新傑作ウォッチで令和を刻む

カシオ「エディフィス」新作クロノはF1ステアリング由来のマルチカラーがフレッシュ&スタイリッシュ!

カシオ計算機が「スピード&インテリジェンス」をコンセプトに掲げ、2000年に立ち上げた「カシオ エディフィス(CASIO EDIFICE)」は、モータースポーツと親和性のあるデザインと機能が特徴の時計で構成されているブランド。そのラインアップは、高精度計時やラップタイム計測、ワールドタイムなど、モータースポーツに結び付きの強い機能を搭載する電波ソーラークロノグラフが主軸です。

今回紹介するのは、そのなかでもスマートフォンリンクやダブルLEDを備えたデジアナ式レーシングクロノグラフのコレクション「ECB-900シリーズ(ECB-900 Series)」から、2023年1月に登場した「レーシングマルチカラーシリーズ(RACING MULTICOLOR SERIES)」の2型です。多角形ベゼルの「ECB-950YMP-1AJF」は今回が初登場の新型で、丸型ベゼルの「ECB-900YMP-1AJF」は既存モデルのカラバリながら、どちらもシリーズ名どおり、レーシングカーのステアリングホイールが由来のマルチカラーを文字盤に取り込んで視認性を高めた点で通底しています。

「カシオ エディフィス」らしい力強さとスマートさをまといつつも、そのビビッドなマルチカラーでさりげなく華やぎも見せる「レーシングマルチカラーシリーズ」。以下では、この要注目2型の見どころポイントを詳解していきましょう。

「カシオ エディフィス レーシングマルチカラーシリーズ ECB-900シリーズ」。左が多角形ベゼルの「ECB-950YMP-1AJF」で、右が丸型ベゼルの「ECB-900YMP-1AJF」。公式サイト価格は各44,000円(税込)

「カシオ エディフィス レーシングマルチカラーシリーズ ECB-900シリーズ」。左が多角形ベゼルの「ECB-950YMP-1AJF」で、右が丸型ベゼルの「ECB-900YMP-1AJF」。公式サイト価格は各44,000円(税込)

視認性を高める鮮烈マルチカラーを文字盤のアイコンに

ステアリングホイールとは、乗り物の進行方向を変えるための舵取り装置(方向変換装置)のことであり、自動車においてステアリング機構を操作するための回転式のリング型パーツをさします。ただし、レーシングカーではリング型のほかにD字型や小判型、バタフライ型なども存在します。なお、日本では、ステアリングホイールは一般的にハンドルと呼ばれていますが、これは和製英語です。

モータースポーツではとりわけ重要なパーツと認識され、各レーシングチームがメーカーなどと共同で、より快適でより高機能なものを開発することに尽力してきた結果、ステアリングホイールは複雑化の一途をたどり、1970年代後半に電子スイッチが取り付けられるようになって以降、その役割はハンドル操作以外にも拡大していきます。ことに橋梁部(一般車では、ここに運転席エアバッグが格納されたり、ホーンスイッチやブランドロゴが設けられたりしています)においては、多様なボタンやスイッチ、ダイヤルなどが追加されることとなり、ディスプレイが設けられたタイプではダッシュボードを見ることなく、エンジンの回転数やラップタイムなど、多くの情報が迅速に視認できるものに進化しました。

同社の「エディフィス」デザインチームが「レーシングマルチカラーシリーズ」2型(写真手前)のモチーフとして採用したトムス(TOM'S/1974年設立のレーシングチーム運営会社。本社は東京、本拠地は静岡県御殿場市)のステアリングホイール。中心部に設けられたディスプレイの左右には、ビビッドカラーの各種操作ボタンが配置されています

同社の「エディフィス」デザインチームが「レーシングマルチカラーシリーズ」2型(写真手前)のモチーフとして採用したトムス(TOM'S/1974年設立のレーシングチーム運営会社。本社は東京、本拠地は静岡県御殿場市)のステアリングホイール。中心部に設けられたディスプレイの左右には、ビビッドカラーの各種操作ボタンが配置されています

昨今、F1のステアリングホイールはボタンやダイヤルなどで埋め尽くされており、ドライバーは走行中、きわめてひんぱんにこれらを操作しています。ちなみに、なぜここまで複雑化されたのかというと、1つにはあらゆる電子制御デバイスが禁止されたことがあげられます。また、2003年にピットからマシンへのデータ送信も禁止されたことで、エンジンモードなどあらゆる調整は、ドライバー自身が選択しなくてはならなくなったというのも大きな要因でしょう。

ところで、そのステアリングホイールのグリップ近くに配置された各種ボタンには、ドライバーがレース走行中に正しく操作できるよう、目立つカラーでハッキリと色分けされたものが採用されています。そこで、この発想を取り入れた今回の「レーシングマルチカラーシリーズ」では、秒針および各インダイヤルのインジケーターにレッド、ブルー、イエロー、グリーンのビビッドなカラーを導入。これにより、視認性が高まって、時刻や計測タイムなどがより素早く読み取れるものとなり、同時にこうしたカラーがレーシングフェイスにポップで軽快な表情を添加したことで、「ECB-900シリーズ」の既存モデル以上のデザイン性をまとうものに仕上がったのです。

アナログ&デジタル両表示搭載で、多機能でも使いやすく

ここで取り上げている2型も「ECB-900シリーズ」にカテゴライズされるモデルですので、文字盤はアナログとデジタルの両表示で構成されています。ということで、ここからはその文字盤を見ながら、主な機能を検証していきたいと思います。なお、多角形ベゼルの「ECB-950YMP-1AJF」(以下、「950」と記載)、丸型ベゼルの「ECB-900YMP-1AJF」(以下、「900」と記載)はほぼ同一スペックであり、使い勝手もほぼ同じ(主な相違点は後述)。複雑顔とあって一見ではわかりづらいのですが、ステアリングホイール由来である各色のレイアウトは異なるものの、両型とも文字盤各表示の数や配置などにも大きな違いはありません。

まず、センターは時刻を示す「時」「分」「秒」の3針です。このうちの秒針は、秒表示のほかにストップウォッチモードではクロノグラフ秒針として動き、経過時間の表示とともにベゼルトップのタキメーター(1km間における走行時速、または1km間における平均時速を表す、単位「km/h」の計算尺)をさすことでタキメーター針の役も担うなど、いくつかの役を兼任しています。

「ECB-950YMP-1AJF」(左)と「ECB-900YMP-1AJF」(右)は単にデザイン&カラーが異なるだけではなく、対応アプリが異なるなど多少の違いがあることから、別モデルと位置付けられています

「ECB-950YMP-1AJF」(左)と「ECB-900YMP-1AJF」(右)は単にデザイン&カラーが異なるだけではなく、対応アプリが異なるなど多少の違いがあることから、別モデルと位置付けられています

12時位置の液晶画面では「曜」などを表示。写真上では両型ともに、そこに「SU」(=日曜日)が示されており、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、その上にオートライト機能(プッシュボタンを押さなくても、暗所で時計を傾けるだけでライトが点灯する機能)がオン状態であることを示す「LT」の文字も見て取れます。

8〜10時位置の液晶画面では、ワールドタイムモードにおける第2時刻などが確認できます。ちなみに写真上では、両型ともに6時30分を告げる「6.30」が示されています。また、その下にある「SIG」は時報がオンのときに、「ALM」(「900」では「AL」と記載)はアラームがオンのとき、それぞれ液晶内に平行四辺形のマークが点灯します。

さらに、この液晶表示の左下に「R」と「Bluetoothマーク」が記されているのがおわかりでしょう。実は両型には、専用アプリと連携することで機能拡張が図れるスマートフォンリンク機能が備わっており(後述)、そのスマートフォンに接続待機中なら「R」を、接続中なら「Bluetoothマーク」を秒針が指し示すのです。

3〜6時位置にあるアナログ式のインダイヤルはスピードインジケーター。ストップウォッチモード時、このモード針で走行速度を示すというものなのですが、この点についても詳しくは後述します。なお、このモード針が4〜5時にある「TR」をさしていたらタイマーモードの、「AL」ならアラームモードの、「WT」ならワールドタイムモードの状態にあることが確認でき、また時刻モードでは、この針がインジケーター左側の「F」〜「E」の目盛りをさしてバッテリー残量を教えてくれます。

平均速度算出など、スマホとの連携で多彩な機能拡張も

ところで、「ストップウォッチのとき、計時データはどう表示されるの?」との疑問を持つ人もいらっしゃいましょう。簡単に説明しますと、先述のとおり、まずストップウォッチモード時にセンター秒針がクロノグラフ秒針として経過時間とタキメーターを示します。と同時に、8〜10時位置の液晶に経過時間の「分」と「秒」が数字で示され、左隣にあるスケール(1目盛りが1秒)に沿って、同液晶内に5つのマークが明滅して5秒間の「秒」を刻みます。

また、12時位置の液晶は経過時間の1/1000秒単位を表示。面白いのは、計時時間が1時間を超えた場合で、その瞬間、8〜10時位置の液晶の数字が「分」&「秒」から「時」&「分」に切り変わり、同時に12時位置の液晶も1/10秒単位の表示に変更されるのです。

ところで、これも先に少し触れたことなのですが、両型には専用アプリを介してスマートフォンと連携させることで、さらなる機能拡張が図れるスマートフォンリンク機能が備わっています。これにより、たとえば時刻が自動修正されたり、各種機能がスマートフォンで簡単に設定できたり……と、さまざまなメリットが得られるのです。そしてストップウォッチモードにおいては、計時データをアプリに転送し、そこに保存することも可能です。

ことに際立って見えるスピードインジケーターはレース観戦時、ひいきにするクルマのラップ速度を測る際などに活用できます。写真は「ECB-950YMP-1AJF」

ことに際立って見えるスピードインジケーターはレース観戦時、ひいきにするクルマのラップ速度を測る際などに活用できます。写真は「ECB-950YMP-1AJF」

この「レーシングマルチカラーシリーズ」で特に印象的なのは、3〜6時位置にあって、マルチカラーでトリミングされたアナログ式スピードインジケーターの存在でしょう。両型のストップウォッチモードではラップタイム(一定距離ごとの所要時間のこと)も計測可能なのですが、ユニークなことに、このインジケーターで各ラップの平均速度(時速400kmまで)を知ることもできます。ただ、経過時間やタキメーター、ラップタイムは時計単体で計時できますが、平均速度については計測前、あらかじめ1周の距離をアプリに入力する必要があります。これにより、ラップごとの平均時速が算出され、そのデータは時計本体に記録され、さらにスマートフォンに転送・保存もできるのです。

なお、2型は連携できるアプリが異なっており、「950」には「CASIO WATCHES」が、「900」には「EDIFICE Connected」が対応します。両アプリは使い勝手に多少の違いはあるものの、機能面では決定的な差異はなく、しかし旅行などで訪れた場所の位置や日時を記録し、それをスマートフォンアプリの地図で確認することができる「TIME & PLACE」なる機能が「CASIO WATCHES」に付加されている点が、両アプリの最大の相違点であるようです。

ナイトキャンプなどの暗所作業でも高い視認性が得られます

「ECB-950YMP-1AJF」には、時針&分針に蓄光性夜光塗料「ネオブライト」を採用

「ECB-950YMP-1AJF」には、時針&分針に蓄光性夜光塗料「ネオブライト」を採用

両型には対応アプリなどのほかに、もうひとつ大きな違いがあります。それは「ネオブライト」が「950」にのみ採用されているという点。ちなみに「ネオブライト」は、短時間で光を吸収し、長時間光り続けるカシオ独自の蓄光性夜光塗料のことで、暗所でしっかりと光ってくれるので、ユーザーは確実に時間を知れます。

とはいえ、「900」でも夜間の視認に懸念は無用です。というのも両型にはどちらにも、「スーパーイルミネーター」が搭載されているからです。これは2時位置のプッシュボタンを押すことで、文字盤と液晶を高輝度で照らし出すフルオートダブルLEDライトのことをさしており、暗所での視認性が飛躍的に向上します。たとえ漆黒の環境下であっても時間など各種データが確実に読み取れるわけです。しかも、オートライト機能をオン設定にしておけば、プッシュボタンを押さずとも、時計を40度傾けるだけで点灯させられるので、たとえばナイトキャンプの作業中、両手が空かないという状態でもクイックに時間が確認できるわけです。

「スーパーイルミネーター」は「ECB-950YMP-1AJF」と「ECB-900YMP-1AJF」の両型に搭載されています。写真上は、同じ「ECB-900シリーズ」の先行モデル「ECB-900YDB-1AJF」(対応アプリ「EDIFICE Connected」)。公式サイト価格44,000円(税込)

「スーパーイルミネーター」は「ECB-950YMP-1AJF」と「ECB-900YMP-1AJF」の両型に搭載されています。写真上は、同じ「ECB-900シリーズ」の先行モデル「ECB-900YDB-1AJF」(対応アプリ「EDIFICE Connected」)。公式サイト価格44,000円(税込)

ウレタンストラップのトレッドパターンにも注目

ところで「ECB-900シリーズ」の既存モデルでは、いずれにもドレス感のあるステンレススチール製ブレスレットが装備されてきました。いっぽう、今回の「レーシングマルチカラーシリーズ」2型においては、文字盤やベゼルのカラーに呼応するブラックのラバーストラップが標準装備されており、よりスポーティー&アクティブなたたずまいに。しかも、そのラバー素材にソフトウレタンを採用したことで、快適な装着感を追求しています。

モータースポーツにインスパイアされたデザインが施されたソフトウレタンストラップを装備。左は「ECB-950YMP-1AJF」、右が「ECB-900YMP-1AJF」

モータースポーツにインスパイアされたデザインが施されたソフトウレタンストラップを装備。左は「ECB-950YMP-1AJF」、右が「ECB-900YMP-1AJF」

実は「950」と「900」では、そのソフトウレタンストラップの彫り柄が異なっています。「950」のそれはシャープかつクラシックな印象の縦溝パターンで、「900」ではさりげない色気も感じさせるハニカムパターン(正六角形を隙間なく並べた文様のこと)が施されているのです。どちらもレーシングカーのタイヤに見られるトレッドパターン(タイヤのうち、路面などに接する部分に刻まれた彫り溝模様のこと。グルーブとも呼ばれる)をモチーフにしたものとのことで、マルチカラーのデザインや各種機能のみならず、ストラップにおいてもモータースポーツとの親和性が図られているわけなのです。

多角形ベゼルの「ECB-950YMP-1AJF」の試着例。黒の革ジャンと組み合わせれば、ライダーの手元が出来上がり!

多角形ベゼルの「ECB-950YMP-1AJF」の試着例。黒の革ジャンと組み合わせれば、ライダーの手元が出来上がり!

そんなソフトウレタンストラップの採用もあり、手首の動きが妨げられるなどのストレスはなく、フィット感は上々。また、ケース幅48mmと大ぶりなのですが、デザインにメリハリがあるためでしょうか、こうして腕に着けると、不思議にも実際には大きく見えすぎず、無骨さもなく、スタイリッシュな手元に仕上がりました。

また、ビビッドなマルチカラーは概してポップな印象をもたらすものですが、「950」&「900」においてはそれらがひかえめに取り入れられているため、決して悪目立ちすることはなく、むしろさりげない差し色としてさまざまなスタイルに違和感なくマッチするのです。カジュアルにおいてはスポーツからキレイめまで幅広く合うはずですし、さらにはビジネスとも相性がよく、そうした着こなしに若々しさを添加してくれることでしょう。

【まとめ】 フレッシュ顔クロノゆえ、新社会人にもおすすめ

「カシオ エディフィス」は、とりわけモータースポーツファンの間で高い人気のブランドですが、「レーシングマルチカラーシリーズ」にはファッション好きの感性にも刺さる、オシャレで洗練された雰囲気が感じられます。すなわち、これら2型には直線と曲線が絶妙に組み合わされたデザインを始め、ブラック×シルバーが醸すシャープなコントラスト、そしてフェイスに効果的に配置されたマルチカラー……と、各要素がバランスよく一体化したことで仕上がった独自の美しさがあるのです。

ということで、世のモーターファンにはもちろんなのですが、この若々しいデザインに、手ごろなプライスも相まって、たとえば今春に社会人デビューするフレッシャーズのファーストウォッチとしても、ぜひおすすめしたいと思うのです。

●写真/篠田麦也(篠田写真事務所)

「カシオ エディフィス ECB-900シリーズ レーシングマルチカラーシリーズ」
「ECB-950YMP-1AJF」、および「ECB-900YMP-1AJF」
※下記、一部を除き、各仕様は両型共通。

●駆動方式:クォーツ
●電源:ソーラー充電システム「タフソーラー」
●防水性能:10気圧
●ケース材質:ステンレススチール
●ベゼル材質:ステンレススチール(ブラックIP処理)
●ガラス:サファイアガラス(内面反射防止コーティング)
●バンド材質:ウレタン樹脂
●ケースサイズ:縦51.1×幅48×厚さ13.9mm(「ECB-950YMP-1AJF」)、縦51.5×幅48×厚さ13.9mm(「ECB-900YMP-1AJF」)
●質量:108g(「ECB-950YMP-1AJF」)、105g(「ECB-900YMP-1AJF」)
●時計機能:ワールドタイム(世界39都市、サマータイム自動設定機能、UTC時刻表示、ホームタイムの都市入れ替え機能付き)、ストップウォッチ(1/1000秒/1時間未満、1/10秒/1時間以上、24時間計、ラップタイム機能付き、速度計測/MAX400unit/h、計測データを最大200本メモリー)、タイマー、マルチアラーム、フルオートカレンダー、12/24時間制表示切り替え機能、ダブルLEDライト「スーパーイルミネーター」、「ネオブライト」(「ECB-950YMP-1AJF」のみ)
●モバイルリンク機能:Bluetooth通信による機能連動
●対応アプリ:「CASIO WATCHES」(「ECB-950YMP-1AJF」)、「EDIFICE Connected」(「ECB-900YMP-1AJF」)
●アプリ連携機能:自動時刻修正、簡単時計設定、ワールドタイム約300都市、タイム&プレイス(「ECB-950YMP-1AJF」のみ)、ストップウォッチデータ転送、携帯電話探索など

山田純貴

山田純貴

東京生まれ。幼少期からの雑誌好きが高じ、雑誌編集者としてキャリアをスタート。以後は編集&ライターとしてウェブや月刊誌にて、主に時計、靴、鞄、革小物などのオトコがコダワリを持てるアイテムに関する情報発信に勤しむ。

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