新傑作ウォッチで令和を刻む

セイコー「ワイアード」新作クロノは立体文字盤ウォッチの大傑作! 光の反射で響き合う東京を体現

セイコーは、コンセプトを異にするさまざまなオリジナルブランドを擁していますが、本連載「新傑作ウォッチで令和を刻む」において今回初登場の「ワイアード」もそのひとつです。

2000年6月に誕生したこのブランドは、「WIRED=つながる」をキャッチコピーに、ファッションと機能を融合した次世代ウォッチを展開することで、東京から世界に向けて(※1)、時計の新しい価値を発信し続けるファッションウォッチブランドと位置付けされています。

今回取り上げるのは、その「ワイアード」の「リフレクション(※2)」シリーズから、去る2022年5月13日に発売された最新のクロノグラフモデルです。同シリーズは、光の反射に響き渡ってざわめく東京の街を表すモデルのコレクションであり、このクロノグラフでは、交差し合うハイウェイのレイヤー感ある情景にインスパイアされ、それを迫力と重厚感を持って表現したモデルです。

現在、カラー違いの4タイプが展開されていますが、ここではそのうちブラックベースのモノトーンカラータイプ「AGAT449」を例にとり、世界屈指の規模を誇る大都会、東京の情景が、どのようにデザインに写し取られているのかについて追求したいと思います。

※1:セイコーは、1881年、東京・銀座で創業。現本社も都内に所在
※2:REFLECTION=英語で「反射」「反映」「投影」などの意味

セイコー「ワイアード リフレクション AGAT449」。公式サイト価格は27,500円(税込)

セイコー「ワイアード リフレクション AGAT449」。公式サイト価格は27,500円(税込)

東京の風景を個性的に彩る首都高について

先述したとおり、「ワイアード リフレクション」の新作クロノグラフは、「交差するハイウェイの迫力を想起」させながら、東京という大都市を表現しているモデルですが、このように聞きますと、多くの人たちが都区内各所を縦横に走るハイウェイ、すなわち首都高速道路(以下、「首都高」)のある情景を思い浮かべるのではないでしょうか? そこで「AGAT449」について検証するに先立ち、ここで首都高について簡単に触れておきましょう。

ハイウェイ(highway)とは、複数の町の間を結ぶ幹線道路のこと。日本では高速道路をさしてこう呼んでいるので意外にも思えますが、英語圏ではクルマで走行できる公道は、おしなべて「ハイウェイ」と呼びます。ちなみに、高速道路の英語表記は「Expressway」です。

では、「首都高とは何か?」と言えば、それはそうした高速道路のうち、東京都区部と周辺地域に所在する自動車専用の都市高速道路をさします(※3)。高度経済成長とともに、都内で頻発するようになった交通渋滞を解消すべく、首都高構想の本格的検討が始まったのは1950年代後半のこと。その際、路線の選定において用地確保を容易にすべく、民間からの買収は極力避け、公共用地が利用されたのです。すなわち、地上幹線道路の直上や地下、河川や皇居外堀の上空などの有効活用や、河川・運河の埋め立て、都電の廃止などの対策で路線用地が確保されました。

こうして1962年12月20日、首都高の初の路線として京橋〜芝浦の約6.4kmが開通。以降、路線の延長・増設が継続されていくのですが、用地取得において上記の手法が堅持されたため、それらは東名や中央道といった都市間高速道路に比してカーブや勾配、出入り口やジャンクションなどの分岐・合流点などが多い、きわめて複雑な構造を成すものに仕上がりました。結果、このような首都高が走る特異な風景は、当時の子供たちが心に描き、少年誌のグラビアにも盛んに描かれていた未来都市のような姿を体現したのです。

いっぽうで、とりわけ都心部においては、それらがビルとビルのすき間を縫うように設けられており、建築物に著しく接近していたり、地上道や河川を覆ったりして都市景観を損なっていると問題視されてもきました(※4)。とはいえ、こうした複雑、かつ3次元的構造の首都高が互いにつながり合い、交差し合うダイナミックな姿が、東京の風景をより個性あるものに押し上げているのも事実でしょう。それゆえに、「東京から世界に向けたメッセージ」を発信する「ワイアード」の新作クロノグラフから、こうした情景を想起してしまうことも納得なのです。

※3:都市高速道路は、首都圏以外にも名古屋、大阪、広島、北九州、福岡の各都市圏にも敷かれています
※4:代表的な例として、国の重要文化財である江戸日本橋と、それをまたぐ首都高速都心環状線があります

東京のハイウェイを3層文字盤で見事に表現

文字盤を3層構造にすることで、交差するハイウェイの立体感を表現

文字盤を3層構造にすることで、交差するハイウェイの立体感を表現

では、今回の新作で首都高の情景が具体的に、どのように表現されているのでしょうか? その核心が、時計の顔である文字盤に存在しています。

上の写真で見るように、本モデルではベースダイヤルに、フレーム状のプレートを2枚重ね合わせた3層構造の文字盤が採用されています。しかも、各層にはそれぞれに異なる仕上げが施されているため、フェイスをより立体感あるものに見せており、光が当たる角度により、その表情が繊細に移ろっていくさまが楽しめます。

レイヤード文字盤が繊細に表情を変え、ソリッドなベゼル&ケースが力強い陰影を生み出します

レイヤード文字盤が繊細に表情を変え、ソリッドなベゼル&ケースが力強い陰影を生み出します

実は昨今、こうしたレイヤード(積層)文字盤はちょっとしたトレンドです。本モデルも、そうした時流に乗ったものと解することもできますが、ここで強調したいのは、その文字盤のデザインがすこぶる秀逸だという点。たとえば、この「AGAT449」のブラック文字盤を見入っていると、さまざまな建築物が林立する稠密(ちゅうみつ)な空間を縫うように貫いて走るハイウェイが、互いに重なり合いながら広がっていく夜の東京を、上空から俯瞰しているかのような、そんな夢想にとらわれます。しかも、直線を主体としたシルエットとフラットなカット面で構成された12角形のベゼル、ならびに変形八角形のケースがシャープで硬質な陰影を描きつつ、その文字盤を取り囲むことで、大都会から放たれる無限のエネルギーを大変巧みに表現しているのだと感じます。

クロノグラフは3つのインダイヤルで見やすく表示

1/10秒単位で計時できる高性能クロノグラフ機能を搭載

1/10秒単位で計時できる高性能クロノグラフ機能を搭載

本モデルの最大の魅力が秀逸なデザインなのは確かですが、ここからはいったんデザインから離れて、機能について少し触れてみたいと思います。

本モデルは、「時」「分」「秒」「日付」の表示機能に、クロノグラフ機能を組み合わせたもので、そのクロノグラフが作動した際、各インダイヤルは12時位置が1/10秒計、6時位置が60秒計、9時位置が60分計として機能します。このうちの1/10秒計はひと目盛りが0.1秒で、半周で1秒、1周で2秒を刻むことから、その小針は非常に高速で回転することがわかります。また、この1/10秒計は、計測開始後の最初の1分間のみ運針し、1分経過以降は、計測をストップさせると、経過時間が表示される仕組みです。

クロノグラフの作動中、1/10秒計が半周すると60秒計がひと目盛り運針します。また、その60秒計が1周すると60分計がひと目盛り進みます。なお、センターの時・分針、秒針、4時位置の日付表示は、計測中においてもクロノグラフとは無関係に、本来の機能を継続し作動しています。

ちなみに、本モデルには日常生活強化防水が備わっています。これは、10気圧防水に相当し、水中での使用が可能な性能のこと。本モデルを装着して水泳を行う人はいないでしょうけれど、そうした使用にも耐えるに十分な防水性能を持っているわけです。また、風防には「ハードレックス」を採用。無機ガラスに特殊強化処理が施された素材が採用されたことで、視認性のよさはそのままに、耐傷性の向上が図られています。

自分で長さ調整できる特別仕様ブレスレット採用

ブレスレットはソリッドタイプで、バックルは操作性のよい3つ折れプッシュ式

ブレスレットはソリッドタイプで、バックルは操作性のよい3つ折れプッシュ式

ベゼル&ケースの独特なデザインに呼応し、ブレスレットにもエッジの効いたシャープなデザインが採用されました。しかも、各コマが反射する光が、腕の動きにともなって細やかな変化を見せる上質な仕上がりです。

そのブレスレットは、セイコー独自のシステム「らくらくアジャストバンド」仕様。一般的な時計ブレスレットの場合、バンド長の調整に万力(ピン抜き台)、ハンマー、押し出しピン(ピン抜き棒)、専用アジャスターといった専用道具が必要で、基本的にプロにブレスコマ調整を委ねることになります。いっぽう、「ワイアード」の各モデルでは付属の工具「らくらくアジャスト」を使うことで、プロならずともコマの取り外しや連結が容易に行えます。それゆえ、実店舗に長さ調整を依頼する必要性がないので、本モデルはオンラインサイトでの購入やプレゼントにもふさわしい商品と言えるのです。

さりげなく存在感を見せつつも、スタイルに自然になじむ絶妙なたたずまい

さりげなく存在感を見せつつも、スタイルに自然になじむ絶妙なたたずまい

では、「AGAT449」を装着してみましょう。ケース外径43.4mmとあってサイズ感はやや大きめの印象で、無骨さも感じさせるたたずまいと相まって、ラギッドな手元ができあがりました。とはいえ、直線主体のデザインは大変洗練されたもので、それゆえに品を失することはなく、スタイルにスポーティーで若々しい印象を添えてくれることでしょう。

写真上ではビジカジのシャツと合わせていますが、トラッドなスーツと合わせてもまったく違和感はないと思われますし、カジュアルにおいてもキレイめ系など、さまざまなスタイルとマッチしそうです。とりわけ、このモノトーンカラーの「AGAT449」は、その落ち着いたカラーリングもあってコーディネートの守備範囲はかなり広いはずです。

それぞれが個性を異にした3タイプも魅力的

「ワイアード リフレクション」の新作クロノグラフには、モノトーンの「AGAT449」に加え、色違いの3タイプがラインアップ。同一モデルではあるものの、それぞれに印象が大きく異なり、かつ色使いは絶妙。簡単ではありますが、その魅力のラインアップを以下で紹介します。

まるで真夜中のハイウェイをイメージさせるブラック×パープルの「AGAT450」。レイヤード文字盤のミステリアスなパープルが、スタイルの手元にさりげない艶気(つやけ)を添えてくれます。公式サイト価格は27,500円(税込)

まるで真夜中のハイウェイをイメージさせるブラック×パープルの「AGAT450」。レイヤード文字盤のミステリアスなパープルが、スタイルの手元にさりげない艶気(つやけ)を添えてくれます。公式サイト価格は27,500円(税込)

華やか、かつ清潔感あるたたずまいの「AGAT451」。シルバー×ゴールドのコンビカラーにレイヤード文字盤が相まって、ロココ調を思わせるノーブルな雰囲気が醸し出されています。公式サイト価格は25,300円(税込)

華やか、かつ清潔感あるたたずまいの「AGAT451」。シルバー×ゴールドのコンビカラーにレイヤード文字盤が相まって、ロココ調を思わせるノーブルな雰囲気が醸し出されています。公式サイト価格は25,300円(税込)

「AGAT452」は、これからの季節にふさわしい清涼感あるブルーフェイスタイプ。ちなみにシルバーカラー×ブルーは「ワイアード」コレクションにおいて、常に人気が高いカラーとのこと。公式サイト価格は24,200円(税込)

「AGAT452」は、これからの季節にふさわしい清涼感あるブルーフェイスタイプ。ちなみにシルバーカラー×ブルーは「ワイアード」コレクションにおいて、常に人気が高いカラーとのこと。公式サイト価格は24,200円(税込)

【まとめ】 クォーツクロノの入門編としてもおすすめ

本連載で今回、この「ワイアード リフレクション」の新作を取り上げた理由は単純で、ひと目で「これ、カッコいいじゃないか!」と直感したからです。このデザインは、2021年秋にリリースされた「リフレクション」シリーズのソーラークロノグラフモデル(「AGAD416」など)をベースにしていると思われるのですが、このノンソーラーのバージョンでは、フューチャーな印象にデザインアップされ、よりスタイリッシュな姿に変貌し、存在感がさらに増しているのです。

また、3層構造のレイヤード文字盤をじっと見つめていると、首都高が走る東京の迫力を確かに感じとることができるのですから、これはまさに傑作デザインと言えるのではないでしょうか。

ちなみに、本モデルは4タイプいずれもが2万円台という財布にやさしいプライス設定。したがって、時間確認はスマホで済まし、腕時計に親しむ機会がさほどなかったフレッシャーズの最初のビジネスウォッチにふさわしく、いっぽうで、さまざまな時計に着け替えて楽しんでいる人にも手が出しやすいモデルと言えます。また、レイヤード文字盤のダイナミックな表情や各所でうかがえる繊細な仕上げなどには趣があるので、時計通にコレクションのひとつとしてもおすすめできると考えた次第です。

●写真/篠田麦也(篠田写真事務所)

【SPEC】
セイコー「ワイアード リフレクション AGAT449」
●商品番号:「AGAT449」
●駆動方式:電池式クォーツ
●キャリバー:「VD57」
●ストップウォッチ機能:1/10秒計測
●防水性能:10気圧(日常生活用強化防水)
●ガラス材質:「ハードレックス」
●ケース材質:ステンレス
●ケースサイズ:43.4(横)×11.6(厚さ)mm
●重量:約149g
●バンド材質:ステンレス
●バンドタイプ:「らくらくアジャストバンド」
●付属品:バンドコマ調整工具「らくらくアジャスト」

山田純貴

山田純貴

東京生まれ。幼少期からの雑誌好きが高じ、雑誌編集者としてキャリアをスタート。以後は編集&ライターとしてウェブや月刊誌にて、主に時計、靴、鞄、革小物などのオトコがコダワリを持てるアイテムに関する情報発信に勤しむ。

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