新傑作ウォッチで令和を刻む

「ブルーアワー」を再現! カシオ「オシアナス マンタ」最新作の麗しき青のロマン

空一面が深い青で澄みわたる、朝ぼらけの情景を仰ぎ見たことがありますか?

あるいは、地上が薄闇(うすやみ)まとう宵の刻、天があまねく青から紫へと移ろい、深まる様に目を奪われた経験をお持ちでしょうか?

第31回の「新傑作ウォッチで令和を刻む」では、茫々(ぼうぼう)とした片空の彼方が濃いブルーに染め上げられる神秘的な時分「ブルーアワー」をデザインに落とし込んだ時計を紹介します。

カシオ「オシアナス マンタ S5000シリーズ OCW-S5000F-2AJF」。公式サイト価格198,000円(税込)

カシオ「オシアナス マンタ S5000シリーズ OCW-S5000F-2AJF」。公式サイト価格198,000円(税込)

カシオ計算機が2004年に立ち上げた「オシアナス(OCEANUS)」は、先進テクノロジーとスポーティーデザインをベースに、エレガンスを追求し続けるウォッチブランド。その名称はギリシャ神話における海の神「オケアノス」が由来で、波がモチーフのブランドロゴはやわらかな曲線と鋭利なラインをもって、先進性とエレガンスを表現しています。

その「オシアナス」のうち、2007年から展開されている「マンタ」は、ときに量産化に不向きな加工や仕上げにも挑みつつ、曲線美や薄さなどを追求し続ける、同ブランドの最高級ラインに位置付けられています。またラインアップの多くは、要所で澄清(ちょうせい)たるブルーをデザインに取り込むことで、ブランド名やライン名を体現しています。そして、2022年11月にリリースされた「オシアナス マンタ OCW-S5000F-2AJF」(以下、「OCW-S5000F-2AJF」)も例外ではなく、ベゼルと文字盤には天穹(てんきゅう)を覆うような深く濃いブルーが取り込まれているのです。

朝と夜の境界に現れる天空の美を高い技術力で表現!

「ブルーアワー」とは、日の出前や日の入り後に空が濃い青色に染まる時間帯のこと。この色調と明度は、季節や天候、大気中の湿気などによって異なり、かつ刻一刻と変化していくのですが、なかでも色彩がとりわけ美しく交響する瞬間は「マジックアワー」と呼ばれ、讃えられてきました。

「OCW-S5000F-2AJF」では、大自然が紡ぎ出すその美しい世界観を表現すべく、ベゼルにはIP処理(イオンプレーティング処理/イオン化した金属を蒸着させる表面処理)を、文字盤には蒸着法(蒸発させた金属や酸化物などを蒸着させる表面処理)をそれぞれ施して深いブルーを表現しています。そのうえで、12時位置のインデックスにはピンクゴールドのIP処理を、風防ガラスの周縁にはピンクゴールドを蒸着。これらにより、東の地平に現れた曙光、あるいは西の黄昏の残光を比喩し、フェイス全体でブルーアワーの美しい情景を表現しているわけです。

繊細な濃淡と色調を見せるブルーが暁(あかつき)と宵口(よいくち)の青空を、文字盤を囲むピンクゴールドが地平線を照らす曙光(しょこう)や残光をイメージさせます

繊細な濃淡と色調を見せるブルーが暁(あかつき)と宵口(よいくち)の青空を、文字盤を囲むピンクゴールドが地平線を照らす曙光(しょこう)や残光をイメージさせます

ところで、ブルーアワーの青色は寸刻で色調と明度を変化させていくと前述しましたが、「OCW-S5000F-2AJF」ではそれを、光が射し当たる角度によってブルーが繊細に諧調することで再現しているのです。

ちなみに、ベゼルやケース、バンドには、高強度かつ軽量で、耐食性にすぐれ、肌にやさしいチタンを採用。しかも、その表面にチタンカーバイト(チタンの炭化物。炭化チタンとも言う)処理を施したことで、高い耐摩耗性と美しい発色を実現しています。また、ケースとバンドパーツにおいては、研磨技術の最高峰と言われるザラツ研磨(特殊研磨機を使って表面に研磨加工を施し、歪みのない面に整える下地処理の一種)を採用し、職人の手技も駆使してていねいに磨き上げることで、平滑度の高い美しい輝きを実現しています。

多彩な機能を備えつつ、操作性はシンプル&視認性は上々

多機能ながらも、絶妙な設計とレイアウトで高い視認性を確保

多機能ながらも、絶妙な設計とレイアウトで高い視認性を確保

ここで「OCW-S5000F-2AJF」の主な機能についても、ざっと触れておこうと思います。

まず、本モデルにはベゼルに都市名が、見返しリングにタキメーターが記されていますので、ここからワールドタイムとストップウォッチの機能が搭載されていることがおわかりでしょう。また、標準電波受信による時刻修正、24時間計、スマートフォンリンクなどの機能もあわせ持っています。

写真の文字盤をご覧ください。3つのインダイヤルは個々の役を担うとともに暗所でも安定して駆動し続ける、カシオ独自のソーラー発電&充電機能「タフソーラー」の受光部を兼ねています。また、そのバッテリー残量は6時位置のインダイヤルにて、針が指し示す「H」「M」「L」の各表示で確認できます。

日付は3時位置の表示窓で、「曜」は6時位置のインダイヤルにて「Su」から「S」までの目盛りで読み取ります。このインダイヤルは、サマータイムなどのモード表示も担っており、「DST」がサマータイム、「SDT」がスタンダードタイム、「AT」が自動切り替えモードです。なお、「ST」の表示はストップウォッチ動作中を知らせるもので、計時中はセンター秒針がクロノグラフ秒針となり、9時位置のインダイヤルが12時間の分積算計の役を果たすのです。

その9時位置のインダイヤルは、ワールドタイムモードで第2時間を表示する12時間計となり、その直下のミニダイヤルが「A」「P」表示で午前/午後を知らせます。いっぽう、現在地の時刻はというと、センターの3針(時・分・秒)、および12時位置のインダイヤル(24時間表示なので、ここから午前/午後が読み取れる)で知ることができます。

文字盤外周(タキメーター表示の内側)に記された「C」「R」「Y」「N」のイニシャルは、時刻自動修正機能に関連するもので、いずれもセンター秒針が指し示すことで、それぞれの役を果たします。このうちの「C」はBluetooth機能を利用したスマートフォンリンクによる時刻修正機能にて、スマホと接続中であることを表します。また、「R」は世界6局標準電波受信による時刻修正において、その電波を受信中であることを告げる記号であり、「Y」は自動時刻修正が成功したことを、「N」は失敗したことを知らせるものです。

時・分針とインデックスに塗布された「ネオブライト」が鮮明な光で時刻を知らせます

時・分針とインデックスに塗布された「ネオブライト」が鮮明な光で時刻を知らせます

夜間の使用においては、短時間で光を吸収・蓄光し、長時間の発光を可能にするカシオの独自技術「ネオブライト」が威力を発揮します。その発光は、たとえ漆黒の環境下であっても大変に鮮やかで美しく、その視認性は上々です。

思わず見入ってしまう濃淡移ろうブルーの繊細美

次に、本連載の恒例である試着レビューに移ります。

下の写真は、これからの季節を勘案し、半袖の手元に装着したものです。「OCW-S5000F-2AJF」はビジネススタイルにもカジュアルスタイルにも違和感なくマッチ。コーディネートの高汎用性も、この時計の魅力です。

ベゼル&文字盤のブルーが春夏スタイルの手元を涼しげに演出します

ベゼル&文字盤のブルーが春夏スタイルの手元を涼しげに演出します

手元をラギッドに見せるケース径42.3mmは、やや大ぶりな印象ではあるものの、「マンタ」の特徴のひとつである薄型設計によるケース厚9.7mmとあって、装着感からストレスは感じられません。しかも、ベゼルやケース、バンドがチタン製だからでしょう、重量は見た目に反するわずか82gという軽さ。これもうれしいポイントです。

また、風防は難度の高い加工技術が求められる、表が球面、裏が曲面のデュアルカーブサファイアガラス製で、その両面に無反射コーティングを施したことで光の反射が抑制されているため視認性は良好。しかも、これがブルー文字盤の美しさをよりいっそう引き立てています。

その文字盤、およびベゼルのブルーが醸す諧調は誠に繊細優美。腕を動かすと、その表情を微妙に変化させて、見る者の目を飽きさせません。また、ピンクゴールドとのコンビネーションも誠に秀逸で、見入るにつれ、確かにブルーアワーの遥けき空を仰ぎ見る思いに誘われるのです。

ここで、「OCW-S5000F-2AJF」と同時期に発売されたもうひとつのブルーアワーモデルを「オシアナス クラシックライン OCW-T4000D-1AJF」を簡単に紹介します。「OCW-S5000F-2AJF」が多角形ベゼルであるのに対し、こちらはラウンドベゼルのモデルです。

「クラシックライン」のブルーアワーモデル「OCW-T4000D-1AJF」。公式サイト価格121,000円(税込)

「クラシックライン」のブルーアワーモデル「OCW-T4000D-1AJF」。公式サイト価格121,000円(税込)

「オシアナス」のスタンダードモデルで構成される「クラシックライン(Classic Line)」にカテゴライズされる「OCW-T4000D-1AJF」は、ベゼル形状の違いなどもあってケース幅42.8mmと、「OCW-S5000F-2AJF」に比して0.5mmほどサイズアップされており、重量も90g と8gほど重いのが特徴です。また、「OCW-S5000F-2AJF」の風防がデュアルカーブサファイアガラス製であるのに対し、こちらは一般的なサファイアガラス製(両面反射防止コーティングが施されているのは共通)。とはいえ、実は両モデルとも搭載機能に違いはありません。

ベゼル、および12時と6時位置のインダイヤルリングは深いブルーをたたえ、風防ガラスの縁は蒸着によるピンクゴールドを採用。いっぽうで文字盤には漆黒色が使われています。そして、このブルー×ピンクゴールド×ブラックの3色使いにより、ブルーアワーながらも「OCW-S5000F-2AJF」が表す時刻とやや異なる「夜を残す開け暗(あけくら)」、あるいは「帳(とばり)が覆う暮夜(ぼや)」の大空をイメージさせる姿に仕上がっています。

【まとめ】手元を清涼に見せるブルーウォッチを選ぶならコレ!

昼と夜のはざまにあって、大自然が色彩と光彩をもって描き出す美の瞬間を切り取り、見事にそれをフェイスに写し取ってみせた「オシアナス マンタ S5000シリーズ OCW-S5000F-2AJF」は、これまで多くのモデルにおいて多様なブルーを表現してきた「オシアナス」のラインアップにおいても、その色使いと繊細な表情がひときわ印象的なモデルのひとつであると感じました。

ブルー文字盤の時計は概してオシャレで清潔感もあるがゆえに人気ですが、ことに春から夏に向かうこの季節ではコーディネートに取り入れたくなるカラーでもあります。もし、ほかの人のとはちょっと異なる個性のブルー文字盤ウォッチをお探しなら、大自然の神々しい情景が手元に取り込めて、その繊細美でいつまでも目を楽しませてくれる、そして手元を清涼に見せられる「オシアナス マンタ OCW-S5000F-2AJF」こそ、最有力候補になることでしょう。 

●写真/篠田麦也(篠田写真事務所)

【SPEC】
カシオ計算機「オシアナス マンタ S5000シリーズ OCW-S5000F-2AJF」
●駆動方式:クォーツ
●電源:ソーラー充電システム「タフソーラー」
●防水性能:10気圧
●ケース・ベゼル材質:チタン(チタンカーバイト処理)
●ガラス:サファイアガラス(両面反射防止コーティング、デュアルカーブ)
●ケース幅:42.3mm
●ケース厚:9.7mm
●主な機能:「タフソーラー」、バッテリーインジケーター表示、パワーセービング、世界6局標準電波受信による時刻自動修正マルチバンド6、ワールドタイム世界27都市(38タイムゾーン、サマータイム自動設定機能付き)、フルオートカレンダー、ストップウォッチ、「ネオブライト」など
●モバイルリンク機能:Bluetooth通信による機能連動
●対応アプリ:「CASIO WATCHES」

山田純貴

山田純貴

東京生まれ。幼少期からの雑誌好きが高じ、雑誌編集者としてキャリアをスタート。以後は編集&ライターとしてウェブや月刊誌にて、主に時計、靴、鞄、革小物などのオトコがコダワリを持てるアイテムに関する情報発信に勤しむ。

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