新傑作ウォッチで令和を刻む

ジャパンメイド機械式の5万円切り一生時計! 名ダイバーズ「オリエントマコ 40」

70年を超える歴史をもち、自社開発によるムーブメントと独創的デザインを融合した時計を展開するオリエント(ORIENT)は、70か国を超える国々で愛されているブランドです。なかでも「スポーツコレクション」の中核的存在「オリエントマコ(Orient Mako)」は、20気圧の日常生活用の強化防水性を有しながら、使うシーンを限定することなく、さまざまなコーディネートにマッチするダイバーズスタイルウォッチとして、日本市場ではもとより、とりわけ海外で多くのファンに熱く支持されている人気シリーズです。

オリエント「スポーツコレクション オリエントマコ 40」は文字板カラー違いの2モデル展開。左が白文字板の「RN-AC0Q03S」、右は黒文字板の「RN-AC0Q01B」。公式サイト価格は各48,400円(税込)

オリエント「スポーツコレクション オリエントマコ 40」は文字板カラー違いの2モデル展開。左が白文字板の「RN-AC0Q03S」、右は黒文字板の「RN-AC0Q01B」。公式サイト価格は各48,400円(税込)

今回の「新傑作ウォッチで令和を刻む」では、その「オリエントマコ」から2023 年10月26日に登場した「オリエントマコ 40(Orient Mako 40)」を取り上げます。いちばんの注目ポイントは、同シリーズの既存モデルが最も小ぶりのものでもケース幅41.8mmなのに対し、この新作は手の大きさや腕の太さを選ばず、日常で使いやすいサイズ感のケース幅39.9mmであること。また、それに呼応するかのように、ダイバーズベースのスポーティーなたたずまいを生かしつつも、スーツの腕元にも違和感のない端正な姿にデザインされているのも新機軸と言えましょう。

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“街使いがお似合い”のダイバーズ「オリエントマコ」

ブランド「オリエント」では1950(昭和25)年、東京都南多摩郡日野町(現・日野市)に設立された多摩計器(翌年、オリエント時計に社名変更)が、その創業時から製造していたモデル「ニューオリエント」を初代とし、以来、時代それぞれのライフスタイルにかなった“気軽に安心して使える時計”を展開してきました。2004年に誕生した「オリエントマコ」でも、ブランドのそうした姿勢は揺るぎなく、スポーツシーンにはもちろん、日常でも高い実用性を備え、ベーシックながらも若々しくアクティブな個性がうかがえる秀逸なデザインでファンを魅了しています。

ちなみに、シリーズ名にある「Mako」とは、元来がマオリ語の「サメ」に由来する英語の「アオザメ(青鮫/shortfin mako shark)」を意味します。どう猛で人に対しても危険な種であるのみならず、サメ類の中で最も速く泳げるとかでその時速は35km以上。瞬間的には何と時速100kmで泳ぐというのですから、これは本当に驚きです。

自社製キャリバー搭載で小ぶり&シンプル顔に

時分針やインデックスはバータイプのみなうえ、表示窓は日付のみに留め、リューズガードは廃するなど、ダイバーズデザインながらもドレッシーな雰囲気に

時分針やインデックスはバータイプのみなうえ、表示窓は日付のみに留め、リューズガードは廃するなど、ダイバーズデザインながらもドレッシーな雰囲気に

「コンパクト、シンプル、ライト(軽快感)」をテーマに開発された「オリエントマコ 40」は、自動巻きの自社製キャリバー「F6722」を搭載し、20気圧防水を維持しながらケースサイズを切り詰めたことで、ケース径39.9mmにサイズダウンが図られています。すなわち、既存の自動巻きキャリバー「F6922」搭載モデルに比して1.9mm分、コンパクト化されているのですが、しかし「たったの1.9mm?」などと言ってはいけません。腕時計において、この差異は腕に装着した際の印象を大きく異にするものであり、「オリエントマコ 40」は腕の細い人にも違和感なく、女性でも使用できるサイズ感に仕上がっているのです。ちなみに「オリエントマコ」を含む「スポーツコレクション」の現行モデルを見渡しますと、自動巻き、クォーツ、クォーツソーラーを問わず、ケース径が40mm以下は「オリエントマコ 40」が唯一なのです。

また、「F6922」搭載の「オリエントマコ」は日付&曜表示付きであるのに対し、「F6722」採用の「オリエントマコ 40」では日付表示のみ。この変更もコンパクト化に貢献しているものと思われます。しかも、これに加えて時分針がリーフハンドからバーハンドに変更され、インデックスではアラビア数字を廃してバータイプのみとし、さらにリューズガードも省くことで、よりスッキリとシンプルな姿を見せています。

無垢のステンレススチールにヘアライン入りのベゼルトップは、「オリエントマコ」シリーズ初の仕様

無垢のステンレススチールにヘアライン入りのベゼルトップは、「オリエントマコ」シリーズ初の仕様

筆者が最も注目したのは、回転ベゼルです。既存の「オリエントマコ」はいずれのベゼルトップもカラード仕様ですが、対して「オリエントマコ 40」のそれはカラーリングが施されず、ヘアライン仕上げのみでステンレススチールの無垢の質感を生かしたもの。結果、アクティブなダイバーズデザインでありながら、シンプルな文字板デザインと相まってドレッシーな雰囲気をまとうものとなり、カジュアルのみならず、スーツの手元でも違和感のない姿に結実しているのです。ちなみに、歴代「オリエントマコ」とは一線を画す本モデルの雰囲気から、本連載にて紹介したオリエントスター「ダイバー1964」に通ずるものがあるという印象を受けました。

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日常で使いやすい実用性の高いスペックもしっかりと

もう少し、文字板を見てみましょう。

12時位置に「ORIENT」ロゴとともにある、通称「ライオンマーク」(王冠と「ORIENT」のイニシャル「O」が記された記章、そして2匹のライオンで構成されています)はオリエント時計のシンボルです。また、その下には、本モデルが自動巻きであることを表明する「Automatic」の文字も確認できます。

ちなみに、搭載ムーブメント「F6722」は手巻きも可能で、秒針停止装置(ハック機能)も併載。パワーリザーブは40時間以上を誇り、日本工業規格(JIS)が規定する第1種耐磁(※)も備えています。

※:日常生活において、磁界を発生する機器に5cmまで近づけても、ほとんどの場合、性能を維持できる耐磁性能のこと

6時位置には、20気圧防水を意味する「Water Resistant 20bar」の文言が記されています。また、逆回転防止ベゼルには、酸素ボンベの持続時間を示すための60分目盛りの刻印も。本モデルはISO規格準拠の本格ダイバーズではありませんが、たとえば手洗いや調理の際とか、アウトドアで突然の雨に見舞われた際にも、水がかかるのを気にせずに使用できる日常生活用強化防水なのでご安心ください。

時分針、秒針の先端部、インデックスに塗布されたルミナスライトで、夜間での視認性確保も怠りなく

時分針、秒針の先端部、インデックスに塗布されたルミナスライトで、夜間での視認性確保も怠りなく

太陽光や照明などの光を塗料に蓄えて発光するルミナスライト(高輝度蓄光)は、放射性物質を含まない安心&安全な蓄光塗料。しかも、これが時分針や秒針、インデックスに塗布されたことで、暗所でも秒単位の時刻が瞬時、かつ確実に確認できるのです。

次にケースバックを見ますと、そこには波間を仲よく泳ぐ2頭のイルカが描かれています。この刻印は「オリエントマコ」各モデルを含む「スポーツコレクション」の、ダイバーズデザインの日常生活用強化防水モデルに見られるものなのですが、実は、このドルフィンアイコンを見た海外の人たちが、これを(イルカではなく)サメと間違えて「Mako」と呼び始めたのが、「オリエントマコ」という名前の由来との説があります。

なお、バンドはSUS316Lステンレススチール製のブレスレットで、そのバックルには着脱容易だけれど激しい動きのなかでも外れにくいプッシュダブルロック三つ折り式が採用されています。また、エクステンダー付きなので、長さ調節が簡単に行えるのもうれしいポイントでしょう。

裏ブタ中央に刻印されている2頭はサメには見えず、確かにイルカ。海外ファンの中に、早とちりな人がいたのでしょうか

裏ブタ中央に刻印されている2頭はサメには見えず、確かにイルカ。海外ファンの中に、早とちりな人がいたのでしょうか

いたずらに目立つことなく、着こなしにさりげなく品を添加

では、ここで「オリエントマコ 40」を試着してみましょう。

今回は白文字板、黒文字板の両方を同一のグレージャケット&ホワイトシャツのビジカジスタイルに合わせてみましたので、それぞれの写真から印象の違いも確認できるかと思います。

白文字板の「RN-AC0Q03S」は、手元をさわやかで清潔感ある印象に仕上げてくれます

白文字板の「RN-AC0Q03S」は、手元をさわやかで清潔感ある印象に仕上げてくれます

「RN-AC0Q03S」に比し、この黒文字板モデル「RN-AC0Q01B」はより精悍な雰囲気です

「RN-AC0Q03S」に比し、この黒文字板モデル「RN-AC0Q01B」はより精悍な雰囲気です

スポーツモデルながらケース径39.9mmとあって、手首周りとのバランスが絶妙で、大きすぎず&小さすぎずのサイズ感。「大きい時計は苦手」という人にも、このボリューム感なら抵抗はないはずですし、シンプルでむだのないデザインも相まって、あらゆるカジュアルにはもちろん、このようにビジカジとも相性がよく、ひいてはスーツの手元に合わせても違和感はなさそうです。

白文字板モデル「RN-AC0Q03S」には清潔感があって、品も感じられて、人物にたとえますと積極的で、しかも誠実な男性という印象。女性の好感度もいいのではないでしょうか?

いっぽう、黒文字板の「RN-AC0Q1B」はスポーツウォッチらしい精悍さがあって、しかし決してやんちゃな雰囲気はなく、品格をしっかりとわきまえた行動派の男性といったイメージが湧くのではないでしょうか。

【まとめ】ジャパンメイド機械式のお値打ちな一生時計

白文字板、黒文字板のどちらも過度に自己主張することなく、かといって印象が希薄であるわけでもなく、サイズ感と同様、存在感でも誠にいい塩梅です。しかも、先述したとおり、コーディネートの汎用性はきわめて高く、ベーシックなデザインゆえに飽きることはなく、年齢を重ねてもコーディネートで違和感が生ずることがない。したがってオーバーホールなどを繰り返していけば末永く使えるのですから、これは一生時計としても申し分なさそうです。

また、国内にあるオリエント時計の工場にて生産された信頼のメイド・イン・ジャパンというのもうれしく、それでいてプライスはアンダー5万円というお値打ちぶり! 飛び道具的要素はないものの、買って&使って後悔なしな街使い用ダイバーズの傑作だと実感した次第です。

●写真/篠田麦也(篠田写真事務所)

【SPEC】
オリエント「スポーツコレクション オリエントマコ 40」

●品番:「RN-AC0Q03S」(白文字盤タイプ)、「RN-AC0Q1B」(黒文字盤タイプ)
●駆動方式:自動巻き式 ※手巻きも可能
●キャリバー:「F6722」(自社製)
●機械式駆動時間:40時間以上
●表示機能:時・分、秒、日付
●防水性能:20気圧(日常生活用強化防水)
●ケース材質:ステンレススチール
●ガラス材質:サファイアクリスタル
●ブレスレット材質:ステンレススチール(SUS316L)
●ケースサイズ:46.5(縦)×39.9(幅)×厚さ12.8mm
●そのほかの機能:耐磁1種、回転ベゼル(逆回転防止構造)、ねじ込み式リューズ、秒針停止装置、ルミナスライトなど

山田純貴
Writer
山田純貴
1980年代より、編集プロダクションの社員として某通販大手のカタログ編集にたずさわり、後に会員制月刊誌の編集主任を務める。1992年に同業者と共同で編集プロダクションを立ち上げ、主に時計、靴、鞄、革小物などモノ情報関連のさまざまな雑誌、ムック、単行本、機関紙などの企画・編集・取材・執筆を手がけた。1998年に独立し、フリーランスとなって現在に至る。
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牧野裕幸(編集部)
Editor
牧野裕幸(編集部)
アイテム情報誌「GetNavi」や映像エンタメ情報誌「DVD&Blu-rayでーた」(当時)の編集者を経て「価格.comマガジン」へ。スティック&ロボット掃除機、コーヒーメーカー、扇風機、電動歯ブラシ、電気ケトルなどの白物家電のほか、AV機器や加熱式タバコを担当しています。LOVE, LINKIN PARK.
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