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快適性を損なわず省エネルギー化を目指す道具

電力自由化キーワード! 「スマートメーター」「スマートグリッド」「電力パケット」って何?

2016年4月から一般家庭も電力の購入先を選べる「電力の小売全面自由化」、いわゆる「電力自由化」が始まり、今後、電力会社の選択時には、コスト以外にも様々な要素を加味して検討しなければならなくなった。今回は、そんな情報を読み解くうえで必要になってくる3つのキーワード「スマートメーター」「スマートグリッド」「電力パケット」について解説しよう。

「スマートメーター」とは?

スマートメーターは簡単に言うと「電力量計」だが、これまでの電力メーターとは計測の仕組みが大きく異なる。電力料金を算出するには、家庭で消費した電力を計測する必要があり、従来は地域の電力会社が戸別に設置した電力メーターを検針員が巡回し、毎月目視で確認していた。この電力メーターに代わって設置されるのが、「スマートメーター」だ。大きな違いは、スマートメーターが通信機能を備えており電力会社に消費電力量を伝えることができるという点。電力会社には各家庭の電力量が自動的に送られるので、人手による検針が不要になり電力会社のコストは低減。ひいては電力料金の低減に繋がるという期待もできるというわけだ。

スマートメーターは電力会社と家庭内の家電をとりもつケートウェイ的存在。スマートメーターと対応する家電の導入が進むと、省エネや光熱費の低減が期待できる

また、計量の単位は、従来のように深夜、早朝、日中といった大雑把なくくりから、1日を通して30分程度の間隔できめ細かく記録できるようになる。この情報は、利用者に開示することで省エネ行動に結びつくと期待されているほか、電力自由化からくる競争原理の働きで増加が見込まれる割引メニューの算定にも利用されるはずだ。

そのほか、省エネを目的とするHEMS(「Home Energy Management System/ホーム エネルギー マネジメント システム」と連携することにより、利用者への節電勧告や、ピーク時(電力供給逼迫時)に不要不急な機器の自動停止および電力単価の変動といったサービスも視野に入っているという。こうしたHEMSの活用も、スマートメーターの存在が鍵となる。なお、現時点で政府は、2030年までに全ての住まいでHEMSが設置されることを目指しているとしている。

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「スマートグリッド」とは?

スマートグリッドは「次世代送電網」と訳されることが多い。電力網を流れる電力をコントロールして最適化できる「賢い」送電網だ。各国の電力事情によって利用目的はさまざまだが、日本においては大規模な太陽光発電事業者の増加と電力自由化に際し、電力供給を安定化させるのが主な目的である。日本では長らく、地域の電力会社が運営する発電所から利用者へと一方的に電力が送られてきた。供給元である電力会社が、日中や夜間、季節に応じて電力需要を予想し、供給不足による停電を防ぎつつ、過剰発電によるロスを少なくするようにコントロールしている。

今後、太陽光発電事業者や風力発電事業者が増加すると、日照や風量の変動を含め、供給の調整は複雑化する傾向にある。さらに各家庭で太陽電池や燃料電池(エネファーム)による発電や売電も増加傾向にあり、電力の需給予測も難しくなるだろう。このような状況下で安定供給とロスの低減を図るには、供給側と利用者(スマートメーター)の情報をリアルタイムで把握し、最適にコントロールするシステムが必要となる。それがスマートグリッドというわけだ。

スマートグリッドの概念図。電力の供給者と需要者(利用者)を把握し、特に需要ピーク時を平滑化することで、電力の効率的な利用(省資源化)が可能になると言われている

例えば夏場、日中にエアコンの使用で電力需要のピークを迎えるが、晴天であれば太陽光発電がフル稼働して供給過剰になる可能性もあるだろう。その際、火力発電を抑えれば、燃料費や二酸化炭素排出量を削減することができる。逆に曇天の場合で太陽光発電が期待できない際は、火力発電でカバーして供給を安定させたり、各家庭の無駄な電力消費を抑えてピークを乗り切りきれる可能性もある。

スマートメーターとスマートグリッドの普及が実現すれば、電力を効率的に利用でき、低炭素化社会が実現できると期待されているのだ。

「電力パケット」とは?

携帯電話など通信データパケットのように、電力をパケット化して識別子を付加し、供給側と利用者を特定できるシステムが構想されている。小分けにした電力に名前を付けて、特定の利用者へピンポイントで届ける仕組みと考えればよいだろう。

電力自由化により、利用者は電力会社を自由に選べるようになる。今後はさらに、割高であっても太陽光発電や風力発電など、自然エネルギーなどを選びたいというニーズも高まると考えられる。大手企業では、自然エネルギーの購入を義務付けられるかもしれない。個人レベルでは、電力パケットの仕組みが実現すれば、例えば、生産者の顔が見える野菜のように、「○○さんが発電した電力」を購入できる時代が来るかもしれない。ただし、こうした高度なシステムを構築するには、対応したスマートメーターの普及に加え、情報の伝達と同じくルーターなどインフラ面での大規模な整備が必要になる。また、関連機器のコンピューターウィルス対策など、従来の電力網に比べてセキュリティー対策も必要で、社会インフラとして安定して運用するには解決しなくてはならない課題も多い。

まとめ

現在、スマートメーターへの置き換えは、電力会社の負担で進んでいる。直近では検針の手間やコストの低減が可能で、自然な流れと言えるだろう。スマートグリッドは、HEMSと共に省エネルギーに役立つと考えられ、今後普及すると見込まれている。

電力パケットについては、全体の効率を考えた場合疑問が残る。例えば送金の場合、実際に紙幣や貨幣を運ぶよりも、銀行などの金融機関を経由し帳面上で相殺する方が合理的で、広く根付いている。電力パケットの場合、ロスの少ない経路を選択して送電するような発想は意義がありそうだが、送電網を全てパケットに対応させるためのコストや、複雑化する事によるリスク増加なども心配だ。今後、さらなる検討が成されることだろう。

「スマートメーター」「スマートグリッド」「電力パケット」は、いずれも快適性を損なわず省エネルギー化を目指す道具として期待されている。もちろん、その道具が最大に効果を発揮するには、利用者の節電意識が最も大切なのかもしれない。

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鴻池賢三

鴻池賢三

オーディオ・ビジュアル評論家として活躍する傍ら、スマート家電グランプリ(KGP)審査員、家電製品総合アドバイザーの肩書きを持ち、家電の賢い選び方&使いこなし術を発信中。

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