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ミスにシビア…そこがイイ! 2018年アスリートアイアン打ち比べ・マッスルバック編

現代のアイアンは大きく分けて3種類

こんにちは、オグさんです。今回は「アイアン」の打ち比べです。ひと言でアイアンといっても、モデルによって性能は大きく異なります。7番アイアンで比べても、ロフトで6度、長さで1インチ以上違うものもあり、自分のイメージと一致する性能のアイアンを見つけるのは意外と苦労します。

現代のアイアンを分類すると、大きく3つの系統に分けられます。以前ご紹介した「飛び系アイアン」、打点のミスに強く飛距離も追求した「バランス系」、そして飛距離よりもボールをコントロールすることを重視した「アスリート系」です。今回は「アスリート系」の中から、「マッスルバック(以下MB)」と呼ばれるモデル(2018年4月現在売られているもの)をいくつかご紹介します。

古くからあるアイアンの形状を受け継ぐマッスルバック

MB系は、古くからあるアイアンの形状を受け継ぐヘッド形状で、厚みのあるボディに小ぶりなサイズが特徴。バックフェースを削り、外周部に重量を配分して芯を外してもヘッドをブレにくくするキャビティ構造のアイアンとは違い、芯を外せばミスがミスになりやすいのですが、ヘッドの操作性が高くボールコントロールがしやすいアイアンです。

マッスルバック、つまり”筋肉”のようなバックフェースが特徴。ブレード(刃)アイアンとも呼ばれます

マッスルバック、つまり”筋肉”のようなバックフェースが特徴。ブレード(刃)アイアンとも呼ばれます

MB系のアイアンは、1打を争うプロや競技アマに好まれます。最近ではキャビティアイアンを使うプロが増えましたが、世界の一流選手のバッグにはまだまだMB系が多く入っています。操作性が非常に高く、打感もいいのでフィーリングも出しやすい。しかし、ミスがきちんとミスになり、アマが喜ぶ”結果オーライ”がほぼありません

プロや上級者に好まれる理由

結果が求められるプロや上級者は、なぜミスがミスになるMB系を好むのでしょうか? その答えは「ミスが想定範囲内に収まる」から。ゴルフは、グッドショットの回数を競うのではなく、あくまで何打でホール(カップ)にボールを入れたかを争う競技。ミスへの許容度が高いアイアンでミスショットをしたとき、つまりボールが目標ではない方向に飛び出したときに、思わぬ飛距離が出てしまう可能性があります。目標ではない方向に飛距離の出るボールが飛ぶということは、すなわちOBになるということです。

よしんばOBを避けられたとしても、厳しいコンディションからのショットは避けられないでしょう。また、上級者にとって補正能力が高いアイアンは、ときに自分の想像を超える弾道が出てしまうことがあるのです。たとえば、右に曲がる弾道をイメージしてスイングしたのに、アイアンの補正能力によってボールは左に曲がってしまうといった具合。MB系はミスした分だけ飛距離が落ちるので、コース内にボールがとどまりやすく、かつ操作性が高いのでミスしても自分の想定内で収まりやすくなる。プロや上級者は自分で飛距離を出すことができるので、ミスしても飛んでしまうクラブはスコアになりづらいのです。MB系を含めたアスリート系アイアンは、プロや上級者にとって結果が出しやすい、つまりやさしい(使いやすい)アイアンっていうことなんです。

上がバランス系アイアン、下がMB。操作性を重視するMBは重心距離が短く設定されており、そのためヘッドのサイズはみな小さめ。肉厚なためヘッドを重く大きくできない側面もありますが、大きくする必要もないため問題にはなりません

MBは「打感」がいい!

もう少し具体的な部分の話をしていきましょう。MB系の美点の1つが打感。バックフェースが肉厚なため、芯で打ったときの振動が少ないので打感を気持ちいい! と感じるモデルがたくさんあります。半面、芯を外せばしっかり振動し、時にはしびれるぐらいの衝撃が発生することも。でもこの強い振動がしっかり感じられることもMB系のメリットです。なぜなら、ミスがミスだとはっきり体感できるから。こうしたアイアンで練習していると、いいショットは気持ちいい感触を味わえ、ミスショットの場合はフェースのどこに当たったどんなミスだったのか、振動や打音ではっきりと伝わってきます。だからMB系はボールの操作やテクニックを磨くのに最適なアイアンであるといわれるのです。

芯で打ったときにボールがフェースに長い時間乗っているような、いわゆる「分厚い」打感が味わえるのはMB系ならでは。芯を外したときは、芯で打ったときとはまるで異なる感触が伝わってくる。使い込むことで、どこで打つとどんな曲がり方をするのかという経験値が蓄積され、使い手の上達をうながすといわれています

ソール幅は広いほうがミスには強くなるのですが、ボールだけをクリーンに打ったり、ラフからのヌケを考えると広いソールはかえってじゃまになります。ヘッドを操作し、ボールをコントロールする前提だから、MB系はみなソール幅が狭いのです。最近では多少広めのモデルもありますが、ラフからのヌケなど緻密に計算されたモデルが多いですね。

ソール幅が広い(写真・左)ほど滑ってくれるのでミスに強くなります。しかし、ボールを直接打つ、ラフなど抵抗のあるライからのボールコントロールなど、細かいテクニックを使うときにじゃまに。ソール幅が広いとヘッドの操作性にも影響するため、操作性を重視するMB系のソール幅は狭くなっています(写真・右)

今回打ち比べてみたのは、2018年春の時点でカタログにラインアップされる各社のMB系アイアン。各モデルを打ってみるとMB系にも違いが結構あって、個人的にはとても勉強になる試打でした。

■試打1:APEX MB(キャロウェイ)

小ぶりでシンプルな昔ながらのMBです。操作性を第一に考えた印象で、単一素材で作られたいわゆる”一枚物”

小ぶりでシンプルな昔ながらのMBです。操作性を第一に考えた印象で、単一素材で作られたいわゆる”一枚物”

スイングがボールに素直に映る

伝統を守っているというか、古風で正統派なMB。ロフトも立てていませんし、異素材も一切使用していないまじりっけなしのモデル。当然飛距離は出ませんが、操作性はとてもよく、ニュートラルでスイングが素直にボールに映るアイアンです。軽いドローをイメージして打ったのですが、ほぼ狙ったところに飛び出し、軽くつかまって戻ってくる弾道。フェードも試しましたがこちらも問題なく、非常に操作しやすかったです。芯を食った打感も澄んだ感触でいいですね。すごくていねいに作られたクラシカルマッスルといったところでしょうか。

試打クラブは7番(ロフト37度)

試打クラブは7番(ロフト37度)

操りやすさ ★★★★★
打点左右ミス強さ ★★★☆☆
打点上下ミス強さ ★★☆☆☆
打感 ★★★★★
※MB系に限らず、現代のアイアン全般を鑑みて各項5点満点で採点(以下同)

■試打2:リミックス 018 TOUR MODEL(ヤマハ)

小ぶりでシャープな印象を与えるモデル。フェースの上部裏はややえぐれ、ハーフキャビティのようになっていますが、操作性や打感など、性能的にはMB系に位置します

MB系としては飛距離が出る

こちらもロフトを立たせていないハードな設定なのですが、MB系としては比較的距離の出しやすいモデルです。打点のミスには上下左右ともまんべんなく強いですね。球のつかまりは控えめで、操作性は抜群といった感じではないですが、それと引き換えに極端なミスになりにくくなっている印象。特に左にボールが飛び出しにくい気がします。上級者に多い、左のミスを嫌がる人が使うととても安心できそうな仕上がりです。

試打クラブは7番(ロフト35度)

試打クラブは7番(ロフト35度)

操りやすさ ★★★★☆
打点左右ミス強さ ★★★★☆
打点上下ミス強さ ★★★★☆
打感 ★★★★★

■試打3:TOUR B X-BLADE(ブリヂストン)

やや面長な形状で穏やかな操作性を持ちます。極端な操作がやりづらい半面、大きな曲がりも起きにくい。弾道を上下に打ち分けやすい、現代のMBといった仕上がりとなっています

マイルドな操作性のMBアイアン

単一素材の一枚物。ほかのモデルと比べて重心距離がやや長い印象で操作性はマイルド。そのおかげで、大きな曲がりのミスも起きにくそうです。操作性と直進性をあわせ持った”現代のMB”といったモデル。どちらかといえば、つかまりを抑えてある印象を持ちました。目標に打ち出して、重い弾道でピンを狙っていく。ボールを曲げられないわけではないので、いざとなったらインテンショナルなボールにきちんと対応してくれます。

試打クラブは6番(ロフト31度)

試打クラブは6番(ロフト31度)

操りやすさ ★★★☆☆
打点左右ミス強さ ★★★★☆
打点上下ミス強さ ★★★☆☆
打感 ★★★★★

■試打4:Z965(スリクソン)

6番までの長い番手にはタングステンウェイトを使い、重心を最適化した複合構造のMBモデル

6番までの長い番手にはタングステンウェイトを使い、重心を最適化した複合構造のMBモデル

ボールがつかまりやすいMBアイアン

MB系の中では比較的ボールがつかまりやすいモデル。見た目が少しだけグースネックになっていて安心感もあります。計測したデータは向いた目標に飛び出した軽いドローボール。安定した距離が出しやすいですね。今回は7番だけの試打でしたが、長い番手にはウェイトを使って重心位置を最適化しているのでボールの高さが出しやすくなっているでしょう。アスリートが敬遠するギリギリのラインまでやさしさを入れ込んだMBといえます。松山英樹選手の愛用モデルでもあります。

試打クラブは7番(ロフト33度)

試打クラブは7番(ロフト33度)

操りやすさ ★★★☆☆
打点左右ミス強さ ★★★☆☆
打点上下ミス強さ ★★★★☆
打感 ★★★★☆

■試打5:N1-MB(ヨネックス)

比重が軽く振動抑制の効果があるカーボングラファイトをバックフェース裏に組み込んだ、ハイテクMBアイアン

比重が軽く振動抑制の効果があるカーボングラファイトをバックフェース裏に組み込んだ、ハイテクMBアイアン

縦の距離が狂いにくい

こちらも複数の素材を使ったハイテクなMBモデルです。バックフェースの一部にカーボングラファイトを複合。比重の軽い素材を組み込むことで、低重心化と余分な振動吸収効果を狙っています。MBとしてつかまりは比較的いいほうで、ボールをコントロールしやすい印象。操作性もよく、必要以上の飛距離が出ないのが個人的にはすごく気に入りました。縦の距離の狂いにくさがこのアイアンの一番の美点ですね。ヨネックスとは契約していないプロがこのアイアンを使いたがるのもよくわかります。

試打クラブは7番(ロフト35度)

試打クラブは7番(ロフト35度)

操りやすさ ★★★★☆
打点左右ミス強さ ★★★☆☆
打点上下ミス強さ ★★★★☆
打感 ★★★★☆

■試打6:P730(テーラーメイド)

カチっとしたフォルムのシンプルなMB。パワーのある男子プロに好まれるモデル

厳しい環境で戦っている人に

こちらはテーラーメイドのカスタムメイド限定モデルで、グリップやシャフトを自分で組み合わせて注文します。トップブレードの造形などでカチッとした印象を持たせていますね。ヘッドはかなり小ぶりで、ラフからのヌケはよさそう。打つととてもニュートラルな印象があり、ドローフェードどちらの持ち球の人でも使い勝手がよさそうです。シビアなライからグッドショットを求められるような厳しい環境で戦っている人にほど、高く評価されそうなアイアンだと思います。

試打クラブは6番(ロフト31度)

試打クラブは6番(ロフト31度)

操りやすさ ★★★☆
打点左右ミス強さ ★★★☆☆
打点上下ミス強さ ★★★☆☆
打感 ★★★★☆

基本的な造形が各モデルどうしても似てしまうMB系ですが、打ってみると意外と特色があって楽しかったです。以下、個人的なベスト3を挙げてみました。

APEX MB(キャロウェイ)
N1-MB(ヨネックス)
リミックス 018 TOUR MODEL(ヤマハ)

これらに共通するのは、左にミスしても飛びすぎないことです。個人的に左のミスが多いので…汗。上記の感想を参考にしてもらい、操作をするという前提の中にも自分のイメージする弾道が打ちやすいモデルを選ぶといいと思います。

写真:野村知也

小倉勇人

小倉勇人

ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。

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