ゴルフ大好きな元サッカー日本代表の城彰二さんによるゴルフクラブ試打企画の第5回。本間ゴルフのTW747シリーズから、ドライバーとMBアイアンを打ってみました。
じょう・しょうじ 1975 年北海道室蘭市出身。中学生のときに父親の出身地である鹿児島県に帰省し、当地の鹿児島実業高校に入学し、サッカーの技術を磨く。高校 3 年時には冬の選手権大会でベスト 4 入り。卒業後は J リーグのジェフユナイテッド市原(現ジェフユナイテッド千葉)に入団し、デビュー戦から 4試合連続ゴールを挙げて注目される。また、各年代の日本代表としても活躍。1996 年のアトランタ五輪ではブラジルを破る「マイアミの奇跡」に貢献、A 代表では 1998 年フランス W 杯に出場した。現在はテレビ解説や、北海道社会人チーム「北海道十勝スカイアース」の統括ゼネラルマネージャーに就いている。JFA 公認 S 級ライセンス保持。ゴルフを本格的に始めて 5 年、平均スコアは 85 くらいで、元サッカー選手の仲間とラウンドし、ゴルフ談義で盛り上がっているとのこと。最近ではサッカーの現場でもゴルフの話題で持ちきりだとか……
編集N:今回は本間ゴルフの「TW747」シリーズから、「TW747 460 ドライバー」と「TW-MB RPアイアン」をお借りしてきました。
城:同じシリーズのドライバーとアイアンですね、了解です!
編集N:これは、2019年から同社と契約したジャスティン・ローズ選手がバッグに入れている組み合わせです。
城:そうなんですね。まずはドライバーを打ってみます。
編集N:城さんのヘッドスピード(50m/s弱)に合わせて今回、本間ゴルフからは2本のシャフトと、9.5°、10.5°のヘッド2種をお借りしました。シャフトは同社のオリジナルモデル「VIZARD FD6S」「VIZARD FP6S」です。シャフト名はFD、FPで、6は60g台、Sはフレックスを表します。同社のシャフトですが、重さは50〜80g台、重量帯に応じてRからXフレックスまでラインアップされています。
城:本間のシャフトってかなり細かいんですね、すごいなあ! ちなみに今回のシャフトの違いは、どこなんですか?
編集N:FD6Sは中先調子で62.5g、FP6Sは手元調子で64gとなっています。城さんにはおそらくFPが合うでしょうね。
城:まずは、FDから打ってみますね。
編集N:今回もテンフィールズファクトリー株式会社より弾道計測器「スカイトラック」をお借りしたので、数値も見てみましょう。
城:(FDを打ってみる)
赤と黒を基調としたカラーリングのFD
編集N:いかがでしょうか?
城:手元調子が好きなんで、中先調子のこのシャフトは僕にはちょっとしなりが大きく感じられました。
編集N:なるほど。
ヘッドスピードを少し落として打ってみた
城:まあ、こんなもんですかね。シャフトの傾向か、けっこうつかまってる感じです。
編集N:ドロー系のボールで統一されてますもんね。
城:ドローが打ちたい人にはこの組み合わせはいいんじゃないでしょうか?
編集N:本間ゴルフは自社でシャフトも開発、製造できる数少ないクラブメーカーですが、このFDは同社の“弾き系シャフト”に分類されます。城さんのボールを見ていると、確かに!という感じですよ。
城:振り心地もいいし、けっこうしっかりしてるんで、ドローを打ちたい中上級者に合いそうだと思います。
編集N:では次に元調子のFPを。
城:(FDを打ってみる)お!いいわコレ!!
編集N:やっぱり(笑)
城:まず、さっきと音が変わりましたね。「ブシュッ!」ていう、いかにもボールがつぶれてるっていう打音です。次に、ボールの出だしが速くなった気がする。
FPは青を基調としたカラー。しなる量はあまり多くなさそう
シャフトのキックポイントがスイングに合うのでしっかり振っていけた
編集N:ボール初速が70m/s超えてますね、完全な飛ばし屋ですよ……(笑)。
城:スピンも少なくて、めっちゃ飛んでる……と思ったら数値は、まあ……(笑)。データ上の飛距離はこうですが、球の勢いはさっきとは別物じゃなかったですか、見てて?
編集N:はい、確かに。ヘッドスピードの違い以上に、見た目のボール初速が上がったように感じました。
城:このシャフト、やっぱり僕にピッタリでしたよ! 少し上から打ち込んでもボールが食いつくっていうか、“押し”があって球が強い。ギューンって伸びていきますよ。(練習場の)ネットまでの到達時間が早い早い。
編集N:プロみたいな弾道でしたよね。
城:そうそう(笑)。飛び方がかっこいいんですよ。
編集N:シャフトはFD、ロフトはとっかえひっかえしたところ、9.5°がよさそうですね。
城:ヘッドは、まずまずつかまると思います。
編集N:ヘッド形状などはどうですか?
城:460ccでも大きくなくて、ディープフェースなのかな。渋い音がします、カキーンっていう。これは、上級者好みでいいんじゃないかな。
ヘッド形状は、さすがツアーモデルといったところ。大きすぎず締まって見えたという
編集N:では次にアイアンです。この「TW-MB ROSE PROTO アイアン」(以下、RPアイアン)は、その名のとおり、ジャスティン・ローズ選手専用のプロトタイプとして開発されたモデルが市販化に至ったものです。
城:へえ〜。本間のアイアンはいいって聞くんで、今日楽しみにしてたんですよ、実は。
編集N:本間の鍛造アイアンはずっと評価が高いですからね。これは、ローズ選手からのミリ単位でのリクエストを、酒田の職人の技術で実現させ、完成に至ったのだとか。
城:世界のトップが使うクラブを仕上げられちゃう技術があるんですね、すげえ。
編集N:能書きだけでもクラブ好きに響くこのアイアンなんですが、さっそく打ってみてください。今回は5番(27°)と7番(34°)をお借りしました。シャフトは「NSプロ モーダス3 FOR T//WORLD」という、これまた本間専用のモデルです。
試打クラブのフレックスはS、シャフト重量はカタログ値で106.5g(5番)の中調子
トップラインに丸みを付けた“逃げ顔”になっている。これもローズの好みか
城:どれどれ……。(RPアイアンを打ってみる)
まずは7番アイアンから
編集N:どうでしょうか?
城:これ、ヤバいっすよ!!
満面の笑みを浮かべる城さん
編集N:……と言いますと?
城:打感はやわらかいし、高い球打てるし、すごい好き!
編集N:いきなりベタ褒め(笑)。
城:打感は、聞いてたよりはるかにいいですね。球が吸い付いてくる感じ。
ナイスインパクト。当たりに“粘り”がある、と城さん
申し分ない弾道が打てた
編集N:やはり、軟鉄鍛造アイアンのいいところなんでしょうね。データは7番で174.9ヤード、スピン量は6779rpnと、もはやプロレベル!
城:球を上げようと思えば上げられるし、抑えたライン出しショットも自由自在。さすがローズの要望をかなえただけはあるなあ〜。
編集N:世界クラスの選手との契約が決まって、割と短期間に彼の納得いくものを作り上げる技術力っていうのはすごいですよね。
城:ヘッドサイズはちょうどよくて顔もいいし、ローズだし(笑)、文句ないっす!
編集N:お買い上げ、いきますか!?
城:ちょっと……検討します!(笑)
5番アイアンのデータ。一般的には十分な飛距離だが、7番と比べるともう少し飛ばして飛距離の階段を作りたいところ。これはシャフトフィッティングで解決しそう
80台で回ったかと思えば、突然100打ったりするゴルフ部員。得意なクラブは強いて言えばミドルアイアン。苦手なドライバーとパッティングを安定させるべく、練習器具を漁る日々です。