オグさんです! 今回は、テーラーメイド「ステルス」のフェアウェイウッド(以下、FW)の試打レポートをお届けします。
テーラーメイド「ステルス FW」(左)、「ステルスプラス FW」(右)
テーラーメイドの2022年モデルとして登場した「ステルス」。ドライバーのフェースにカーボンを使用し、非常に大きな話題になっています。ドライバーのインプレッションはすでにアップしておりますので、ご興味ある方はこちらもご覧ください。
<関連記事>
カーボンの打感と飛びはどうなんだ!? 超注目の「ステルス」ドライバー3種試打
ステルスシリーズには、ドライバーのほか、FW、UT、アイアンがラインアップされています。FWもドライバー同様、カーボンフェースで設計してくると思いきや、発表されたFWのフェースは、従来同様金属製でした。
FWをカーボンフェースにしなかったのはおそらく、ヘッドが小さくフェース面が狭いからだと思います。カーボン素材をフェース面積が小さいクラブに使うと、反発性能と強度の両立が難しいのでしょう。またカーボン素材を使う大きなメリットのひとつに、フェース周りを軽く仕上げることができるという点があります。ですがFWは、フェースが小さく、ドライバーと比べてフェース周りを軽量化しても大きなメリットにはなりません。むしろ金属のフェースのほうが意図する性能を追求しやすいのでしょう。
ステルスシリーズのFWは2タイプ。フェースにチタンを採用し、低スピンで高初速を狙う「ステルスプラス FW」と、マレージング鋼とステンレス、2つの金属を番手に応じて使い分け、高弾道でミスへの強さを追求した「ステルス FW」です。
ドライバーに目を奪われがちですが、こちらもしっかりと進化しているようです。
さっそく見ていきましょう。
適度なつかまりを持ったアスリート向けFWです。クラウン全体とボディのトゥとヒールに回り込むようにカーボンを使用。徹底した低重心で高弾道かつ、低スピンを狙った設計になっています。
ロフト角15°の3番とロフト角16.5°の3HLにはマレージングフェースを、18°の5番、21°の7番はステンレスフェースを採用。用途に応じてフェース素材を使い分ける、凝った仕様になっています。
デザインはドライバーと共通。黒いボディに赤いラインがとってもスポーティーですね。テーラーメイド独自のスピードポケットはありますが、目に見えるウェートなどはなく、とてもスッキリしています
価格.comで詳細をチェック
ヘッドはステルスドライバーに準じた形状。ちょっとだけトゥ側にボリュームがある軽い洋ナシ型といった雰囲気です。投影面積は適度なサイズ感ではあるのですが、黒くマットな仕上げのクラウンの効果で、かなり締まって見えます
フェースの上部には、黒いクラウンとフェースによる構えにくさをカバーする帯状のライン「レーザーアライメント」が施してあります。トゥ側から見るとかなりのシャローバックですね
シャフトは、純正に50g台の三菱ケミカルの「TENSEI RED TM50」を装着。カスタムにはそれぞれ60g台の、グラファイトデザイン「TOUR AD UB-6(S)」、フジクラ「SPEEDER NX 60(S)」、三菱ケミカル「Diamana PD 60(S)」をラインアップ。カスタムシャフトは、ドライバーとのつながりが重要ですので、ドライバーのシャフトに合わせてチョイスするとよいでしょう。
純正シャフトは、アスリート向けとしては適度にしなり、タイミングの取りやすい特性を持っています。ヘッドスピードの目安としてはフレックスRで38m/s前後、SRで40m/s前後、Sで42m/s前後ぐらいでしょうか。
適度になしなり、純正シャフトらしく扱いやすい仕上がりの「TENSEI RED TM50」
└#3・純正シャフト
価格.comで詳細をチェック
価格.comで詳細をチェック
└#3・カスタムシャフト
└#5・純正シャフト
価格.comで詳細をチェック
価格.comで詳細をチェック
└#5・カスタムシャフト
└#7・純正シャフト
価格.comで詳細をチェック
価格.comで詳細をチェック
構えた印象は、いかにもアスリートに向けた顔をしているなという感じ。適度なサイズで、左を向かない座りは、上級者が気にするポイントをしっかりと抑えた仕上がりになっています。
お借りしたスペックは、純正のTENSEI RED TM50のフレックスS。番手は15°の3番です。いつものようにヘッドスピード40m/sぐらいから試打をスタート。芯でしっかりとらえると、ピシッと乾いた打音が響き、はじき感のある爽快な打感を楽しめます。カーボンフェースのドライバーよりはちょっとはじく感じですね。ちなみにドライバーとFWを交互に打っても違和感はなし! このへんはさすがテーラーメイドといったところです。
肝心の弾道は、中弾道のライナー性。40m/sぐらいだと飛距離は期待できそうですが、3番でグリーンを狙うのは、ちょっと難しそうですね。5番以上なら高さもスピンも増えそうなので、十分グリーンで止める球を打てると思います。
操作性は、できなくはないのですが、スピンが少ないこともあってやれることは少ないです。ドロー、フェードといった弾道は作れますが、よくも悪くも直進性が高い仕上がりになっています。
フェースにドライバーと違う素材を使用したFWでも違和感なく、どちらも気持ちいい打感・打音を実現させています
ヘッドスピードを43m/sまでアップすると、やや弾道が高くなりましたが、基本的にライナー性の弾道は変わらず。ヘッドスピードを高めてもスピン量はさほど増えませんでした。もう少しヘッドスピードが速い方が打てば、スピン量は増えるかもしれません。43m/s程度だとドライバーに近い、前に飛ぶ弾道が自然と打てますね。
ソールが船底型になっており、Vスチールソールとあいまって、ヌケはよさそう
3番のデータ。つかまり性能は適度に持っているので、ドロー系の弾道は打ちやすかったです。3Wはかなり飛距離に振ったFWといった印象です。5番以下は、高さも出てスピンがもう少し入ります
フェースにチタンを使用し、80gものソールウェイトを搭載した、アスリートのための飛び系FW。ステルスFWと比べてやや小ぶりに仕上げ、低重心かつ高初速を追求した仕様となっています。FWにも飛距離と強弾道を求めるアスリートのためのかなり尖ったモデルで、テーラーメイドセレクトフィットストア限定の製品となります。
80gのソールウェイトがメッキ仕上げになっており、ステルスFWと見た目はだいぶ変わっていますね。また、このステルスプラスFWはネックに弾道調整機能を搭載しています
ヘッドシェイプは奥行きも狭く、かなり小ぶりな仕上がりに。ステルスFWと比較すると小ぶりではありますが、前作にあたる「SIM2 FW」よりは少し大きくなっています
ステルスFW同様、フェース上部に「レーザーアライメント」が施してあります。トゥ側からのシェイプはこちらもシャローバックですね
純正シャフトにはステルスFWとは異なるモデルが用意されます。銘柄は三菱ケミカルの同じTENSEIですが、REDと比べてやや粘る挙動を持つ「TENSEI SILVER TM50」を装着しています。TENSEI SILVER TM50にもフレックスR、SR、Sが用意されており、カスタムシャフトはステルスFWと同様です
ヘッド形状はかなりシャープで奥行きも狭く、いかにもライナー性の弾道が出そうな雰囲気。座りも上級者好みで、若干右を向くぐらいの設定になっています。
多分無理だろうなぁと思いながら、40m/sぐらいで打ってみると、ちょっとびっくり。ステルスFWより高さが出ます。よほど重心が低いのでしょう。しかし、高さは出るのですがスピンは足らず、ちょっとドロップ気味になっていました。これくらいのヘッドスピードで使うなら5Wがおすすめですね。
つかまり性能はニュートラルといったところ。低スピンゆえに曲がりが少ないので、直進性を重視しつつ、1発の飛びをFWにも求めるならもってこいのヘッドです。
ですが、少しでもコントロールしたいと考えるならステルスFWのほうが制御はできると思います。
ドライバーのような、低スピン弾道が最大の魅力!
シルバーの部分全体が80gものウェートになっています。この効果によって、高い打ち出し角と低スピンの弾道を生み出しているのです
ヘッドスピードを43m/sまで高めると、絵に描いたような高弾道低スピンに! 個人的には、もうドライバーはいらないのでは?と思うほどの弾道が打てました。
ただFWとして考えると、ここまで強い弾道いる?というのが率直な感想。もう少しヘッドスピードがないと、スピンをあえて増やすといったコントロールはできないので、ツアープロが8000ヤード近いコースで戦うための“武器”なんだなというのが正直な印象です。
フェースの小さいFWではカーボンよりチタンのほうが高初速を作り出しやすいのでしょう。もはやミニドライバーといってもよいぐらい!
こちらも3番のデータ。あまりに飛ぶので、ちょっと頑張って振ってみたデータです。ややフック気味ですが、普段の私のドライバーのデータとほぼ同じです……。ティーアップなしでこの数値ですから、飛距離性能は間違いなく高いです!
ステルスFW、ステルスプラスFWは、ともに、ツアープロをかなり意識して作られたモデルなんだろうなというのが率直な印象です。低スピンで直進性が高く、ある程度パワーがあるゴルファーが使ってもスピンが増えすぎないように設計されています。
では、アベレージゴルファーが全く使えないかといえば、そうではありません。低スピンの性能を生かして、曲がりの少ない“飛距離重視のFW”として考えれば十分武器になると思います。
前作「SIM2」と比較すると、どちらも低スピンになった印象。芯を外してもスピンが増えすぎないステルスシリーズのほうが、タテ距離のバラつきは減るでしょう。
ライバルモデルですが、ステルスプラスFWは、プロギアの「eggスプーンブラック」、ヤマハ「VD」の3W、キャロウェイ「ローグST MAX LS」と競合します。どれも低スピンのFWですが、それぞれに尖った個性を持つモデルばかりです。
ステルスFWのライバルはローグSTシリーズのMAXとMAX Dがライバルになりますね。飛距離でステルスFW、扱いやすさでローグSTといったところでしょうか。
2022年モデルは、どれも性能が大幅にアップしている分、自分が求める性能をちゃんと吟味しないと、スコアにつながらない気がします……。
写真:野村知也
ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。
価格.comで詳細をチェック
価格.comで詳細をチェック