クッション性、フィット感、安定性など、日常生活やウォーキングで着用するシューズにはさまざまな機能が求められるが、近年、着脱のしやすさを重視してシューズを選択する人が増えている。ナイキの「フライイーズ」(および「イージーオン」)や、スケッチャーズの「スリップインズ」が代表的なところ。立ったまま、手を使うことなく、足を滑り込ませるだけで履けてそのまま足にフィットしてくれるシューズの人気が高まっているのだ。
そして今春、コンバースからもブランド初のハンズフリーシューズとなる「スリットスライド」シリーズが登場した。
脱ぎ履きのしやすさを重視するなら、サンダルで十分だと思う人もいるかもしれない。しかし、ビーチサンダルやシャワーサンダルなど、一般的なサンダルはかかとがホールドされない。そのため、サンダルが脱げないように足首を背屈(曲がっている状態)したまま足を引きずるようにして歩くことになり、長時間履き続けていると足腰のトラブルの原因になってしまう。
では、一般的なスリッポンタイプのスニーカーはどうだろうか。靴ひも付きのスニーカーと比べると脱ぎ履きはしやすいが、かかとのホールド力やフィット感はシューレース付きのスニーカーに劣る。また、手を使わず脱ぎ履きしようとすれば、かかとの部分を潰してしまうことになり、着用感も見た目のよさも損なうことになる。
一般的なサンダルよりも歩きやすく、足腰への負荷が少ない。そのうえ、一般的なスリッポンタイプのスニーカーよりも脱ぎ履きがしやすく、足に快適にフィットする。それがハンズフリーシューズの魅力なのだ。
コンバース初のハンズフリーシューズ「ケイブスター スリットスライド(CAVESTAR SLIT SLIDE)」。公式サイト価格は9,790円(税込)。写真のカラーはブラック
「スリットスライド」シリーズは、コンバースのランニングレーベル「コンバースランニング」から登場。“動ける”ことをテーマにしており、デイリーユースはもちろん、ウォーキングや軽いジョギングでも使用することを想定して作られている。
ファーストモデルとしてラインアップされたのは「ケイブスター スリットスライド(CAVESTAR SLIT SLIDE)」と「ケイブスター スリットスライド XG(CAVESTAR SLIT SLIDE XG)」の2種類。今回テストしたのはアッパーにゴアシューレースを採用したタイプの「ケイブスター スリットスライド」だ。
最も注目すべきは、なんと言ってもハンズフリーを支えるかかと部分。スリットが入ったコンバース独自のヒールカウンターが内蔵されている。靴を脱ぎ履きする際にこのスリットが広がることで、足の出し入れがスムーズに行え、着用後はスリットが元に戻ることでかかとをサポートし、安定性を生む。
独自設計のヒールカウンターがスムーズな脱ぎ履きと、着用時の高いホールド力を実現
かかとの上端部分が後方に傾斜しているため、足入れはスムーズに行える。着用後は、スリットの効果か、かかとの骨の部分が上部からもホールドされている感覚がある。中足部もしっかりとフィットし、ルーズな印象もキツい印象もない。筆者は普段、コンバースのスニーカーも、他ブランドのランニングシューズも27.0cmを履いているため(足型が細いスニーカーは27.5cmを選ぶこともある)、「ケイブスター スリットスライド」も27.0cmをチョイス。フィット感は快適だった。
前足部、かかと部にはしっかりとラバーが貼られており、グリップ力、耐久性も十分
ハンズフリーを謳うシューズは増えているが、なかには脱ぎ履きする際にシューズがグラグラと不安定になったり、アッパーやかかと部分が崩れすぎて、足がスムーズに入っていかなかったりするものも存在する。
ハンズフリーのシューズが特に便利だと感じる場面は、両手に荷物を持っているときや、手の指などをケガしているとき、そして急いでいるとき。そんなときに、脱ぎ履きするシューズが不安定だと、転倒したり、足を挫いたりという危険がある。スムーズに脱ぎ履きでき、その際にシューズが安定していることは、ハンズフリーシューズとしてかなり重要な要素だと思うのだが、「ケイブスター スリットスライド」は、その点をしっかりとクリアしている。
脱ぎ履きする際にシューズがグラつかないのが好印象
ウォーキングや軽いジョギングにも対応できるように設計された「ケイブスター スリットスライド」は、ミッドソールに軽量性とクッション性にすぐれた素材を採用。中空仕様にすることで、クッション性を高めながらスムーズな足運びをサポートする。加えて、TPUプレートを搭載することでねじれを抑制し、安定性を向上。また、通気性とクッション性にすぐれたウレタンカップインソールを搭載し、快適性を高めている。
実際、タウンユースが快適なのはもちろん、速度を上げたウォーキングにも十分に対応する歩きやすさ、安定感があり、幅広いシーンで活用できそうだ。
中空仕様のミッドソール。クッション性と安定性のバランスもよい
シンプルなデザインも魅力
スピーディーに脱ぎ履きができるハンズフリーシューズが、玄関に1足あるととても便利。細かなことで言えば、玄関先で荷物を受け取るとき、ポストに郵便物を取りに行くとき、ゴミを捨てに行くとき、近くのコンビニまで買い物に行くときにも助かる。ビーチサンダルやシャワーサンダルも同じようなシーンで活躍するものではあるが、足の保護性能、歩きやすさに大きな優位性がある。
玄関に1足あると重宝する存在
気軽に履けて、しっかり歩けるシューズがあると、ウォーキングや散歩へのハードルが下がり、日々の運動量アップにもつながるはず。そして、税込みで9,790円という価格も「ケイブスター スリットスライド」の魅力だろう。ハンズフリーシューズとしてのクオリティーの高さ、タウンユースしやすいデザインから考えると、かなりお買い得。損のない買い物になるはずだ。