オグさんです。今回はダンロップスポーツが販売するボール、スリクソンの「Z-STAR」シリーズ2023年モデルの試打レビューをお届けします。
左から、「Z-STAR XV」「Z-STAR」「Z-STAR ダイヤモンド」
「Z-STAR」ブランドのボールが誕生したのは2009年。ツアープロの要望に応えるスピン系ボールとして、多くのツアープロや上級者に愛用されています。最新モデルは初代から数えて8代目。シリーズで3モデルが用意され、それぞれに特徴があり、自分のプレースタイルやフィーリングに合ったモデルを選べるようになっています。
カギとなるテクノロジーは、「ファストレイヤーD.G.」コア。内部の硬度変化を2段階にすることで、ドライバーやフェアウェイウッドでは高初速と適正なスピン量を両立させ、アイアンやアプローチショットではすぐれたスピン性能を発揮。それぞれのクラブにおいて必要な性能を発揮できるように設計されています。
トータルパフォーマンスを追求し、ソフトなフィーリングと高いスピン性能を持つボールです。フェースにのっている時間が長く感じられるようなやわらかな打感と、短い距離での安定したスピン性能はツアープロから高い評価を得ており、フィーリングを重視するプレイヤーに好まれています。
パッケージの意匠はブラック。よい意味でひと昔前のスピン系ボールのフィーリングを持つモデル
「Z-STAR」は3層構造のスリーピースボール。内部のコアの硬度変化を2段階にすることで、ヘッドスピードの異なるクラブそれぞれに求められる性能を、高い次元で実現させています。
また表面には、「Spin Skin+」というコーティングが施されており、ボールの滑りを抑制し、安定したスピンとフェースに吸い付くような打感を実現させています。
「Z-STAR」のカットモデル
<2024年シーズンに使用する主な選手>
稲森佑貴、香妻陣一朗、H・リー
小袋秀人、秋吉翔太
竹田麗央、酒井美紀
アシュリー・ブハイ、グレース・キム
※プロの使用ボールは変わることがあります
「Z-STAR XV」は、トータルパフォーマンスを高めながら、ドライバーの飛距離を重視したボールです。全体的にカチッとした打感が特徴で、それでいてアプローチなどのスピン量もしっかり確保しています。メジャーチャンピオンである松山英樹選手が使用するボールでもあります。
パッケージの意匠はレッド。「ソリッドな感触のボールはスピンがかかりづらい」という概念を覆した性能です
スタンダードの「Z-STAR」と同じスリーピースボール。中のコアの硬度を変えることで、「Z-STAR」とは異なる性能を生み出しています
<2024年シーズンに使用する主な選手>
松山英樹、シェーン・ローリー、セップ・ストラカ
ライアン・フォックス、アンドリュー・パットナム
ディーン・バーメスター
ブレンダン・ロビンソン・トンプソン
片岡尚之、小木曽喬、塚田陽亮、出水田大二郎
大堀裕次郎、時松隆光、小浦和也、久保田皓也
亀代順哉、森本雄、玉城海伍、吉本翔雄、呉司聡
北村晃一、服部雅也
山下美夢有、小祝さくら、岩井明愛、岩井千怜、菅沼菜々
福田真未、ささきしょうこ、仁井優花、尾関彩美悠、内田ことこ
木戸愛、岸部桃子、村田理沙、鬼頭桜、吉本ここね、橋添穂
※プロの使用ボールは変わることがあります
「Z-STAR ◆」はグリーンを狙う精度を高めるために、アイアンのスピン量を強化したモデル。「◆」は「ダイヤモンド」と読みます。フィーリングは「Z-STAR」と「Z-STAR XV」の中間といった感じで、適度なやわらかさの中に芯がある、といった打感を味わえます。
パッケージの意匠はホワイト。他メーカーのスピン系ボールの多くが2モデル展開なのに対し、スリクソンは第3のモデルを用意し、性能を細分化しています
こちらも3ピースボールで、コアの硬度を変えることで性能を変えています。アイアンショットの性能を向上させるため、中間層の硬度を変えているようです
<2024年シーズンに使用する主な選手>
ブルックス・ケプカ、キーガン・ブラッドリー
ルーカス・グラバー、テイラー・ペンドリス
蟬川泰果、平田憲聖、吉田泰基、星野陸也
ヤン・ジホ、植竹勇太、桂川有人、生源寺龍憲
木村太一、長澤奨、岡田晃平、田中元基、山脇健人
塚田好宣、田村光正、安森一貴、
畑岡奈紗、勝みなみ、櫻井心那、
青木瀬令奈、安田祐香、後藤未有、大須賀望
小倉彩愛、上野奈々子、須江唯加、森彩乃
ハンナ・グリーン
※プロの使用ボールは変わることがあります
コースのティーイングエリアから同条件で打ち比べ、その違いを検証しました
同じ条件で検証するためにコースの1ホールを貸し切り、ティーイングエリアから打ち比べてみました。
最も弾道が低かったのが「Z-STAR」。ライナー性の弾道で、インテンショナルショットも打ちやすかったです。フェースにのっている時間を長く感じるやわらかな打感で、打っていて気持ちよかったです。
反対に最も弾道が高かったのが「Z-STAR XV」。「Z-STAR」とは対照的に、高弾道でスピンが少なく、直進性の高い球が打てました。
「Z-STAR ◆」は、「Z-STAR XV」寄りの中間といった感じの性能で、やや弾道が高く、直進性も高めです。ボールをコントロールしたいなら「Z-STAR」、飛距離や直進性を重視するなら「Z-STAR XV」がおすすめです。
ドライバーショットにおける筆者の体感チャート
「Z-STAR」と「Z-STAR XV」はフィーリングも弾道も、かなりの差異がありました。昨今の直進性の高いドライバーに組み合わせるなら「Z-STAR XV」がおすすめですが、ボールを操作してコースを攻略したいと考えるなら「Z-STAR」がよいでしょう。
140ヤード地点からグリーンを狙ってそれぞれの弾道をチェック
アイアンショットに関しても、コントロール性能にすぐれた「Z-STAR」と、高弾道で直進性の高い「Z-STAR XV」、という構図は変わらず。上下左右のコントロールがしやすく色々な技が使える「Z-STAR」に対し、ドンとボールが上がり、グリーンを高さで攻略する「Z-STAR XV」。
「Z-STAR ◆」は、やや「Z-STAR」寄りで、コントロール性能が高かったです。ほんの少しだけですが、余計なスピンがかかりにくく、安定していました。
アイアンショットにおける筆者の体感チャート
ドライバーでは「Z-STAR XV」寄りだった「Z-STAR ◆」が、アイアンでは「Z-STAR」に近くなり、コントロール性能がアップ。余計なスピンが減った印象で、少々芯を外してもばらつきが少なかったです。アイアンショットの安定性を重視するなら「Z-STAR ◆」はよいですね。
グリーンまで50ヤード地点からテスト。グリーンに落ちてからの挙動もチェックしました
結論から述べると、どのボールもしっかりとグリーンで止まってくれます。いずれもツアープロが愛用するボールですから当たり前なのですが、止まり方には結構差が生まれました。
「Z-STAR」は、ドライバーからアプローチまで一貫した性能で、低めに飛び出し、スピンで止まるといった感じです。グリーン周りでのアプローチで、低く飛び出しキュキュッとスピンで止めるなんてイメージを持っているゴルファーは、「Z-STAR」。
適度な高さで飛び出し、2バウンド目ぐらいでスピンのブレーキがかかって止まるイメージなら「Z-STAR ◆」。
ふわっとした弾道でやわらかくグリーンに着弾し、2バウンドしてスピンで止まるといったイメージを持つなら「Z-STAR XV」といった感じです。
アプローチショットにおける筆者の体感チャート
「Z-STAR XV」だけが高弾道で、個人的に好きな飛び様でした。大ケガしないアプローチがイメージしやすかったです。「Z-STAR」は、上級者が好む低く飛び出てスピンで止まる弾道。「Z-STAR ◆」も似た弾道ですが、やや打ち出し角が高かったです。
「Z-STAR」シリーズは、性能とフィーリングの差を設けた2モデルの間に、ギャップを埋めるもう1モデルを用意することで、幅広いゴルファーのニーズに応えています。どのシチュエーションでもソフトな感触で中弾道、かつスピンでコントロールする「Z-STAR」、カチッとした打感に高弾道、かつ直進性の高い「Z-STAR XV」。ドライバーは「Z-STAR XV」寄りで、アイアンとアプローチが「Z-STAR」に近い性能を持つ「Z-STAR ◆」。うまく作り分けられているなというのが私の印象です。
性能はどのモデルも高いので、打感や弾道の高さなどで選んでよいでしょう。自分で差を感じてみたいなら、アプローチショットで比較するとわかりやすいと思います。
私が使うなら「Z-STAR XV」でしょうか。「Z-STAR」のソフトなフィーリングやコントロール性能はとても魅力ですが、アプローチが苦手な自分にとって、「Z-STAR XV」の高さが出るアプローチ性能はとても魅力があります。
もし自分のボールの好みがはっきりしないなら、ぜひ「Z-STAR」シリーズ3モデルをコースで打ち比べてみてください。どれも高性能なボールですが性能には差があるので、自分の好みが明確になると思います。
写真:野村知也
取材協力:ユニオンエースゴルフクラブ