本連載「だからザ・ノース・フェイスは選ばれる!」は、近年セールス絶好調のザ・ノース・フェイスが、ユーザーから選ばれる理由を検証する企画。第70回は「SUMMIT VECTIV PRO 3(サミット ベクティブ プロ 3)」をピックアップした。
ザ・ノース・フェイス「サミット ベクティブ プロ 3」(品番:NF02501)。公式サイト価格は33,000円(税込)
このプロダクトは、ザ・ノース・フェイスのトレイルランニングシューズのトップモデルで、ロングディスタンスからウルトラディスタンスまでのレースを、安定しながらより速く走ることのできる一足。衝撃吸収性、反発力、グリップ力をアップデートしており、前作よりもより速く、遠くまで走れるようになっている。
「サミット ベクティブ プロ 3」は、走行時のエネルギーを推進力へと変換し、安定した走りをうながす「VECTIV」システムを搭載している。
ソールユニットは、デュアルプレートを採用した5層構造だ。1枚目はTPUとカーボンをハイブリッドしたウィング形状の3Dプレートで、ねじれや足ブレを抑えて安定感を確保。2枚目はフォーク形状の3Dカーボンプレートで、反発力をサポートする。
そして2枚のプレートの間には、反発性とクッション性を高める10mm厚の「DREAMフォーム」を内蔵。さらに、軽量ながら高反発でクッション性が高いDREAMミッドソールを配置して、安定感と推進力が向上している。
なお、ラバーアウトソールには、ドライな路面でもウェットな路面でも高いグリップ力を発揮する「SurfaceCTRL」(10%天然ラバーソール配合)を採用し、よりグリップ力が高いラグパターンとなっている。
ソールユニットは、デュアルプレートを採用した5層構造
「SurfaceCTRL」を採用したアウトソール。よりグリップ力が高いラグパターンとなっている
アッパーには、通気性とフィット性にすぐれる「ブリーザブルメッシュ」を採用している。フィット感を高める「ウィングタン構造」で、激しいアップダウンやスピードを上げるシーンでもシューズ内の足のズレを抑制。大会で入賞を目指すスピードランナーから、初めての100マイルでの完走を目指すランナーまで、広く対応するアイテムとなっている。
通気性とフィット性にすぐれる「ブリーザブルメッシュ」のアッパー。シューレースの両端をジグザグ状にすることで、走行中に解けることを防止している
かかと部分のフィット感を高めるために、ヒール部内側は凹凸を設けた立体構造を採用
筆者はこれまでにザ・ノース・フェイスのトレイルランニングシューズをいくつか履いてきて、その走行性能の高さを体感してきた。初代「ベクティブ プロ」も履いており、そのすぐれた反発性は強く印象に残っている。それだけに、先行して「サミット ベクティブ プロ 3」をトライしたトップアスリートからの「大幅に走行性能がアップしている!」というコメントは気になっていて、実際に履いて走るのが楽しみだった。
前評判はかなり高いが、実際はどうか?
まず足を入れると、高いレベルで足との一体感が感じられる。重量はカタログデータだと約295グラム(サイズUS9)だが、フィットのよさから、それよりもかなり軽く感じる。立っている状態ではミッドソールの沈み込みはあまり感じず、幅広のアウトソール、プレートを内蔵していることから安定性が高いことが理解できる。
走りはじめると、軽量かつ反発性にすぐれた「DREAMミッドソール」、内蔵されたプレートのおかげで、無理なくペースアップできる。そして、下りを走ると、スピードアップしても幅広の前足部を有するアウトソールは、着地安定性が高く、スピードのコントロールがしやすい。この特徴は上級ランナーだけでなく、想定以上にスピードが出過ぎてしまうことを防止してくれるので、ビギナーにもうれしい機能的な特徴だ。
アウトソールのラグの高さは3.5mmと、あまり高くないが、土の斜面や砂利道といったオフロードでも、しっかりと路面をグリップ。ラグが高すぎないので、アスファルトやコンクリートといった舗装路でも嫌な引っ掛かりがなく、十分に対応してくれる。日課としている6kmを2度オフロードで走ったが、これまで履いた、どのトレイルランニングシューズよりも着地安定性と推進力にすぐれていた。
ブランド側のメインターゲットは100マイルレースのような超長距離レースに参加するランナーだが、個人的には足の保護性能にすぐれたシューズを探しているすべてのレベルのランナーにトライしてほしいと思った。
今回ピックアップしたカラーは「ホワイトアッシュ×サルファースプリンググリーン」
「サミット ベクティブ プロ 3」にはザ・ノース・フェイスが誇る数々の最先端テクノロジーが結集されていることにより、これまで同ブランドからリリースされたトレイルランニングシューズを凌駕する走行性能を有している。100マイルレースのような超長距離レースにおいても、最後まで快適な走行感をキープしてくれるだろう。それでいて、上級モデルにありがちな使いづらさはないので、懐に余裕のあるランナーならレベルを問わずトライする価値があると思う。
トレイルランニングというアクティビティは、街中を走るオンロードランニングと比較してケガのリスクが高いので、そういった意味でも足の保護性にもすぐれた本作は、トップアスリートだけでなく「走ることがライフスタイルの一部となっているので、どうしてもケガは避けたい!」という中級レベル以下のランナーにもおすすめしたい一足である。