本企画「Daddy's Sneaker」は、30〜40歳代のパパにとって本当に使えるスニーカーを模索する連載企画。ここで言う同世代の平均的なパパたちとは、以下のように定義づけています。
・平日はスーツ姿で出勤。休日は全身ファストブランドで無難な感じにまとめがち
・休日のお出かけは、家族や子どもを連れて公園や地元のショッピングモールへ
・自由に使える1か月分のお小遣いは3〜5万円
そんなパパたちがスニーカー選びで押さえておくべきは以下の3点です。
・生活圏内でも浮かないデザイン
・公園でも子どもと走り回れる機能性
・地方でも買えて、価格は20,000円台前半まで
以上の条件から導き出されるのは、「トレンドを超越したスタンダード」。履けば思わずテンションが上がり、とはいえ浮くことはない。ひと言で表すなら、“地に足のついたスニーカー”。ここでは、そのおすすめモデルと、その履きこなし方を紹介します。
1980〜1990年代にストリートカルチャーにハマっていたパパ世代には懐かしの「エアウォーク」。今回は当時のオリジナルモデルを可能な限り忠実に再現したプロダクトを展開する日本主導のプロジェクトから、大人の足元にハマるローファータイプの一足を紹介!
前回、といっても2024年3月公開の記事なのでやや間が空いてしまいましたが、シューズ業界の“栄枯盛衰” の話から、「スニーカーもハイプなモデルからローテクに人気が推移し、再び革靴のフェーズに入っているようである」と述べました。
この傾向は変わらず、むしろ加速化の様相。各ブランドがモカシンシューズやメリージェーンといった革靴をモチーフにしたモデルをこぞってリリースしています。そんななかでもよく見かけるのが、脱ぎ履きが簡単で、カジュアルにもトラッドにも振れるローファータイプ。
というワケで今回ピックアップするブランドは、1980〜1990年代にストリートカルチャーにハマった人には懐かしの「AIR WALK(エアウォーク)」です。同じくスケートシューズで知られる「VANS(ヴァンズ)」に比べると、異端児的な扱いでややマイナーではありますが、90年代中期には、東京・裏原宿界隈のカリスマたちも愛用し、コアな人気を誇っていました。読者諸氏も、1度は手に取った経験をお持ちなのでは?
そんな「エアウォーク」だけに名作も数多く、今回は当時のオリジナルモデルを可能な限り忠実に再現したプロダクトを展開する日本主導のプロジェクト「AIR WALK CLASSICS(エアウォーク クラシックス)」から、人気のローファーをモチーフにした隠れ名作「DECKOUT(デッキアウト)」をセレクトしました。
その履き心地はもちろん、デザインや機能といったシューズの特色に触れながら、「どんなスタイルに合うのか?」といった視点を踏まえつつ、「なぜ買いなのか!?」を検証してみました。
先述のように「エアウォーク クラシック」は、過去に存在したアーカイブモデルを可能な限り忠実に再現したプロダクトを展開していますが、本作はブランド設立35周年の節目を記念して生まれた、まったく新しいシルエット。スケートボードに乗る際ではなく、スケート後に着用するアフタースケートシューズとして開発されました。
そこで思い出されるのが、本連載でも以前紹介したグラビス「オジェック」。あちらはスノーボードシーンを牽引するバートンが、スノーボードのアフターライディングシューズがコンセプトのブランドからリリースしたローファータイプだったので、基本的なコンセプトは同じとも言えます。
では早速ですが、実物写真をご覧いただきつつ、その魅力を掘り下げていくとしましょう。
エアウォーク「デッキアウト」(モカ/ブラック)。メーカー希望小売価格は13,970円(税込)
最初にお断りしておきますが、本モデルはあくまでも“アフタースケート”を想定したライフスタイルモデルに属します。なので、機能面ではいわゆるローテクスケシューと大差なく、そこで注視すべきはデザイン面です。クラシカルなローファーのシルエットを踏襲しながら、ブランドの代表的モデル「ONE(ワン)」のソールを組み合わせています。写真では左右で色味がやや異なるように感じますが、個体差なのでお気になさらず(笑)。
カラバリは、筆者の好みもあって渋めの「モカ/ブラック」を選びましたが、「ブラック/ブラック」「ブラック/ホワイト」「グレー/ブラック」などが展開されています。冒頭で述べた“今は、ローテク〜革靴のフェーズに入っている”という部分を意識するなら、ソールは落ち着きをもたらす革靴ライクなブラックを選ぶのが賢明かと。では、いよいよシューズの細部にフォーカスしていきます。
やわらかなスウェードレザー素材のアッパー。足になじみやすく、買ってすぐでも快適に履けます
インソールにはロゴ
ヒール部分のライニングは肉厚で、着用時にシューズ内で足ズレすることを防ぎます
まずはシューズの顔であるアッパーから。
バンプ(甲)部分はモカシン縫いで、これが立体的なフォルムを成形することで、大人の顔立ちを演出。素材にはやわらかく足なじみのよいスウェードレザーを採用。その上に配されたハーフサドルは、スリットが入ったいわゆるコインローファーのそれ。1950年代のアメリカ東海岸の学生たちの間で、ここに1セント(ペニー)硬貨を挟んで履くことが流行したことに由来するディテールということで、カジュアルな雰囲気によくハマります。
インソールはしっかりブランドロゴ入りで、脱ぐ際にやっと「エアウォークなんだ!」と気付かれるくらいのさりげなさ。
続いてはチェックしたいのがヒール部分。内側にクッションのきいたライニングが張られているため、フィット感も良好です。
ヒール部分はロゴマークを型押し
サイド内側の補強パーツを利用してヒール同士を擦り合わせることで、アッパーを痛めることなく簡単に脱げます
ソールは、同社スケートシューズの定番「ワン」と同じものを採用。フラットですが、しっかりグリップしてくれます
内側だけでなく、アッパーの外側にも目を向けてみましょう。
見逃せないのがロゴマークを型押ししたヒール部分。後ろ姿で語る大人のために、さりげないデザインアクセントとしてきいてくれます。
ちなみに、ヒールの切り替えパーツは、ブラックカラーにのみ強い光を反射するリフレクティブ素材が採用されているので、そちらも一見の価値あり。
忘れちゃならないのが、アッパーのインサイドで配されたTPU素材の補強パーツ。本来想定された用途はわかりませんが、シューズを脱ぐ際に片側のヒールをここに擦り合わせることで、両手を使うことなく立ったままでもアッパーを痛めることなく、脱ぎ履きが可能です。
ソールは、同社スケートシューズの定番「ワン」と同じものを採用。フラットでありながら、しっかりグリップしてくれるだけでなくクッションも効いているので、アフタースケートシューズとはいっても履き心地グッド。むしろ足を締め付けないというローファーの特性もあって、リラックスした着用感が味わえます。
ここまででシューズの魅力は十分にお伝えできたので、続いて恒例のスタイルサンプルへと移りましょう。
着用するのは、エアウォークの「デッキアウト」(モカ/ブラック)
【スタイルサンプル着用品】
・ボトムス:バルのショーツ
・アウター:ジェイ・クルーのベスト
・インナー:エトスのロンT
・ヘッドウェア:ニューエラのキャップ
・レイバンのサングラス
2024年5月で43歳を迎えた筆者ですが、相変わらずファッションのベースはストリート。とはいえ、ちょっとは年相応を意識しなければ……ということで今回は、淡い色合いのロンTにリネン混のニットベストをレイヤード。ボトムスはチェック柄のショーツでちょっとトラッドな気分に振って、キャップ&サングラスで締め。ちょいストリート寄りのアメトラって感じでしょうか。で、ここに「デッキアウト」(モカ/ブラック)を合わせてみると……!?
エアウォークの「デッキアウト」(モカ/ブラック)を着用
これで足元がG.H.BASSなんかのローファーだと普通すぎるし、何より普段からスニーカーばっかりなので、足元は楽チンでいたい。そんな願いを叶えてくれるのがこの「デッキアウト」。スケシューがベースでありながら、甲部分が低くシルエットもスッキリしているので、子供っぽくならず大人の着こなしにも対応してくれます。また今回はソックスを履きましたが、クッション性もよいので、これからの季節は素足で履くのも大いにアリ!
最後はサイズ選びについて。甲高やや幅広の足型を持つ筆者の場合、他社のスニーカーではUS9を選んでいますが、今回着用したのもUS9。
ちなみに、シューレースでフィットを調節できないことも考慮して、ハーフサイズ落としたUS8.5も試着してみましたが、全体のフィットはちょうどよかったのですが横幅がちょいキツめでした。
いっぽうUS9だと、今度は甲部分の高さにやや余裕があるだけでなく、くるぶしが履き口部分に当たってしまい、長時間の着用は厳しそう……。
理想はUS9で甲部分をもっとフィットさせて、くるぶしが履き口部分に当たるのを改善したい。ということで一計を案じて、インソールを重ねることに。デフォルトのインソールをカットして後足部のみを挿れて、その上にJEWELのインソールを重ねれば完成!
同商品は、クッション性の高いポリウレタンフォームとジェルクッションの2層構造で、足裏全体にかかる衝撃を吸収するだけでなく、抗菌防臭加工によりイヤな臭いの元となる菌の増殖を抑えるとか。素足履きが増えそうなこれからの時期にも最適。足入れしてみると、甲部分の高さも幅もジャストフィット。くるぶしが当たる問題も見事に解決されました。インソール選びも楽しいので、同じ悩みを感じた人はぜひお試しあれ!
というわけで、今回はエアウォークの「デッキアウト」をピックアップしました
あのニューバランスも「1906」のリリースを発表したことで、ますます注目を集めているローファーモチーフのスニーカー。筆者のように不惑の歳を超えてなお、ファッションのベースはストリート。とはいえ、そろそろちょっとは年相応の装いを意識しなければと感じている人にも、気軽に脱ぎ履きができて、かつスニーカーならではの快適な履き心地を有した本作は、かなりオススメ。
ここではインラインのモデルを取り上げましたが、ビリーズでは甲のサドル部分にビットをあしらった「デッキアウト SP/ビリーズ」を、ミタスニーカーズではサドルを着脱自在にし、好みに応じて4種類のカスタムが可能な「デッキアウト SP“ミタスニーカーズ"」と、それぞれより履きこなし甲斐のある別注モデルがリリースされているので、合わせてチェックしてみてはいかがでしょうか。