新傑作ウォッチで令和を刻む

カシオ「オシアナス」初の角型モデルは、イナセなビジネスパーソンの手元によく似合う

カシオ計算機が「オシアナス(OCEANUS)」を立ち上げたのは、2004年のこと。先進テクノロジーとスポーティーデザインをベースにしつつ、エレガンスを追求するウォッチブランドとしてスタートしました。

そして、17年の時を経た2021年11月、同ブランドで初となる角型ケースのモデルがリリースされました。「オシアナス」と言うと、丸型ケースのイメージが定着しているだけに、この「OCW-T5000」の登場はとても新鮮であり、それゆえに目下、カシオファンや時計好きたちの間で最注目作として、大いに話題に上っているのです。

カシオ「オシアナス クラシックライン OCW-T5000」は、2タイプで展開中。写真左は、チタンブレスレットタイプの「OCW-T5000-1AJF」。公式サイト価格165,000円(税込)。右は、コードバンストラップタイプの「OCW-T5000CL-1AJF」。公式サイト価格154,000円(税込)

カシオ「オシアナス クラシックライン OCW-T5000」は、2タイプで展開中。写真左は、チタンブレスレットタイプの「OCW-T5000-1AJF」。公式サイト価格165,000円(税込)。右は、コードバンストラップタイプの「OCW-T5000CL-1AJF」。公式サイト価格154,000円(税込)

「オシアナス」の新たな定番モデルとして誕生!

最初に角型ケースモデルの歴史から。腕時計の一般への普及は、南アフリカにおいて、大英帝国と2つのボーア人共和国が争った「第2次ボーア戦争」(1899〜1902年)の戦場において、大英帝国の兵士らが小型の懐中時計を腕に装着したことがきっかけだった、との説があります。したがって、その戦争後がいわば、腕時計史の黎明期と見なすことができるのですが、その時代、早くも角型ケースの腕時計は誕生しており、その嚆矢(こうし=物事の始まり)は、おそらくカルティエの「サントス」(1911年発売)と考えられます。以後、とりわけアール・デコの時代(1910年代なかば〜1930年代)には、カルティエ「タンク」(1918年〜)、ロレックス「プリンス」(1920〜1930年代)、ジャガー・ルクルト「レベルソ」(1931年〜)など、数々の傑作角型ウォッチが登場しました。

このことから、角型ウォッチはきわめてオーセンティックな存在であることがわかります。とはいえ、一般的なラウンドタイプに比すれば異形であることも確かで、だからなのでしょう、とりわけ「粋」を心得る洒落者たちが好む時計であり続けているのは、実は当時も今も変わっていません。

「オシアナス」のスタンダードモデルで構成される「クラシックライン(Classic Line)」の新たな定番モデルを作るべく、カシオが約2年半の歳月を費やして開発した、この「OCW-T5000」もまた、そうした角型ウォッチの歴史と伝統に立脚したモデルです。そもそも、働き方やビジネスウェアの変化著しい昨今、時計にさらなる個性が求められていることを受け、伝統的な個性派ウォッチとして角型に着目したことが、本モデルを開発する動機にもなっています。それゆえか、「OCW-T5000」は、クラシカルで落ち着きあるたたずまいに、「オシアナス」のコンセプトである「Elegance, Technology」が絶妙なバランスで調和した、ほかに類を見ない味わいの角型ウォッチに仕上がっているわけです。

複雑なのにシンプル? 秀逸デザインの大人顔文字盤

チタンブレスレットタイプ「OCW-T5000-1AJF」。多針構成ながら、インダイヤルのリングを廃したことで、ミニマルなフェイスに

チタンブレスレットタイプ「OCW-T5000-1AJF」。多針構成ながら、インダイヤルのリングを廃したことで、ミニマルなフェイスに

ではまず、「OCW-T5000」を真正面から眺めてみましょう。

角型ケースは、それが正方形であれば「スクエアケース」、長方形であれば「レクタンギュラーケース」と呼ばれるのですが、本モデルの場合は、一見スクエアです。しかし、実際には、縦横の比率を変え、微妙に縦長形状に設計しているので、厳密には「レクタンギュラーモデル」と解してよいでしょう。

文字盤のデザインは、なかなかに凝っています。フラットなダークブルー文字盤に、エンボスでストライプパターンが施されており、シンプルなバーインデックス(棒字)が斜体調というのも個性的です。そしてこれらが、直線で構成された角型形状とあいまって、この時計を一層シャープな印象に見せているのです。ちなみに、チタンブレスレットタイプの「OCW-T5000-1AJF」では、ブルーの秒針に加え、文字盤外周の見返し部分(都市コードリングの役を担っている)にもブルーが取り入れられており、文字盤はアクティブで若々しい印象に仕上げられています。ちなみに、ブルーは、「オシアナス」のブランドカラーです。

ところで、本モデルは、ソーラー充電システム「タフソーラー」や、標準電波受信による時刻自動修正、Bluetooth通信によるスマートフォンとのモバイルリンク、デュアルタイム表示対応ワールドタイム、ストップウォッチなど、さまざまな先端機能が凝縮された多機能ウォッチでもあります。したがって、おのずと文字盤も複雑な多針構成ではあるのですが、それをさほど感じさせないのは、各インダイヤルの外周リングを廃したデザインを採用しているから。これにより、それぞれのインダイヤルは、ストライプ柄のダークブルー文字盤に溶け込み、その存在感は薄められ、結果、文字盤から受ける印象がミニマルで繊細なものになっているのです。

と、ここで、簡単ではありますが、「文字盤の読み方」について触れておきましょう。まず、6時位置のインダイヤルですが、ここではソーラーバッテリーの残量を針が指し示す「L(Low)」「M(Mid)」「H(High)」で確認できます。また、「DST」はサマータイム、「STD」はスタンダードタイム、「AT」は自動切り替えモード、「STW」はストップウォッチの動作中を知らせる表示であり、「Su」から「S」までの目盛りは曜表示。日付は、4時と5時の間にある表示窓で読み取ります。

9時位置のインダイヤルは、ワールドタイムモードの際に「第2時間」を表示する12時間計で、その直下にあるミニダイヤル(「A」「P」表示)では、その際の午前/午後が示されます。なお、この12時間計は、ストップウォッチの動作中に分積算計の役も担います。いっぽう、12時位置の24時間計は、センターの3針(時・分・秒)に連動しており、ここから現在地の時刻における午前・午後を知ることが可能です。

よく見ますと、2時、4時、8時、10時の各インデックスのすぐ近くに「Y」「N」「C」「R」のイニシャルがあるのがおわかりでしょう。これらは、時刻自動修正機能に関連するもので、センター秒針によって指し示めされることで、それぞれの役割を果たします。このうちの「Y」は自動時刻修正が成功したことを、「N」は失敗したことを知らせ、「C」は「Bluetooth」機能を介してスマホと接続中であることを表し、「R」は世界6局標準電波受信による時刻修正において、その電波を受信中であることを告げるものです。なお、先述したとおり、文字盤外周はUTC(協定世界時)、および世界27都市名が記された都市コードリングとなっています。

暗所でも「ネオブライト」の鮮明な光により、確かな視認性を提供

暗所でも「ネオブライト」の鮮明な光により、確かな視認性を提供

もちろん、夜間での使用に対する配慮も抜かりなく、短時間で光を吸収・蓄光し、長時間の発光を可能にしたカシオの独自技術「ネオブライト」を時・分針&インデックスに付与。その発光は、漆黒の環境下でも鮮やか、かつ美しく、視認性は上々です。また、上の写真からもわかるとおり、各インデックスに2か所ずつ塗布を施すことで、このモデルのシャープなたたずまいを発光デザインにおいても巧みに表現しています。

直線構成に優雅な曲線を加え、品あるたたずまいに

ラグからガラス&ベゼル、そしてラグにいたる流線シルエットの薄型ケースも注目ポイント

ラグからガラス&ベゼル、そしてラグにいたる流線シルエットの薄型ケースも注目ポイント

次に、側面から見てみますと、両面反射防止コーティングが施されたサファイアガラス、およびベゼルがわずかに湾曲しており、さらに、その流線がラグ(ケースの脚部分のこと。ケースとバンドを連結する役を担っている)へと導かれている様に気付きます。複数の直線で構成されたシャープなデザイン(なんとリューズも角型!)の本モデルですが、こうしてガラスやベゼル、ラグに丸みを取り込んだことで、過度なソリッド感は巧みに回避されており、その姿はジェントルでエレガントなものに結実しています。

ところで、「オシアナス」の各製品は、概して薄型設計で、それは本モデルでも例外ではありません。とはいえ、Bluetooth電波ソーラー、モバイルリンク、ワールドタイム、クロノグラフ、10気圧防水といった多種の機能が仕込まれれば、ケースに厚みが出てしまうのは必然。したがって、本モデルを開発するにあたり、カシオは部品の小型化に一層努め、十八番とする高密度実装技術も駆使することでケースの小型化を図り、その厚みも10.4mmに抑えることに成功したのです。

選べるチタンブレスとコードバンストラップの2タイプ

きらめく鏡面と繊細なヘアラインのコンビネーションが、直線美をより強調

きらめく鏡面と繊細なヘアラインのコンビネーションが、直線美をより強調

「OCW-T5000」は、ケースやベゼルなどに、加工の難度が高いいっぽう、堅牢で軽く、さびにくく、また金属アレルギーを誘発しないなどの利点を持つ純チタンが使われています。しかも、そこに「チタンカーバイト処理」なる特殊な表面加工処理を施すことで、表面を硬化させて、きわめて高い耐摩耗性と美しい発色を実現しているのです。また、その表面仕上げでは、鏡面とヘアライン(筋目)が使い分けられており、そのうちの鏡面部分では職人が手技を駆使しつつ、「ザラツ研磨」を施しています。スイスの工作機械メーカーの「ザラツ兄弟社」(現存せず)の社名に由来するこの特殊な研磨技術は、一般的なバフ研磨に比べ、稜線をよりシャープなものにできるうえ、金属表面の平滑度を高め、大変美しい輝きを表現することができます。

ところで、「OCW-T5000」は現在、ブレスレット付きとレザーストラップ付きの2タイプで展開中。まずは前者の「OCW-T5000-1AJF」についてですが、このモデルに採用されているブレスレットは、これまたチタン製です。それも、このモデルのために新開発されたチタン無垢の削り出しで、ケースなどと同じく、「チタンカーバイト処理」と「ザラツ研磨」も施されており、鏡面とヘアラインのコンビネーションであるのも同様。また、各コマのピッチを短くすることで、装着感をしなやかなものにしています。なお、留め具には、特殊工具を使わずに長さを微調整できる「スライドアジャスト機構付きワンプッシュ三つ折れ式中留」が採用されています。

コードバン独特の光沢と深みある発色が、「OCW-T5000」の姿を風格あるものに

コードバン独特の光沢と深みある発色が、「OCW-T5000」の姿を風格あるものに

次に、もうひとつの「OCW-T5000CL-1AJF」のレザーストラップも見てみましょう。

このストラップも、「OCW-T5000」用として新採用されたもので、その特徴は表素材にコードバンが使われている点にあります。革好きにとってはなじみの素材でしょうが、これは馬の尻部分の皮をなめして作る高級革。繊維が緻密で、硬い組織からなるため堅牢なうえ、奥行きを感じさせる光沢は独特で、しかも使い込むとしなやかになって色&ツヤを深めるという特性を持っています。また現在、この革を製革できるのは世界中でわずか9社(なめし&加工会社8社、加工会社1社)に過ぎず、原皮の供給量がごく限られることもあいまって、稀少で高価な革の代表格とされています。

「OCW-T5000CL-1AJF」のストラップに使われているコードバンは、その9社のうち、近年、世界的にその名が知られるまでになった「新喜皮革」が自社一貫生産で製革したものです。同社は、日本有数の皮革生産地、兵庫県姫路市で1951年に創業した馬革&コードバン専業のタンナー。このうちのコードバンは、その品質が高く評価され、靴、鞄、革小物、パンツベルト、時計ストラップなどの分野で、さまざまなブランドに採用されています。そしてカシオもまた、この角型モデルに最もマッチする素材として同社のコードバンを選び、レザーストラップに対する独自の評価試験をクリアする品質に仕上げたうえで、このストラップに取り入れたとのことです。なお、留め具には、着け外しが容易なフォールディングバックルが採用されています。

クール&いなせなコーディネートの仕上げに!

角型クロノグラフとあって、こうして装着してみると、その存在感は申し分なし! 写真上が「OCW-T5000-1AJF」、下が「OCW-T5000CL-1AJF」

角型クロノグラフとあって、こうして装着してみると、その存在感は申し分なし! 写真上が「OCW-T5000-1AJF」、下が「OCW-T5000CL-1AJF」

「OCW-T5000」は、スーツからカジュアルまで、オン/オフ問わず、さまざまなスタイルにマッチする、コーディネートの汎用性が高いモデルです。しかし、先述したとおり、昨今の働き方やビジネススタイルを意識して開発されたということですので、ここでは2タイプともにビジカジの着こなしに合わせてみました。

ラウンドケースに比べ、角型ケースの時計は、角がある分、概して大きめに見える傾向があるそうで、こうして装着してみると、確かに「ちょっと大きめかな?」との印象を持ちました。とはいえ、高密度実装技術などを駆使することで、ケース幅は38.2mmに抑えられており、クロノグラフとして見れば、標準的なサイズであるように感じられます。

手元をスポーティーな印象に仕上げてくれるブレスレットタイプは、ブレスコマのピッチが短いうえにケース厚がほどよく薄いため、着け心地は上々。いっぽう、コードバンストラップタイプは、この革が醸し出すラグジュアリーな風合いにより、よりドレッシーな手元に。こちらは、ちょっと大人向けという感じでしょうか? ちなみに、使い出しは硬めですが、使い込むことでやわらかく変化し、やがて手にしっかりとなじむことでしょう。

【まとめ】 時計通にはもちろん、角型時計のビギナーにも!

「OCW-T5000」の存在を知った時の第1印象。それは、「『オシアナス』なのに四角顔?」というものでした。それだけ意外だったわけで、「これって『オシアナス』らしくない!」などと思ったりもしました。そして意外だったからこそ、このモデルに俄然興味を持ったのです。

最も、本モデルの全体像やディテールを知るにつけ、実は既存のラウンドモデルから大きく隔たったものではなく、「らしくない!」は、次第に「やっぱり『オシアナス』っぽい」に変化しました。本稿をお読みになった人も、もしかしたら同じ感想を持ったのではありませんか?

ところで角型ウォッチが、その誕生の頃から粋を心得る洒落者たちが好む腕時計と認識されていたことは、先に述べました。このことは「OCW-T5000」にも当てはまり、実際、通好みのモデルに仕上がっているのは確かです。しかしそのいっぽうで、これを腕に装着すれば、それだけで確実にオシャレ度がアップするとあって、実はなかなかに重宝するモデルだったりします。ですから、これまで角型ウォッチに触手を伸ばさずにいた“角型ビギナー”にも、これはおすすめできる時計だと思うのです。

●写真/篠田麦也(篠田写真事務所)

【SPEC】
カシオ計算機「オシアナス クラシックライン OCW-T5000」
※以下、2型共通の仕様のみ記載
●駆動方式:クォーツ
●電源:ソーラー充電システム「タフソーラー」
●防水性能:10気圧
●ケース・ベゼル材質:チタン(チタンカーバイト処理)
●ガラス:サファイアガラス(両面反射防止コーティング)
●ケース幅:38.2mm
●ケース厚:10.4mm
●主な機能:「タフソーラー」、バッテリーインジケーター表示、パワーセービング、世界6局標準電波受信による時刻自動修正マルチバンド6、ワールドタイム世界27都市(38タイムゾーン、サマータイム自動設定機能付き)、フルオートカレンダー、日付・曜日、ストップウォッチ、「ネオブライト」など
●モバイルリンク機能:Bluetooth通信による機能連動
●対応アプリ:「CASIO WATCHES」

山田純貴

山田純貴

東京生まれ。幼少期からの雑誌好きが高じ、雑誌編集者としてキャリアをスタート。以後は編集&ライターとしてウェブや月刊誌にて、主に時計、靴、鞄、革小物などのオトコがコダワリを持てるアイテムに関する情報発信に勤しむ。

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