今回の記事のテーマとしている会社員のケースにあてはめてみます。

1. 会社員にとっての必要経費=給与所得控除
まずは会社員の収入(給与)から必要経費を引く必要があるわけですが、会社員の必要経費(たとえば勤務に必要な衣服など)を1つひとつ算出するには複雑な作業がともないます。そこで、会社員の場合は年収に応じて一定の計算式にあてはめ、「給与所得控除」(※)という形で必要経費を引き、給与所得を算出する形となっています。

・給与収入−給与所得控除額=給与所得

※参考:給与所得控除(国税庁)
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm

2.給与所得から各種所得控除を引く
1.で得た給与所得から「生命保険料控除」(年間に支払った生命保険料)や「配偶者控除」、「医療費控除」(年間10万円を超える医療費)などの所得控除(※)を引いたものが「課税所得」となります。これが文字どおり課税対象となる所得です。

・給与所得−各種所得控除=課税所得

※参考:所得控除のあらまし(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1100.htm

3.所得税額を算出する
最終的な所得税額は、課税所得に税率をかけ、そこから税額控除を引いて算出します。税率と税額控除の額は年収に応じて決まっており、税率は課税所得の金額が多くなればなるほど高くなる「超過累進課税」となっています(※)。

・課税所得×税率−税額控除=所得税

※参考 所得税の税率(国税庁)
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

具体例:年収500万円の会社員の所得税はいくらか?

仮に、年収500万円の会社員Aさんがいるとします。Aさんの各種所得控除が100万円と仮定すると、課税される所得税は下記のとおりになります。

1. Aさんの給与所得
500万円(年収)−154万円(年収500万円の場合、必要経費と見なされる給与所得)=346万円

2. Aさんの課税所得
346万円(給与所得)−100万円(配偶者控除や医療費控除などAさんの各種控除の合計)=246万円

3. Aさんの所得税額
246万円(課税所得)×10%−9万7,500円=14万8,500円

⇒ 年収500万円で所得控除が100万円ある会社員Aさんの所得税額は、14万8,500円となります。
(本記事では計算の仕組みを説明するために復興特別所得税については割愛しています)

確定申告は所轄の税務署に行く必要があると思っている人も多いと思いますが、最近は後述のようなオンライン申告が普及し、昔と比べて手続きが楽になっています

実際の確定申告(e-tax)の流れを紹介

最後のパラグラフでは確定申告の手順を簡単に解説します。基本は「確定申告書を作成し、必要な添付書類とともに管轄の税務署に提出する」という流れになります。

オンラインでの申告が便利

確定申告書の作成には「手書き」と「オンライン作成」の2つの方法があります。また、作成した申告書の提出も、「税務署への持参」「税務署への郵送」「オンラインで提出(オンラインで作成した申告書のみ)」の3つの方法があります。おすすめはオンラインでの申告(国税電子申告・納税システム、通称「e-tax」)です。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」というサイト(※)では、記入方法が順を追って指示され、それに従って入力すれば申告書が完成する仕組みになっています。画面には用語解説もあり、入力した数字を自動で計算してくれるので、初めての人でも困ることは少ないでしょう。作成の途中でデータを保存し、時間の空いたときに再開も可能です。

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2点の画像はいずれも国税庁の「確定申告書等作成コーナー」の画面より。画面の指示に従って入力すると、申告書が完成する仕組みになっています

※国税庁 確定申告書等作成コーナー
https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top#bsctrl

オンラインで提出する方法は2つ

オンラインで作成した申告書は、プリントアウトし税務署に提出、もしくは郵送ができますが、以下の2つの方法により、オンラインで提出することもできます。

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「確定申告書等作成コーナー」のトップ画面から、提出方法を選択します

1. マイナンバーカード方式
この方法の場合マイナンバーカードの取得とICカードリーダライタが必要になります。「確定申告書等作成コーナー」の「e-Taxで提出 マイナンバーカード方式」を選択し、事前準備セットアップファイルをダウンロード。マイナンバーカードの情報を読み込ませて設定後、申告書を作成してオンラインで送信する流れです。

なお、2020年1月31日から、マイナンバーカード対応のスマートフォンをICカードリーダライタとして利用することもできるようなりました。(※)。ただしタブレットは対応していないので、ご注意ください。

※マイナンバーカード方式での申告に対応しているスマートフォン機種一覧(国税庁サイト)
https://www.keisan.nta.go.jp/r1yokuaru/cat1/cat12/cat121/cid960.html

2. ID・パスワード方式

この方式の場合はマイナンバーカードやICカードリーダライタは必要ありませんが、一度税務署に足を運び「ID・パスワード方式の届出」を行う必要があります。税務署ではその場で、ID・パスワード方式の届出完了通知を発行。そこに記載された「利用者識別番号」と「暗証番号」を、前出の「国税庁 確定申告書等作成コーナー」に入力し、申告書を作成します。作成終了後、オンラインで送信します。

領収書添付が省けるメリットもある

e-Taxでの申告の場合、上記2つのどちらの方式でも、源泉徴収票や医療費控除の領収書、社会保険料控除の証明書などの添付書類の提出を省略することができます(ただし5年間の保存が義務付けられています)。加えて、税務署側の還付手続きが書面での申告よりも1週間程度早く処理されるメリットもあります。ただし、e-Taxを使えるパソコン環境かどうか、あらかじめ確認しておいたほうがいいでしょう。令和元年(平成31年)分の確定申告では、OSはWindows8.1以上、Mac10.12以上が推奨されています。ブラウザソフトの組み合わせにも注意が必要です。

※ウインドウズ、マックの推奨環境(国税庁サイト)
https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/st/guide/recommend

以上、会社員のための確定申告入門の前編をお届けしました。後編では「会社員でも確定申告をしたほうがいい人」のケースについて詳しく解説します。

※【会社員のための確定申告入門 後編】税金払い過ぎ? 「会社員でも確定申告したほうがいい人」8つの典型例
https://kakakumag.com/money/?id=15081

※本記事は、取材者の⾒解です。

田中卓也

田中卓也

税理士。経営相談、キャッシュフロー表の立て方、資金繰りの管理、保険の見直し、相続・事業承継対策などその活動は多岐にわたる。また、各種セミナーでの講演活動や講師、執筆活動にも力を注ぐ。

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