新傑作ウォッチで令和を刻む
第2回/シチズン時計「シチズン アテッサ アクトライン CB0215-51E」

「シチズン アテッサ」のオールブラックをじっくりレビュー! 先端技術に“漆黒の美”を融合

2020年8月よりスタートした連載「新傑作ウォッチで令和を刻む」は、令和時代に生まれた「これぞ新しい傑作!」と讃えるべき時計を取り上げ、その魅力をひも解いていく企画です。

第2回は、シチズン時計のビジネスユースブランド「アテッサ」から去る2020年7月に登場したオールブラックの3針モデルを紹介します。

「シチズン アテッサ アクトライン CB0215-51E」。2020年7月発売。公式サイト価格は11万円(税込)

「シチズン アテッサ アクトライン CB0215-51E」。2020年7月発売。公式サイト価格は11万円(税込)

数々の“世界初”を実現してきたシチズンの技術力に再注目!

時計の長い歴史に深く根ざしたヨーロッパブランドの製品に対し、日本の時計メーカーはみずから培ってきた先端技術を生かし、高機能な製品を数多く展開してアイデンティティを主張している印象があります。

それはシチズン時計(1918年、貴金属商の山崎亀吉氏が、前身の尚工舎時計研究所を東京にて設立)も同様で、1956年の耐震装置付き時計「パラショック」や、1959年の完全防水時計「パラウォーター」などで“国産初”を実現。しかも、1970年に発売された世界初のチタンケース腕時計「エックスエイト(X-8)クロノメーター」など、今では他社製品にも見られる素材や機能の誕生が、実はシチズン時計によって実現されたという例も少なくないのです。

なかでも、最もよく知られている技術と言えば、「エコ・ドライブ」でしょう。これは、シチズン時計が独自に開発した、光を電気エネルギーに変えて時計を動かす技術のこと。今や光発電の腕時計は他社製品にも多く存在していますが、その先駆けはシチズン時計が1976年に発売した、世界初のアナログ式光発電時計「クリストロンソーラーセル」なのです。

以来、「エコ・ドライブ」の技術は飛躍的に発展を遂げ、太陽光はもちろん、室内のわずかな光も電気に変換し、余った電気は2次電池に蓄電。フル充電すれば、暗い場所で半年以上も駆動するまでに進化を遂げています。

さて前置きが長くなりましたが、今回取り上げるのは「アテッサ(ATTESA)」の「アクトライン(ACT Line)」にカテゴライズされるモデルです。「アテッサ」は、シチズン時計が日本のみで展開しているブランドで、ケースやブレスレットなどの素材としてチタニウムを前面に打ち出し、同社独自の先端技術も導入したビジネスマン向けのコレクションとして、1987年にスタート。以後、先述した「エコ・ドライブ」やチタニウム表面硬化技術「デュラテクト」(詳細は後述)なども取り入れられ、現在に至っています。

また「アクトライン」は、カジュアル過ぎず、エレガントでアクティブなデザインのビジネスコレクション。端正な文字盤デザインと、外周に記された都市表記を特徴とし、ケースシルエットのエッジが効いた仕上がりが“今”を感じさせるモデル群で構成されています。

では以下より、「アクトライン」の新作を通して、シチズン時計が誇る世界屈指の技術力を改めて確認してみましょう。

独自開発の表面硬化技術がもたらす、深く、艶やかな黒

精悍(せいかん)な姿で存在感を主張するブラックチタンモデル

精悍(せいかん)な姿で存在感を主張するブラックチタンモデル

2020年9月19日現在、「アクトライン」には3タイプがラインアップされており、今回紹介する「CB021」は「ワールドタイム機能」を搭載する「エコ・ドライブ」電波時計の3針モデルです。本モデルにはほかのカラーバリエーションも存在していますが、文字盤もケースもブレスレットもオールブラックのたたずまいが何とも精悍で、そのケースなどに施された神秘的な漆黒の美しさから、「CB0215-51E」にスポットを当てることにしました。

すぐれた耐傷性を発揮する「デュラテクト」技術を採用

すぐれた耐傷性を発揮する「デュラテクト」技術を採用

本モデルのケースやブレスレットなどの素材に採用されているのは、「デュラテクトDLC」による「スーパーチタニウム」です。以下では「デュラテクト」「DLC」「スーパーチタニウム」の、それぞれの概略と関係性について説明します。

まず「デュラテクト」。元来、チタニウムは加工が難しいうえに、実はやわらかく傷つきやすい金属なのですが、その耐傷性を高めるべく同社が開発した表面硬化技術が「デュラテクト」です。この加工により、チタニウムはステンレスの約2分の1という軽量性や、高耐食性、耐金属アレルギー性といった利点はそのままに、なんとステンレスの5倍以上もの表面硬度を得て、すり傷や小傷から時計を守るのです。

ところで、この「デュラテクト」は「素材をコーティングする技術」「素材自体の表面を硬くする技術」「その両方を複合的に施す技術」の3種類に大別できるのですが、本モデルに採用されているのはコーティング技術の1種となる「デュラテクトDLC」となります。

「DLC」とは「Diamond Like Carbon(ダイヤモンドのようなカーボン)」の略で、主に炭素と水素で構成される非晶質のカーボン硬質膜コーティングのこと。一般にも使用されている技術ですが、シチズン時計は独自技術でコーティングの密着性を高め、はがれにくいものに改良。と同時に、硬さのみならず美しさも実現しています。要は、奥行きのある艶やかさを感じさせる本モデルの漆黒美は、「デュラテクトDLC」によってもたらされたものなのです。

そして「スーパーチタニウム」ですが、これは簡単に言えば「デュラテクト」が施されたチタニウムのこと。以上の解説からもわかるとおり、これは同社独自のハイテク金属素材です。先述したとおり、シチズン時計は1970年に世界初のチタニウムケース製時計を発表したわけですが、以来、技術面においてこの分野のパイオニアであり続けており、その成果のひとつが「スーパーチタニウム」というわけなのです。

ジェットセッターをフォローする「ダイレクトフライト」搭載

では、ここから「CB0215-51E」に搭載されている各機能の概要を解説しましょう。

手動操作はリューズとプッシュボタンで

手動操作はリューズとプッシュボタンで

まず、リューズと、その下のプッシュボタンをご覧ください。本モデルの場合、手動による時刻合わせやワールドタイムの設定、充電量の確認などは、これらを操作することで可能となります。ちなみにリューズの上には、オールセットなどを行うための隠しボタンも設置されています。

世界26都市の時刻&日付が瞬時にわかる高性能ワールドタイム

世界26都市の時刻&日付が瞬時にわかる高性能ワールドタイム

多彩な機能を搭載する本モデルですが、そのうちの中核機能と言えるのが同社独自のワールドタイム機能「ダイレクトフライト」でしょう。これは2009年、他社に先駆けてシチズン時計が世に送り出した技術。リューズの簡単操作で都市を選択するだけで、その時刻と日付が素早く表示されるシステムです。

現在「ダイレクトフライト」には、都市名が記されたディスクを回転させて表示窓からのぞく都市を選択する方式の「都市選択ディスク式ダイレクトフライト」や、秒針を都市名に合わせると、選択した都市の時刻と日付が瞬時に表示される「針表示式ダイレクトフライト」、そしてデュアルタイム機能に加えて、メインとローカルをワンステップで入れ替える「針表示式ダブルダイレクトフライト」の3タイプが存在しています。

このうち、本モデルに採用されているのは2番目の「針表示式ダイレクトフライト」。ベゼルに記された世界26都市のいずれかに秒針を合わせると、その時刻と日付が読み取れる仕組みです。ちなみに、ベゼル内側のメジャーで時差の確認も可能です。

面倒なサマータイムの設定も手間いらず

面倒なサマータイムの設定も手間いらず

次に、文字盤の4〜5時位置にあるサマータイムのオン/オフ表示メーターをご覧ください。

2020年現在、サマータイムを実施している国には、アメリカ、カナダ、オーストラリア(いずれも一部の地域を除く)などがありますが、そうした国では標準電波にサマータイム信号が含まれています。本モデルではリューズの操作により、このメーターを「SMT ON」設定にすれば「標準時刻/サマータイム」がオートで切り替わり、「SMT OFF」設定ではサマータイム信号を受信しても標準時刻表示が維持されます。

磁気や衝撃から時計を守りつつ、電波時計機能を発揮

9時位置のメーターで受信状況や充電残量の確認

9時位置のメーターで受信状況や充電残量の確認

標準電波を受信して、時計自体が時刻や日付を修正する、いわゆる電波時計機能。この分野においても、シチズン時計はパイオニアです。それは1993年5月に発売された「世界で初めて日本、イギリス、ドイツの3局を切り替え受信する多局受信を実現した」とされる「Cal.7400」が、日本国内だけではなく海外でも使用できる初めての電波時計だったことからもわかります。

ちなみに標準電波とは何かと言えば、それは国際標準に基づき、政府機関などが原子時計を使い、正確な周波数と時刻の情報を送信する電波のこと。日本では福島県の大鷹鳥谷山(おおたかどややま)と、福岡県と佐賀県の県境にある羽金山(はがねやま)に無線局「JJY」が置かれ、そこから日本標準時の電波が送信されています。

もちろん「CB0215-51E」にも、この機能が搭載されていて、その「JJY」に加えて北アメリカ、西ヨーロッパ、中国の世界4地域の標準電波を受信し、時刻と日付の自動補正を行うことができます。

ところで、本モデルでは、この受信状況を文字盤の9時位置のメーターで確認できます。リューズとプッシュボタンの操作で秒針をこのメーターまで動かした時、「RX」をさせば受信中であり、「OK」なら受信に成功、「NO」なら受信に失敗したことがわかります。

しかし、電波時計の機能で超高精度を図ろうとも、いくつかの要因で誤作動が発生する場合があります。主なものは磁気と衝撃。時計は磁気を帯びると内部の金属部品が磁化し、クォーツではモーターが不具合を起こして時間の進みなどに不調をきたします。また、ぶつけたり落としたりして時計に強い衝撃を与えると、針ズレを起こすこともあります。

こうした誤作動を解消すべく、シチズン時計が開発したのが「パーフェックス」です。磁気に対しては、スマホやPCなどから発生する磁気を防御する技術の「JIS1種耐磁」により、こうした機器に時計を5cmまで近づけても、ほとんどの場合、性能をキープできる水準を実現し、電波を受信しながら磁気を防御するという、相反する2つの機能を高次元で両立させました。

いっぽう衝撃については、外部からの衝撃を検知し、ICによっていったん、運針をロックしたのちに再び針を動かして針位置を補正。これらに要する時間は、なんと約1000分の1秒というから驚きます。

なお、先述した9時位置のメーターは、電波の受信状況確認用としてのみならず、「エコ・ドライブ」で蓄えられた電力の残量も表示することが可能です。

ビジネスマンのよきパートナーになること請け合い

短時間で蓄光し、美しく鮮やかに光る

短時間で蓄光し、美しく鮮やかに光る

本モデルは、美しく鮮やかに光って、暗闇の空間でも確実に時刻を表示する蓄光式の夜光塗料を採用。短時間で素早く光を吸収し、明るさが長く持続するうえ、放射性物質を含んでいないため、安心して使用できます。

簡単&クイックに開くプッシュ式バックルも便利

簡単&クイックに開くプッシュ式バックルも便利

ブレスレットの留め金具は、いわゆる3つ折り式の中留めバックル。しかも、バックル両端のボタンを押すことで3つ折りがクイックに開き、かけ爪を傷めにくいプッシュタイプが採用されています。

男らしさや品格とともに、手元に控えめな色気も!

男らしさや品格とともに、手元に控えめな色気も!

着用すれば、ケース径42.5mmの、やや大ぶりのケースが男の手元に秀逸マッチ。それでいて無骨過ぎないシンプルで端正な顔つきなので、ビジネスのしかるべきシーンにおいても違和感なく、気後れせずに使うことができます。しかも「デュラテクトDLC」技術がもたらす深みあるブラックが手元に品格とともに、控えめな色気ももたらしてくれるのです。

【まとめ】スタイルを選ばず、オン&オフで活躍してくれます

シチズン時計の時計を詳しく解説しようとすると、そのモデルに採用されている機能や技術の説明に多くの文字を費やすことを余儀なくされます。これは同社に、それだけ多様な独自技術があるからにほかならず、シチズンの魅力と実力をしっかり伝えるには避けて通れないことなのです。

この点は「アテッサ」の「CB021-51E」も例外ではなく、少々長い紹介になってしまったわけですが、ここまでお付き合いくださった読者なら、シチズン時計が考えていた以上のハイテク企業であり、技術力においては先鋭的であり、日本が世界に誇るべき時計メーカーだということが実感できたことでしょう。

と同時に、独自の表面硬化技術「デュラテクトDLC」が醸し出す神秘的な漆黒の美しさも、今回、強調したかった点です。その風合いと表情は、ぜひ時計店などでじかに手に取るなどして、ご自身の目で確かめてください。

ところで、本稿では、本モデルがビジネス向けであることも繰り返し述べました。とはいえ、写真からもわかるとおり、ドレッシーであると同時にスポーティーのエッセンスも備えた時計ですので、カジュアルなシーン&スタイルでも違和感はまったくありません。要はオン&オフ両方をカバーする汎用性の高い時計だということ。クォーツとしてはやや贅沢なプライスですが、高機能&多機能で、姿も美しいうえにライフシーン全般で使用できることも考慮すれば、実はお値打ちな1本だと思うのです。

●写真/篠田麦也(篠田写真事務所)

【SPEC】
●駆動方式:クォーツ(光発電エコ・ドライブ)
●キャリバー番号:「H145」
●防水性能:10気圧
●ケース&ベゼル&バンド材質:スーパーチタニウム
●表面処理:デュラテクトDLC(ブラック色)
●ガラス:無反射コーティングサファイアガラス
●ケースサイズ:直径42.5×厚さ10.1mm(リューズ、およびリューズガードを含まない横幅の寸法)
●重量:約89g

山田純貴

山田純貴

東京生まれ。幼少期からの雑誌好きが高じ、雑誌編集者としてキャリアをスタート。以後は編集&ライターとしてウェブや月刊誌にて、主に時計、靴、鞄、革小物などのオトコがコダワリを持てるアイテムに関する情報発信に勤しむ。

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