オグさんです
今回はヤマハの「RMX 120アイアン」を試打させてもらいましたのでレポートをお送りしたいと思います。
ヘッド素材・製法:クロムモリブデン鋼一体鋳造
ロフト:#4 23°/#5 25°/#6 28°/#7 31°/#8 35°/#9 40°/PW 45°
ヤマハのアスリートブランドである「RMX(リミックス)」シリーズが、コンセプトを大きく変えてモデルチェンジをし、話題を呼んでいます。今までは、飛距離はもちろん、形状、打感、打音や操作性など、ゴルファーの感性に訴えるクラブを得意としていました。しかし今回のモデルチェンジによって、飛距離と直進性に強くこだわった、“結果重視のクラブ”へと大きな変貌を遂げました。
ドライバーは2モデル、アイアンは限定モデルを含めた3モデルを用意し、どれも過去の製品とは大きく異なった性能が与えられています。ドライバーはすでにレポートをアップしていますので、興味のある方はぜひご覧ください。
RMXで名前の数字の頭に「1」が付くモデルは代々、軟鉄鍛造にこだわり、アスリートが好む操作性と打感を重視、機能をじゃましない程度にミスヒットにも気を配るといった性能を有していました。しかし今回の「120」は素材から製法まで、完全に別物。素材は包丁などにも使われるクロムモリブデン鋼を使用し、ポケットキャビティ構造を採用した一体鋳造。構造や製法だけを見るならアベレージ向けのやさしいモデルと変わりません。
さてどんな仕上がりになっているのか、さっそく打ってみたいと思います。
デザインは比較的シンプルで、ブラックとシルバーで仕上げたシックなたたずまい。派手さはありませんが、アスリートっぽさもあり、誰でも手に取れるいいデザインだと思います。キャビティは比較的深めで、ミスにかなり強そうですね
RMX 120 アイアン #5
RMX 120 アイアン #7
RMX 120 アイアン #9
軽いグースネック形状を採用し、ボールがつかまりそうな印象があります。アスリートモデルとしてみるとトップブレードが厚めにデザインされており、やさしさを前面に打ち出した顔ですね。ただ、ヘッドはそれほど大きくはなく適度なサイズに抑えられています
ネックがかなり短く、低重心であることが読み取れます。ボールがとてもよく上がりそうです
ソール幅は比較的広めですが、リーディングエッジ側がやや面取りされていて、刺さりにくくなる工夫がされています。見れば見るほどやさしそうなアイアンです
まず構えた印象は、やや小ぶりでやさしそうなアイアンといったところ。トップブレードのほどよい厚さや適度なグースネックで、「多少ミスしても助けてあげますよ〜」的な雰囲気があり、リラックスして構えられますね。かといって鈍重な感じはなく、ちょうどいい顔付きです。
打ってみると、手にズシっと伝わるやわらかめの打感が好印象。「軟鉄ではない」と聞くと経験のあるゴルファーは硬い打感をイメージしがちですが、このモデルは違います。軟鉄とはちょっと違うのですが、余計な振動の少ない心地よい打感です。打音は、少しだけ高い音が混じりますが、軟鉄のモデルに似たパシっといった音。不快感はまったくありません。打っていて気持ちいいアイアンです。
弾道はというと、予想以上に打ち出し角が高かったですね。直進性の高い球質で、狙った方向に安定して飛ばすことができました。ミスへの強さは、ヘッドがそれほど大きくなないため、めちゃめちゃ強いとはいきませんが、ミスして飛びすぎることを嫌うアスリートが使うことを考えると、これぐらいがいいと思います。あまり大きくしすぎるとラフなどからのヘッドのヌケにも影響しますからね。
ちなみに、ヒールヒットのミスにはかなり強く、距離がほとんど落ちませんでした。操作性はというと、最低限できるといった具合でしょうか。打ち出し方向をしっかり管理できればミスをかなり減らすことができるアイアンだと思います。
軟鉄とはまた違う、独特のやわらかい打感。ズシっとした重めの感触がかなり心地よかったです
打点のミスへの強さ、ボールの上がりやすさを生みだすポケットキャビティ構造。いたずらに深くせず、中上級者が使ったときのちょうどよさを狙っています
ほぼストレートできっちり高さの出たショット。私の普段より10ヤード弱伸びつつ、スピンはしっかり入っているのがいいですね。飛んで止まるボールが打てています
このRMX120アイアンは、「アスリートゴルファーがシンプルにプレーできるモデル」とでも表現したらいいでしょうか。ラフからの抜けを考えた適度なサイズに、ボールを操作するのに必要なスピンを確保しながらも、ミスヒットにも強い。実戦でカギとなる部分を押さえつつ、やさしさも備えていると感じました。
シンプルにゴルフをしたいアスリートゴルファーや、これからアスリートゴルファーになりたいと考えるアベレージゴルファーにもおすすめできますね。
ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。