Daddy’s Sneaker

2022年梅雨は「ハゼ」さえあればイイ! 見た目/機能/価格の三拍子揃う

本企画「Daddy’s Sneaker」は、30〜40歳代のパパにとって本当に使えるスニーカーを模索する連載企画。ここで言う同世代の平均的なパパたちとは、以下のように定義づけています。

・平日はスーツ姿で出勤。休日は全身ファストブランドで無難な感じにまとめがち
・休日のお出かけは、家族や子供を連れて公園や地元のショッピングモールへ
・自由に使える1か月分のお小遣いは3〜5万円

そんなパパたちがスニーカー選びで押さえておくべきは以下の3点です。

・生活圏内でも浮かないデザイン
・公園でも子供と走り回れる機能性
・地方でも買えて、値段は20,000円まで

以上の条件から導き出されるのは、「トレンドを超越したスタンダード」。履けば思わずテンションが上がり、とはいえ浮くことはない。ひと言で表すなら、“地に足のついたスニーカー”。ここでは、そのおすすめモデルと、その履きこなし方を紹介します。

★★連載「Daddy’s Sneaker」のアーカイブはこちら!★★

第24回テーマ/梅雨でも足元はオシャレしたい! しかも人と被らずお金をかけず

今回は、一部のパパ世代ならその名を聞いてピンとくるであろう、イギリス生まれのアウトドアライフスタイルブランド、ハイテック。そのシューズラインアップの中から、梅雨シーズンに活躍間違いなしの隠れた名作をご紹介!

今回は、一部のパパ世代ならその名を聞いてピンとくるであろう、イギリス生まれのアウトドアライフスタイルブランド、ハイテック。そのシューズラインアップの中から、梅雨シーズンに活躍間違いなしの隠れた名作をご紹介!

連日の気温上昇により、夏の気配が近づいてきました。ここ数年は鬱屈した気分で過ごしてきたという皆さんも、なんだかんだでテンションが上がってきていることでしょう。しかし、忘れちゃいけないのが梅雨の存在。お気に入りのスニーカーを履いて出かけたいけれど、濡れることも考えるとルックスは二の次で、防水性重視で選びがち。そこで今回のテーマは、“人と被らずお金をかけず、そのうえオシャレ”な1足。ピックアップするのは、「HI-TEC(ハイテック)」の「HAZE(ハゼ)」です!

本モデルは、ワラビーシューズのような洒脱なフォルムと簡単に脱ぎ履きできるイージーさ、そして梅雨に活躍する防水性能がポイントです。ここでは、シューズの特徴に触れながら、どんなスタイルに似合うのか?を考えつつ、“なぜ買いなのか!?”を検証してみました。

そもそも「ハイテック」ってどんなブランド?

その前にまずは、ハイテックというブランドについてご説明をば。

設立は1974年。スカッシュ用シューズをルーツとして、イギリスで生まれました。その後の1978年に発売したハイキングシューズ「SIERRA(シエラ)」は、重くて当然と思われていたアウトドアシューズ業界に“軽量”という概念を持ち込んで人気を博しました。当時、アウトドアブーム黎明期の日本においても大きな話題となったそうです。

以来、本格的なトレッキングシューズからアウトドアを楽しむためのキャンプシューズまで、充実したラインアップを展開。1982年には、アメリカのFBIから直接、軽量で快適な運動用のユニフォームブーツが欲しいとの依頼を受け、「MAGNUM(マグナム)」ブランドも誕生。こちらは近年、ダッドシューズ需要から注目されたのも記憶に新しいところです。1990年代には、米軍のコンバットブーツに正式採用され、ファッション誌でも取り上げられるほど認知を得るまでに。筆者の兄も、上野「アメ横」の「中田商店」で購入して履いていました。いやぁ〜懐かしい(シミジミ)。

なんて“よもやま話”はさておき、さっそく今回の主役である「ハゼ」の実物の写真をご覧いただきつつ、シューズの細部を掘り下げていきましょう。

上品なモカシンスタイル×すぐれた機能性のハイブリッドモデル

ハイテックの「ハゼ」(ブラック)

ハイテックの「ハゼ」(ブラック)

先述のように、充実のラインアップを誇る同ブランド。現在は、メインコレクション「OUTDOOR(アウトドア)」を始め、歴代のアーカイブを再構築したファッションライン「LIFESTYLE(ライフスタイル)」やプレミアムスニーカーライン「HTS74」など、6つのカテゴリーを展開しています。

今回紹介する「ハゼ」は、その中でも自然と都市をつなぐプロダクトライン「ADAPTER(アダプター)」からリリースされたモカシンスタイルのアウトドアスニーカーです。カラバリとして「ベージュ」も用意されていますが、先述のコンセプトを汲んで、タウンユースにおいて汎用性の高い「ブラック」をチョイスしてみました。さてここからは、シューズの細部にフォーカスしていきます。

撥水性と耐久性を備え、風合い抜群の「60/40クロス」をアッパーに採用

モカシン縫いのアッパー部分に使用されているファブリックは、アウトドア好きにはたまらない「60/40 クロス」

モカシン縫いのアッパー部分に使用されているファブリックは、アウトドア好きにはたまらない「60/40 クロス」

ライニング部分は、一般的な防水シューズなどにも見受けられる質感で、サラッとした肌触り

ライニング部分は、一般的な防水シューズなどにも見受けられる質感で、サラッとした肌触り

ストラップベルトの先端部分には、ブランド名が型押しされたレザータブのアクセント

ストラップベルトの先端部分には、ブランド名が型押しされたレザータブのアクセント

さて、ご覧のように、男前なモカシン顔のアッパーとギア感のあるソールのコンビネーションにより、タウンとアウトドアの融合を実現させた本作。とはいえ、その素晴らしさは見た目だけではありません。まずは今回のメインテーマ「梅雨に活躍する防水性能」について言及したいと思います。

防水性能の秘密は、アッパーにあり! 触れずともわかるハリ感としなやかさ。勘の鋭い読者諸氏なら表面の質感を見ただけでピンときたのでは? そう、ここで使われているファブリックは、あの「60/40 クロス」なのです。1960年代に「シエラデザインズ(SIERRA DESIGNS)」が開発した機能素材で、アウトドア好きには“ロクヨン”の通称でもおなじみですね。

通気性と質感にすぐれたコットンの横糸を60%、耐久性に秀でたナイロンの縦糸を40%のバランスで混紡することで、水に濡れるなどして湿気を吸ったコットンが膨張し、内部に水分が侵入するのを防ぐという代物。織り方向と2種類の素材比率によって、光沢感のある独特の風合いと強度を持ち、撥水性も備えています。それでいて、履けば履くほどに生地がやわらかくなり、表面にアタリと呼ばれる経年変化が現れる頃には、すっかり着用者の足になじんでいるという寸法です。

最近じゃ、「ゴアテックス」を採用しているスニーカーも増えましたが、街履きならもうちょい気安くいきたいもの。そんな時に“こなれ感”という言葉に弱いパパ世代のハートを打ち抜くのが、このほどよい洒脱さ加減というわけです。続いては、“簡単に脱ぎ履きできるイージーさ”に着目してみましょう。

簡単着脱だけでなく、足全体をしっかりフィットさせるストラップベルト

本モデルの代表的ディテールで、デザインと機能性を両立させたバックル仕様のストラップベルト

本モデルの代表的ディテールで、デザインと機能性を両立させたバックル仕様のストラップベルト

軽くつまむだけで簡単に外れる。逆を言えば、ハメるのも簡単

軽くつまむだけで簡単に外れる。逆を言えば、ハメるのも簡単

シュータンとアッパーのサイドパネルが一体化しており、雨だけでなく砂や小石の侵入も防いでくれます

シュータンとアッパーのサイドパネルが一体化しており、雨だけでなく砂や小石の侵入も防いでくれます

大きくガバッと開くので、足入れも楽チン

大きくガバッと開くので、足入れも楽チン

一般的なローカットのワラビーシューズは、シューレースホールの数が少なく、そのうえシューレース自体も短いため、フィッティングがイマイチなんてことも多々あります。そんなお悩みを解決してくれるのが、アッパーの甲部分で装着されたストラップベルト。サイドから甲部分まで全体を締め付けることで足にしっかりとフィットし、しかも片手で簡単に調節可能なんです。

しかもシュータンは、アッパーのサイドパネルと一体化しているので、雨や砂などの侵入も防いでくれます。着脱が容易ですし、日常生活の中でも何かと役立つに違いありません。さらに、防水性能と切っても切れない関係にある、ソールのグリップ力についても触れていきましょう。

「ガマヘクス」搭載ソールで、晴れでも雨でも変わらぬグリップ力

巻き上がるようにデザインされたソールは、トゥ部分が特に顕著

巻き上がるようにデザインされたソールは、トゥ部分が特に顕著

靴裏のオレンジ色のパーツが「ガマヘクス」。その名前と独特なパターンから、「アマガエル」をイメージしたものであると想像できます

靴裏のオレンジ色のパーツが「ガマヘクス」。その名前と独特なパターンから、「アマガエル」をイメージしたものであると想像できます

トゥ部分が特に顕著ですが、アッパーまで巻き上がるようにデザインされたソールは、見た目から高いグリップ力があることを感じさせます。ひっくり返して靴裏も見てみましょう。雨粒を想起させるレインドロップ型がビッシリ並んだパターンがユニークですね。また見逃せないのが、オレンジ色のパーツ。こちらは、日本が誇る老舗シューズメーカー「MOONSTAR(ムーンスター)」が約24万通りの組み合わせの中から開発したという独自の防滑ラバー、その名も「ガマヘクス」です。

「ガマヘクス」の特徴は、一般的なゴムに比べ、乾いた路面と濡れた路面での防滑性の差異が小さいという点。要は、雨が降ると意気込んでレインシューズを履いて出かけたけど、全然降らない……。そんな時に感じる“やり過ぎ”なグリップ力がなく、どんな路面にも対応するということ。雨天時や路面コンディションの影響を受けにくいので、濡れた大理石の床や側溝のフタの上など、滑りがちで危険な場所でもグリップ力を発揮します。「ガマ=カエル」の名は伊達ではありません! 

ではそろそろ、実際に着用したスタイルサンプルをご覧いただきましょうか。

クラシカルなようでテクニカルな表情が、足元をすっきり演出

着用するのは、ハイテックの「ハゼ」(ブラック)

着用するのは、ハイテックの「ハゼ」(ブラック)

ボトムスは、リーバイス タイプ1のブーツカットデニムパンツ。トップスはヘインズの白Tにヘリーハンセンのフーデッドコーチジャケットを重ねて、キャップはニューエラ×フラグスタフ。「ちょっとやそっとの雨ならドンと来い」なナイロン素材のアウターに、足長効果もあるフレアシルエットのボトムスを取り入れつつキャップを合わせて、1970年代アメリカ西海岸の軽快でスポーティーな雰囲気にまとめてみました。ここに「ハゼ」のブラックを合わせてみると……!?

ハイテックの「ハゼ」(ブラック)を着用

ハイテックの「ハゼ」(ブラック)を着用

いかがでしょうか。今回のシューズは、ボリュームの少ないロープロファイルなモデル、かつモカシンスタイルだったので、70年代よろしくブーツカットの裾をあえてアッパーに被せるように合わせてみました。ストラップベルトやソールといった見せたいポイントはしっかり出せていますし、甲部分の低さもあってすっきりした印象にキマります。なんだか美脚に見える気もしませんか?

グリップ力は、実際に濡れた路面で着用しなければ何とも言えませんが、特筆すべきはクッションニング。こういった薄めのソールが装着されたアウトドアシューズは、路面の状態を感じやすいベアフット(素足)感覚のモノが多いのですが、「ハゼ」のインソールは足が沈み込むようなやわらかさ。それでいて、アウトソールがしっかりしているので、安心感も得られます。たとえるなら、半熟卵みたいな(違うか)。まぁ、実際に履いてもらえれば、言葉の意味もわかっていただけるはず。

水溜まりに突っ込んで、アッパーもビショビショに濡らしてみました。一瞬躊躇しましたが、乾いた布でアッパーを拭き取った結果、表面こそ若干シットリするものの内側はサラサラ!

水溜まりに突っ込んで、アッパーもビショビショに濡らしてみました。一瞬躊躇しましたが、乾いた布でアッパーを拭き取った結果、表面こそ若干シットリするものの内側はサラサラ!

読者諸氏からの「“梅雨に活躍する”なんて謳(うた)っておきながら、濡らしもせずよく言えたもんだな!」なんて声に応えるべく、アッパーを盛大に濡らしてみました。

撥水性と言っても特殊な加工が施されているわけではなく、糸の素材比率や織りといった生地由来のものなので、濡らした瞬間に表面を滑り落ちるといった類ではありません。ですが、こんなにビショビショな状態でも乾いた布で拭けば、表面こそ若干シットリはするものの内側はサラサラをキープしていました。

欧米人は少々の雨なら傘を持たないと言いますし、“急に雨が降ってきても靴下までは濡れずに気分よし”というノリで履いてもらうのがイイと思います。実際、朝から土砂降りの日は、ゴム長靴やブーツのようなレインシューズを履くのが正解ですしね。梅雨時期にスマートに過ごすための1足と考えておきましょう。

【まとめ】梅雨時期にスマートに過ごすためのハイブリッドモカシン

というわけで、今回はハイテック「ハゼ」をピックアップしました。

最後になってしまいましたが、タイトルで述べた、ルックス・ファンクション・プライスの三拍子のラスト“プライス”の件。お待ちかねの定価はズバリ税込9350円! 1万円以内で買えちゃいますし、カラバリの「ベージュ」も雰囲気がイイので大人買いを推奨。サイズ展開も22.5cm〜28cm、29cmと幅広いので、家族と色違いのペアで履くのもおすすめです。ちなみに、この「アダプターライン」では、「ベンタイル」や「コーデュラナイロン」といった、パパ世代の男心をくすぐる素材を採用した、シンプル&洒落たモデルが同じく1万円以下で揃っています。しかも、ほかに履いているご同輩をあまり見かけないので被りもしません。ひと言で表すと……激推しです!

TOMMY

TOMMY

メンズファッション誌を中心に、ファッションやアイドル、ホビーなどの記事を執筆するライター/編集者。プライベートでは漫画、アニメ、特撮、オカルト、ストリート&駄カルチャー全般を愛する本厄41歳。

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