南井正弘の「毎日走って、わかった!」

走行感が刷新! アシックスのロングセラー新作「ゲルカヤノ 30」を履いて走ってレビュー

アシックスの「ゲルカヤノ」と言えば、同ブランドを代表するランニングシューズのロングセラーシリーズ。着地時に脚が過度に倒れ込むオーバープロネーションを抑制するサポートタイプの代表的シリーズだ。

日本はもちろん、アメリカやヨーロッパでも高い評価を得ている「ゲルカヤノ」が今夏フルモデルチェンジ。記念すべき第30弾となる「GEL-KAYANO 30(ゲルカヤノ 30)は、新しいテクノロジーを結集することで、これまでとはまったく異なる走り心地のランニングシューズへと生まれ変わった。

アシックス「GEL-KAYANO 30」の「Black/Glow Yellow」。公式サイト価格は、19,800円(税込)

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2025/08/05 11:00

従来の「ゲルカヤノ」シリーズとは異なる走行感!

アシックスの「ゲルカヤノ」は、クッション性、安定性、オーバープロネーションを抑制するサポート性を高次元で融合したランニングシューズとして、1993年に初代モデルがリリースされ、日本のみならずワールドワイドで高い評価を得ることに成功した。現在では、高価格帯におけるサポートタイプのランニングシューズの代名詞として確固たるポジションを築いている。

そんな「ゲルカヤノ」の最新モデル「ゲルカヤノ 30」は、これまでにない新機軸を打ち立てているが、その筆頭にあげられるのが「4D GUIDANCE SYSTEM(4Dガイダンスシステム)」である。ミッドソール内側の中足部に柔軟な素材を配したことを始め、ミッドソールの踵(かかと)部分の形状や、広がりを持たせたミッドソール、そして接地面積を拡げたアウトソールを組み合わせることで、従来の「ゲルカヤノ」シリーズとは異なった走行感ながら、これまでと同様にクッション性、安定性、サポート性の絶妙なハーモニーを実現している。

アッパーには、通気性とフィット感を高いレベルで追求したメッシュ素材を採用。また、シュータン両端をアッパーに連結させたガセットタンを採用することで、中足部のフィット感をさらに高めている

アッパーには、通気性とフィット感を高いレベルで追求したメッシュ素材を採用。また、シュータン両端をアッパーに連結させたガセットタンを採用することで、中足部のフィット感をさらに高めている

ミッドソールは、全体の厚みを前モデルから4mmアップさせ、クッション性をより一層追求している。素材には「FF BLAST PLUS ECOクッショニング」を採用。植物由来の素材を約24%含むことでCO2の排出削減に貢献しながら、やわらかなクッション性を提供する

ミッドソールは、全体の厚みを前モデルから4mmアップさせ、クッション性をより一層追求している。素材には「FF BLAST PLUS ECOクッショニング」を採用。植物由来の素材を約24%含むことでCO2の排出削減に貢献しながら、やわらかなクッション性を提供する

踵部分には、従来モデルのクッション材よりも65%柔軟な「Pure GEL」を内蔵。よりソフトな走行感を追求している

踵部分には、従来モデルのクッション材よりも65%柔軟な「Pure GEL」を内蔵。よりソフトな走行感を追求している

ミッドソールの土踏まず部分には高反発素材を採用し、疲労時に必要となる中足部の安定性と快適な履き心地を実現。オーバープロネーションの抑制にも効果的だ

ミッドソールの土踏まず部分には高反発素材を採用し、疲労時に必要となる中足部の安定性と快適な履き心地を実現。オーバープロネーションの抑制にも効果的だ

接地面積を拡大させたアウトソールは、安定した足運びをサポート。アスファルトやコンクリートといった舗装路で、最高のグリップ性を発揮するパターンも採用する

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本モデルより、製品のライフサイクルで発生する温室効果ガスの総量を指すカーボンフットプリントの表示を開始

本モデルより、製品のライフサイクルで発生する温室効果ガスの総量を指すカーボンフットプリントの表示を開始

【実走】新しい走行感とシリーズならではのサポート性能を体感!

実際に「ゲルカヤノ 30」を履いて走ってみた

実際に「ゲルカヤノ 30」を履いて走ってみた

筆者は前モデル「ゲルカヤノ 29」こそ履いていないが、2010年発売の第18弾以降、同シリーズの歴代モデルのほとんどを履いて走ったことがある。このシリーズの特徴をひと言で言えば、「安定性とクッション性、サポート性の絶妙なハーモニー」だ。他ブランドでも同様の機能性をうたうプロダクトは少なくないが、「ゲルカヤノ」はそのバランスのよさがワンランク上だった。

まず外観をチェックしてみると、今回の第30弾はこれまでの「ゲルカヤノ」の面影がまったくと言っていいほどない。

足を入れてみると、シュータンの両端をアッパーの内側に連結させたガセットタンの採用により、中足部のフィットが高いことを始めとして、足とシューズの一体感を感じられる。接地面積を拡大したアウトソールや、広がりを持たせたミッドソールを用いたこともあり、立っている状態でこれまで以上の安定性を確保していることがわかる。

走り始めてみると、従来の「ゲルカヤノ」が着地時にコツコツとした硬さを感じたのに対し、今作では着地時の硬さはまったく感じない。たとえるなら、従来の「ゲルカヤノ」で採用されたミッドソールの内側の硬度を上げるアプローチが“レンガやブロックの壁で過度な倒れ込みを抑える”のに対し、今回の柔軟で高反発な素材をミッドソール内側の中足部に配す手法は“トランポリンやマットレスで跳ね返すような感覚”に近い。

走り始めはニュートラルタイプの「ゲルニンバス 25」の走行感に似ており、クッション性の高さを特に感じる。この日は通常よりも長い10kmを走ったが、7kmを超えたあたりから内側への倒れ込みが若干発生したが、新採用の「4D GUIDANCE SYSTEM」がさりげなくオーバープロネーションを抑制してくれているのを感じ、「ゲルカヤノ」シリーズならではのサポート性能を体感することができた。ペースとしては5分40秒〜6分30秒/kmほどで走ったが、個人的にはゆっくりペースで長い距離を走りたいときに最もマッチする1足だと思った。

【まとめ】着地時の硬さや異物を乗り越えるような感覚がなくなったことは画期的!

以上のように、「ゲルカヤノ 30」はフルモデルチェンジによりまったく新しい走行感をランナーに提供してくれる1足へと生まれ変わった。以前、兵庫県神戸市にあるアシックスの「スポーツ工学研究所」を訪れた際に、「アシックスは同一シリーズを履き続けてくれるランナーをびっくりさせすぎないために、前作の特徴を60〜70%程度残してモデルチェンジする」と担当者から聞いていたが、今年に入ってリリースされた「ゲルニンバス 25」と今回の「ゲルカヤノ 30」に関しては、それは当てはまらないようだ。特に、ミッドソール内側の硬度を高めることでオーバープロネーションを抑制するという従来の常識とは決別しつつ、しっかりとサポート性能を確保している点に注目が集まる。このアプローチにより、サポートモデルでは仕方ないと思われていた着地時の硬さや異物を乗り越えるような感覚がなくなったことは画期的。走行感こそ大きく変わったが、従来からの「ゲルカヤノ」ユーザーが履いても満足することは間違いないだろう。

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2025/08/05 11:00
南井正弘
Writer
南井正弘
1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年間勤務後、ライターに転身。スポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆しており、ランニングギアマガジンやランニング全般のポータルサイト「Runners Pulse」の編集長も務めている。
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牧野裕幸(編集部)
Editor
牧野裕幸(編集部)
アイテム情報誌「GetNavi」や映像エンタメ情報誌「DVD&Blu-rayでーた」(当時)の編集者を経て「価格.comマガジン」へ。スティック&ロボット掃除機、コーヒーメーカー、扇風機、電動歯ブラシ、電気ケトルなどの白物家電のほか、AV機器や加熱式タバコを担当しています。LOVE, LINKIN PARK.
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