本連載「だからザ・ノース・フェイスは選ばれる!」は、現在セールス絶好調のザ・ノース・フェイスが、ユーザーから選ばれる理由を検証する企画。第15回は、「バーサタイルショーツ」をピックアップ。軽量で乾きやすいナイロン素材を使用したシンプルな本ショーツは、その名のとおり、汎用性にすぐれた1着で、さまざまなアウトドアアクティビティからライフスタイルシーンまで幅広く対応してくれる。
「バーサタイルショーツ」(品番:NB42051)の「ファンファーレグリーン」をレビュー。公式サイト価格は、6,380円(税込)
春夏シーズンになると活躍するシーンが急増するボトムスと言えば、ナイロンなどの化学繊維を使用したアウトドアテイストのショーツ。そして、多目的に使用できるアウトドアブランドのショーツの中で最も有名なのは、何と言ってもパタゴニアの「バギーズ・ショーツ」だ。
一般ユーザーからアウトドアアスリートまで、世界中で幅広い層の人々に愛されてきたのはご存じのとおり。1982年のデビューなので、今年で38周年を迎えるロングセラーである。ゴールドウインが日本で企画開発したザ・ノース・フェイスのアパレルは、非常に高いシェアを誇っているが、この分野に関しては後塵を拝していたことは否めなかった。かくいう筆者も、10枚以上の「バギーズ・ショーツ」を所有するヘビーユーザーだ。
しかしながら今シーズン、ザ・ノース・フェイスのラインアップで気になるアウトドアショーツを発見した。それが「バーサタイルショーツ」の「ファンファーレグリーン」というカラー。落ち着いたトーンのグリーンが印象的で、PCの画面越しでも、そのたたずまいがパタゴニアの「バギーズ・ショーツ」を含む他ブランドのショーツにはない独特のテイストであることが理解できた。時節柄営業している店舗も少なかったため、ネット通販で入手することにした。
届いた「バーサタイルショーツ」は、思った通りのいい雰囲気。実際に履いてみてまず気づいたのは、インナーレス仕様である点だ。説明文をきちんと読まずにオーダーしたため、勝手にインナーショーツ付きだと思い込んでいたが、いつもボクサーブリーフなどの下着を身に着けて、この手のショーツをはいていたので、この点は個人的にはそれほど気にならなかった。
「バーサタイルショーツ」には、インナーが付いていない。この構造が軽快な履き心地を生む。サイドポケット裏には、メッシュ素材が使用されており、通気性を向上させている
シルエットに関しては、「バギーズ・ショーツ」までのゆとりはないが、どちらかと言うとゆったりしたタイプに分類され、快適な履き心地。すそのサイドには4cm弱のスリットが入れられており、脚の動きやすさに貢献してくれる。
すそには、4cm弱のスリットが設けられており、激しい動きの際にも脚の動きを妨げない
あと、ウエストギャザー部が4cmほどの幅と、「バギーズ・ショーツ」の同部分の倍くらいあるので、ウエスト位置で履いてもピッタリとフィット。「バギーズ・ショーツ」の場合、少し下げ気味に腰骨で履くようになるのとは着用感が多少異なる。もちろん腰骨位置で履いても快適だ。
カジュアルシーンで2日履いた感想としては、「『バギーズ・ショーツ』よりも着用感が軽い!」ということ。これは使用している生地が若干薄いことと、実際の重量も132gと、「バギーズ・ショーツ」の192gより60g軽いことが関係していると思う。
次にランニングで使用してみたが、日課としている6kmランなら問題なく対応。ペースを上げて5分/1kmを切るペースで走っても、短めの丈とサイドのスリットにより、脚の動きが妨げられることはなかった。そのカジュアルな雰囲気からは想像できないくらいに、スポーツに対応しそうだ。
ランニング専用ショーツのレベルには達しないが、吸汗速乾性も十分なレベルで、ランニング時に汗をかいても肌にまとわりつくような感覚はあまり感じなかった。サイドポケットにスマートフォンを入れて走ったが、走行中の揺れが他ブランドの同種ショーツより明らかに少なかったことも、ランナーとしてうれしかった点だ。
十分な容量のあるサイドポケットを装備。スマートフォンを入れて走っても揺れが最小限だったことは、ランナーとしてとてもうれしかった
右側には、ファスナー付きのヒップポケットがひとつ。こちらも容量は十分だが、収容物の揺れが大きいので、ランニング時にここに入れるのは軽いモノにしておいたほうがいい
ランニング専用モデルなら、「THE NORTH FACE」のロゴはリフレクター(反射材)が用いられるところだが、「バーサタイルショーツ」はカジュアルテイストのアイテムだけに、刺繍でブランドロゴを表現
次に水泳にも使用したが、前述したようにインナーが付いていないタイプなので、ビキニタイプの競泳水着かサポーターパンツをはかないと生地が薄く、透けてしまう心配がある。この点だけは注意が必要だが、リゾート地のプールで軽く泳いだり、ジャグジーに入ったりすることも可能な点はありがたい。なお、サイドポケットはテニスボールが2個入り、出し入れも容易なのでテニスのプレイ時にも使えそうだ。
以上のように、手に入れてから1週間半ほど、ヘビーローテーションで履き倒したが、薄手の生地を使用したことや、あえてインナーを廃したことから得られる、その軽快な履き心地を始めとして、パタゴニアの「バギーズ・ショーツ」とは異なった個性が感じられた。
そして「Versatile(多用途)」というモデル名どおりに、カジュアルシーンだけでなく、ラン、アウトドア、スイム、テニスなど、さまざまなアクティビティに対応してくれた。6,380円(税込)という価格は、ファストファッションなどと比較すると決して安くないが、実際に履いてみれば、そのプライス以上に価値があることを理解することができるはず。細部の縫製もしっかりしているので、長い付き合いができそうだ。