本企画「Daddy's Sneaker」は、30〜40歳代のパパにとって本当に使えるスニーカーを模索する連載企画。ここで言う同世代の平均的なパパたちとは、以下のように定義づけています。
・平日はスーツ姿で出勤。休日は全身ファストブランドで無難な感じにまとめがち
・休日のお出かけは、家族や子供を連れて公園や地元のショッピングモールへ
・自由に使える1か月分のお小遣いは3〜5万円
そんなパパたちがスニーカー選びで押さえておくべきは以下の3点です。
・生活圏内でも浮かないデザイン
・公園でも子どもと走り回れる機能性
・地方でも買えて、価格は20,000円台前半まで
以上の条件から導き出されるのは、「トレンドを超越したスタンダード」。履けば思わずテンションが上がり、とはいえ浮くことはない。ひと言で表すなら、“地に足のついたスニーカー”。ここでは、そのおすすめモデルと、その履きこなし方を紹介します。
パパ世代に限らず老若男女から愛されているニューバランス。続々リリースされるラインアップの中から、2022年に復刻されたテックなライフスタイルシューズに、防水透湿素材の最高峰「ゴアテックス」を搭載したアップデートモデルを紹介!
「今年の冬は、暖冬の可能性大」なんて予報を、2023年の秋から聞いていたとはいえ、まさか冬も真っただ中の1月の東京で気温15℃を記録するなんて……。どうやら本格的に日本列島の亜熱帯化は進んでいる模様。となれば、ここから気温上昇は待ったなし、おのずと雨も増えてくる。そんな気候の急激な変化にいかにフレキシブルに対応できるか。これが、今後の足元選びに欠かせないポイントのひとつになってくるでしょう。以前の記事(下記の関連記事参照)では、そんな事態への最適解として“しっかり街履きも期待できるスタイリッシュな防水スニーカー“を取り上げましたが、どうせ買うならパパ世代に人気のブランドから選びたいというのが人情。うんうん、よくわかります。
というワケでピックアップするのは、本連載では久しぶりに登場の「New Balance(ニューバランス)」。毎シーズン数多くのモデルがリリースされているので、何を買えばいいのか迷うところですが、今回は巷で注目を集めている「ゴープコア」にもハマる「ML610 GTX A」を紹介!
その履き心地はもちろん、デザインや機能といったシューズの特色に触れながら、「どんなスタイルに合うのか?」といった視点を踏まえつつ、「なぜ買いなのか!?」を検証してみました。
1938年に初めてランニングシューズを開発して以降、陸上競技のフィールドを中心に成長を遂げてきたニューバランス。それだけに“ニューバランス=ランニング”のイメージを持つ人も多いですし、実際、ファンから支持される人気モデルの大多数が、ランニングカテゴリーに属しています。しかし最近は、アウトドアカテゴリーのシューズの人気が急上昇中とか。今回紹介する「ML610 GTX A」なんかも、まさにそうです。
そもそも、このモデルにはベースが存在します。その名は「ML610」……なんですが、実はそれ自体は、2011年にエントリー層向けオフロードランニングシューズとして登場した「MT610」がベースです(ややこしい話ですね)。その「MT610」は、当時のアウトドアスタイルからインスピレーションを得たボリューミーなルックスが特徴。そして、その魅力を余すことなく継承しながら、より現代的かつ都会的にアップデートされ、2022年にライフスタイルモデルとして復活を遂げたのが「ML610」というワケです。
で、さらに「コレに防水透湿性素材の最高峰である『GORE-TEX(ゴアテックス)』を搭載したら、よくないですか?」ってことで2023年に誕生したのが「ML610 GTX A」(GTXはゴアテックスの略)。要は、アウトドアテイストで履きやすいと人気を博していたシューズが復刻され、さらに機能的に進化したぞ! と。コレは大いに期待が持てますね。それでは早速、実物写真をご覧いただきつつ、その魅力を掘り下げていくとしましょう。
ニューバランスの「ML610 GTX A」(グレー)。メーカー希望小売価格は24,200円(税込)
パッと見の印象は、かなり本格的なトレイルランニングシューズのそれ。いわゆるテック系と呼ばれる機能的なルックスが目を引きます。モデル名に入った「A」は、単純にカラーバリエーションごとに振り分けられる番号です。これ以外のカラーバリエーションとしては、ややクリームがかったホワイトがこなれ感を漂わせる「B」、アウトドアテイストが色濃いライトブラウンの「H」、タフ&クールな印象を与えるブラック「J」がラインアップされています。う〜ん、どれを選ぶか悩みどころですね。
ニューバランスの公式オンラインストアを覗いてみると、現時点(2024年2月1日)でメンズサイズはすべて揃っている模様。どれもワントーンで仕上げられているので、汎用性の高さは同程度。なので、お好みで選んでもらえればよろしいかと。筆者は、本連載のテーマである“生活圏内でも浮かないデザイン”という点を考慮しつつも、よりテッキーなディテールが際立つグレーのワントーン「A」を選択してみました。では、いよいよシューズの細部にフォーカスしていくとしましょう。
まずはアッパーです。ベースモデルとなった「ML610」同様に、メッシュ素材のアンダーレイとシンセティックレザーのオーバーレイを重ねることで、ボリュームを持たせながらもすぐれた通気性と耐久性を実現。
差異をあげるとすれば、アンダーレイ全体に格子状のメッシュ素材を採用していたベースモデルに対し、本モデルは足首周り以外をハニカム(六角形)状のメッシュ素材に変更している点。そのほか、レザー部分にも格子状の型押しを施し、耐久性をアップさせています。ワントーンカラーの長所である一体感がありながらも、素材のコントラストが生む多層的な表情がテクニカルな印象を強めています。これらの進化によって、足首をしっかりサポートしつつ、アッパーの屈伸性を高めているので、運動性能を向上させる狙いもあるように感じました。
そして最大のポイントが、雨の日も快適な防水透湿性素材の最高峰「ゴアテックス」を搭載している点です。まぁ、読者の皆さんに、今さら「ゴアテックス」の機能性を説明するまでもないと思いますので割愛しますが、これがスタイリッシュで洗練されたデザインに快適な履き心地を生み出す秘密。
メッシュ素材のアンダーレイに、シンセティックレザーのオーバーレイを重ねたアッパーが、テッキーな表情を際立たせています
アッパーのアウトサイドには、「ゴアテックス」のタグが鎮座。これだけで欲しくなってしまいます(笑)
随所に配置されたリフレクター素材は、デザインアクセントに有効。もちろん、夜間着用の安全性が増すという本来の役割でいえば、自転車に乗る際などにおすすめです。このディテールはアウトドアのフィールドよりも、街使いで効果を実感できるのではないでしょうか。
これらに加え、テッキーなスタイルの演出に欠かせないのが、アウトドア界隈では定番のスピードレースシステム。通常のシューレースのように結ぶのではなく、ロックパーツの真ん中をつまんで足首側に移動させるだけで簡単にロックされ、逆につま先方向に引っ張るだけでリリースされる仕組みです。これによりシューレースが解けてしまい、結び直すような煩わしさを感じることなく、簡単にフィッティング調節が可能に。慣れたら片手で操作できるので、買い物帰りに荷物を持っている際にも便利です。
随所に配置されたリフレクター素材がアクセント。夜間の着用でも安心ですし、自転車に乗る際などにもおすすめ
スピードレースシステムはテック系アウトドアシューズの定番。シューレースを結ぶ手間がなく、フィッティング調節も容易です
お次は、履き心地を左右するソールについて。アウトドア活動時にダメージを負いやすいトゥの先端部分は、巻き上げられたアウトソールと耐久性の高いプロテクターでガード。さらに、アウトドアテイストの演出を兼ねたジグザグのステッチワークで補強をプラス。これだけでも優れた機能面の説明には十分ですが、やはりニューバランスの人気の理由の1つである、クッショニングについて語らないワケにはいきませんよね。
すぐれたクッション性を備えたクッション素材「ABZORB(アブゾーブ)」をミッドソールに搭載したソールユニットは、オリジナルモデルである「MT610」から継承。着地した際に足が受ける衝撃をほぼ100%吸収し、同時にそのエネルギーを足が地面を蹴り上げる際の反発弾性へと変換する。これにより、エネルギーのロスを抑えながら、快適な歩き心地をサポートしてくれます。
トゥ部分は、巻き上げたアウトソールと耐久性の高いプロテクターで補強してプロテクト
ミッドソールには、すぐれたクッション性を備えたクッション素材「ABZORB(アブゾーブ)」を搭載。着地時の衝撃をほぼ100%吸収し、次の1歩をサポート!
引っくり返してアウトソールもチェック! ヒール部分には、高い耐摩耗性を誇る独自のラバーコンパウンド「Ndurance(Nデュランス)」を使用。これと、不整地でもグリップ力を発揮するトレッドパターンの相乗効果で、あらゆる路面において高い接地力を発揮します。
ライフスタイルカテゴリーにこそ属していますが、その機能性はアウトドアのフィールドでも十分有用。アッパーに搭載された「ゴアテックス」の防水透湿性と、ニューバランスの履き心地を文字どおり足元から支えるソールテクノロジーが融合することで、天気と路面の急な変化だってなんのその。さて、シューズの魅力は十分にお伝できたので、続いてはいつものスタイルサンプルといきましょうか。
ヒール部分には、高い耐摩耗性を誇る独自のラバーコンパウンド「Ndurance(Nデュランス)」を使用。不整地でもすぐれたグリップ力を発揮するトレッドパターンとの相乗効果で、あらゆる路面において高い接地力を発揮します
着用するのは、ニューバランスの「ML610 GTX A」(グレー)
【スタイルサンプル着用品】
・ボトムス:リーバイスのデニムパンツ
・アウター:エル・エル・ビーンのジャケット
・インナー:ユニクロのTシャツ
・ヘッドウェア:モンベルのハット
アウトドアスタイルは相変わらず人気ですが、「日常生活に必要十分な機能性さえあればイイ」と考える筆者的に、本気のアウトドアスタイルはトゥーマッチ。さらに2月となれば季節は初春。ちょっとしたアウトドアだけでなく、街を散策する際にも快適で軽快な装いが理想。そこで今回は、明るいカラーリングのTシャツと細身のデニムパンツに、ナイロン素材で作られたM-65タイプのジャケットを羽織って、同型色のハットをジョイントしました。イメージ的には、テレビ番組の「ぶらり途中下車の旅」や「じゅん散歩」のように、街を気ままにブラブラする際のスタイル。で、ここに「ML610 GTX A」(グレー)を合わせると……!?
ニューバランスの「ML610 GTX A」(グレー)を着用
濃紺色のデニムパンツに鮮やかなイエローのTシャツをタックイン。ジャケットとハットで70年代アウトドアテイストを加えると、完全にオジさんの街歩きファッション(笑)。これにテッキーなシューズを合わせることで、今の雰囲気を取り入れた着こなしになったかと。もちろん履き心地も抜群なので、どこまでも歩いていけそう。つまり、これ1足で人気の“ゴープコア(Gorp Core)”なスタイルが作れます。
ちなみに、ゴープコアをご存じでない方に軽く説明すると、アウトドアブランドのウェアのように、機能素材を用いたシェルジャケットやパンツ、バックパックなどを街着に落とし込んだスタイルとのこと。要はアウトドアミックス。以前から取り入れる人は多かったのですが、近年ではよりテクニカルなアイテムを取り入れたスタイルを指して使われています。写真をご覧いただければわかるように、実用性の追求により生み出された機能美で、いつもの着こなしを新鮮な表情に変えられます。
最後はサイズ選びについて。甲高やや幅広の足型を持つ筆者の場合、他社のスニーカーではUS9.0を選んでいますが、今回着用したサンプルはUS9 1/2〜US10くらい。通常であればかなり大きく感じられるはずですが、本モデルはウィズ(幅)が狭めに設計されているからか、ツマ先に余裕は残しつつ、サイドはジャストフィット。ただし、このシューズを着用してしっかりと歩いたり、アクティビティーを楽しんだりしたいのであれば、普段どおりのマイサイズを選びましょう。もし心配なら、ショップで実物を手に取り、試着してみることをおすすめします。
というわけで、今回はニューバランスの「ML610 GTX A」をピックアップしました。
プライスはギリギリ2万円台前半。年末年始でお財布が軽くなっているところにこの値段は、やや躊躇するところでしょうが、普段頑張っている自分自身への“お年玉”と考えればアリ。むしろ、ライトハイクやウォーキングといったアウトドアアクティビティーで幅広く活躍できて、かつ、しっかりとタウンユースにも対応してくれる。2足買ったと思えば、むしろコスパ面は優秀!
しかも先述のように、昨今のトレンドであるゴープコアだって、これを1足取り入れるだけで簡単に楽しめちゃうとなれば、もはや一挙両得ならぬ、一挙三得と言っても過言ではないかと。機能的でグッドルッキングなニューバランスで、ぜひ2024年のスタートダッシュを決めちゃってください!
●撮影協力:ニューバランス