皆さんこんにちは。ゴルフの楽しさ伝道師オグさんこと小倉です。私、すべてのゴルフクラブの中で、パターが一番大好きなんです! 私は体が小さく線も細いので、どんなに頑張っても飛距離には限界があります。飛ばさなくていいアイアンだって、実際はパワーのあるほうが有利に働くことが多いんです。そんな中、老若男女平等なのがグリーン上のパッティング。だからたくさん練習しました。
そのホールのスコアを決定づけるのがパッティング。パットがうまければパワーや飛距離差も気にならなくなるほどアドバンテージになります
さまざまな形のパターがあります!
今回登場するパターは主に3種類。左から順に「センターシャフトパター」「ピン型パター」「マレット型パター」です
パターはグリーン上でボールを転がすだけのクラブですが、ほかのクラブと違って種類がたくさんあり、ヘッドの形状によって振り心地も結構変わります。思いどおりに打てて長い距離が入ったときは、ドライバーをどんなに飛ばしたときより気持ちいいですよ! それでは行ってみましょう!
目次
初心者には「ピン型」がおすすめ
ヘッドの大きな「マレット型」パター
初心者には使いにくい「センターシャフト」
<初心者におすすめのパター>
・オーソドックスなピン型「ピン・シグマG アンサー」
・黒と白の塗り分けが特徴的「オデッセイ・オー・ワークス #1」
・ピン型とマレット型のいいとこ取り「オデッセイ・オー・ワークス #1 WBWバージョン」
・目標に合わせやすい「オデッセイ・オー・ワークス 2-BALL」
・大きいけれど操作性がある「オデッセイ・オー・ワークス #7」
・自分の振り方に合わせて調整可能「ピン・シグマG TYNE(タイン)」
そんなパター大好き人間の私が初心者の方にすすめたいのは「ピン型」と呼ばれるタイプ。ピン社が50年ほど前に最初に開発し、いまだに基本的な設計が変わらない偉大な形です。この「ピン型」は、さまざまなメーカーも作っていてそれぞれに呼び方が異なります。「ブレードタイプ」や「トゥヒールタイプ」などなど。今回はピンの偉大な功績に敬意を表してピン型と呼びます。
これがピン型パター。スクエアな四角いヘッドで目標にも構えやすく作られています
このピン型をおすすめする理由はといいますと、適度にミスに強く、操作性もよいところにあります。ほかのクラブカテゴリーでおすすめした「使っているとうまくなる」タイプに当てはまりますね。パッティングで大切なことは、狙ったところにボールを打ち出すことと、カップまでの距離感です。
「ドライバーやアイアンと違って、ただボールを転がすだけでしょ? 真っすぐ打つことくらい簡単だよ」と思う方も多いと思います。ところが意外と難しいんですよこれが!! ヘッドを動かす量はほかのクラブに比べて小さいけれど、芯に当てるのはほかのクラブと同じくらい難しいと私は感じています。芯を外れればほかのクラブ同様にヘッドがブレてしまい、狙った方向にボールは転がってくれないのです。
また狙ったところに打つためには、その目標に正確にフェースを向ける必要がありますが、これまた意外と難しい。パッティングはカップに入れるという明確な結果が求められます。それだけに少しでも向きがズレているとカップに入る確率がガクッと下がってしまうのです。長々と書いてしまいましたが、初心者におすすめしたいパターの持っていてほしい性能は、「芯を外してもヘッドがブレにくく、目標に構えやすい」といったものになります。それがまさにピン型なのです。
具体的な形状で説明しますと、ヘッドのトゥ(先側)とヒール(根元側)に重い部分を集中させ、フェース裏の打点の裏側を削ることでアイアンのキャビティのような効果を発揮し、芯を外してもヘッドがブレにくく設計されています。
重さが両サイドに集中しているので芯を外してもヘッドがブレにくく設計されています
またシャフトとヘッドの接着部分をネックと呼ぶのですが、その形状もミスへの強さにひと役買っています。初心者のパッティングでよくあるミスは、目標より右にボールを打ち出してしまうこと。ピン型パターの折れ曲がったネックは、シャフトよりフェース面をうしろに下げるように作られていて、このフェースがうしろに下がることにより、ボールを右に打ち出すミスを軽減してくれるのです。それでいてパッティングが上達するといろいろなテクニックが使いやすいというのもメリットの1つ。そのいろいろなテクニックはまた別の機会にお話しますね。
ほとんどのピン型パターは、スクエアな四角い形をしているので目標に対してフェース面を合わせやすいのもおすすめする理由の1つです
パッティングのヘッド軌道は、何も意識しないで振ってみると緩やかな円を描きます。この動きにマッチしているのもピン型のいいところ。テークバック(クラブを上げる動作)で緩やかに円を描きながらフェースが開き、切り返し(クラブが上がりきり、ボールを打ちに向かう瞬間)からフェースがスクエアに戻りつつインパクトを迎え、打った後は、フェースが閉じながら抜けていくというのが一連の自然な動き。
ですが初心者がこの動きを意識してやろうとしてもなかなかできません。どうしてもボールを打つという意識が働き、ヘッドがスムーズに動かずインパクトでフェースが構えた位置、スクエアに戻せないことが多いのです。上記初心者に多い右に打ち出すミスとはこのこと。これを、フェースをうしろに引っ込ませたネックがインパクトを一瞬遅らせ、ヘッドをターンさせる時間を稼いでくれるので目標方向に打ち出しやすくなるのです。
目標に構えた状態から…
ヘッドが緩やかな円を描き、フェースが少し開いた(右を向いた)状態になるテークバック
そこからインパクトまでフェース面が閉じながら動きスクエアなインパクト。そしてそのまま閉じながら(目標より左に向く)フォローへ抜けていきます。当然ヘッドは円を描いているのですから、フォローは飛球線の方向に対して内側へ動きます
一方それ以外のパターの形として「マレット」「大型マレット」「ネオマレット」と呼ばれるパターもあります。これらのパターはヘッドが大きいモデルが多く、さまざまな形状をしています。
ヘッドサイズが大きいメリットは2つあります。1つはフェース面の向きをわかりやすく示す直線的な造形やラインをヘッド上部に長く入れられること。こうすることでよりフェースの向きを目標に合わせやすくしています。フェース面を目標に正確に合わせるのが苦手な人にはとてもいいモデルです。もう1つは、ヘッドが大きいことによって重さの中心である「重心」がフェースよりうしろに配置できることです。重心がうしろにあると少々芯を外してもヘッドのブレが少なくて済み、ミスパットを軽減できます。
ヘッドに奥行きがあるのでこの赤いラインのようにフェースがどこを向いているかわかりやすい造形にすることができます
マレットと呼ばれるこれらのパターは、振ってみるとピン型に比べてテークバックでフェースが開こうとする動き、切り返しから閉じようとする動きがほとんど生まれないモデルが多いです。そういったモデルは、振っているゴルファーが操作すれば動くのですが、指でつまんで振り子のようにヘッドを振ってみるとフェースはほぼ開閉せず、最初に構えた方向にずっと向こうとします。こういったパターは一般的に「フェースバランス」と呼ばれ、振ったときのヘッド軌道を緩やかな円ではなく、真っすぐに動かしたいゴルファーに合うモデルです。
フェースバランスのパターは振っている最中、フェース面が変わりにくいという特性があります
ヘッド軌道も緩やかな円を描くような振り方ではなく「直線的に」振るほうが特性を生かせます
フォローも直線的に振るイメージです
このフェースバランスのパターは見分け方があります。ヘッドを地面に浮かすようにシャフトを机などの平らな部分に置くとフェースが真上を向きます。同じ形でピン型を置くとフェースが傾きます。この違いが振っている最中のヘッドの動きに関係しているのです。
左がフェースバランスのマレット型、右がピン型です。台に置いてみると、前者はフェースが真上を向くのがわかります。ということは、打つときもフェースをなるべく真っすぐに動かすほうがいいのです
フェースバランスのパターは、手で持つシャフト部分の直線をそのまま真っすぐ伸ばしていくとフェース面上の芯とほぼ重なります。動かしているシャフト部分とフェース面上の芯が重なるため、振ったときにねじれる力が発生しづらいためフェースがほとんど開閉しないのです。シャフトが曲がったベンドネックでもシャフトの直線部分が芯を指さずフェースバランスではないモデルも存在しますので、指などでシャフトを支え、空中でフェースがどこを向くか確認してからの購入をおすすめします。
シャフトの延長線上に芯(赤丸)があるのがフェースバランスのパター。写真では真ん中のものだけがフェースバランスで、左右のパターはシャフトの延長線上から芯が多少ずれているため、ストロークするとフェースが多かれ少なかれ開閉する動きをします
ピン型に比べてマレット型のほうが、ミスへの強さやヘッドが真っすぐ動こうとする性格が強いことから目標に打つことは簡単なのですが、距離感の出しやすさや操作性のよさはピン型に分があると私は思います。私がピン型をおすすめしたいのは、マレット型に比べ、距離感を養いやすいという理由からです。パッティングは目標に打ち出すことが重要ですが、距離感を養うことも同じくらい重要ですから。
もう1つの選び方として、あなたがパターを何げなく素振りしたときに、ヘッドの挙動が円を描くか、真っすぐ動くかという部分でピン型かマレット型かを選んでもよいでしょう。判断基準がわからない方にいくつか選び方を書きましたが、大切なのは自分が構えやすく動かしやすいものを使うということ。お店に行ってかたっぱしから構えて素振りしてみるのも1つの方法ですよ。
パターで余談をもう1つ。ここまでいろいろなクラブをご紹介してきましたが、パターも含めすべてのクラブがヘッドのヒール(根元側)にネックがあり、そこにシャフトが装着されています。ですが、パターにだけヘッドの真ん中にシャフトが刺さっているモデルがあるんです。それがセンターシャフトと呼ばれるモデルです。
フェース面上の芯とシャフトの軸線が重なるのがセンターシャフトの特徴
ドライバーやアイアンでこの位置にシャフトが刺さっていると違反クラブになるのですが、パターだけは認められています。ヘッドの真ん中にシャフトが刺さっているということは多くのベンドネックと同じように重さの中心である重心と、手で持っているシャフトの位置が線上に重なるということなので、野球のバットやテニスラケットのようにフェース面を管理しやすく芯に当てやすいメリットがあります。そう聞くとこれが一番簡単そうって思うでしょ? でも違うんです。
どちらかといえばある程度一般的なパターを使ったゴルファーが、そのメリットデメリットをわかった上で使うべきパターです。初心者がいきなりセンターシャフトを持つとおそらくいろいろなミスが出てしまうでしょう。
構えてみるとほかのクラブと全然違う位置にシャフトが刺さっているので初心者は違和感を覚えると思います
センターシャフトパターのメリットは、芯に当てやすいということ。これにつきます。デメリットはというとミスしたときに左右どちらのミスも出てしまうということ。そしてほかのクラブとの差がとても大きいというところにあります。ショットのスイングとパッティングとを別々に考えられるゴルファーは、センターシャフトパターを扱いやすいと感じることが多いようです。けれども、振り方の違いを感じ取るには、やはりかなりのゴルフの経験が必要になります。ですので初心者や経験の浅いゴルファーにはあまりおすすめできないモデルだと思うのです。
最初に世に出たピン型もこれと同じアンサーという名前でした。形状はこれぞオーソドックスなピン型といったいでたちで、トゥとヒールに重量配分された形、フェース面をうしろに引っ込め、右へのミスを軽減しているネックなど伝統の形状。それに加え、フェースに少々芯を外しても転がる距離の変化を少なくするために深さの違う溝を彫るなど最新の技術もしっかり盛り込まれています。これを買っておけば間違いないという存在です。
こちらも伝統的なピン型の形状を踏襲しながら、最先端の技術を詰め込んだ1本です。まず特徴的なのが塗装。構えたときに黒と白のコントラストを利用し、目標に対して直角に構えやすい工夫がされています。フェースは、爪状の突起を無数に作り、インパクト時のボールの滑りを軽減することでボールの転がりを安定させるように工夫されています。
こちらはピン型とマレットタイプのいいとこ取りといった感じのモデルです。上記のモデルと同じように黒と白のコントラストを利用した構えやすい塗装とフェースのテクノロジーに加え、ピン型でありながら少しヘッドの奥行きを広くし、ヘッドを大型化することで構えたときの安心感、目標への構えやすさを向上させています。
こちらのモデルは、いわゆるマレット型ですが、一番の特徴はフェース上部のデザインです。ボールと同じ直径の白い丸が2つ並んでいます。これをボールと並べることで目標へフェースを正確に合わせることができ、さらには振ったときにこの白い丸の残像が生じ、どのようなヘッド軌道で振ったのかを知ることができるんです。振った軌道がわかれば自分のミスの傾向や原因が判明しやすくなるので上達にもひと役買ってくれます。
サイズは割と大きめですが比重の重い金属をフェースのすぐうしろに配置し、操作性を持たせたマレット型です。ピン型とまでは行きませんが、操作したいと考える中上級者にも人気がある形です。フェースバランスなのでヘッドは真っすぐ動かすのが適しています。
こちらも上記のモデルと同様、あまり重さの中心をうしろに下げていないモデル。大型マレットの構えやすさと、軽い操作性を兼ね備えた性能を有しています。このパターは、通常フェースバランスですが、注文時にお願いするとピン型と同じように円を描くヘッド軌道に振りやすいように調整することができますのご希望の方は店舗に問い合わせてみてください。マレット型が構えやすいけど振ってみるとヘッドが円を描く、なんて方にはおすすめですよ。
今回も長々と書いてしまいすみません・・・ゴルフギアには取扱説明書が付いていないので、細かく説明しようとすると長くなってしまうんです。特にパターはモデルとしての特徴はメーカーのホームページなどに書いてはありますが、基本的な形の意味などは調べてもなかなか理解するのが難しいでしょう。
まだまだお伝えしたいことはあるのですが、一度にすべてを書いてしまうと量が多すぎるためまた次の機会に。今回もお読みいただきありがとうございました。
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