ファーウェイ・ジャパンは、リストバンド型活動量計の新モデル「HUAWEI Band 2 Pro」を2017年9月8日に発売した。同機は、スリムなリストバンドタイプでありながら、他社の既存モデルでは実現しなかった心拍計やGPS機能の兼備により、トレーニング結果のさまざまな可視化が行える。さらに、リストバンド型活動量計の定番機能を網羅しながらも、価格.com最安価格で9,693円(2017年9月12日時点)という1万円切りのお手頃価格も実現した。
本機は0.91インチのOLEDディスプレイを搭載。ディスプレイには、「時刻」「歩数」「心拍数」「ランニングなどのワークアウトのスタート画面」などが閲覧できる。操作は、ディスプレイの下部に備わるタッチセンサーボタンをワンタップか長押しすることで行う。写真のようにBluetoothで接続中のスマホに届いたLINEなどの通知も本機で確認できる
カラーバリエーションはレッドとブラックの2色で展開
「HUAWEI Band 2 Pro」は、幅19.7mm、高さ10.3mmというスリムなボディに独立駆動のGPS機能を内蔵。スマートフォンを持たずにランニングしても、走ったルートや距離、秒単位でスピードやペースを正確に計測できるという。その性能を確かめるべく実際に走ってみた。
本機を左手首に装着し、スマホは携帯せずに街中を数キロ走ってみた
走行予定ルートは、東京・JR中野駅からスタートし、繁華街は避け、公園を1周し、中野通りを北上し新井薬師公園まで行くコース。距離はGoogleマップ上では1.99kmだった。しっかりトラッキングできていれば、このマップと同じような走行軌跡が記録できるはずだ
本機メニュー内の「ランニング」でタッチセンサーボタンを長押しすれば、ワークアウトスタート。ここでGPS機能も起動する
どんな数値が記録できるかワクワクしながら、ランニングスタート。しかし、1kmほど走ったところで、残念ながらGPSが途切れたと本機に通知されてきた……。とはいえ、走っていれば再度つながるかなと思い、最後まで完走。早速、本機で記録したデータを自動同期できる専用アプリ「Huawei Wear」を確認してみた。結果がこちら。
やはり、途中でトラッキングが終了している。さらに駅前から「中野四季の森公園」までの追跡も少々雑な印象。残念……。しかし、それ以外の「活動記録」は取れているようだ。2.27kmを12分で走破したことがわかる。距離の測定においてはGoogleマップと280mの差が出た
「ペース」の記録。平均ペースは5分22秒/1km。最速や最遅のペースも確認できる
「チャート」では、心拍数の変動を折れ線グラフで、心拍数の割合を円グラフでチェックできる。今回のワークアウトの場合、有酸素運動と脂肪燃焼がほとんどできていない。ダイエットが目的の場合は、ペースをもう少し落として走ればいいことがわかる
「チャート」の下部には、1分間の歩数もデータ化されている
そして「詳細」では、活動記録のまとめが一覧できる。写真は下部が切れているのだが、次の運動までの休息時間の目安も表示されている
「HUAWEI Band 2 Pro」では、「ランニングコーチ機能」が搭載されており、「ランニング」モードで20分以上走ると「VO2max」の効果測定もできる。「VO2max」は運動中に体内に取り込まれる酸素の最大量で、有酸素運動能力を測るうえで重要な指標。次回のトレーニングの効率化に役立てられるものだ。
「HUAWEI Band 2 Pro」は、同社が約2年間の研究を経て精度を向上させたという心拍センサーを搭載。着用時は自動で心拍数を計測できることはもちろん、ランニング中でもディスプレイ上に秒単位で心拍数値が更新され、自身の状態をリアルタイムにチェックできる。
1週間の心拍数をグラフで表示。表示期間内の最大と最小の心拍数もひと目でわかる。ちなみに9月10日は装着し忘れたので記録なし。週以外に、1日/1か月/1年に区切ってデータの変動を確認することもできる
心拍センサーの機能により、睡眠時間のトラッキングも可能。さらに、ハーバードメディカルスクールCDBセンターの睡眠試験認証を取得したという睡眠モニタリング技術「HUAWEI TruSleep」を搭載しており、具体的に睡眠状況や睡眠の質を把握できる。
本機を装着したまま寝れば、自動的に睡眠の状態を計測してくれる。この日の睡眠データに対しては、「ジョギングして睡眠の質を上げましょう」というアドバイスが提供されている
「合計睡眠時間」や「深い睡眠」など、各項目をタップするとその数値の良し悪しの評価が確認できる。さらに、その数値の説明や重要性、推奨数値などもこと細かく書かれていて参考になる
筆者が本機を使っていて一番驚いたのが、そのスタミナだ。スリムなボディに100mAhのバッテリーを搭載し、最大21日間の連続使用が可能だという。このスペックのすごさを検証すべく、価格.comでも人気があり、似たようなスペックを持つFitbitの「Fitbit Alta HR」と比べてみた。
左が「HUAWEI Band 2 Pro」で、右が「Fitbit Alta HR」。幅の違いは実測値で4.2mm
「Fitbit Alta HR」は、幅15.5mmのボディに心拍計を内蔵しているが、GPS機能は非搭載。バッテリーの持ちは最大7日間で、重量は実測値で27gだ。いっぽう、「HUAWEI Band 2 Pro」は、GPS機能や心拍計、そして公称値で21日間持つバッテリーを搭載していながら、「Fitbit Alta HR」と数ミリしか変わらないスリムなボディと、約21gというすぐれた軽量性を実現している。
つまり、「HUAWEI Band 2 Pro」は、同じような機能を持つスリムボディのリストバンド型活動量計の中では、抜群のスタミナを誇るのだ。
今回のレビューでは、フル充電した本機を9月6日の午後から使い始めて、ちょうど6日間ほど使用。GPSは前述のランニングで約12分前後起動した1回のみで、最終的にバッテリーは残り20%という結果(写真)になった。ちなみにランニングの前と後でバッテリー残量が60%から40%に下がった。GPS機能を使ったあとは充電したほうがよさそうだ
「HUAWEI Band 2 Pro」は防水性と防塵性も高い。その性能を示すIP規格は「68」。「6」は防塵性能、「8」は防水性能を表しているが、両者とも最高ランクを誇る。これは、耐塵試験用粉塵(直径75μm)が入らないように保護されており、また水深1. 5mに30分間、水に浸したとしても性能が損なわれないことを示している。注意点はひとつ。手洗い時や雨天下などはもちろん、スイミング中も安心して使えるが、温水での使用は推奨されていないので着用したままシャワーや湯船への入浴は避けたほうがよいだろう。
幅20mm以下のスリムなリストバンドタイプの活動量計の中で、心拍計とGPS機能を兼備するモデルは、現在「HUAWEI Band 2 Pro」のみ。本機に近いスペックであるFitbitの「Fitbit Alta HR」やガーミンの「vívosmart 3」はGPS機能が非搭載のため、本体だけでは走行ルートはトラッキングできない。
同機のトラッキングの性能に関しては、1回目の計測ではGPS機能に不具合が生じた。正直、GPS機能への過度な期待は禁物かもしれない。とはいえ、GPS機能というのは高いビルといった干渉物によって正確に計測できないことがある。本機を使うときは、できるだけ開けた場所でランニングしたほうが正確なトラッキングができるだろう。
ちなみに、東京・JR恵比寿駅から会社までの約0.5kmのウォーキングをトラッキングしてみたら、多少軌跡にブレはあるものの、最初から最後までGPSは途切れずに計測できた
そのほかの歩数や移動距離、心拍数、睡眠に関してはしっかり計測できたといえる。多少の誤差はあったが、トレーニングの目安として使うには申し分ないだろう。また、一連のレビューにおいて専用アプリ「Huawei Wear」をいじり倒したが、活動量計の連携アプリは使いづらいものが多い中、本アプリは直感的に操作ができる設計で使いやすかった。
そして何よりも価格が安い。前述の「Fitbit Alta HR」の価格.com最安価格が17,800円で、「vívosmart 3」の価格.com最安価格が17,130円なので、本機は8,000円程度も安い、破格の価格設定であることがわかる。以前この2機種のレビューを行ったことがあるが、GPS以外の性能に関しては「HUAWEI Band 2 Pro」とほぼ差がないと言っていい。以上のことから総合的に考えると、本機は現時点で、スリムなリストバンド型活動量計の決定版と言ってよさそうだ。