ブルックスの「グリセリン」シリーズは、高レベルのクッション性能で数多くのランナーを魅了してきたロングセラーだ。前作の「グリセリン20」から、ソフトかつ反発性にもすぐれた素材「DNALOFTv3」を採用したことでより快適な走行性能を実現したが、今回リリースされた第21弾の「グリセリン21」は、さらなる機能性アップを目指し、随所でスペックアップを敢行している。
ブルックス「Glycerin StealthFit 21」(グリセリン ステルスフィット 21)の「ホワイト」(品番:BRM4213-W)。公式サイト価格は、22,000円(税込)
2024年初頭にリリースされて以来、良好なセールスを記録しているブルックスの「グリセリン21」。前作同様に、液化窒素ガスを混ぜ、臨界発泡させて成型したミッドソールフォーム「DNALOFTv3」を採用しつつ、前作よりもそれを2mm厚くしたことで、よりクッション性の高い履き心地を実現している。また、軽量性や反応性、耐久性を最適化。さらに、ミッドソールを上方向に巻き上げたデザインを採用し、走行安定性も向上させている。
ミッドソールフォーム「DNALOFTv3」を採用し、究極のやわらかさを追求
アッパーには、新たに「エンジニアードワープニット」を採用することで、通気性が向上。足にぴったりとフィットしながら、柔軟でストレスフリーな履き心地を確保している
アウトソールもリニューアルされており、接地面積が増えたことで着地安定性が向上
「グリセリン ステルスフィット 21」を実際に履いて走ってみた!
ブルックスの「グリセリン20」は、筆者が2023年に最も履いたランニングシューズだ。ソフトなミッドソールによる快適な走行感はほかの追随を許さず、それでいて力強い反発性も感じられるところが大きな特徴だった。
「グリセリン20」では、一般的なシュータン構造のモデルと、アッパーとシュータンを一体化させたデザインにより、適度なコンプレッションとストレッチ性で足にぴったりとフィットする「ステルスフィット構造」モデルの2種類が用意されており、両方ともヘビーローテーションで履いていたが、筆者が特に気に入っていたのは「ステルスフィット構造」モデルのほう。それだけに、今回の「グリセリン21」でも「ステルスフィット構造」モデルをセレクトした。
まず足を入れてみると、アッパーのフィット感が秀逸で、見事に足と一体化した。ミッドソールは前作より2mm厚くすることでクッション性の向上が図られているが、立っている状態では、逆に前作よりもミッドソールの沈み込みが少なく、硬く感じた。
走ってみると、まず着地安定性の向上が感じられたのだが、走っている途中で、これらの変化はミッドソールの上部の一部が大きく巻き上げられていることに起因していることが理解できた。
また、アウトソールパターンの接地面積が増えたことで、アスファルトやコンクリートといった舗装路でのグリップ性と安定性が向上していることも感じられた。いっぽうで、公園などの土や芝生といった非舗装路の路面では、前作のアウトソールのパターンのほうがグリップ性は高かった。
6分10秒/kmほどのリラックスできるペースで走っていると、「このシューズならずっと走っていられるなぁ……」と思うほど心地よく、日々のランニングをより快適なものにしたいと考えるランナーに最適な一足だと思った。
以上のように、ブルックスの「グリセリン ステルスフィット 21」は、ランニングシューズに快適な走行感を求めるランナーに最適な一足だとわかった。ブランド側のキャッチコピーは「重力を感じさせないやわらかさ」や「究極のやわらかさを追求」だが、個人的に感じたのは快適なクッション性だけでなく、走行安定性を高次元でプラスしていること。前述のとおり、この安定性の高さは、ミッドソールを上方に巻き上げた構造が大きく寄与している。前作のようなフワフワ感は減ったものの、高いレベルのクッション性はしっかりと継承しているので、前作で「グリセリン」シリーズの快適なランニング体験に魅了されたランナーは、この「グリセリン 21」の走行性能にも満足できることだろう。