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テレビは早くも4K超え!「8K」って何がスゴいの?徹底解説

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今や40型を超える大画面テレビは、4Kが主流だ。思い返せば数年前、32型テレビでフルHD(1,980×1,080)のような高解像度は「無用の長物」という声があったのが懐かしい。登場当初は不要に思えるハイスペックも、1度慣れてしまうとそれ以前には戻れないもの。オーディオビジュアルの進化には、いつも「不要論」が先行し、後に「慣れ」、そして次を求めて来た歴史がある。4K化も、その典型と言えるだろう。

そして2017年末、いよいよテレビは「8K」の時代へ。シャープが民生用として世界初となる8Kテレビ「LC-70X500」を2017年12月に発売するのだ。約100万円という価格は決して手軽とは言えないが、その戦略的な値付けに業界関係者は驚き、また8K時代をリードしていくシャープの意気込みを感じた。今回は、そんなホットな「8K」について、基礎知識から放送計画まで解説していこう。

「フルHD(2K)」「4K」と比べて「8K」ってどれくらいスゴいの? そもそも「8K」という解像度が導き出された経緯って? もろもろ解説!

そもそも「8K」とは?

8K映像とは、横×縦の解像度が7,680×4,320画素を持つ映像のこと。この画質に対応する放送を8K放送、テレビ受像機を8Kテレビと呼ぶ。1,000を1キロ(K)と数え、横方向の解像度が約8,000なので8Kというわけだ。ちなみに、4Kは3,840×2,160で4K、フルハイビジョン(フルHD)は1,920×1,080で2Kと表せる。縦×横の画素数で比較すれば、8Kは4Kの4倍、2Kの16倍にあたる。同じ画素密度なら、8Kは2Kの16倍も広い面積の映像を、逆に面積が同じなら16倍緻密な表現ができるというわけだ。

フルHD(2K)、4K、8Kの画質の差イメージ(画像出典:シャープ製品サイトおよび公式Twitterより)

フルHD(2K)、4K、8Kの画質の差イメージ(画像出典:シャープ製品サイトおよびTwitterより)

8Kは高画質テレビの最終形?

フルHD(2K)から4Kへ、4Kから8Kへ。「次は16K?」「またテレビを買い替えなくてはならないの?」と消費者からは疑問の声が上がりそうだが、現時点では8Kが究極かつ最終形と考えられている。「8K」に決定した経緯も知っておくと、理解が進むだろう。そもそも8Kは、NHKが「スーパーハイビジョン」(SHV)の名称で、放送システムや受像機関連の開発をリードし、それが世界規格として認められるに至ったものだ。その流れをざっくり説明していこう。

「8K」の根本の考えは、家庭における「究極の映像の臨場感」を実現すること。言い換えると、本物の景色と見間違えるほどのリアリティをめざして研究がスタートした。まず、映像は大きいほど没入感が高まるのは想像に難くないが、一般家庭で実現できる映像サイズには限界があるので、最適な最小限のサイズを探る必要がある。

実は、映像サイズが視野の水平100°を上回ると、人間が映像から得られる臨場感は飽和する(=最大限に近いところに達する)という結果が、NHK技研の研究でわかっている。まず、この水平視野100°で映像を見るときの適正距離が、画面の高さの0.75倍(0.75H)の距離であるとされている。その0.75Hの距離で、視力1.0の人が画素の粗さを知覚せずスムーズに映像視聴するためには、映像の水平画素数を約8,000にする必要があることがわかり、ここから「8K」という解像度が導き出されたという経緯がある。

画面を見る水平視野が100°を超えたところで人間が映像から得る臨場感は最大限に達する=飽和するそう。この水平視野100°での適正視距離が、画面の高さの0.75倍(0.75H)の距離なのだとか。ところが、画面にあまりに近づきすぎると、今度は画素の粗さを知覚してしまう。そこで導き出されたのが、画面から0.75Hの距離でも画素の粗さがわからない「8K」という解像度

元々、フルHD(2K)映像の適正視距離は、画面の高さの3倍(3H)とされてきた。これは、視力1.0の人間が、フルHD(2K)映像の画素のツブツブを知覚しないでキレイに見ることができる距離ということ。8Kの画素サイズはフルHD(2K)の4分の1。単純計算で3H÷4=0.75Hなので、8K映像の適正視距離は、画面の高さの0.75倍(0.75H)の距離になる。たとえば、8Kテレビの画面サイズを100インチ(16:9)と仮定した場合、画面の高さは約120cmなので、最小限の適正視距離はその0.75倍の90cmと計算できる

つまり簡単に言うと、仮に16K映像が出てきた場合、解像度から見た適正視距離はさらに縮まるが、そうなると水平視野が100°を超えるので、人間が知覚する臨場感は8K映像から得られるものとそんなに差はないだろうと推測されるわけだ。というわけで、一般家庭で8K以上の解像度は不必要と考えられていて、8Kが最終形になるのは間違いなさそうである。現時点では、とんでもない大画面を至近距離で視聴することになりそうで、現実性が乏しく感じるが、結論は、8Kが普及した時点でおのずと出るだろう。

参考までに、今後映像のリアリティを向上する軸は、「解像度」から「フレームレート」に移ると考えられており、8Kでは、現行放送最大の60コマ/秒の2倍にあたる120fps(1秒間に120コマ/120p)も規格に含まれている(備考:地上デジタル放送はインターレース方式の60コマ(60i)、4K放送はプログレッシブ方式の60コマ(60p))。

ちなみに、120fpsでは、映像の動きがより滑らかになり、動物の有機的な動きもリアルに感じられる。世界の各所で研究されているが、人間の知覚を基準にすると、フレームレートは240fps程度で飽和すると考えられている。その先の進化は、ホログラム技術などによる完全な立体テレビだろう。こちらも現在各所でさかんに研究が進められている。

8Kの放送計画

8Kテレビを最大限に活用するには、やはり8K放送を抜きには考えられない。ここでは、放送計画を整理する。テレビ放送の8K化は国策の一環で、着実に進んでいる。数年前に立案された計画に照らすと、前倒しするほどの勢いだ。8Kの実用放送は2018年に開始予定で、2020年には東京オリンピックの多くの競技が8Kでも放送される計画となっている。

総務省が発表した4K・8K放送のロードマップ(出典:総務省の公式発表資料:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/4k8kroadmap/02ryutsu11_03000050.html)

8K実用放送は、BS(左旋)と110°CS(左旋)を用いる衛星放送となり、視聴には、BS(左旋)と110°CS(左旋)が受信できるパラボラアンテナとチューナーが必要になる。ちなみに「左旋」とは、衛星放送で用いる円偏波のうち、左(反時計回り)に回転しながら進む電波のこと。従来の右旋と併用すれば、同じ周波数帯域で2倍の情報量が伝送でき、限りある電波帯域を有効活用できる。4K/8K化による情報量の増大を効率よくカバーするアイデアだ。

なお、左旋対応の対応パラボラアンテナはすでに製品化されている。今、4K放送の視聴用に購入、あるいは買い替えを検討しているなら、8Kに対応しているかどうかも確認しておくと安心だろう。

8K放送対応パラボラアンテナ製品例:マスプロ「BC45RL 」

8K放送対応パラボラアンテナ製品例:マスプロ「BC45RL 」

8K放送対応のチューナーを搭載したテレビや、外付けチューナーは、2018年に登場する見込みだ。また、ケーブルテレビやインターネット網を通じた放送や再送信も検討されているので、こうした複数の手段が実現すれば、パラボラアンテナなしで8K放送を楽しめるようになる。

ちなみに、4K/8K化が進んでも、現在の地上/BS/110°CSデジタル放送は継続するので、視聴者は現在の放送を見続けていても問題ない。この点は、過去のアナログ地上波を停波して地上デジタル放送に完全移行したいわゆる「地デジ化」のときとは大きく異なる。

CEATEC2017 JEITAブースでの8K試験放送受信デモの様子

CEATEC2017 JEITAブースでの8K試験放送受信デモの様子

世界初の8Kテレビ! シャープ「LC-70X500」登場

2017年12月1日に世界初の家庭用8Kテレビを製品化するのは、液晶テレビ「AQUOS」(アクオス)で一時代を築いたシャープ。「LC-70X500」は、70型で7,680×4,320画素の液晶パネルを搭載する正真正銘の8Kテレビだ。販売価格は変動するが、価格.comの製品ページを参照すると、最安で80万円前後になっている(2017年11月29日現在)。決して安いとは言えない価格だが、先行した業務用モデルが約800万円とかなり高価だったことを考えると破格。8Kの普及をめざし、採算を度外視した戦略的な価格設定に思える。

現時点では8K放送受信チューナーを内蔵していないが、2018年の実用放送までには外付けの単体チューナーが発売され、8K番組を視聴できるようになる見込みだ。

AQUOS LC-70X500は、世界初の8Kテレビ「AQUOS LC-70X500」。8Kの実用放送を見るためには、別途専用のチューナー「8K/4K放送対応受信機」(2018年末発売予定)が必要になる

→【関連記事】シャープ、世界初の家庭用8K液晶テレビ「AQUOS 8K」を12月に発売!

8Kの画質って実際どう?

筆者はシャープの事業所で、すでに何度かLC-70X500の8K画質を体験しているが、やはり4Kとはまた違った雰囲気を感じる。8K撮影されたデモ映像が特別に高画質ということもあるが、LC-70X500によるその再現性を言葉で表現するなら“空気の存在”が感じられ、映像に自然な奥行がともなってくるのだ。これは、2Kではほぼ不可能な表現で、4Kでも困難だと感じていた部分だ。

つまり、8Kの高解像度は、単に繊細な図柄のディテール再現性にすぐれるだけでなく、普段我々が気付かないうちに肉眼で得ている情報まで伝える力を持っているようだ。もちろん、映像を至近距離で見ても画素のツブツブは感じにくく、映像の見たい部分に近寄ればクローズアップできるのも、リアル8Kならではの世界。8Kの高精細を生かせば、番組表など表示の一覧性も高まるなど、情報表示装置としても有利で、1度慣れると後戻りできなさそうだ。

8K映像(左)と4K(映像)の比較デモ。写真ではいまいちわかりづらいかもしれないが、8Kのほうは細部のディテール再現に加えて自然な空気感も

また、市販されている4K Ultra HDブルーレイの映画ソフトを用い、LC-70X500で8K相当の解像度にアップコンバートした画質も確認したが、これがなかなか優秀。2Kのブルーレイソフトを4Kテレビで見ると、どうしても「無理に引き延ばした感」が残るのだが、そうした不自然さを感じさせないのだ。LC-70X500のアップスケーリング機能が優秀なのかもしれないが、新鮮な体験だった。8Kのネイティブコンテンツが入手できるまでの間は、4K Ultra HDブルーレイで8Kの雰囲気を楽しめるだろう。

4K対応AQUOS「AQUOS 4K NEXT」で採用されたアップコンバート技術を搭載。2K/4K映像を8K解像度相当で表示できる

8K関連の心配

高解像度化は順当な進化と言えるが、テレビの8K化においては、課題も少なくない。たとえば、コンテンツ制作側は撮影カメラや編集機材を8K対応品に入れ替えなくてはならず、放送局は送出や伝送に関わる機材を更新する必要があり、その費用は莫大だ。在京キー局、大都市圏の準キー局以外が8Kに対応するには、しばらく時間がかかるだろう。

受信者側も、現行の地上デジタル放送が視聴できる状態では、追加コストを支払って8Kを視聴する視聴者は限られるだろう。なお、放送インフラの問題は、高速インターネット通信や5G通信網でカバーする検討も進んでいるので、解決は時間の問題と見る向きもある。

また、コンテンツ提供側も8Kを意識した制作が必要になる。従来の2Kや4Kとは異なり、8Kは視野をすっぽり覆ほどのう大画面を至近距離で視聴することを前提としているので、それに応じた「撮り方」も、視聴体験を大きく左右する。動画酔いを防止するには、遠景で撮影しパンニングを多用しないなど、ガイドライン作りも必要になるだろう。人物を映し出す際は、等身大を超えないくらいが自然に思う。2Kや4Kテレビが混在する状況で、どこまで8Kに適した撮り方が行えるかは不透明。

さいごに

冒頭でも触れたが、現状では「8K不要論」が多数に思うが、高解像度化は、慣れてしまうと戻れないもの。特に最近では、身近なスマートフォン画面が高精細化傾向にあり、多くの人々が日々そのメリットを体験しているので、理解も得やすくなっていると思う。インフラ整備やコンテンツ制作など、8K化に向けては課題も残るが、いずれ定着して「究極のテレビ」になるのは間違いなさそうだ。今すぐあわてて8Kテレビを購入する必然性はないだろうが、今から注目しておくべきトレンドとして、その動きには注意を払う必要がありあそうだ。

鴻池賢三

鴻池賢三

オーディオ・ビジュアル評論家として活躍する傍ら、スマート家電グランプリ(KGP)審査員、家電製品総合アドバイザーの肩書きを持ち、家電の賢い選び方&使いこなし術を発信中。

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2017.12.9 更新
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