オグさんです! 今回は、キャロウェイ「ローグST MAX アイアン」の試打レポートをお届けいたします!
ローグST MAX アイアン
「ローグST」シリーズは、2022年1月に発表されたキャロウェイのメインブランド。ターゲットゴルファーの打点データや飛距離に関わるデータを細かく分析。その結果に合わせ、AIを使ってフェースをモデルごと、番手ごとに専用設計するなど、非常に細かく作り込まれています。
その細かい作り込みは、ラインアップにも表れていて、ドライバー4モデル、FW4モデル、UT4モデル、そしてアイアンまでも4モデルを用意するという徹底ぶりです。
ローグSTのアイアンシリーズは、AIが解析したデータをもとに各モデル専用に設計した「FLASH SS22」フェースを採用。ロフト設定やヘッドサイズの違いなど、各モデルがターゲットゴルファーに合わせて味付けされています。
今回試打させていただいた「ローグST MAXアイアン」は、最も幅広いゴルファーを対象とした、やや飛距離重視のモデルです。
飛距離を追求するためにフェース素材の変更、ヘッド内部の樹脂やウェートの量や配置など、AIによる設計だけでなく、いろいろな点が見直されています
今回ご紹介するMAXのほかに、最もミスに強い「MAX OS」、軽量で飛距離を楽に得られやすい「MAX FAST」、コントロール性と飛距離性能を両立させた「PRO」があります
キャロウェイ製アイアンの特徴である、丸みを帯びたフォルムを採用。ウッド類には刺し色のオレンジが強めに入っていましたが、アイアンは控えめです。シンプルでありながら、ロゴがなくてもキャロウェイのアイアンとわかるようなアイデンティティが目に見えるデザインですね
ローグST MAX アイアン・#6
ローグST MAX アイアン・#7
ローグST MAX アイアン・#9厚めのブレードと強いグースで、長い番手から短い番手まで同じイメージで構えられます。少々芯を外しても当たり負けしない強そうなイメージを持たせつつ、やわらかい雰囲気もあわせ持つやさしい顔ですね
飛距離性能を高めるためにカーペンター450スチールと呼ばれる高強度ステンレスをフェースに採用。フェースカップ構造により、AIによる設計だけでなく、素材や構造、さまざまな観点から、高性能を追求しています
ソール形状は、かなり幅広でダフりに強い仕様。ソール後方からバックフェースにかけて黒いラインを入れることで、ソール幅を見た目より狭く見せるような工夫がされていますね。見た目よりスマートに見えます
ロフト:#5 21.5°/#6 24.5°/#7 27.5°/#8 32°/#9 36.5°/PW 41°
ロフト設定は、7番で27.5°と、かなり立っています。飛距離性能をかなり重視している表れですね。どのくらい高さが出るかで扱いやすさが変わってきます。
シャフトバリエーションは、40g台の超軽量カーボン「VENTUS 5 for Callaway(R)」。70g台のスチール「NS PRO ZELOS7(S)」。そして90g台のスチール「Dynamic Gold 95(S200)」の3モデルを用意。
選び方の目安としては、とにかく楽にスイングしたいならVENTUS、安定感と軽い振り心地を両立させたいならZELOS、しっかり振りたいならDynamic Goldといった感じです。どのシャフトも決して重くはなく、ローグSTドライバーのMAXの純正が楽に振れるなら、Dynamic Goldも楽に振れるぐらいの設定になっています。
ドライバーに設定されている「VENTUS for Callaway」と基本的に同じテイストに仕上がっている、アイアン用の純正シャフト「VENTUS」。ただ、ドライバー用よりは軽めの設定となっています
構えた印象は、「やさしそう〜!」ですね。強めのグースと厚いブレードが、どこで打っても前に運んでくれそうな雰囲気を醸し出しています。半面、球筋の操作はまったくできなそうだな〜といった、よくも悪くもオートマチック感も感じます。
構えやすさは問題なし。フェースの下側2本の溝が白く塗られており、これがアライメントを取りやすくしてくれています。
お借りしたスペックは、純正カーボンのRスペック。このモデルのターゲット層であるヘッドスピード36m/sぐらいを意識して試打スタート。7番アイアンらしい高さでポンと飛び出し、曲がりの少ない、まさにオートマチックな弾道で飛んでいきます。ボールのつかまりがよく、右へのミスはほとんどなかったですね。
インパクトを強めに入れると、ちょっと左に飛び出すときもありましたが、それはおそらくシャフトの問題でしょう。スチールシャフトであれば、そういった点は解消できそうです。
打点を外して打っても飛距離ロスが少なく、高さもちゃんと出ていました。曲がりも少ないのでシンプルにプレーするなら、もってこいの性能に仕上がっていますね。
打感は、ちょっとはじき感を感じるいかにも飛びそうな感触。芯を外しても感触が変わりにくく、余計な振動も少ないです
グースネックが自然とボールをつかまえてくれるので、右へのミスが多い方には特におすすめです。つかまるとは言っても、極端に左に巻き込むような弾道が出ないバランスのよさがこのアイアンのいいところ
ヘッドスピードを徐々に高め、最終的に43m/s程度まで試してみると、ボールの高さがどんどん増していく感じ。球質の差はほとんど感じないのですが、速く振れば振るほど打ち出し角が高くなり、距離も伸びていましたね。
芯を外したときは、飛距離が伸びている分、縦のバラつきは多少ありますが、曲がりの少なさはほとんど変わらず、非常に直進性が高いと言えます。
ヘッド下部のトゥ側に「プレジション・タングステン」と呼ばれるウェートを配置し、フェースの真ん中に芯が来るように設計されています。低重心化の効果もあり、高弾道で直進性の高い弾道を安心して打つことができます
7番の弾道データ。ドロー系を意識したのですが、そのまま真っすぐ抜けました。それくらい直進性が高いのです。飛距離性能は、かなりのもの。正直私は、ここまでの飛距離は要りません(笑)
ローグST MAXアイアンは、現代の一般的なゴルファーが考える、やさしいアイアンのベンチマークになりうるクラブに仕上がっていました。飛距離が出て曲がりにくく、高さも出る。とにかく楽にプレーしたいと考えるなら必ず候補に入れるべきアイアンだと思います。
ライバルは、ダンロップ「ゼクシオ12」、ヤマハ「VD40」、テーラーメイド「ステルス」、ピン「i525」といったところでしょうか。曲がりにくさという点では、ヤマハVD40といい勝負だと思います。
個人的には、操作がほとんどできなくてつまらないです……それぐらいオートマチックに打てるアイアンなんです。
写真:野村知也
ゴルフショップ店長、クラフトマン、クラブフィッターそして雑誌の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。