オグさんです。
今回はテーラーメイドの「SIMグローレ」シリーズから、ドライバーの試打レポートをお送りしたいと思います。
テーラーメイド「SIMグローレ ドライバー」
「SIMグローレ」は、全世界でアスリートゴルファーの強い支持を得ており、またツアープロが愛用して多くの勝利をあげている「SIM」シリーズの技術を、日本市場向けにやさしく飛ばせるモデルとして数多くの名器を生み出してきた「グローレ」シリーズに注入した最新モデルです。
2020年9月1日に行われた発表会にも参加してきましたのでその様子をご覧になりたい方は下記をご覧ください。
▶「SIM」の技術をグローレに注入! 「SIM グローレ」発表会速報
SIMとは、「シェイプ in モーション」の略。ダウンスイングでの空気抵抗を減らし、ヘッドスピードを向上させる「イナーシャジェネレーター」を搭載し、「M」シリーズに搭載されていたルールギリギリの反発性能を発揮する「スピードインジェクション」、打点のズレによる曲がりを抑える「ツイストフェース」、高初速エリア拡大、バックスピン軽減に効果がある「貫通型スピードポケット」など、テーラーメイドオリジナルのテクノロジーが満載された高性能モデル。このテクノロジーの数々を、日本市場向けにチューンアップして搭載したのがSIMグローレなのです。
はたしてどんなクラブに仕上がっているのか。早速見ていきましょう。
基調となるホワイトとカッパーに近いメタリックを差し色に使用し、カーボンの模様を効果的に使った高級感あふれるデザイン。SIMシリーズで特徴的だったソールの突起「イナーシャジェネレーター」はややおとなしい形状になり、ウェートを搭載した「ドローバイアスイナーシャジェネレーター」に進化しています
トゥ側後方にボリュームがあったSIMシリーズとは違い、ほぼ均等のきれいな丸形のヘッドシェイプ。カーボンの網目が美しく、フェース側の白いラインが、構えやすさとスクエア感を演出しています
フェースには「ZATECチタンフェース」と呼ばれる、高い反発性能を誇る素材を使用。スピードインジェクション、貫通型スピードポケットと相まって、高い反発性能と広い高初速エリアを実現させています。SIMシリーズのフェース面にあった、スピードインジェクションのジェルを充填するための2つの入り口は、トゥ側に移動し、すっきりしました
空力を考えた形状で、ヘッドの後方が上がったデザインになっています。トゥ側に見える丸い穴が、スピードインジェクションのジェルの入り口です
シャフトはフジクラと専用に開発した「AiR Speeder TM」を装着。軽量でありながら、コシがあって振り抜きやすい味付けのモデルです
発表会で実物を見たときは、割とオーソドックスな形状で構えやすいと感じた半面、説明を受けた“ドローバイアス”と表現するつかまりのよさと形状が結びつかず、ちょっととまどいました。今回改めて見ると、やっぱりいい顔! 初見では、スッと構えて不安感も疑問もわかず、スッと打つことができました。
ところが、打ってみると思いのほかつかまる……! 46インチとシャフトが比較的長めなのにもかかわらず、わずかな力でスッとヘッドがターンしてくれるので、振り遅れる感じがありません。空力を向上させつつ、つかまり性能を向上させる「ドローバイアス イナーシャジェネレーター」によって、数値が大きいほどヘッドが自然と返りやすくなる「重心角」が大きめに設定されています。重心角が大きい一般的なドライバーは、勝手にヘッドが返るような印象でコントロールがしづらい面があるのですが、このSIMグローレは小さな力でヘッドがターンしてくれる印象で、多少のコントロールを受け付けてくれます。ここは個人的に非常に扱いやすいと感じた点ですね。
弾道はというと、Sフレックスで約278gと軽量にもかかわらず、適度な低スピンで強い弾道が打てます。ヘッドスピード40m/s前後のゴルファーをターゲットとして開発されているそうですが、まさにそのあたりのヘッドスピードで打つと非常に効率のいい“飛ぶ弾道”が打てました。
最新のモデルらしく曲がりも少なめ。もちろんサイドスピンもかかりづらいのでミスヒット時の曲がりも少なかったですね。投影面積の大きいモデルが構えづらい、狙ったところにうまく打ち出せないといったアベレージゴルファーにはピッタリな仕上がりだと思います。
打感はややソリッドではじき感のある感触。ほかのテーラーメイドのモデルに準じており、芯を食ったときは、乾いた音がして心地よかったです
SIMシリーズと比べてややヒール寄りにボリュームを持たせており、ほぼ丸型の顔立ち。個人的にはこういった形状のほうが安心感が湧きます
ヘッドスピードを少し落として振った数値です。適度な高さが出て、しっかりと右に打ち出しつつ、つかまった弾道が打てました
ちょっと頑張って振ってみたのですが、ほとんど効率は落ちず強い弾道が打てましたね。ただ、さすがにシャフトが負けてしまい、つかまえきれませんでした。それでもスライスにならないのはさすがです
SIMグローレは日本市場向けに設計されたというだけあって、クラブとしての性能はもちろん、形状による構えやすさやデザインによる所有感、打感の気持ちよさにいたるまで、非常に作り込まれたモデルだと思います。ヘッドの性能は素晴らしく、アベレージゴルファー向けでありながら男子プロが使用し、高い飛距離性能を発揮しているそう。私も個人的に、リシャフトして改めてテストしてみたいと思いました。
前作の「Mグローレ」と比べると、つかまりのよさはそのままに、ヘッドの操作性というか扱いやすさがアップし、さらに曲がりにくくなった感じですね。特にシャフトは大きく変わった印象。前作は比較的しなやかな動きで、パワーのないゴルファーがより安定して飛ばせる仕様でしたが、今作はシャキッとして比較的ハードヒットしても付いてきてくれるところに違いを感じました。どちらもつかまるという点では同じですが、SIMグローレのほうが幅広いゴルファーに対応している印象です。
SIMシリーズは、飛距離性能は高いのですが、しっかりと重量のあるモデルが多いため、SIMはちょっと重たいと感じる方は、SIMグローレを試す価値はあると思います!
写真:野村知也
ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。