サンダルに別れを告げてスニーカーや革靴へ――。夏を素足で過ごすことの多かった“ノーソックス派”の人にとって、靴下の着用が必要となる秋への移行は、案外わずらわしいものです。かといって、素足のまま靴を履くとシューズ内がムレて不快なうえ、ニオイも気になりますよね。そうしたこの時期の“靴下問題”を解決に導いてくれるであろう製品を見つけたのでご紹介します!
取り上げるのは、ナイガイ「スアシック はかないくつした」。その名のとおり、靴下なのに履かない、という新発想のアイテムです。一体どう使うのか? 履き心地は? そして本当にムレないのか? など、気になる点をチェックしていきましょう。
レッグウェアを数多く展開しているナイガイが手掛ける「スアシック(SUASiC) はかないくつした」(以下、「はかないくつした」)は、逆転の発想を具現化した製品。足に履くのではなく、靴やサンダルの中敷き部分に貼り付けて使用するシート状の靴下です。
そう聞くと、よくある別売りのインソールと同じなのでは? と思うかもしれませんが、「はかないくつした」は、「くつした」というだけあって、すぐにはがして洗える点がインソールとの大きな違いです。
シート状の靴下が2枚で1セットになったナイガイ「スアシック はかないくつした」。カラーは写真の「ホワイト×ネイビー」に加え、単色の「ネイビー」もラインアップ
足自体には何も装着しないため、靴を履いたときに“素足風”のルックスをキープできるのも利点。通常、素足で靴を履くと汗でベトつくうえにムレて不快ですが、「はかないくつした」はそれを防いでくれるのです。また、同じく素足のように見せるアイテムとしてフットカバー(極浅型の靴下)がありますが、長時間歩いていると途中で脱げてしまうことがあってストレスを感じることも……。ですが、本製品ならそもそも脱げることがないので安心です。
使用イメージ(※画像はプレスリリースより引用)
スニーカーなどを履くと、「はかないくつした」は見えなくなり、素足で履いている見た目になります(※画像はプレスリリースより引用)
写真上が足を乗せる表面、写真下が靴に貼り付ける裏面。裏面には滑り止めが付いています
実は「はかないくつした」は、以前からサイズの小さな女性用が販売されていて、高い評価を得ていました。そして今回、最新バージョンとして男女兼用タイプが登場。対応サイズが22〜28cmに拡大したことに加え、生地のハリ感を高めるアップデートも行われています。
シート状の「はかないくつした」は、自分の足のサイズに合わせてカットして使います。手順は以下のとおり。
まずは、パッケージの裏側にある型紙を、自分用のサイズにカットします。最初は余裕を持ってやや大きめにカットし、何度か自分の靴に合わせてみて、様子を見ながら少しずつ調整していきましょう。そうすることで、小さく切りすぎて後戻りできなくなってしまった……という失敗が防げます。
次に、その型紙と「はかないくつした」のシートと重ねて、ハサミを入れていきます。型紙と靴下がズレないように固定したうえでカットするのがおすすめ。私はクリップを使いましたが、テープなどで固定してもよさそうです。両足分のカットが終われば準備は完了。
パッケージの裏側が型紙になっています。まずは型紙を自分のサイズにカットします
筆者の場合は26.5cmを目安にカット。「はかないくつした」の本体と型紙をクリップで固定してから切ったため、ズレることなくカットできました
さっそく、カットした「はかないくつした」をサンダルにセットして実際に1日履いてみました。結論から言うと、かなり快適! まったくズレることなく、かつ足がムレる感じもなく、さらにクッション性も増して予想以上に履き心地が向上しました。
サンダルの右足のみに「はかないくつした」をセットしたところ
今回装着したスニーカータイプのリカバリーサンダルは、クッション性・柔軟性・軽量性には満足していたものの、フィット感が高いがゆえに履いていると足裏がムレたりベタついたりするのが気になっていたのですが、その唯一とも言える欠点が見事に解消! 「はかないくつした」は、凹凸があって肌への接地面積が少ないニット生地のため、空気が通って非常に快適なのです。
そして、生地にほどよい厚みがあるため、クッション性がかなり向上したのはうれしい誤算でした。思わずハマってしまいそうな履き心地です。
「はかないくつした」のニット生地は、凹凸のある編み目で通気性が抜群。適度な厚みでクッション性もアップ!
続いて別のサンダルでも試してみました。今度は、ソールが薄くてクッション性に乏しいビーチサンダルタイプの一足でしたが、こちらもクッション性が高まり、快適さがかなりアップしました! ただ、ちょっとした問題が発生。サンダルを履いているときは問題ないのですが、脱ぐ際に「はかないくつした」がズレてしまうのです。インソール部分がフラットかつオープンエアーなサンダルでは、どうしてもズレやすくなるのでしょう。
開放的なデザインのクロスストラップサンダルもクッション性は高まりましたが、ちょっと気になる点が……
ちなみに、トングタイプのビーチサンダルでは、親指部分が引っ掛かってしまって「はかないくつした」はセットできませんでした。ただし、鼻緒の部分に切り込みを入れるなど、それ専用としてカスタムしてしまえば、固定できてむしろ便利に使えそうです。
「はかないくつした」のパッケージには、「スニーカー/サンダル向け」と表記されています。ということでスニーカーでもトライしてみましたが、結果として、スニーカーにセットしてもムレることなく快適な履き心地を味わえました! ちなみ今回セレクトしたスニーカーは、ナイキ「ゴー フライイーズ」。ヒール部分が折れてハンズフリーで着脱できるスグレモノです。そこに「はかないくつした」を組み合わせると、素足感覚で履ける究極的に便利なスニーカーが完成しました。
ただし、スニーカーは元々クッション性が高いので、「はかないくつした」による衝撃吸収効果の体感値は下がった気がします。また、足の裏以外は靴内で足がむき出しになるため、足に合っていないスニーカーの場合は足が擦れて痛むケースもありそうです。
ナイキ「ゴー フライイーズ」に「はかないくつした」をセットしたところ(左足のみ)
スニーカーが大丈夫なら革靴でも問題なく使えるだろうと思い、実際に試してみました。こちらも、快適性はかなりアップ。素足感覚で違和感なく履けました。ただし、スニーカー以上に、靴自体が足に合っているかが重要でしょう。今回は履き慣れている靴で試したのでしばらく履いても問題ありませんでしたが、新品の革靴などでは擦れる部分が出てきて足を痛めてしまうこともありそうです。
なお、ビジネスなどのフォーマルなシーンでは、革靴を素足(もしくは素足風)で履くのはマナー違反とされているため注意が必要です。革靴で「はかないくつした」を活用するなら、カジュアルなシーンにとどめておくのがよいでしょう。
ストレートチップシューズに「はかないくつした」をセットしたところ(左足のみ)
「はかないくつした」は足にダイレクトに触れるものなので、使用した後は汗を吸ったり脂などで汚れたりしているはず。でも大丈夫です。「はかないくつした」は一般的な靴下と同じく、家庭で洗濯できます。
洗う際は、洗濯表示に従いましょう。と言っても、一般的な靴下のように普通に洗濯機で洗い、吊って干せば問題ありません。
「はかないくつした」の洗濯表示。30度以下の水で洗って吊り干しするのが基本です
洗濯してみたところ、ぱっと見には何の変化もなさそうでしたが、フチの部分が少しホツれていました。そのことはパッケージにも注意点として書かれていて、「本品はニット製品の特性上、洗濯後に周縁部から糸端末が発生する場合がありますが、編み目自体が融着しているので伝線(ラン)することなくご利用いただけます」とのことです。
写真上が洗っていない左足、写真下が洗った右足。かかとの内側部分などに若干のホツレがあるものの、大した問題はありません
洗濯を重ねることでさらにホツレていくかもしれませんが、機能面では支障なさそう。足を覆うタイプのサンダルやスニーカーならフチの部分が見えなくなるため、外見上も大した問題はないでしょう。よほど気になる場合は、ホツレた部分をカットすればよいだけです。
実際に「はかないくつした」を使ってみましたが、思っていた以上に快適でした。特に、リカバリーサンダルやスポーツサンダルとの相性は抜群。また、旅行先のホテルなどでスリッパにセットするという使い方でも重宝しそうなので、近いうちに試してみようと思います。
「はかないくつした」とリカバリーサンダルは相性が抜群です!
「ムレない」と聞くと、活躍の場は気温の高い時期に限られると思うかもしれませんが、靴の中がムレるのはむしろ寒い季節です。個人的には、中綿入りのサンダルに「はかないくつした」をセットして活用したいと思っています。SUBU(スブ)などの冬用サンダルは、近所へのお出掛けやベランダに出る際に素足で履けて便利ですが、「はかないくつした」を組み合わせればムレなくて安心です。
これからの季節は、冬用サンダルの定番、SUBUの中綿サンダルに「はかないくつした」をセットして活用します!
また、実は最も内部がムレるのはブーツです。ブーツを素足で履くのは現実的ではありませんが、「はかないくつした」を手軽に洗えるインソールととらえ、「はかないくつした」+ 一般的な靴下のセット使いでブーツを履いてみるのもよいでしょう。快適性がアップしつつ、ムレが防げてブーツ内の衛生環境が改善できるはずです。
「はかないくつした」は一般的な靴下とそう変わらない価格帯なので、まずは1足試してみてはいかがでしょうか。