オグさんです。
今回はコブラの「SPEEDZONE」「SPEEDZONE XTREME」、2つのドライバーの試打レポートをお届けします。
コブラ「SPEEDZONE ドライバー」(右)、「SPEEDZONE XTREMEドライバー」(左)
コブラは、現在スポーツ用品メーカー「プーマ」傘下のゴルフブランド。設立は1973年と、半世紀近い歴史があり、その時代時代で先進的なクラブを世に送り出し、独自の存在感を放ち続けています。
2020年7月現在、USPGAツアーのドライビングディスタンス1位を獲得し、“ゴルフの科学者”などと呼ばれるブライソン・デシャンボーと契約しており、同選手と共同でワンレングスアイアンを開発するなど、彼の独創的なスタイルを支えるメーカーでもあります。
そのコブラの最新のクラブがこの「SPEEDZONE」シリーズ。レーシングカーからインスピレーションを受け、ヘッドの性能を司る項目を6つのゾーンに分け、それぞれを最適化させるといった考え方で設計されています。6つのゾーンはそれぞれ、「パワー」、「重量」、「重心」、「空気抵抗」、「安定性」、「ヘッド強度」。
パワーはいわゆるボール初速に相当し、重量・重心はスピンの最適化、空気抵抗はヘッドスピードの向上、安定性・ヘッド強度はミスへの寛容性を高めるといったところでしょうか。スポーティーなデザインからも、レーシングカーからのインスピレーションを感じさせてくれます。
ヘッドタイプは2種類あり、ブランドネームにもなっている「SPEEDZONEドライバー」と、「極端な〜」を意味する「XTREME」なるサブネームを与えられた「SPEEDZONE XTREME」。それぞれどんなドライバーなのか、さっそく見ていきましょう!
ソールにウェイトを2つ装着しているのがSPEEDZONEドライバー。フェースの縁にある細かい削りの痕が目を引きますね
ヘッドシェイプはトゥ側、そして後方に丸みを持った頂点がある、やわらかな三角形。投影面積はかなり大きいですが、黒いカラーに黄色いラインの効果か、鈍重な大きさはまったく感じません
SPEEDZONEシリーズ最大の特徴といえる鍛造フェースをCNCミルドで仕上げた「インフィニティフェース」。高い反発性能と広いスウィートエリア、そしてソフトな打感を実現させています
非常にディープなフェースになっていますが、お尻がかなり低い位置に収まっており、ボールは上がりやすそう
ツアープロから上級者、中級者ぐらいをターゲットゴルファーに見据えたモデルで、強い弾道とミスへの寛容性をあわせ持つモデルです。インフィニティフェースと呼ばれる、鍛造したうえにCNCミルドで精密に仕上げられたフェースは、高初速を生み出し、フェース周りの処理をボディに回り込むように仕上げることで空気抵抗を減らすように設計されています。
ソールに搭載された2つのウェイトは後方と前方を入れ替えることで、好みに合わせて重心の特性を変えることができるようになっています。ネックに搭載された弾道調整機能で調整できるのはライ角とロフト角です(両モデルとも)。
SPEEDZONEドライバーとの違いはウェイトの搭載数。SPEEDZONEドライバーはソールの後方と前方に2つ搭載していますが、このSPEEDZONE XTREMEドライバーはソール後方にひとつのみ
基本形状は同じですが、SPEEDZONE XTREMEドライバーは、気持ちヒール寄りにボリュームがあるような印象があります
フェースはSPEEDZONE ドライバー同様「インフィニティフェース」を搭載
トゥ側から見たシェイプも大きくは変わっていません。ただ、ウェイトが後方のひとつだけになっているため、SPEEDZONE XTREMEドライバーのほうが、球が上がりやすそうな印象を受けます
SPEEDZONEドライバーとの主な違いはソールに搭載されたウェイトの数ぐらいで、基本的に大きな違いはありません。ヘッド形状は、微妙な差ですが、SPEEDZONE XTREMEドライバーのほうがヒール寄りにヘッドのボリュームがあるように見えるので、こちらのほうがつかまりやすそうに見えますね。
ネックの弾道調整機能で調整できるのは、主にロフト角とライ角。ロフトは標準ロフトから±1.5°変更できます。ライ角はアップライト方向に調整が可能です(両モデルとも)
純正シャフトは2種類用意。しなりが大きめでタイミングの取りやすいフジクラの「スピーダーエボリューションfor SZ」(上)と、適度な重さと挙動を持つ「TOUR-AD for SZ」(中)が好みに応じて選べるようになっています。もちろんカスタムシャフトも用意されていて、フジクラの「スピーダーエボリューション6」(下)、グラファイトデザインの「TOUR-AD XC」、三菱ケミカルの「ディアマナZF」などがあります
まずSPEEDZONEから打ってみました。投影面積が大きいので安心感はありますが、ボテっとしていないので、シャープに振るイメージも湧く、構えやすいデカヘッドですね。フェースのCNCミルドのボディに回り込んでいる部分がトップブレードのようにも見えて、向きもわかりやすいです。
打感は、しっかりはじき感はあるのですが、ボールのつぶれている感触も感じる印象。やわらかい感じもあるのですが、パンっとはじくようなところもある独特の感触ですね。打っていてとても気持ちよかったですよ。
肝心の弾道はというと、ライナー性の強い低スピン弾道が自然と出ます。重心は深いですが、高さはロフトなりといったところ。芯を少々外しても曲がりは少なかったです。つかまりはニュートラルの印象。デカヘッドにありがちな、振り遅れやすい挙動はなく、狙ったところに打ち出しやすいのが個人的には気に入りました。
SPEEDZONEドライバーは大型ヘッドですが、大型ヘッドに多い、振り遅れのミスが出にくいモデル。曲がりが少ないので、打ち出し方向さえ管理できれば、かなり安定したティーショットが打てそうなモデルです
左上が標準の状態である重心浅めの状態。ウェイトを両方外して入れ替えれば、もう少しボールが上がりやすくなる重心深めの仕様にすることができます(左上から時計回りにウェイトを入れ替えた様子)
ロフト9.5°でのデータです。ちょっと芯を外しているのでスピンは多いですが、それでもほとんどサイドスピンの入っていないストレートな弾道が打てています。安定感は高いですよ
ロフトを10.5°に変更し、なおかつウェイトを重心深めにした状態での計測データです。ボールの打ち出しが3°も上がり、飛距離も伸びています。このほうが平均飛距離は伸びそう
ロフト10.5°で重心位置を標準の重心浅めに戻したデータ。スピンがグッと減り、私のパワーではキャリーが足りていないですね。もう少し高さを出したいところ。しかし、サイドスピンが少ない! 曲げようと思っても強くは曲がらないでしょうね
SPEEDZONE XTRENEは、SPEEDZONEドライバーの性能に、ボールをより上がりやすくし、ミスヒットに強くしたモデル。構えたときの安心感とシャープさは変わりませんが、つかまりそうな印象がプラスされています。
実際打ってみると、弾道の直進性の高さは変わらないのですが、ヘッドをよりスクエアに戻しやすい印象がありますね。飛んでいく弾道はほとんど変わりませんが、打ち出し角が一段高まっている印象。ヘッドスピードがそれほど高くなくても、安定して飛ばせそうです。
SPEEDZONE XTREMEは10.5°のみの商品設定で、ライ角が58.5°。SPEEDZONEドライバーのロフト角とライ角は9.5/57.5°と10.5°/58.5°。ロフト角と連動してライ角が設定されています。右のミスを減らしたいならライ角の大きいモデルを選ぶといいですよ。ロフト角はネックの弾道調整機能で調整できますからね
SPEEDZONE XTREMEのデータです。ほぼストレートの弾道が打てています。とにかくSPEEDZONEシリーズはサイドスピンがかかりませんね!
SPEEDZONEシリーズは、直進性が高くミスに強い、いかにも今風のドライバーに仕上がっていました。前作も完成度が非常に高いモデルでしたが、ややアスリートに寄った性能でした。今作はさらにブラッシュアップしながら、2モデルをラインアップしてきたことで、使えるゴルファーがより増えましたね。
SPEEDZONEドライバーは、アスリートやプロが使える強弾道とミスへの寛容性を持ったモデルでSPEEDZONE XTREMEは、そこに適度なつかまりとさらにミスへの寛容性を高めたモデルといった感じ。どちらも適度な重量があり、安定したスイングもしやすい設定です。ミスを減らしたいならSPEEDZONE XTREMEがおすすめですね。
写真:野村知也