本企画「Daddy's Sneaker」は、30〜40歳代のパパにとって本当に使えるスニーカーを模索する連載企画。ここで言う同世代の平均的なパパたちとは、以下のように定義づけています。
・平日はスーツ姿で出勤。休日は全身ファストブランドで無難な感じにまとめがち
・休日のお出かけは、家族や子どもを連れて公園や地元のショッピングモールへ
・自由に使える1か月分のお小遣いは3〜5万円
そんなパパたちがスニーカー選びで押さえておくべきは以下の3点です。
・生活圏内でも浮かないデザイン
・公園でも子どもと走り回れる機能性
・地方でも買えて、価格は20,000円台前半まで
以上の条件から導き出されるのは、「トレンドを超越したスタンダード」。履けば思わずテンションが上がり、とはいえ浮くことはない。ひと言で表すなら、“地に足のついたスニーカー”。ここでは、そのおすすめモデルと、その履きこなし方を紹介します。
1961年の誕生以来、日本が世界に誇るスポーツメーカーとして不動の地位を得ているデサント。スキーや野球といったスポーツを経験したパパ世代にもおなじみの存在でありながら、昨今では「水沢ダウン」や「オルテライン」などの登場で、ファッションシーンにおいても人気を博しています。今回はそんなデサントから、台風シーズンにも活躍必至の最新防水スニーカーをピックアップ!
「一雨毎(ひとあめごと)に秋になるのだ、と人は云ふ」。
これは、夭折(ようせつ)した天才詩人・中原中也の詩「秋」のワンフレーズです。異常なほど猛暑日が続いた2023年夏。その過ぎたる暑さは、いまだ冷めやらず。関東平野では9月後半になっても30度オーバーがデフォルトでした。そんななか、太平洋高気圧は南へ退き、大陸の冷たい高気圧が日本列島へ張り出すことで、秋雨前線が発生。台風も代わる代わる日本列島を訪れ、雨が降るたびに少しずつ季節は秋へと近づいていく……なんて風流を気取るのは二の次。目下の懸案事項は、そんな雨の多い秋に向けての足元選びです。
“機能性重視”と割り切ってゴム長靴のようなレインシューズを履くという手もありますが、物価高の今日この頃。むだな買い物は避けたいところ。そこで今回は、シトシト降り続く秋の長雨に対応するだけでなく、しっかり街履きも期待できるスタイリッシュな防水スニーカーに注目したいと思います。
ということで、今回ピックアップするブランドは、本連載初登場のDESCENTE(デサント)。セレクトするモデルは、「Wayser RE 2.1(ウェイサー RE 2.1)」です。
その履き心地はもちろん、デザインや機能といったシューズの特色に触れながら、「どんなスタイルに合うのか?」といった視点を踏まえつつ、「なぜ買いなのか!?」を検証してみました。
モデル名に「RE 2.1」と冠していることからもわかるように、本作は「テクニカルユーティリティー」をコンセプトに、シーズンやシーン、スタイルを問わず着用できる防水設計のスニーカーとして誕生した「ウェイサー」シリーズの第2世代。シンプルなデザインで、街でもビジネスでも、そして晴れの日も雨の日もつい履きたくなるユーザビリティーな設計が特徴です。
今回は2種類のモデルがラインアップする第2世代から、「ウェイサー RE 2.1」をピックアップ。デサントが「2020年東京オリンピック」に向けて開発したトライアスロン用シューズ「DELTA(デルタ)」シリーズからインスパイアされた本作は、シューズ内部の縫製や段差を極力なくした「ルースレイヤーフィット構造」により足当たりを軽減し、履き心地を向上させている。防水性をうたうスニーカーは数あれど、ファッションとして取り入れることがかなうスタイリッシュなデザインは白眉と言えるでしょう。それではさっそく、実物写真をご覧いただきつつ、その魅力を掘り下げていくとしましょう。
デサントの「ウェイサー RE 2.1」(ブラック) メーカー希望小売価格は13,750円(税込/以下同)
本モデルには、クールに街になじむ「ブラック」と、上品さが際立つ「グレー」の2色が用意されています。ともに、ややマットな質感が上質さを演出しており、汎用性の高さという点では甲乙つけがたいのですが、本連載のテーマである「生活圏内でも浮かないデザイン」という点を考慮し、今回は「ブラック」を選びました。
斜め45度、サイド、バックと全方向どこから見ても絶妙なボリューム感でスキのないフォルム。スポーツブランドが作ったシューズというよりも、海外のファッションブランドのオリジナルと言われても納得する洗練された雰囲気です。これは「実際に履くとどんな感じなのだろう?」と期待も高まります。ではここからは、いよいよシューズの細部にフォーカスします。
実際にアッパーに水を垂らして濡らしてみた様子。水滴が球状になって流れ落ちます。表面に強力な撥水性を備えていることが一目瞭然!
まずは、本モデル最大のストロングポイントである防水性について触れていきます。
実際に濡らしてみた様子が上の写真。ご覧のようにアッパー表面に水をかけると、水滴がすぐに球状になって流れ落ちます。これは強力な撥水性を備えている何よりの証左。話によると、同社における冬の定番モデル「アクティブウィンターブーツ」のアッパーに採用されているのと同素材だとか。これは心強い限り!
さらに、「DESCENTE ALLTERRAIN(デサント オルテライン)」のアパレル製法からヒントを得た、ボンディング技術を応用。ステッチも極力排除したシームレス仕様を採用しています。アッパーがやわらかく足にフィットするため、内部に水が侵入する可能性も軽減され、検査機関による4cm静水試験では2時間防水を保証済み。防水性をうたいつつ、衣服を着るように足にフィットするのはなんだか新感覚ですよね。しかしながら、“完全”防水ではないので、その点はご留意あれ。
アッパーに内蔵された極細のコードとレースロックによる、独自のシューレースシステムを搭載。水が侵入しやすいシューレースホールをなくしたことで、すぐれた防水性にひと役買っています。もちろん脱ぎ履きも簡単で、片手でもできちゃいます
アッパー部分の見どころはもうひとつ。それが、トライアスロンシューズの開発で培われたノウハウを応用し、極細のコードとレースロックを採用したオリジナルのシューレースシステムです。
履く際は、ストッパーを押しながらコードをゆるませ、シューズに足を入れたのち、ストッパーを押しながらコードを引っ張り、ほどよいフィット感まで調整してからストッパーをスライドさせて固定。これだけ。脱ぐ際は、ストッパーを押しながら引っ張ってスライドさせてコードをゆるめるだけ。通常のスニーカーのようにシューレースをゆるめる動作を必要とせず、子どもを抱きかかえていたり、荷物を持っていたりする状態でもシューズの脱着が楽チン。伸縮するバンジーコードではないので、伸び切ってしまいフィッティングが変わる心配もありません。
【写真上】背面に搭載されたバックタブとヒールカウンターがかかと部のサポート性を引き上げ、歩行時の安定感を生み出します 【写真中央】アウトソールを見ると、力が加わりやすい前足部内側と後足部外側にグリップ力にすぐれたパターンが採用されていることがわかります 【写真下】インソールは消臭機能を備えたオーソライト。濡れたら丸洗いできるのも便利です
ミニマルな見た目に秘められた機能性は、ソールや内部にも。後ろから見ると外側に張り出ているソールは、厚めのEVAミッドソールをラバーで包み込んだ内柔外剛の二重構造。第1世代よりも厚みを持たせることで歩きやすさとクッション性を高めています。さらに、歩行時のかかと部のサポート性を考慮し、バックタブとヒールカウンターが搭載されたことで、安定感を生み出しています。
しかも、履き心地を左右するラスト設計は、先述の「デルタ」シリーズをベースに快適さを追求した新型を採用。トゥ側に革靴、ヒール部分にランニングシューズに用いられるラストを組み合わせることで、革靴の美しいシルエットとコンフォート性が味わえます。これもまた、モダンな佇まいの秘密と言えるでしょう。ちなみに、インソールはオーソライト。通気性にすぐれ、湿気を逃がすだけでなく消臭機能も備え、さらに洗濯機で洗えちゃうニクいやつ。見えない部分にまでこだわる、国内メーカーならではの気遣いが感じられます。
では、いつものスタイルサンプルといきましょうか。
着用するのは、デサントの「ウェイサー RE 2.1」(ブラック)
【スタイルサンプル着用品】
・ボトムス:デサント オルテライン アイオーのパンツ(19,800円)
・アウター:デサント オルテライン アイオーのジャケット(29,700円)
・インナー:シエスタ オリジナルのTシャツ
・キャップ:ウーシンのニットタム
筆者が考える本モデル最大のアピールポイントは、抜群の機能性を備えながらも、見た目はミニマルに仕上げられている点です。そこで今回のウェアは、同じデサントのなかでも24時間365日身に付けられる汎用性、利便性をあわせ持ったデイリーユニフォームライン「ALLTERRAIN I/O(オルテライン アイオー)」から、ON/OFF両用の二重織ストレッチ素材のテーラードジャケット&パンツのセットアップを選んでみました。それだけでは落ち着きのある大人に見られてしまい、人間性のハードルが上がってしまうので、あえてロゴプリントTとタムでストリート感を付与。ここに「ウェイサー RE 2.1」(ブラック)を合わせてみると……!?
デサントの「ウェイサー RE 2.1」(ブラック)を着用
ウェアが上下とも化繊でありがら落ち着きのあるマットな質感なので、テッキーな見た目のシューズが浮くことなくなじみ、大人の着こなしが完成。普段はお気に入りのシューズをアピールするため、ボトムスの裾がアッパーに被らないように意識していますが、今回はゆったりしたワイドストレートのパンツをあえて被せめに。ストンと落ちたシルエットを厚めのソールで支えることで、バランスのよい景色が生まれました。もっとアクティブに仕上げたい場合は、タイト&くるぶし丈のボトムスを選んでもよいでしょう。
最後はサイズ選びについて。今回着用したのはUS9.0(27cm)。甲高やや幅広の足型を持つ筆者は、普段他メーカーではUS9.0を選ぶ場合が多いのですが、本モデルはジャストよりやや余裕のあるフィッティング。これは通常のスニーカーに比べて、アッパーが薄めでやわらかいことに起因するかと。また、自身のサイズよりも大きいとコードが余りすぎてしまい、見た目にもアンバランス。その点が気になる人はハーフサイズ落とすのもひとつの手です。
というわけで、今回はデサントの「ウェイサー RE 2.1」をピックアップしました
なんだかんだ長かった夏も暦の上では終わりを告げ、やっとこさ秋へと向かっている日本列島。だがそれも、これから本番を迎える台風シーズンと秋雨前線次第。となれば万全の体制でのぞもうと考えるのは当然です。そこで「ウェイサー」の出番というワケです。シリーズ名の由来である、「Always(いつでも)」+「Weather(天候を気にせず)」+「er(人)」のとおり、これさえ履いておけば間違いなし! 新たな季節を、快適かつスタイリッシュにスタートするための最適解が見つかりました。
●撮影協力:デサント