新傑作ウォッチで令和を刻む

海外で愛されるシチズンの個性派ダイバーズ「オルカ」が洗練されて日本デビュー!

2022年秋、プロフェッショナルスポーツウォッチブランド「シチズン プロマスター(CITIZEN PROMASTER)」から、現生魚類の最大種ジンベイザメをデザインモチーフにしたダイバーズが発売され、大好評を博しました。そして2023年5月18日、それに続くかのように、同じく大型生物で、海洋系食物連鎖の頂点に立つ哺乳動物のオルカ(Orca/シャチ)をモチーフにした「エコ・ドライブ ダイバー200m(Eco-Drive DIVER 200M)」がリリースされました。

同モデルは、海外のシチズンファンからその独特のデザインゆえに「オルカ」の俗称が付けられた海外限定モデルの名作をベースに、デザインのアップデートが図られた「シチズン プロマスター」ダイバーズの最新作です。

「シチズン プロマスター MARINEシリーズ エコ・ドライブ ダイバー200m」は全3モデルで展開。写真は分針の縁取りがオレンジカラーのブラック文字盤×シルバーカラーケースモデル「BN0230-04E」。公式サイト価格は66,000円(税込)

「シチズン プロマスター MARINEシリーズ エコ・ドライブ ダイバー200m」は全3モデルで展開。写真は分針の縁取りがオレンジカラーのブラック文字盤×シルバーカラーケースモデル「BN0230-04E」。公式サイト価格は66,000円(税込)

上の写真を見ておわかりのとおり、この「エコ・ドライブ ダイバー200m」はほかに類を見ない姿の個性派ウォッチです。この種のユニークな商品は“飛び道具”的と見なされ、ともすると短命に終わるものですが、元祖モデルがファンから「オルカ」の俗称で愛され、今日なおアンティーク市場で高い人気を得ていることから推察できるとおり、本モデルには異彩ながらも、ある種の普遍性が備わっているのです。ゆえにユーザーを飽きさせることなく、「シチズン プロマスター」における重要な定番モデルとして存在し続けることが期待されています。

異彩ながら秀逸なデザインで愛され続けた元祖オルカ

「エコ・ドライブ ダイバー200m」のルーツモデルは2006年に初登場。その後、いくつかのバリエーションに発展しつつ、約10年間にわたって販売されました。前述のとおり、それらはすべてが海外限定の展開だったため、実のところ、日本のファンの間では比較的なじみの薄い存在に留まってきました。しかし、国外における人気は非常に高く、少々アクの強さを感じさせるデザインだからこそ、個性を重視する海外マニアに熱心に支持されたものと考えられます。

2006年に海外で発売された初代オルカの「シチズン プロマスター エコ・ドライブ ダイバー200m」

2006年に海外で発売された初代オルカの「シチズン プロマスター エコ・ドライブ ダイバー200m」

このルーツモデルは実は、特にオルカを意識してデザインされたものではなかったのですが、流線型を基調としたパターンやブラック×ホワイトのカラーリングなどがシャチをイメージさせたのでしょう。自然発生的に「オルカ」の愛称で呼ばれることとなりました。ことに、文字盤外周に配置された放物線シルエットのインデックスはオルカの頭部のようで、大小12あるインデックスが文字盤中心部に向けられたデザインは、オルカ親子の一群を想起させるのです。

この「オルカダイバーズ」の人気は大変根強く、生産が終了したあとも、国内外の多くのファンからシチズンに再販の要望が寄せられてきました。そこで同社は、こうした声に応えるべく、この異彩を放つデザインによりいっそうの普遍性を付与し、かつ日本市場にも広く受け入れられるよう精緻な変更を加えました。結果、誕生したのが「ニュー・オルカ」とも呼ぶべき、この「エコ・ドライブ ダイバー200m」なのです。

海のギャングは実は人なつっこく“イヌっぽい”

では、ここで少しの間、「エコ・ドライブ ダイバー200m」から離れ、同モデルのデザインモチーフであるオルカについて触れておきましょう。

一般的なシャチ。人になつきやすいのに「海のギャング」

一般的なシャチ。人になつきやすいのに「海のギャング」

まず、「Orca」という呼称ですが、これはラテン語で「冥界の魔物」を意味する「Orcinus orca」という学名に由来するもの。英語圏では普通、「キラーホイール(Killer whale)」とか「グランパス(Grampus)」と、日本では「シャチ(鯱)」と呼ばれます。日本では、大きく長い背びれが垂直に立ち上がっている様子から「サカタチ(逆立ち)→シャタチ→シャチ」と変化したという説があり、またその背びれを鉾(ほこ)に見立てて「さかまた(逆叉)」とも呼ばれてきました。

「エコ・ドライブ ダイバー200m」の裏ブタに刻印&彩色で描かれたオルカ。ブラック×ホワイトの体色、流線型のシルエット、垂直に立ち上がった大きな背びれなどが印象的です

「エコ・ドライブ ダイバー200m」の裏ブタに刻印&彩色で描かれたオルカ。ブラック×ホワイトの体色、流線型のシルエット、垂直に立ち上がった大きな背びれなどが印象的です

オルカは鯨偶蹄目(くじらぐうていもく)マイルカ科に分類される哺乳動物。偶蹄目は別名がウシ目で、鯨偶蹄目はそのうち、クジラやイルカなど魚類体形の水性生物である鯨類を指します。ちなみに、これら鯨偶蹄目に最も近種なのは、なんとカバ! ちょっとビックリですね。また鯨類は、シロナガスクジラなど歯を持たないヒゲクジラ亜目と、アゴに歯を持つハクジラ亜目に大別され、その後者のうち、オルカは各種イルカなどとともにマイルカ科に含まれるのです。

そのマイルカ科の中の最大種であるオルカの体長は、オスが平均6m前後で、メスはそれよりやや小ぶり。肉食で、ことに餌が多い冷水域で多く暮らすものの、生息域は地球上のほぼ全海域に及んでおり、哺乳類随一の泳速は実に時速50km超え! 餌を追って1日に100km以上も移動できる身体能力を持つ海洋生態系の王者です。

基本的に集団で行動し、ときにクジラも襲うオルカには「海のギャング」なる異名もありますが、知能が高く、学習能力にすぐれ、しかも人になつきやすいという点は他のイルカ類と同様。この性格には犬に近いものがあって、ちょっと親近感が持てるのです。とはいえ、大型の水生生物だけに目の当たりにできる機会は多くなく、現在、国内でオルカが鑑賞できるのは千葉県の「鴨川シーワールド」および「名古屋港水族館」のみです。

体形はおよそ流線型を成しており、体色はブラック×ホワイトのハイコントラストなモノトーンのバイカラー。両目の上にアイパッチと呼ばれる白い模様があります。また、前述したとおり、著しく大きく長い背びれを持っており、体色模様とともに、この形状が仲間同士の個体識別の役を担っているのだそうです。

オルカのエッセンスが強化されて洗練された姿に

以上をお読みなって、オルカという動物への親しみが増したところで、「エコ・ドライブ ダイバー200m」に話を戻すことにしましょう。

以下では、この注目モデルと元祖オルカを比較して、デザインにおける相違点などについて検証します。

全3モデルある「エコ・ドライブ ダイバー200m」のうち、最もオルカ風なのが「BN0230-04E」。ブラック文字盤×ブラック&シルバーカラーベゼル×シルバーカラーケースの組み合わせが、それを強く想起させます

全3モデルある「エコ・ドライブ ダイバー200m」のうち、最もオルカ風なのが「BN0230-04E」。ブラック文字盤×ブラック&シルバーカラーベゼル×シルバーカラーケースの組み合わせが、それを強く想起させます

元祖「シチズン プロマスター エコ・ドライブ チタニウム ダイバー200m」は、この名から察せられるとおりのチタンケース製でしたが、今回はステンレスケースです。チタンはくすんだ黄色味がかった色合いですが、これをシルバー発色のステンレスに変更したことで、オルカの体色をよりイメージしやすいものになりました。

本モデルは、水の抵抗を抑えるオルカの体形に通じる流線型フォルムは元祖モデルと同様ながら、さらに丸みが強調されたものに仕上がっていますが、これは球面ガラスやすり鉢状の逆回転防止ベゼルなどから見て取れます。あるいは、ラグのエッジにさらにアールをつけるなどして、オルカのしなやかな姿のごとく、ケースからバンドにいたるシルエットを流麗に見せているのです。

文字盤では、‟オルカダイバーズ”共通のデザインアイコンであるインデックスのうち、12時、および奇数時のものがオルカの頭部にさらに近い形状に。それらは彼らの体表面に見る白い斑点模様をイメージさせると同時に、まるでスパイホッピング(海面に頭部を出して周囲を見渡す行動)を繰り返す、その躍動的な姿も想像させるものに変えられています。

また、逆回転防止ベゼルでは文字盤に呼応し、同じくその斑点模様がデザインに取り込まれており、これがベゼル操作時において良好な指がかりをもたらす役を担います。なお、ベゼル側面のローレットは元祖が綾目状であるのに対し、「エコ・ドライブ ダイバー200m」では平目の、いわゆるコインエッジにデザインされており、これによって無骨さは薄まり、時計全体の印象がより上品なものに変化している点も付け加えたいと思います。

標準装備のウレタンバンドも今回が初のデザインで、オルカの背中をイメージしたものだそうです。そしてケースバックを見れば、そこには1匹のオルカの姿が! と、このように初代モデルにおいては偶然の産物だったオルカ風が強化され、いっそうの洗練化が図られたことで、誰もが一見してオルカをイメージする、そんなたたずまいに昇華されたのが、この新作「エコ・ドライブ ダイバー200m」なのです。

独創的デザインに高機能が融合したプロ向け本格ダイバーズ

唯一無二のたたずまいが魅力的な「エコ・ドライブ ダイバー200m」ですが、実は単なるデザインウォッチなどではなく、シチズンが誇る高い技術力に裏打ちされた多機能ウォッチというのが、その本質です。

モデル名が示すとおり、「エコ・ドライブ」(定期的な電池交換を不要とする、シチズン独自の光発電技術)で駆動するクォーツウォッチでありつつ、防水性能がISO(国際標準化機構)の規格をクリアする200m潜水用防水の本格的ダイバーズなのはもちろん、磁気による進み・遅れを防ぐ耐磁性能や、外部からの衝撃による針ズレを一瞬にして修正する衝撃検知機能なども併載。まさに高性能プロフェッショナルスポーツウォッチたるを旨とする、「シチズン プロマスター」としてふさわしいハイスペックを兼備しています。

夜光では、極太の時分針やオルカヘッド型インデックスなどを2色で色分けして視認性を向上

夜光では、極太の時分針やオルカヘッド型インデックスなどを2色で色分けして視認性を向上

創造性を感じさせるフェイスデザインながら視認性にも怠りはなく、暗所においても、このこだわりに揺るぎはありません。短時間で光を吸収し、長時間にわたって明るさを持続する蓄光塗料を極太の矢印型時分針やオルカヘッド型インデックスなどに塗布したことで、発光面積を広く確保。さらに、その塗料をグリーン系、ブルー系の2色に塗り分けたことで、ひと目で時間が正しく読み取れるわけです。

では、ここで腕に装着してみましょう。ちなみに「エコ・ドライブ ダイバー200m」には色使いが異なる3モデルが存在しているのですが、今回、試着用として選んだのは最も“オルカっぽさ”が実感できるブラック文字盤×シルバーカラーケースモデルの「BN0230-04E」です。

「BN0230-04E」を試着! 分針のオレンジが差し色になって、手元の印象をいっそうアクティブに見せています

「BN0230-04E」を試着! 分針のオレンジが差し色になって、手元の印象をいっそうアクティブに見せています

ケース幅46mmながら、ダイバーズデザインに曲線を基調にした形状が相まってか、見た目からさほど大きいとの印象は受けません。また、スポーティーかつカジュアルであるのは当然として、ブラック×シルバーのコンビネーションにより、グラマラスな雰囲気も感じられて、それゆえに個性的な腕元に仕上がっています。

アクティブなスタイル&シーンを始め、さまざまなカジュアルにマッチ。あえてキレイめなどの上品カジュアルと合わせることで、ほどよく無骨さのある本モデルをコーディネートのアクセントにしてみるのもアリかと思いました。また、ビジネスにおいては、スーツスタイルには違和感があるものの、ジャケパンなどのビジカジスタイルには無理なく溶け込んでくれそうです。

ブルー文字盤やオールブラックの2モデルにも魅かれます

「エコ・ドライブ ダイバー200m」には、前述の「BN0231-04E」のほかに、ブルー文字盤モデルとオールブラックモデルがラインアップされていますので、簡単ながらそれらについても確認しておきましょう。いずれもドレスすぎず&カジュアルすぎずのデザインバランスが秀逸で、3モデルのうちどれを選ぶべきか、これはちょっと悩んでしまうかもしれません。

オルガたちが泰然と泳ぎ渡る大海原を想起させるディープブルーを文字盤&ベゼルに取り込んだ「BN0231-01L」。その神秘的な青を背景に、分針のレッドが映えて鮮やかです。公式サイト価格は66,000円(税込)

オルガたちが泰然と泳ぎ渡る大海原を想起させるディープブルーを文字盤&ベゼルに取り込んだ「BN0231-01L」。その神秘的な青を背景に、分針のレッドが映えて鮮やかです。公式サイト価格は66,000円(税込)

「BN0235-01E」は、各針やオルガヘッド型インデックスの純白が鮮明なオールブラックモデル。ケース表面はジェットブラック色のメッキ処理が施されたものです。公式サイト価格は66,000円(税込)

「BN0235-01E」は、各針やオルガヘッド型インデックスの純白が鮮明なオールブラックモデル。ケース表面はジェットブラック色のメッキ処理が施されたものです。公式サイト価格は66,000円(税込)

【まとめ】 行きすぎない個性派ダイバーズを狙うならコレ!

夏季に買いたい時計の筆頭に、ダイバーズを上げる人は少なくないでしょう。そうしたとき、トラディショナルなデザインのタイプも魅力的ですが、「ちょっと個性的なタイプを!」ということなら、この「エコ・ドライブ ダイバー200m」を候補にぜひとも加えたいところ。斬新でありながらも無理感のないデザインは悪目立ちすることなく、スタイルの絶妙なアクセントになってくれるからです。

また、長らく海外で愛されてきた元祖モデルをベースにしつつ、そのオルカ風をさらに深化&進化させたデザインは私たち日本人にも親しみやすく、好感が持てるもの。しかも、いつまでも飽きさせることなく末長く愛用できるとあって、今後は海外のみならず、日本でもその人気が高まっていくことは疑いありません! 

●写真/篠田麦也(篠田写真事務所)

【SPEC】
シチズン「シチズン プロマスター エコ・ドライブ ダイバー200m」
●駆動方式:クォーツ(光発電エコ・ドライブ)
●キャリバー:E168
●防水性能:200m(ISO規格準拠潜水用防水)
●ケース材質:ステンレススチール
●バンド材質:ウレタン
●ガラス:球面クリスタルガラス
●ケース幅:46mm
●ケース厚:14.6mm
●主な機能:カレンダー(日付)、日付早修正、逆回転防止ベゼル、ねじロック式リューズ、耐磁1種、衝撃検知、充電警告、過充電防止、フル充電時約6か月可動など
●備考:公益財団法人日本デザイン振興会「2022年グッドデザイン賞」受賞

山田純貴

山田純貴

東京生まれ。幼少期からの雑誌好きが高じ、雑誌編集者としてキャリアをスタート。以後は編集&ライターとしてウェブや月刊誌にて、主に時計、靴、鞄、革小物などのオトコがコダワリを持てるアイテムに関する情報発信に勤しむ。

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