オグさんです。今回はレーザー距離計の使用レビューです。ブッシュネルの新製品「ピンシーカー A1スロープ ジョルト」をコースで使用してきましたので、その感想をお伝えいたします。
「ピンシーカー A1スロープ ジョルト」
ブッシュネルはアメリカの光学機器メーカーで、さまざまなスポーツ用の光学機器を開発しています。なかでもゴルフ用のレーザー距離計は、ツアープロをサポートする世界中のキャディに愛用されているほか、正確性を重視するゴルファーからも大きな信頼を得ています。
ブッシュネルのレーザー距離計が愛される理由として、計測の正確性はもちろん、使いやすさがあげられます。対象物への照準の当てやすさや表示の見やすさ、握りやすさなど、細かい部分まで作り込まれています。
今回使用した「ピンシーカーA1スロープジョルト」は、ブッシュネル史上最も小さいレーザー距離計で、「ピンシーカー」シリーズのエントリーモデルです。小さいことは扱いやすさにつながる部分ですが、性能はどうなのか? チェックしていきましょう。
「ピンシーカーA1スロープジョルト」
【SPEC】
・測定可能距離
5〜1300ヤード
・ピンフラッグ測定可能距離
5〜350ヤード
・測定精度
±1ヤード以内
・表示単位
1ヤード
・レーザー
クラス1アイセーフレーザー
・機能
ジョルト(バイブレーション機能)
ピンシーカー機能(自動)
スロープ機能
・望遠倍率
6倍
・対物レンズ
18mm
・レンズ
フルマルチコート(多層膜コーティング)
・アイレリーフ
16mm
・ひとみ径
3mm
・視度調整
±4度(ピント調整)
・ディスプレイ
LCD(黒色表示)
・サイズ
36×95×60mm
・重量
139g
・防水性能
完全防水構造(IPX6)
・電源
充電式バッテリー(USB Type-Cケーブル)
・充電時間
2時間
エントリーモデルといっても、同社のほかのモデルと比べて、明らかに性能が落ちるということはなく、ピンフラッグ測定可能距離が350ヤードと若干短い程度です。測定精度は±1ヤードで完全防水構造と、機能に不満はまったくありません。
「ピンシーカーA1スロープジョルト」がほかのモデルと最も違うのは、充電式であること。多くの電子機器と互換性が高いUSB Type-Cケーブルで充電が可能です。
気になる使用時間ですが、今まで2ラウンド使用しましたが、バッテリーの残量を示す3つのライトは、ひとつも減りませんでした。ラウンド時の使用回数にもよると思いますが、1回の充電で10ラウンド程度は十分持ちそうです。バッテリー残量が気になるようであれば、往路の車内で充電したり、ポータブルバッテリーを使ったりすればよいでしょう。
レーザー距離計の中では、非常にコンパクトな部類に入ります
グローブサイズ22の私の手の中にすっぽり入ります。軽いので女性にもおすすめできます
ケースが付属していますが、このサイズならパンツの後ろポケットで十分携行可能!
USB Type-Cポートです。完全防水構造なので、雨の日も気にせず使用できます
実際に使用してみると、非常に使いやすかったです。軽いのでピンフラッグに照準を合わせづらいかなとちょっと危惧していましたが、まったく問題なく、スムーズに計測できました。
使い方はほかのモデル同様、スコープを計測したい対象に合わせてボタンを押すだけ。ピンフラッグまで測距すると振動で教えてくれるバイブレーション機能も付いており、上位機種との差はほぼありません。
注意すべき点としては、高低差を自動で計算し、打つべき飛距離を教えてくれる「スロープ機能」のオン/オフができないこと。この機能をカットできないと、レーザー距離計の使用が認められている試合でも使えません。つまり、本機の競技での使用は不可なのです。
計測性能は上位機種とほとんど差はなく、扱いやすさはむしろ上がっていると言える「ピンシーカーA1スロープジョルト」。レーザー距離計を持っていないゴルファーにはもちろん、現在使用しているモデルの重さや大きさに不満を持っているゴルファーにぴったりです。
この画面では、160Yが実際の距離で、6%が勾配、それを加味して打つべき距離は171Yと表示しています。見間違いしにくく、わかりやすいですね ※画像はブッシュネルHPより
パッと取り出して、パッと計測。とても扱いやすいレーザー距離計です
ブッシュネルの新製品群には、フラッグシップ機「ピンシーカープロX3プラスジョルト」もラインアップされています。こちらは「スロープ機能」に加え、気温や高度を加味した飛距離を表示してくれる「エレメント機能」や、アプリとの連動によってスコープ内に風向きと風速を表示してくれる「ウインド機能」も搭載しています。
フラッグシップモデルだけあり、ほかのモデルよりも高性能。測定可能距離はもちろん、ピンフラッグ測定可能距離が600ヤードとほかのモデルより長い距離が測れます。「スロープ機能」や、ピンフラッグなどの細い対象物を測定したときに完了を振動と赤いリングで知らせてくれる「ダブルジョルト機能」、プレー頻度の高いコースの標高を入力することで、打つべき推奨距離を自動で反映してくれる「ホームエレベーション機能」など、レーザー距離計に求められるであろうあらゆる機能が詰め込まれています。
それなりの大きさながら、強力なマグネットにより乗用カートなどの鉄素材に貼り付くので、アイアンでの拾い上げやプレー中の保管などに便利です。
サイズはやや大きめ。「プロ」の名が示すとおり、ツアーキャディなどが欲する正確な距離はもちろん、目に見えない情報を収集するための武器といったモデルです
「ピンシーカープロX3プラスジョルト」
【SPEC】
・測定可能距離
5〜1,300ヤード
・ピンフラッグ測定可能距離
5〜600ヤード
・測定精度
±1ヤード以内
・表示単位
1ヤード
・レーザー
クラス1アイセーフレーザー
・機能
ウインド機能
デュアルディスプレイ機能
エレメント機能
ホームエレベーション機能
ジョルト機能
ピンシーカー機能(自動)
BITEマグネットマウント
スロープ機能
スロープスイッチ機能
スロープブロックシステム機能
・望遠倍率
7倍
・対物レンズ
26mm
・レンズ
フルマルチコート(多層膜コーティング)
・アイレリーフ
15mm
・ひとみ径
3.7mm
・視度調整
±4度(ピント調整)
・ディスプレイ
赤色ハイコントラスト/LCD(黒色表示)
・サイズ
45×120×82mm
・重量
340g
・防水性能
完全防水構造(IPX7)
・電源
CR2リチウム乾電池1個(付属)
もちろん、「ピンシーカープロX3プラスジョルト」で計測できる情報はてんこ盛り。実際の距離や、傾斜と高度、気圧による推奨距離、そして風向きと風速を表示してくれます。本来は自分で計算すべき情報が“打つべき距離”として表示されるのですから、プレーに集中したいゴルファーにはピッタリです。
黄色い囲みの中が風向きと風速。表示カラーは黒と赤から選べます ※画像はブッシュネルHPより
「ピンシーカーA1スロープジョルト」とのサイズ比較
適度な重さがあり、軽いモデルよりこちらのほうが使いやすいゴルファーもいるでしょう。サイズも扱いにくいほど大きいわけではありません
実際に使ってみて、ほかのモデルとの違いを感じたのは、計測時間の短さです。ほかのモデルでもストレスなく、すぐに数値が表示されるのですが、「ピンシーカープロX3プラスジョルト」は、さらに速いです。そして見やすい! 多くの機能が追加されているのに、ほかのモデルと比較して、目に見える情報は風向きと風速だけ。実際の距離とすべての情報を分析して打つべき距離を表示するので、情報量の多さに惑わされることもありません。このあたりは、ブッシュネルのレーザー距離計のノウハウが生かされていると感じました。
使い勝手はほかのモデルと変わりません。扱いやすく、表示距離を信じてショットが打てます。これらの機能はカットすることもできるので、試合で認められた機能だけオンにして使用することも可能! さすがはフラッグシップといった仕上がりです。
ブッシュネルの新製品「ピンシーカーA1スロープジョルト」と「ピンシーカープロX3プラスジョルト」を2つまとめてテストしてみました。正直なところ、通常のプレーで使用するには、エントリーモデルである「ピンシーカーA1スロープジョルト」でもまったく不満がありません。レーザー距離計の入門用として最適なモデルでしょう。
競技に出るゴルファーとなると、「ピンシーカープロX3プラスジョルト」の機能がありがたいと感じるはず。レーザー距離計が使えない試合でも、練習ラウンドなどで事前情報を収集できます。個人的には、ラウンドで使うなら、「ピンシーカーA1スロープジョルト」で十分だと思いますが、いざライバルとの勝負となったときは「ピンシーカープロX3プラスジョルト」を使って自分のプレーに集中したいとも思いました。
写真:野村知也
取材協力:ユニオンエースゴルフクラブ